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特集:コロナ禍後の新時代、中国企業はどう動く新型コロナが中国・カザフスタン間の投資・貿易に影響
ノートパソコン、マスクなどの輸出は増加、小麦の輸入は減少

2021年3月12日

カザフスタンは、中国の新疆ウイグル自治区と長い国境を接する隣国であり、中国政府が力を入れて推進する「一帯一路」構想の沿線国にあたる。両国は近年、良好な外交・経済関係を維持している。前編では、中国から「一帯一路」沿線国への投資におけるカザフスタンの位置付けを示しつつ、企業数統計をもとに日本企業などとの比較をしながら、2015年からの中国企業数の変化や直近の業種別状況を紹介した。本稿では後編として、投資統計からみる中国の投資動向、貿易統計からみる中国とカザフスタンの貿易動向を紹介する。

中国などのカザフスタンへの直接投資、2020年上半期に急減

金額ベースでの動きを把握するため、カザフスタン中央銀行の直接投資統計をみると、2015年の外国からのカザフスタンへの対内直接投資(グロス、フロー)は153億6,800万ドルであったが、2019年には243億4,100万ドルにまで拡大した(表1参照、注1)。しかし、2020年上半期には81億1,200万ドルと2019年の半分を大きく下回る規模となっており、カザフスタンにおいても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたことがわかる。同表の2019年からの四半期ベースでの値を比較してみると、2019年各四半期の50億~60億ドル台に対して、2020年第1、第2四半期は30億~40億ドル台となっている。2020年3月15日に、カザフスタン国内での新型コロナ感染者発生を受けて、カシムジョマルト・トカエフ大統領がカザフスタン全土に非常事態を宣言。この宣言は5月11日まで延長され、その後6月、7月にかけて新規感染者数が拡大した(本特集「中国・カザフスタン関係の展開と課題」参照2020年3月17日付ビジネス短信2020年5月1日付ビジネス短信参照)。ちなみに、2021年2月12日までの累計感染者数は20万44人、累計死亡者数は2,540人に達しており、1月末から2月初旬にかけて1日当たりの新規感染者数も1,000人を上回る日が多く見られている(注2)。

中国からの投資をみると、前編(本特集「中国企業数は2015年の2.2倍(カザフスタン)」参照)で触れた「シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードの共同建設推進におけるビジョンと行動」が発表された年である2015年は8億3,400万ドルであったが、2019年には16億9,300万ドルと2015年と比べると倍増した(注3)。しかし、2020年上半期は3億7,900万ドルと規模が縮小しており、新型コロナの影響が同様に顕著にあらわれたとみられる。

前編において紹介した外国企業数(稼働ベース)と同様に、ロシア、トルコ、韓国、日本の動向と比較してみると、2015年から2019年にかけてロシア、トルコからの投資増加傾向が、中国同様に目立っている。ロシアについては、ポリメタルが2016年8月に、スイスの資源商社グレンコアの子会社から、カザフスタンのコマロフスコエ金鉱を所有するオリオン・ミネラルズを、1億ドルで買収した大型案件があった(注4)。

表1:カザフスタンへの一部国家の対内直接投資(実行ベース、グロス、フロー)
国名 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 第1Q 第2Q 第3Q 第4Q 2020年上半期 第1Q 第2Q
合計 15,368 21,367 20,960 24,271 24,341 6,466 5,959 6,204 5,711 8,112 3,615 4,498
中国 834 975 1,083 1,665 1,693 423 364 446 460 379 195 184
ロシア 534 873 1,227 1,501 1,409 237 413 431 328 581 289 292
韓国 342 364 496 479 467 103 92 128 144 181 99 83
トルコ 145 338 294 300 358 85 135 89 49 213 38 175
日本 394 478 357 403 402 100 114 106 82 163 82 81

出所:カザフスタン中央銀行

軽工業品が上位、2020年は新型コロナ禍でノートパソコンなどのカザフスタン向け輸出急増

カザフスタンと中国の貿易動向の変化をみるために、Global Trade Atlasの統計(もとは中国税関の統計)をみてみる。中国からカザフスタンへの輸出額は2015年に84億ドルであったが、2019年には128億ドルと2015年比でみると52%増になっている。なお、HSコード4桁の分類で、2019年の上位10品目をみたものが表2であるが、「その他の履物(HS6402)」「三輪車、スクーターなど(9503)」「男子用のスーツ、アンサンブルなど(6203)」が2019年の上位3位で、5位から7位に「旅行用バッグなど(4202)」「女子用のスーツ、アンサンブルなど(6204)」「女子用のオーバーコート、カーコートなど(6202)」、雑貨、衣服といった軽工業品の存在感が目立つ。その他にも、第4位のスマートフォンなどの携帯電話端末を含む「電話機およびその他の機器(8517))」や、8位の自動車部品(8708)といった工業製品もみられた。ちなみに、これら上位10品目は「その他の履物(6402)」を除いて、伸び幅に差はあるものの、2015年よりも基本的には大幅増加した。

Global Trade Atlasの輸送手段別の輸出額は現在2018年までとれるが、同年の中国からカザフスタンへの輸出額全体のうち、第1位が自動車(貨物トラックなど)で輸出額が全体の62.8%、第2位は列車で31.4%、飛行機が3.1%で第3位となった(図1参照、注5)。国境を接する両国で、自動車、列車が活用されている。

2018年の列車による輸出額首位は自動車部品(8708、1億3,580万ドル)で、2015年の同品目の構成比は32.2%であったが、2018年には52.5%に上昇した(2015年から2018年にかけて金額は68.9%増)。第2位は「男子用のスーツ、アンサンブルなど(6203)」(1億2,077万ドル)は2015年の23.6%から49.9%へ(2015年から2018年にかけて金額は5.6倍)、第3位は「鉄または非合金鋼のフラットロール製品(7210)」(1億1,492万ドル)で2015年の91.7%から98.6%へ(2015年から2018年にかけて金額は28.5%増)とそれぞれ構成比は拡大した。こうした品目で、鉄道輸送が活発化していることが分かる。

表2:中国からカザフスタンへの輸出(2015~2019年)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
順位 HSコード 商品 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 構成比 2015年→
2019年伸び
1 6402 その他の履物(本底および甲がゴム製・プラスチック製のもの) 1,147,746 1,013,089 1,493,440 651,850 780,999 6.1 △ 32.0
2 9503 三輪車、スクーター、人形用乳母車、人形、その他の玩具など 14,136 88,039 510,393 600,557 689,719 5.4 4779.2
3 6203 男子用のスーツ、アンサンブル、ジャケット、ブレザー、ズボンなど 91,630 121,494 235,189 242,059 354,719 2.8 287.1
4 8517 電話機およびその他の機器 211,697 216,180 342,417 423,823 347,828 2.7 64.3
5 4202 旅行用バッグ、断熱加工された飲食料用バッグ、化粧用バッグなど 190,160 292,912 401,521 320,760 330,270 2.6 73.7
6 6204 女子用のスーツ、アンサンブル、ジャケット、ブレザー、ドレスなど 66,526 98,892 142,514 204,441 316,633 2.5 376.0
7 6202 女子用のオーバーコート、カーコート、ケープなど 79,561 94,292 100,386 178,172 279,147 2.2 250.9
8 8708 部分品および附属品(第87.01項から第87.05項までの自動車のものに限る) 249,838 256,218 318,517 258,662 264,091 2.1 5.7
9 5407 合成繊維の長繊維の糸の織物 27,395 34,092 162,366 218,874 235,659 1.8 760.2
10 6110 ジャージー、プルオーバー、カーディガン、ベストなど 61,441 105,677 98,191 157,500 215,969 1.7 251.5
合計 8,426,734 8,269,477 11,648,144 11,325,830 12,804,856 100.0 52.0

注:2019年の上位10品目について金額降順で記載。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

図1:中国の対カザフスタン輸出の輸送手段別構成比(2018年)
Global Trade Atlasの輸送手段別の輸出額は現在2018年までとれるが、同年の中国からカザフスタンへの輸出額全体のうち、自動車による輸出額が全体の62.8%で第1位、列車が31.4%で第2位、飛行機が3.1%で第3位となった。

出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

2020年1~11月の中国からカザフスタンへの輸出額をみてみると、前年同期比6.3%減の108億ドルと減少した。HSコード4桁の分類で、2019年通年と同様に、上位10品目をみたものたが表3である。2019年通年では上位10品目に入っていなかったノートパソコンなどを含む「自動データ処理機械およびこれを構成するユニット等(HS8471)」が第4位に入っており、2019年1~11月と全体に占める構成比を比較してみると2.0ポイント拡大、前年同期の2.2倍になった。また、「電話機およびその他の機器(8517)」も2019年の4位から2位に順位をあげ、構成比も1.1ポイント上昇し前年同期比32.4%増となった。カザフスタンにおいても、新型コロナ禍で市民が外出を控え、在宅勤務をする場面が増加する中、テレワーク、ネットショッピングなどに活用されるノートパソコンやスマートフォンの需要が拡大したと想定される。この他、不織布製衛生マスクなどが含まれるHSコード6307の品目をみても2020年1~11月の輸出額は前年同期の4.2倍の4,916万ドル、コロナ検査キットなどが含まれる「診断用または理化学用の試薬など(3822)」が20.3倍の1,368万ドルと急増している。ちなみに、中国政府は2020年6月に、「一帯一路の国際協力を強化し、手を携えて新型コロナウイルスに対抗する」をテーマに、カザフスタンも含む24カ国とテレビ会議を開催、新型コロナ対策での各国との協力関係を強化する方針を打ち出していた。

そして上位10品目のうち、「その他の履物(6402)」「「三輪車、スクーターなど(9503)」「旅行用バッグなど(4202)」が、それぞれ前年同期比30.3%減、57.5%減、24.1%減と大幅な減少を示した。

なお、2020年1~11月に輸出が前述の通り6.3%減となった一方、後述する輸入が10.2%増とプラスを維持したことから、中国の対カザフスタン貿易収支の黒字は前年同期比48.6%減の16億7,224万ドルとなった。ちなみに、2015年から2019年までの通年ベースでみると、中国はカザフスタンに対し一貫して貿易黒字を維持しており、2019年の貿易収支は35億4,604万ドルとなっていた。

表3:中国のカザフスタンからへの輸出(2018から2020の1~11月)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
順位 HSコード 商品 2018年
1~11月
2019年
1~11月
2020年
1~11月
構成比 2020年累計
前年比
2018年 2019年 2020年
1 6402 その他の履物(本底および甲がゴム製・プラスチック製のもの) 601,893 715,267 498,484 5.7 6.2 4.6 △ 30.3
2 8517 電話機およびその他の機器 393,759 310,451 410,983 3.7 2.7 3.8 32.4
3 6202 女子用のオーバーコート、カーコート、ケープなど 174,296 261,258 401,681 1.7 2.3 3.7 53.7
4 8471 自動データ処理機械およびこれを構成するユニット等 241,440 173,405 375,538 2.3 1.5 3.5 116.6
5 6204 女子用のスーツ、アンサンブル、ジャケット、ブレザー、ドレスなど 195,273 283,492 357,477 1.9 2.5 3.3 26.1
6 6203 男子用のスーツ、アンサンブル、ジャケット、ブレザー、ズボンなど 228,051 322,248 342,932 2.2 2.8 3.2 6.4
7 6110 ジャージー、プルオーバー、カーディガン、ベストなど 152,243 203,810 301,124 1.4 1.8 2.8 47.7
8 5407 合成繊維の長繊維の糸の織物 202,447 220,262 271,494 1.9 1.9 2.5 23.3
9 9503 三輪車、スクーター、人形用乳母車、人形、その他の玩具など 551,771 626,979 266,240 5.3 5.4 2.5 △ 57.5
10 4202 旅行用バッグ、断熱加工された飲食料用バッグ、化粧用バッグなど 300,106 305,911 232,306 2.9 2.7 2.1 △ 24.1
合計 10,505,972 11,542,705 10,810,424 100.0 100.0 100.0 △ 6.3

注:2020年1~11月の上位10品目について金額降順で記載。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

資源中心の輸入、天然ガスが近年急増

今度は、中国のカザフスタンからの輸入額の推移をみてみる。2015年に58億ドルであったが、2017年以降は3年連続増加しており2019年には93億ドルとなった。2015年比でみると58.5%増になっている。なお、HSコードの4桁の分類で、2019年の上位10品目をみたものたが表4であるが、上位4位の「精製銅または銅合金の塊(HSコード7403)」「石油ガスその他のガス状炭化水素(2711)」「石油および歴青油(原油に限る)(2709)」「銅鉱(精鉱を含む)(2603)」は、輸額全体に占める構成比がそれぞれ10%以上と存在感が大きい。また、その他でも、第10位「小麦およびメスリン(1001)」以外は鉱業資源関連製品とみることができ、中国にとってカザフスタンが重要な鉱業資源供給国となっていることがうかがえる。ちなみに、2015年から2019年にかけて、天然ガスが大半を占める「石油ガスその他のガス状炭化水素(2711)」が16.6倍になっている。

中国で大気汚染対策のため、石炭から天然ガスへ転換が進められるなど需要が高まっていた中、カザフスタン国有企業の KazTransGazと中国石油国際事業が、中央アジアパイプラインを通じた年間50億立方メートルのカザフ産天然ガスの輸出契約を締結、2017年10 月から供給を開始し、2019年からは年間100億立方メートルを供給する5年契約を結んだことなどが背景にあるとみられる(注6)。

Global Trade Atlasの輸送手段別の輸入額は2018年までとれるが、同年の中国のカザフスタンからの輸入額全体のうち、列車による輸入額が全体の62.9%で第1位、その他が22.1%で第2位、船が13.0%で第3位となった。その他には、パイプライン輸送が含まれており、2018年のその他の輸送手段による輸出額第1位、第2位は「石油ガスその他のガス状炭化水素(2711)」「石油および歴青油(原油に限る)(2709)」で、2018年のその他の輸送手段による輸出額全体に占めるそれぞれの構成比は62.6%、37.3%となった。

表4:中国のカザフスタンからの輸入(2015~2019年)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
順位 HSコード 商品 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 構成比 2015年→2019年伸び
1 7403 精製銅または銅合金の塊 940,717 997,194 1,192,789 1,449,625 1,720,862 18.6 82.9
2 2711 石油ガスその他のガス状炭化水素 93,082 124,737 251,155 1,268,998 1,548,473 16.7 1563.6
3 2709 石油および歴青油(原油に限る) 1,887,217 832,792 888,777 1,148,821 1,327,141 14.3 △ 29.7
4 2603 銅鉱(精鉱を含む) 222,811 380,134 1,038,564 1,211,003 964,110 10.4 332.7
5 7202 フェロアロイ 454,462 702,076 806,737 888,985 834,072 9.0 83.5
6 2844 放射性の元素および同位元素並びにこれらの化合物など 1,486,729 1,131,486 1,258,250 1,060,849 810,045 8.7 △ 45.5
7 7901 亜鉛の塊 281,365 198,316 337,307 561,485 624,314 6.7 121.9
8 2601 鉄鉱(精鉱及び焼いた硫化鉄鉱を含む) 22,626 47,003 57,465 237,412 351,926 3.8 1455.4
9 2616 貴金属鉱(精鉱を含む) 697 3,535 12,429 51,282 243,060 2.6 34772.3
10 1001 小麦およびメスリン 27,773 53,755 56,557 99,811 90,169 1.0 224.7
合計 5,839,999 4,786,732 6,339,297 8,525,524 9,258,817 100.0 58.5

注:2019年の上位10品目について金額降順で記載。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

図2:中国の対カザフスタン輸入の輸送手段別構成比(2018年)
Global Trade Atlasの輸送手段別の輸入額は2018年までとれるが、同年の中国のカザフスタンからの輸入額全体のうち、列車による輸入額が全体の62.9%で第1位、その他が22.1%で第2位、船が13.0%で第3位となった。

出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

2020年1~11月の中国のカザフスタンからの輸入額をみてみると、前年同期比10.2%増の91億ドルと増加した。HSコードの4桁の分類で、2019年通年と同様に上位10品目をみたものたが表5である。上位9位は増加と減少が入り交じり、順番の入れ替わりはあったが、資源関連製品とみられ、ランキング内の品目は変化していない。ただ、第10位に2019年通年ではランクインしていなかった「鉄または非合金鋼のフラットロール製品(2708)」が入った。2019年に第10位であった「小麦およびメスリン(1001)」は第15位となった(4,589万ドル、前年同期比45.4%減)。中国にとって、ウクライナやロシアなどに加え、カザフスタンは良質な小麦の重要な供給国となっているが、新型コロナウイルスによる非常事態宣言下、カザフスタン政府は重要物資の輸出管理の一環として、小麦、小麦製品の輸出を3月25日から6月1日まで禁止しており、その影響などがあらわれたとみられる(2020年7月2日付ビジネス短信参照)。

表5:中国のカザフスタンからの輸入(2018から2020の1~11月)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
順位 HSコード 商品 2018年
1~11月
2019年
1~11月
2020年
1~11月
構成比 2020年累計
前年比
2018年 2019年 2020年
1 7403 精製銅または銅合金の塊 1,312,420 1,526,679 1,721,032 17.2 18.4 18.8 12.7
2 2711 石油ガスその他のガス状炭化水素 1,187,482 1,409,624 1,306,441 15.6 17.0 14.3 △ 7.3
3 2709 石油および歴青油(原油に限る) 902,623 1,178,401 1,133,224 11.8 14.2 12.4 △ 3.8
4 2844 放射性の元素および同位元素並びにこれらの化合物など 933,273 728,812 1,070,491 12.2 8.8 11.7 46.9
5 2603 銅鉱(精鉱を含む) 1,120,676 863,433 1,013,132 14.7 10.4 11.1 17.3
6 7202 フェロアロイ 834,484 753,166 792,869 11.0 9.1 8.7 5.3
7 2601 鉄鉱(精鉱及び焼いた硫化鉄鉱を含む) 219,633 321,341 502,070 2.9 3.9 5.5 56.2
8 7901 亜鉛の塊 505,328 561,055 410,657 6.6 6.8 4.5 △ 26.8
9 2616 貴金属鉱(精鉱を含む) 26,668 217,718 233,237 0.3 2.6 2.6 7.1
10 7208 鉄または非合金鋼のフラットロール製品 2,956 5,427 96,077 0.0 0.1 1.1 1670.5
合計 7,619,993 8,290,720 9,138,189 100.0 100.0 100.0 10.2

注:2020年1~11月の上位10品目について金額降順で記載。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

注視が必要な新型コロナのもたらす影響

前述(前編を含む)のカザフスタン側の統計からみた中国企業数や投資統計からは、カザフスタンにおける中国企業の存在感が増していることがうかがえる。また、中国側の貿易統計も、両国間の貿易が近年、拡大傾向にあったことを裏付ける。しかし、新型コロナの感染拡大の影響が懸念される。2020年上半期の中国からのカザフスタンへの投資や、2020年1~11月の中国からカザフスタンの輸出は前年同期比で減少を示した。

中国商務部の「対外投資合作(協力)重点国別(地域)新型コロナ肺炎対応指南―カザフスタン」では、新型コロナの影響により、カザフスタンは大口商品価格の大幅下落などの複数の要因の影響を受け、成長率押し下げ、国家財政緊迫、金融市場変動、企業経営悪化、住民収入縮小などが起こり、カザフスタン経済が悪化する可能性があるとみている。カザフスタン下院は2020年11月24日、国際開発金融機関[アジア開発銀行(ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)]からの大規模借り入れを承認する法案を可決した(2020年11月27日付ビジネス短信参照)。この他、「対外投資合作(協力)重点国別(地域)新型コロナ肺炎対応指南―カザフスタン」は、現状改善はしているものの、新型コロナ拡大初期に、カザフスタンにおける対中感情が悪化したことにも触れている。新型コロナの感染拡大は、人的・物的往来に加えて、多くの分野に影響を及ぼしている。

また、「一帯一路」構想は、良好な経済・外交環境の維持や一部政策面でのメリットはあるものの、政府関連案件やそれに関与する大型国有企業などの一部事例以外、直接的に案件獲得や事業拡大につながるものではないとの指摘や、従来からのカザフスタンの主要貿易品目である石油、天然ガス、鉱産物分野では、「一帯一路」構想の提示以前から中国企業の展開が進んでおり、またこれらの品目は世界市況や為替変動の影響を大きく受けるとの指摘もある。

カザフスタン経済が新型コロナの影響から回復し、今後さらなる中国企業の進出増などがもたらされるか、新型コロナの抑え込み動向と合わせて注目される。


注1:
2019年の国および地域の外国人直接投資家によるカザフスタンへの直接投資について、上位をみると(1)オランダ、(2)米国、(3)スイス、(4)中国、(5)ロシア、(6)フランスの順となっている。グロスのデータである点、中国側の商務部・国家統計局・国家外貨管理局「中国対外直接投資統計公報」とはデータソースが異なるため、その動きに違いがある点は注意が必要。
注2:
外務省海外安全ホームページの在カザフスタン共和国日本国大使館からの安全情報。
注3:
2015年8月にカザフスタンは変動相場制に移行し、その後1年間で通貨テンゲの対ドルレートは約5割下落したことから、2015年と2016年のドルベースの投資額の比較はその実態を正確に表すものでない部分が存在する点には注意が必要。後述の貿易額比較も同様(2019年5月23日付地域・分析レポート参照)
注4:
世界貿易投資動向シリーズ2017年版「ロシアCIS」。
注5:
Global Trade Atlasの輸送モード別の2018年の輸出額、輸入額と、通常モードの輸出額、輸入額は若干のずれがある。
注6:
「人民網」2017年10月17日、中国駐カザフスタン大使館経済商務処サイト2019年12月21日。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課 課長代理
宗金 建志(むねかね けんじ)
1999年、ジェトロ入構。海外調査部中国北アジアチーム、ジェトロ岡山、北京センター、海外調査部中国北アジア課、ジェトロ・北京事務所を経て、2018年8月より現職。

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