特集:主要国・地域の越境EC アラブ首長国連邦(UAE)の越境EC

2017年12月20日

EC市場規模

湾岸協力会議(GCC)諸国でのECの普及率は低く、(サービス購入なども含む)EC市場規模は国内総生産(GDP)の0.5%程度と低水準。一方、UAEには(1)可処分所得の高さ、(2)物流インフラの充実、(3)都市化率の高さ、(4)若年層人口の多さ、(5)インターネットやスマホ普及率の高さなど、オンライン・ショッピングに適した強みがある。UAEにおけるEC市場は2014年の6億7,000万ドルから2016年には約2倍の13億ドルに達し、2020年までには31億ドルへ拡大見込み(ユーロモニター)。国内外企業はこの急成長に着目し、アマゾンは2017年3月に[UAE発祥のベンチャー企業で中東地域最大のショッピングサイト]スーク・ドットコム(SOUQ.COM)を5億8000万ドルで買収すると発表。また、UAEやサウジアラビアの企業などが出資するヌーン・ドットコム(NOON.COM)は、2017年9月現在サービス未開始であるものの、数千点規模の商品取り扱いが予想され、UAE含む中東全体のEC市場を活発化させる存在になるのではないかとされる。さらに、UAE進出済みのグローバル小売企業や地元企業などによるショッピングサイト開設事例は多く、市場拡大と共にサイト数も増加。

日本からの出品に際する留意点

越境ECはUAEのEC市場全体の3割程度を占め、世界平均よりも高い(クレジットカード処理企業PAYVISION調査)が、ジェトロ・ドバイ事務所が複数の国内ECサイトに確認したところ、日本を含む海外からの出品が可能と回答したのは数社のみ。多くのサイトはUAE国内からの出品に限られ、同国外企業が出品するには国内に代理店が必要になる。多数の国内サイトがあるにもかかわらず、UAEのオンライン・ショッピング市場は、首位のスーク・ドットコム(38.2%)に次いでアマゾンが10.5%、イーベイが8.7%とグローバルサイトが上位を占め、これらグローバルサイトが海外商品の購入に使われていると考えられる。

こうした中、UAEのEC市場でファッション専門サイトとしては最大のナムシー(NAMSHI)は、日本からの出品可能。ナムシーが海外商品の取り扱いが可能な理由は、海外から商品を購入しドバイにある倉庫にストックし、注文に応じて国内やGCC諸国に発送することが可能なため。また、全て本社か国内の代理店から直接購入し、利用者は模倣品や品質の劣化などを気にすることなく安心して購入できることや、国内店舗では販売されていない商品を含めてさまざまな商品が購入できることが、成長の理由と考えている(同サイト購買担当者)。毎月1,500万人がサイトを訪れ、うち120万人が実際に購入し、利用者は20歳代の若い女性が中心で、アラブ人、特にサウジアラビア人が多いという。服、靴、アクセサリー、化粧品などの約600ブランドを扱い、とりわけ、男性用女性用ともにアクセサリーは常に人気。地域別では、欧州、米国、トルコなどのブランド商品が多い。アジアでは韓国の化粧品が人気であり、中国からもさまざまな商品が出品されているが、日本からの出品はこれまでほとんど記憶に無いとのこと。資生堂の化粧品は取り扱われているが、化粧品はUAEやGCC諸国での販売に必要な手続きをメーカーの負担で完了済みであることが取り扱いの条件という。現時点では日本企業の商品は取り扱いが少ないが、品質の良さには定評があるので、どのような商品でも取り扱っていきたいとのこと。

アラブ首長国連邦(UAE)における越境ECの市場動向と制度

アラブ首長国連邦(UAE)における越境EC市場動向
日本からの出品を可能にしている主なECサイト
  • アマゾン
  • Bashracare(スキンケア商品など専門サイト。UAE政府へ登録済みの商品のみ)
  • ナムシー(Namshi)(ファッション関連商品など専門サイト)
(注)最大シェアをもつSouq.comを初めとして主要なECサイトの多くはUAE国内もしくは近隣国からの出品に限っている。
主要ECサイトにおける販売上位品目(=売れ筋)
  • 衣料・靴(31.2%)
  • 家電(27.6%)
  • メディア(16.4%)
(注)越境ECに限らない
(出所)Euromonitor「Internet Retail in UAE
越境EC利用の際の主な決済システムの利用割合
  • 代金引換(もっとも主流)
  • クレジットカード
    電子マネー(noqodiなど)
※越境ECに限らない。決済システムの利用割合は不明。
(出所)Euromonitor「Internet Retail in UAE
アラブ首長国連邦(UAE)におけるEC(越境EC含む)に関する制度
国内規制 (1)データ制約に関する規制の有無
  • 通信規制庁(TRA)による認定ウエブ・ビジネス事業者(Certification Service Provider[CSP])に認定されるためには、UAE国内および経済協力開発機構(OECD)などの国際機関が定める各種の個人情報保護規定の順守が求められている。
  • 個人情報保護に関しては、TRAが定めたConsumer Protection Regulations(2018年1月)のほか、UAE中央銀行 Regulatory Framework For Stored Values and Electronic Payment Systems(2017年1月)などに関連する規定がある。
  • ドバイ国際金融センターは独自のデータ保護法を定めている。
  • TRAに確認したところ、CSPの認定を得るために国内サーバーを設置する義務は無い。
  • なお、TRAによるCSP認定サイトの認定要件およびConsumer Protection Regulationsは次のサイト参照。
    参考1外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(参考2外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(2)規制取扱商品
  • 輸入規制品目と同規制。
  • 食品、医薬品、化粧品などUAE国内での販売に当たりUAE政府への登録が必要な商品は、UAE企業が運営するECサイトに出品する前に登録が必要。
(3)その他のEC販売に関連する規制
  • 2006年UAE消費者保護法
  • 2009年アブダビ品質・適合法
  • Eトレーダー・ライセンス制度の導入
2017年3月より運用開始。SNSを通じた商品・サービスの販売を認めるライセンス。同ライセンスはドバイでのみ発行。取得できるのはUAEまたはGCCの国籍所有者のみ。
小口配送に関する税制や輸入手続き関連制度(上のメリット)の有無と販売への影響
  • 個人利用のための小口貨物は非関税。ただし、小口貨物となるかどうか明確な基準がない。商業目的の貨物は小口であっても関税がかかる。

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ジェトロ海外調査部

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