今知るべき、アジアの脱炭素など気候変動対策ビジネス カーボンニュートラル達成へCCSやCCUSを推進(オーストラリア)

2024年4月8日

オーストラリアでは、温暖化を背景とした山火事や度重なる洪水の発生などにより、国民の気候変動問題への関心が高まっている。2022年に連邦政府が2050年カーボンニュートラル達成に向けた具体的な目標の大幅な前倒しを発表して以降、地場企業だけでなく、日本企業によるさまざまな脱炭素ビジネスでの現地参入や、地場企業との連携などの発表が続いている。本稿では、脱炭素事業の1つで、その地理的条件から、日本を含むアジアにとって二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)と回収・有効利用・貯留(CCUS)の適地の1つとされるオーストラリアの動向や事業機会について紹介する。

2050年カーボンニュートラル達成を打ち出す連邦政府

2022年5月の総選挙で勝利した労働党は、保守連合(自由党と国民党)から9年ぶりに政権を奪取した。労働党による連邦政府は、2022年6月に国が決定する貢献(NDC)を国連に提出し、温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに2005年比で43%削減、2050年までにネット排出ゼロを実現するとの目標を定めた。2022年9月に気候変動法を制定し、目標を法制化した。前政権では、2030年までにGHG排出量を2005年比で26~28%削減するとの目標(NDC)を定めていたが、現政権はこれを大幅に前倒しすることで、GHG削減により積極的な姿勢を示した(2021年10月27日付ビジネス短信参照)。

連邦政府の最新の報告書によると、2022年度(2022年7月~2023年6月)のGHG排出量(CO2換算)は、前年比0.8%増加した(表1参照)。部門別にみると、発電所などのエネルギー転換部門が全体の32.6%を占め、最もGHG排出量が多い。一方で、国全体の排出量国別目標の基準年である2005年度の排出量と比較すると、2022年度は既に24.5%減少しており、2030年の目標(43%削減)の半分を達成している。

表1:オーストラリアの部門別排出量(CO2換算)(単位:100万トン、%)(△はマイナス値)
部門 2021年7月~
2022年6月
2022年7月~2023年6月
排出量 排出量 構成比 前年比
エネルギー転換部門 157.2 151.7 32.6 △ 3.5
産業部門 103.7 103.7 22.3 0.1
運輸部門 90.9 98.0 21.1 7.8
農業部門 79.2 82.2 17.7 3.8
燃料からの漏出 48.2 47.4 10.2 △ 1.7
工業プロセス及び製品の使用 32.6 32.4 7.0 △ 0.6
廃棄物 13.6 13.6 2.9 0.1
土地利用、土地利用変化および林業部門 △ 63.9 △ 63.9 △ 13.7 4.1
合計 461.6 465.2 100.0 0.8

出所:気候変動・エネルギー・環境・水省(DCCEEW)(2023年11月)

オーストラリアの電源構成に占める化石燃料への依存度は、主要先進国と比較すると、まだ高い。2022年(暦年)のデータでは、電源構成の67.7%が化石燃料で、全体の約7割を占めている(図参照)。一方、再生可能エネルギーの比率も年々拡大しており、5年前の2017年は15.2%だったところ、2022年時点では32.3%(前年比13.4%増)だ。再生可能エネルギーの中でも、特に2018年から2021年にかけて太陽光発電、風力発電が増加している。太陽光発電は対前年比の伸び率(2018年~2021年の4年平均)が37.0%増、風力発電は同16.2%増を記録した。2022年は、太陽光発電は前年比21.3%増、風力発電は10.1%増だった。対照的に、化石燃料の中でも石炭は6.1%減だった。連邦政府は2030年までに電源構成に占める再生可能エネルギー比率を82%まで引き上げる目標を発表している。また、石炭による発電は2038年までに廃止するとしている。

図:2022年のオーストラリアの電源構成・比率(単位:%)

注:2022年の合計電力量は、273,265ギガワットアワー(GWh)。
出所:気候変動・エネルギー・環境・水省(DCCEEW)(2023年6月)

CCSの適地多く、法整備も整うオーストラリア

世界各国では、脱炭素技術の1つとして、CO2を回収し地中に貯留するCCSやCCUS技術の導入・検討が進められている。2023年にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)でも、最終合意文書に脱炭素技術の1つとしてCCSを明記した。オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のレポートでも、特に製造業や運輸部門など排出削減が困難な産業部門で、排出削減を達成するために2030年から2040年代にかけて商業化が必要な技術の1つとして、CCUS技術を取り上げている(2023年12月14日付ビジネス短信参照)。オーストラリアのネット排出ゼロ達成手段について研究する団体「ネットゼロオーストラリア」によると、2050年のネット排出ゼロ目標達成には、大規模にCCUS産業を推進し、年間8,000万トン~10億トンのCO2を貯留可能な用地を開発していくことが必要と試算している。また、連邦政府(保守連合による前政権)が2020年9月に発表した「低排出技術ステートメント(The Low Emissions Technology Statement)」にも、今後優先的に投資すべき5つの低炭素技術の1つとしてCCSにも言及。技術の費用対効果を示す数値として、CO2の圧縮・輸送・貯留コストを1トン当たり20オーストラリア・ドル(約1,960円、豪ドル、1豪ドル=約98円)未満に引き下げる目標を設定している(2020年9月25日付ビジネス短信参照)。

オーストラリアは長年、ガス田の開発を進めてきた。一般的に、土壌へのCO2貯留は、枯渇したガス田にCO2を圧入することで行われる。そのため、同国では、関連インフラが既に存在している上、CCSやCCUSに適した場所が多く存在していると言える。「地球環境産業技術研究機構(RITE)」によると、特にオーストラリアは、CO2貯留に適した帯水層が多くあること、地震がないこと、天然資源に関わる地質学データが豊富なことが評価されているという。また、CCSに関連する法律も整備されている(注1)。オーストラリアはCCSに関して、国内の炭素排出削減のみならず、液化天然ガス(LNG)輸出先として既に関係を構築している日本や韓国、アジア太平洋諸国など、地下貯留が困難な国の排出削減にも貢献できるとしており、これらの国の企業からの投資や共同プロジェクトも積極的に行っている。

主なCCS・CCUS案件の現状

オーストラリアの CCSやCCUS技術を研究する団体「CO2CRC」によると、2023年11月時点で国内では20件の地中・海洋のCCS・CCUSプロジェクトがある(注2)。地域別にみると、西オーストラリア州(8件)、北部準州(4件)、ビクトリア州(4件)、クイーンズランド州(2件)、南オーストラリア州(1件)、ニューサウスウェールズ州(1件)となっている。事業者は欧米や現地石油・ガス大手が中心だが、日本の石油・ガス大手、商社が出資するもの、州政府が実施するものなどさまざまだ。現在は多くのプロジェクトが最終投資決定前や調査段階にあり、実際の稼働は2020年代後半以降に予定されているものが多い。

国内の主なプロジェクト(表2参照、注3)のうち、唯一稼働しているのは、米国石油大手シェブロンが運営する「ゴーゴンCCSプロジェクト」だ。同案件には、大阪ガス、東京ガス、JERAも出資参画しているが、稼働開始後に設備トラブルが続き、当初想定の3分の1しかCO2が回収できていないなどの課題がある。

また、最終投資決定され、(2024年2月時点)建設中の案件としては、オーストラリア石油ガス大手サントスなどが運営する「ムーンバCCSプロジェクト」のみだ。同プロジェクトはオーストラリア連邦政府のカーボンクレジット制度「オーストラリアン・カーボンクレジット・ユニット(ACCU)」でのクレジット取得対象案件として登録され、CCSプロジェクトとして、ACCUの対象になった初めての案件だ。

一方、サントスは、海外事業として、東ティモール海域の枯渇するガス田を利用する「バユ・ウンダンCCSプロジェクト」を進めている。稼働すると世界最大級のCCSプロジェクトになる予定だ。これにより、北部準州のダーウィン北部に位置するバロッサガス田などの天然ガスプラントからの排出されるCO2の回収・貯留を行う予定で、将来的には、ダーウィン地域の産業施設、水素製造施設からのCO2回収や、韓国大手エネルギーSK E&Sと共同で韓国からCO2の受け入れも検討されている。この点、サントスのケビン・ギャラガーCEO(最高経営責任者)はプレスリリースで、「半世紀以上にわたってオーストラリアがアジア経済にとって信頼できる資源供給国だったように、オーストラリアのCCSは、炭素貯蔵やノウハウという競争優位性を生かして、アジア諸国の脱炭素化の支援を行う大きな機会があるとみている」と発表している。

その他、州政府が行うCCSプロジェクトの1つに、ビクトリア州政府によるカーボンネットプロジェクトがある。事業を主導しているのは、ビクトリア州の雇用・技術・産業・地域省で、地域産業(天然ガス処理施設、水素、肥料、バイオ燃料製造施設を含む)から排出されるCO2の貯留を計画している。州政府主導のため、地元の脱炭素分野の産業育成や雇用の創出の機会としても位置付けられている。同案件では、州政府の要請を受け依、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が概念設計(FEED)への協力を実施している。また、川崎重工業、電源開発、岩谷産業、住友商事、日本水素エネルギーなど日系企業が多く参画する同州のブルー水素(注4)プロジェクト「水素エネルギーサプライチェーン(HESC)プロジェクト」のCO2貯留先の候補ともなっている。

表2:オーストラリア国内の主なCCSプロジェクト
場所 プロジェクト名 関係企業 CO2回収量 稼働開始 稼働状況 回収対象 概要
西オーストラリア州(WA) ゴーゴンCCSプロジェクト(州北西部沖合) シェブロン(米)、エクソンモービル(米)、シェル(蘭)、大阪ガス、東京ガス、JERA 年間330万~400万トン 2019年 稼働中 天然ガスプラント 現状国内で唯一稼働しているCCSプロジェクト。
南オーストラリア州(SA) ムーンバCCSプロジェクト(内陸部ストルゼレッキー砂漠地帯) サントス(豪)、ビーチエナジー(豪) 年間170万トン 2024年 建設中
  • 天然ガスプラント。
  • 将来は、大気中のCO2を分離回収する脱炭素技術(DAC)を活用する計画。
〇2021年に最終投資決定。2024年に最初のCO2圧入開始を目標。
北部準州(NT) バユ・ウンダン CCS
プロジェクト(※東ティモール海域内)
サントス(豪)、SKE&S(韓国)INPEX、エニ(伊)、Tokyo Timor Sea Resources(JERA/東京ガス)、東ティモール政府 年間1,000万トン 2026年 概念設計(FEED)段階※2022年3月より 天然ガスプラント
  • 最終投資決定は、2025年中を目標。実現すれば世界最大級のCCSプロジェクトとなる。
  • 比較的低コストで、連邦政府のカーボンクレジットACCUの上限価格に収まるとしている。
ビクトリア州(VIC) カーボンネットプロジェクト(州南東海岸沖合) 雇用・技術・産業・地域省(VIC州政府)、連邦政府、JOGMEC 年間500万トン 2020年代後半 概念設計(FEED)段階
  • 周辺地域の天然ガス処理施設、製造工場からの排出
  • CO2利用
  • 大気中のCO2を分離回収する脱炭素技術(DAC)の活用
  • 最終投資決定は、2024年中を目標。
  • FEED 調査には JOGMEC が協力。
  • 日系企業が多く参画するブルー水素製造プロジェクト「水素エネルギーサプライチェーン事業(HESC)」が商業規模の生産を行う上でのCO2貯留先の候補となっている。

出所:ジェトロ調査レポート「オーストラリアにおける水素産業と脱炭素化関連分野の動向に関する調査」(2023年6月)から抜粋・更新。上記以外のプロジェクトは、同レポートを参照。

プロジェクト進行上の課題

CCS・CCUSの課題については、プロジェクトを推進する事業者からみると、現在の労働党政権がCCS・CCUSプロジェクトの研究開発や商業化を支援する補助金(CCUS Hubs and Technologies program)を2022年に打ち切ったため、米国、欧州などと比較して、政府からの資金面での支援が不十分である点が挙げられる。連邦政府はCCSに関して、水素や電気自動車(EV)のような分野に特化した、国家レベルのCCS戦略やCCS産業育成を促す政策を発表しておらず(注5)、国として一貫した方針が見えにくい。一方、CCS・CCUSをエンドユーザーとして活用するエネルギー産業や製造業から見た場合はどうだろうか。CCS・CCUSの性質上、プロジェクトは大規模となり、かつ、現状では分離・回収・輸送・貯留の各プロセスに大きなコストがかかる。また、CCSプロジェクトの承認までには一般的に6~8年を要する。そのような背景もあり、再生可能エネルギーやグリーン水素(注4)活用など他の脱炭素化手段を利用した方が低コストで済む可能性がある。オーストラリアの気候変動問題に取り組む非営利団体クライメート・カウンシルは、電力コストの観点では、蓄電池を備えた風力発電による電力と比較し、CCSを敷設した石炭・ガス火力発電所による電力コストは6倍高くなると指摘する。また、公共放送ABC(2023年11月13日電子版)は、過去30年で行われたCCS-CCUSにかかわる実証事業(国内外)の80%が失敗に終わっていると報じている。将来的にはポテンシャルがある技術だが、現段階では、まだすぐに活用できる手段ではないことも大きな課題として挙げられる。

日系企業、日豪CCSバリューチェーン構築を検討

日本の資源エネルギー庁が2023年3月に公表した「CCS長期ロードマップ検討会最終とりまとめ」では、CCS長期ロードマップの具体的アクションとして、海外でのCCS事業の推進を示した。日本国内外でCCSプロジェクトの立ち上がりが不十分な現状で、あらゆる選択肢を追求、有望な海外の貯留ポテンシャルの活用も選択肢の1つとして挙げられている。

オーストラリアは、海洋環境保護を目的とした国際条約のロンドン条約・1996年議定書(以下、ロンドン議定書)の締約国で、アジア大洋州地域では数少ない締約国の1つだ。ロンドン議定書第6条2項の2009年改正に基づき、連邦政府は2023年に海底でのCCSを目的としたCO2の越境輸送を可能とする国内法を連邦政府が議会へ提出し(注6)、事業環境整備を進めている。また、CCSプロジェクトの数が最も多い西オーストラリア州では、2023年11月に州政府が関連州法の改正法案を州議会に提出している(西オーストラリア州政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

2023年に入り、日本企業がオーストラリアの研究機関と共同でCO2 の大量輸送に関する技術開発に取り組む事業や、日本の火力発電所や産業界で排出されたCO2を回収し、オーストラリアに輸送、同国内の海底や地中で貯留するという日豪間の「CCS事業バリューチェーン」構築を検討する案件が発表されている(表3参照)。これらは、気候変動対策として日本の炭素排出削減につながるだけでなく、日本企業が強みを持つCO2の分離回収技術の活用や、日本企業が実績を持つLNGの輸送船舶技術を通じた液化CO2船舶大量輸送技術の開発と活用も検討されている。このような技術と事業モデルで日本が世界に先行し、CCS・CCUSに実績のあるオーストラリア企業や研究機関などと連携すれば、日本だけでなく、周辺のアジア地域の排出削減に貢献する脱炭素ビジネスの機会として広がる可能性がある。

表3:CO2輸送・貯留事業を検討する日本企業(2023年発表)
種類 関係企業 発表
時期
概要
CO2輸送/CCS 日本製鉄、三菱商事、エクソンモービルアジアパシフィック(星) 2023年8月 3社は、中部地域(名古屋、四日市市)の産業からの排出CO2をオーストラリアの海域へ輸送し貯留する事業の実現可能性調査を行う。JOGMECの令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」に採択案件。
CO2輸送 JX石油開発、商船三井、大阪ガス、FEnExCRC(豪)、LETA(豪) 2023年8月 日本企業3社、オーストラリア研究機関FEnExCRC、低炭素技術投資機関LETAは共同で低温・低圧での液化二酸化炭素(CO2)の大量輸送の技術実証、実施可能性の検証を行うため、技術開発プロジェクトを行う。
CO2輸送/CCS 関西電力、ウッドサイド・エナジー(豪) 2023年9月 両社は日豪間のCCSバリューチェーン構築と合成メタン製造等の共同検討を行う。関西電力は国内火力発電所等から排出されるCO2の分離・回収・集約に関する調査検討を実施し、ウッドサイドエナジーが開発中の貯留地へ日本から輸送されたCO2を圧入する検討を行う。また、CO2を元にした合成メタンの製造と日本への輸送を検討する。
CO2輸送/CCS 住友商事、東邦ガス、川崎汽船、ウッドサイド・エナジー(豪) 2023年9月 4社は、日豪間のCCSバリューチェーン構築に向けた事業性調査を実施する。中部圏の産業・企業から排出されるCO2を、低温・低圧型の液化CO2輸送船で豪州へ運搬し、ウッドサイドの貯留サイトへ圧入貯留するまでの一連のCCSバリューチェーン構築にむけた事業性を4社で調査する。CO2の分離・回収については、東邦ガスが開発中の「LNG未利用冷熱を活用したCO2分離回収技術」(NEDOのグリーンイノベーション基金採択)を活用する。
CO2輸送/CCS ENEOS、JX石油開発、サントス(豪) 2023年12月 3社は、日豪間のCCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結。ENEOS製油所や日本国内の様々な産業から排出されるCO2を回収し、オーストラリアに海上輸送した上で、サントスが保有するムーンバ貯留サイトへ圧入・貯留実施するCCSバリューチェーン構築に関する事業性を調査する。
CO2輸送/CCS 住友商事、JFEスチール、住友大阪セメント、川崎汽船、ウッドサイエナジード(豪) 2023年12月 5社は、覚書を締結し瀬戸内・四国地域で排出されるCO2を回収して、大型液化CO2輸送船で豪州へ輸送し、CO2を豪州で圧入・貯留するCCSバリューチェーン構築にむけて事業性調査を実施する。

出所:各社プレスリリース、報道からジェトロ作成

オーストラリアでは、2022年の政権交代や気候変動への国民意識の高まりなどから、脱炭素化の動きが盛んになりつつある。また、2023年に入ってからは、再生可能エネルギー、蓄電池、水素・アンモニア、燃料電池車、鉱物資源、e-メタン、バイオ燃料など、日本企業によるさまざまな脱炭素ビジネスでの日豪連携やオーストラリア市場への参入が発表されている。日豪はもちろん、アジア・オセアニア地域の脱炭素化につながるさまざまな分野のビジネス機会が今後一層期待される。


注1:
貯留場所が海域(3カイリより沖合と排他的経済水域の200カイリ海里まで)の場合は、連邦政府の2006年海洋石油・温室効果ガス貯留法(Offshore Petroleum and Greenhouse Gas Storage Act 2006)に従う。貯留場所がオーストラリア陸上、または、沿岸から3カイリの海域にある場合は、州法・準州法に従うこととなる。州でみた場合、CCS関連法が既に整備されているのは、ビクトリア州、クイーンズランド州、南オーストラリア州(2024年2月現在)〔出所:JOGMEC「CCS関連法制度と事業環境(豪州)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。
注2:
プロジェクトには、まだ計画段階、FEED段階、承認段階の案件のほか、研究段階のものなども含む。
注3:
今回のレポートで取り上げた以外のオーストラリアCCS・CCUSプロジェクトについては、CO2CRCのアニュアルレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(8.3MB)やジェトロ調査レポート「オーストラリアにおける水素産業と脱炭素化関連分野の動向に関する調査」(2023年6月)を参照。
注4:
ブルー水素は、化石燃料を原料とするが、生産過程で発生するCO2を炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)などで有効利用または地中に貯留。グリーン水素は、再生可能エネルギー由来の電力を利用、水を電気分解して生成され、製造過程でCO2を排出しない。
注5:
前政権時代の2021年11月に連邦政府の戦略「National CCUS Technology Emissions Abatement Strategy」策定のためのパブリックコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを募集したが、その後、同戦略の策定は行われていない。
注6:
連邦政府は「2023環境保護法(海洋投棄)の改正法案(気候変動に対応した新技術の活用)〔Environment Protection (Sea Dumping) Amendment (Using New Technologies to Fight Climate Change) Bill 2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕」を2023年6月に議会に提出し、8月3日に下院通過、11月13日に上院を通過している。CO2を輸出して海底下の地層にCO2貯留する場合が法案の対象
執筆者紹介
ジェトロ・シドニー事務所
青島 春枝(あおしま はるえ)
2022年6月からジェトロ・シドニー事務所勤務(経済産業省より出向) 。