国庫補填と新型コロナ対策で国際開発金融機関から2,000億円規模の借り入れ

(カザフスタン)

タシケント発

2020年11月27日

カザフスタン下院(マジリス)は11月24日、本会議で国際開発金融機関からの借り入れを承認する法案(注)を可決した(「インフォームビュローKZ」11月24日)。財務省によれば、借入額は合計15億7,039万6,000ユーロを予定しており、2021年予算の補填(ほてん)と新型コロナウイルス対策に充てられる。

借り入れは、アジア開発銀行(ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)から行う。ADBからの借り入れは、返済期間の異なる4億5,429万8,000ユーロのローンが2件で合計9億859万6,000ユーロ。返済期間は5年と10年で、いずれも3年の返済猶予が付与される。金利は、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)+0.5%。AIIBのローンは6億6,180万ユーロで、返済期間は3年の返済猶予を含む10年。金利は、ADBのローンと同じだ。

2021年のカザフスタン国家予算には、GDPの3.4%に相当する2兆6,000億テンゲ(約6,500億円、1テンゲ=約0.25円)の赤字が見込まれている(情報ポータルサイト「ブラスト」11月24日)。「新型コロナウイルス禍」による経済低迷と税収減少に加え、経済対策などの財政出動で国庫は逼迫している。主力輸出商品である原油の価格も伸び悩んでいることから、政府は国家予算不足分を借款により賄う。

なお、上記の借り入れに先立ち、2020年10月にも政府は全国規模の上下水道整備のため、ADBと欧州復興開発銀行(EBRD)から約3,300億テンゲを借り入れる契約を結んでいる(「フォーブス・カザフスタン」10月27日)。カザフスタン政府は財政赤字削減を目指しているが、新型コロナの下で債務増加は避けられない見通しだ。

(注)法案名は、「カザフスタン共和国とアジアインフラ投資銀行の融資契約(COVID-19対策支援プログラム経費)の承認」、「カザフスタン共和国とアジア開発銀行の融資契約の承認」。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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