特集:主要国・地域の越境EC 中国の越境EC

2017年12月20日

EC市場規模

EC市場は年々拡大し、中国の人々にとって重要な消費プラットフォームと化している。中国のEC小売額は2018年までに1兆ドルに達し、世界EC市場の4割を占めるとみられている(市場調査会社イーマーケター予測)。

また、中国の2016年のインターネットショッピング市場におけるB2Cの販売額は前年比31.6%増の2兆6,000億元(約41兆6,000億円、3,939億ドル)となり、同市場販売総額の55.3%を占有(アイリサーチのデータ)。

携帯端末を用いたネットショッピングが主流となりつつあり、一例として2016年に京東(JD)が受けた注文の8割は携帯端末経由であった。

中国における1人当たり国内総生産(GDP)や所得増により、中国人消費者の正規品や良質な商品に対する需要が高まっている。この要求の高まりがEC市場の持続的かつ急速な発展を促している。

EC売れ筋商品

2017年の消費データによると、女性消費者向け商品、例えば衣類、宝石類、ベビー用品などの販売が大幅に増加。家庭用繊維製品(布団、カーテン、テーブルクロス、タオルなど)は、快適性や質感が注目され、高付加価値商品が売れるようになってきた。

日本商品に対する見方

中国人消費者の日本商品に対する需要は旺盛で、日本商品の強みである品質により注目するようになっている。2016年のJD「全球購」(越境ECプラットフォーム)において、日本製品の販売額は3桁増となった。

日本の人気商品としては、健康食品、ベビー用品、化粧品などがあり、このほかにも、魔法瓶、鍋、温水洗浄便座、収納用具、米びつなどが売れ筋である(JDのプラットフォーム)。

日本企業の強みはブランド力と品質。JDは日本企業との協力に大いに期待している(JDはブランドの知的財産権などの権利保護にも取り組んでおり、ブランドの権利がJDに侵害されないことを保証)。

日本企業による中国越境EC市場に対する関心の高まり

急拡大している中国EC市場で販路拡大を図ろうと、日本企業は越境EC活用に注目しつつある。

日本企業は例えば、JD「全球購」を通じて、越境EC取引の手続きを簡素化できる。日本ブランドや日本企業は中国で会社を設立しなくても、「全球購」を通じてJDの2億3,600万人以上のユーザーにアプローチすることができる。同プラットフォームの活用で、中国本土で運営する場合に必要となる人的・物的コストも大幅に削減可能となる。

越境EC関連の留意点

中国政府は2017年9月20日、EC新制度の通関証明書提出などの施行を2018年末までに再延長する旨、発表。これは(1)通関証明書取得に必要な書類が準備できないケースが多発していることや、(2)一部指定商品に義務付けられている輸入許可書の取得に数カ月から1年以上の期間を要することなどによる。

中国における越境ECの市場動向と制度

中国における越境EC市場動向
日本からの出品を可能にしている主なECサイト
  • 天猫(Tmall.com)
  • 京東(JD.com)
  • 唯品会(Vip.com)
  • 蘇寧易購(Suning.com)
  • 国美在線(Gome.com.cn)
  • アマゾン(Amazon)中国
  • 1号店(YHD.com)
  • 当当网(dangdang.com)
  • 聚美優品(jumei.com)
  • 易迅網(Yixun.com)
  • 網易考拉海購(Kaola.com)
(参考)2017年上半期の中国における越境ECのシェア
1位網易考拉海購(Kaola.com)(24.2%)
2位天猫国際(Tmall.hk)(20.3%)
3位唯品会(global.vip.com) (15.7%)
4位京東全球購(jd.hk) (12.5%)
(出所)iiMedia Research Group"2016-2017 China Importing E-business Market Research"
主要ECサイトにおける販売上位品目(=売れ筋) 1位:ムーニー紙おむつL54枚入り(ユニ・チャーム[日本])
2位:子供向け福袋(ミキハウス[日本])
3位:美容フェイスマスク(AHC[韓国])
4位:羽毛布団(インテルラゴス[日本])
5位:カークランドミックスナッツ(コストコ[米国])
6位:ビタミンEクリーム(ブラックモアズ[豪州])
7位:赤外線耳式体温計(ブラウン[ドイツ])
8位:メリーズ紙おむつL54枚入り(花王[日本])
9位:オーガニック粉ミルク(ベラミーズ[豪州])
10位:フォレオルナミニ2プラス洗顔器(フォレオ[スウェーデン])
(出所)天猫国際(Tmall Global)2016年11月11日売上トップ10)
越境EC利用の際の主な決済システムの利用割合
  • 第三者決済(支払宝[アリペイ]、微信支払[WeChat Pay]など)(82.9%)
  • ネットバンキング(クレジットカード、デビットカード)(65.3%)
  • クイック支払(53.8%)(注1)
  • 携帯電話(52.6%)(注2)
  • 現金引換(49.7%)
  • 郵便局・銀行振込(14.4%)
  • 商品券およびプリペイドカード(9.0%)
  • その他(0.6%)
(注1)アカウントに金融機関のカード番号を紐付けパスワードの入力で支払いを行うもの
(注2)「第三者決済(支払宝[アリペイ]、微信支払[WeChat Pay]など)」に加え、「携帯電話」もあるのは、本回答が”ユーザーが利用する支払い”で、重複回答があるため。例えば、WeChat支払いを行う場合、ネット利用もあれば携帯電話利用もあり。
(出所)中国互聯網絡信息中心「2014年中国ネットショッピング市場研究報告」
中国におけるEC(越境EC含む)に関する制度
国内規制 (1)データ制約に関する規制の有無
  • 2017年6月1日から実施の「サイバーセキュリティー法」ではデータの保存に関する規制を定めている。今後関連規定などで影響が明らかになるとみられる。
  • 同法第37条:重要情報インフラの運営者は、中国国内での運営において収集および発生した個人情報および重要データを、中国国内で保存しなければならない。業務の必要により、国外に提供する必要がある場合は、国家インターネット情報部門が国務院の関係部門と共に制定した規則に従って安全評価を行わなければならない。法律、行政法規に別途規定がある場合は、それに従う。
  • インターネットプラットフォーム運営企業において、個人情報の国外への持ち出しなどに影響がある可能性もあり、今後の動向に注視が必要。
(2)規制取扱商品
  • 2016年4月、越境EC小売輸入品リスト(ポジティブリスト)が公布されていた。
    (財政部、発展改革委、工業情報部、環境保護部、農業部、商務部、中国人民銀行、海関総署、国家税務総局、質検総局、新聞出版広電総局、食品薬品監管総局、瀕管弁、密碼局公告2016年第40号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます第47号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
  • それぞれのECサイトでは規制取扱商品につき関連の管理規定を定めている。
    例)京東外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(3)その他のEC販売に関連する規制
  • 企業が自らのインターネットプラットフォーム技術を用い、その他の取引第三者のためにインターネットサービスを提供する場合は、工業情報化部門に付加価値電信業務の営業許可証の申請が必要(要求レベルが高く、許可が得にくい)。
    (出所)ジェトロ「中国の主要サービス産業に対する投資関連規制等に関する調査(2013年改訂版)」
  • 当地ではfacebookが使えないなどのウェブ閲覧規制あり。
小口配送に関する税制や輸入手続き関連制度(上のメリット)の有無と販売への影響
  • 2016年4月、「越境EC小売輸入税収政策に関する通知」などを公布し、政策が一部調整されたが、2017年末まで通関申告書などの提出が猶予されている。
  • 2017年9月20日に開催された国務院常務会議で、上記過渡期措置の2018年末までの延長が決まった。詳細内容については今後確認が必要。

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ジェトロ海外調査部

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