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特集:現地発!アジア・オセアニア進出日系企業の今投資環境に課題は山積も、進出日系企業の業績は好調(バングラデシュ)
2018年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査

2019年4月26日

ジェトロが2018年12月に発表した「2018年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」(以下、日系企業調査)によれば、2018年度における在バングラデシュ日系企業の6割弱が営業利益を黒字と見込む。また、今後ビジネスを拡大すると回答した企業の比率は調査国中で最も高く、縮小・撤退を検討する在バングラデシュ日系企業はなかった。バングラデシュの投資環境には課題も山積しているが、各社ともバングラデシュの将来性に期待している。

好調なバングラデシュの日系ビジネス

現在、バングラデシュに進出している日系企業は2018年11月末時点で279社ある。近年の特徴的な日系企業の進出分野は、マタバリ石炭火力発電所やダッカメトロ、既存空港の第3ターミナルなどのインフラ案件だ。また、1人当たりGDP2,000ドルを目前とした消費市場を攻略しようとする、内需向けの企業進出も増えている。さらに、中国の人件費高騰や環境規制の強化を受け、縫製業を中心とした労働集約型産業の企業が「チャイナプラスワン」としてバングラデシュに進出する動きが、昨今の米中貿易摩擦などの影響などにより一層加速しているのも事実だ。

日系企業調査では、在バングラデシュ日系企業57社から回答を得た。2018年度の営業利益の見通しに関する設問では、6割弱(56.5%)の企業が黒字と予測した。これまで、バングラデシュ進出日系企業はその操業期間の短さや親会社に商品を供給するコストセンター的な位置付けであるという状況から、黒字化率は半分を切っていた。しかし近年は、進出して時間の経過した企業やバングラデシュの内需を狙う企業も増加していることなどを背景に、2017年度には33.3%にとどまっていた黒字化率が一気に半数を越えた。また、2019年度に営業利益が改善すると回答した企業比率(DI値)は、調査対象国で第1位(60.0ポイント)であった。

今後の事業展開に関する設問では、ビジネスを「拡大」すると回答した企業の比率は73.2%と、調査国中で最も高かった。さらに特筆すべき点は、「縮小」または「移転・撤退」という企業が1社もなかったことである。拡大の理由としては、特にバングラデシュの成長性・潜在力の高さが挙げられている。さらに、総選挙につきものだったハルタル(ゼネラルストライキ)は、近年の与党による抑え込みが奏効し、経済成長の大きな阻害要因にはなっていない。バングラデシュでは、今回の調査期間(2018年10月9日~11月9日)の約2カ月後に総選挙を控えていたものの、それを悲観する企業も少なかった。

成長性高くも、リスクは残る

バングラデシュの将来性に期待する日系企業が多いことが明らかになったが、他方でビジネス環境上のリスクがなくなったわけではない。経営上の問題点に関する設問では、「従業員の質」「通関に時間を要する」「通関手続きの煩雑さ」といった、過去から指摘される項目が継続して問題点として挙げられた。特に通関関連では、輸出入の状況に関する設問において、他国に比してその劣悪な状況に悩む企業が多いことが分かる。例えば、貨物到着から輸入通関手続き完了までの平均日数は、海上貨物が15.8日(調査対象国中ワースト2位)、航空貨物が7.9日(ワースト1位)もかかる。また、輸入通関手続きは「やや悪化」または「悪化」していると回答している企業が他国より突出して多い。さらに、輸出志向型企業(工場、商社、検品会社などを含む)は、「品質管理の難しさ」を最も重大な経営上の課題と位置付けており、これは技術系人材が不足していることの表れともいえる。

人件費の高騰に要注意

賃金に関する設問では、依然として多くの職位で、バングラデシュの賃金は他国と比較して最も廉価であることが分かった。しかしながら、調査期間終了後の2018年12月には縫製業の最低賃金が大幅に上昇することとなっていたこともあり、58.9%の企業が「従業員の賃金上昇」を経営上の課題として挙げた。特に、2019年度の製造業における賃金上昇率の見通しは前年度比12.3%と調査国中で最も高かった。内需志向型企業の場合、経済成長に比例する所得水準の上昇は、購買力の拡大という面で進出の目安にされることも多い。しかし、輸出志向型企業は多くの場合、人件費の安さを魅力に投資を決定することが大半だ。バングラデシュに進出する企業は、今しばらくは人件費の安さを投資環境上のメリットとして享受できるだろうが、将来的には、人件費の上昇が事業運営上のリスクにもなりかねないので注意が必要だ。

執筆者紹介
ジェトロ・ダッカ事務所(執筆時)
古賀 大幹(こが たいき)
2010年、ジェトロ入構。サービス産業支援課、アジア経済研究所研究管理課を経て、2015年8月よりジェトロ・ダッカ事務所。現在は経済産業省に出向中。

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