アフリカにおける日本のポップカルチャーの可能性を探る日本のアイドルはアフリカでどう受け止められたか
ミライスカート⁺・児島真理奈氏が見た3都市の反応
2026年9月29日
京都を拠点に活動するアイドルプロジェクト「ミライスカート⁺(ミライスカートプラス)(注1)」の児島真理奈氏は、2014年にアイドルグループ「ミライスカート」のメンバーとして活動を始め、現在はソロとして国内外で活動している。2025年8月にはケニア・ナイロビの「オタ祭り(OTAMATSURI)」でアフリカ初公演を行い(2025年9月29日付ビジネス短信参照)、その後、ジェトロ主催のポップカルチャーイベント「Super Japan」(注2)を通じて、ナイジェリア・ラゴス(2025年11月28日付ビジネス短信参照)とエジプト・カイロ(2026年2月18日付ビジネス短信参照)でも公演した。2026年8月には再びナイロビの「オタ祭り」に参加するなど、活動の幅を広げている(2026年8月31日付ビジネス短信参照)。
アフリカ各地では、アニメやマンガを通じて日本に関心を持つ若者がみられる。ナイロビの「オタ祭り」も、主催者によると来場者数が2025年に3,700人超、2026年には約4,500人へと増加しており、規模は年々拡大している。一方で、日本独自のアイドル文化は、現地でまだ十分に知られているとは言い難い。日本のアイドルは現地でどう受け止められたのか。また、日本への関心は、音楽や商品購入にも広がり得るのか。児島氏に、アフリカ3都市で感じた手応えと課題、今後の展望を聞いた(取材日:2026年8月25日)。

- 質問:
- 海外、そしてアフリカで活動しようと思ったきっかけは。
- 答え:
- グループ時代から「京都から世界へ」を掲げていた。ただ、複数のメンバーやスタッフで海外へ行くには費用がかかり、実現は容易ではなかった。ほかのメンバーの卒業後、1人で活動するようになったことを身軽さという強みに変え、まだ日本のアイドルがほとんど訪れていない場所へ行きたいと考えた。もともとアフリカが好きで、旅行で訪れた経験もあった。「ミライスカートの歌で世界を回りたい」という思いから、ケニアやマダガスカルのイベントを探し、スタッフと共に主催者へ直接連絡した。ケニアから返信があり、やり取りを重ねる中で出演が決まった。日本から歌手を招くのは初めてとのことで、温かく迎えてもらった。
- 質問:
- 初めてナイロビで公演した時、何が最も印象に残ったか。
- 答え:
- 現地では時間の流れが日本と大きく異なり、当初は本当にライブが始まるのだろうかと思った。ただ、その緩やかさのおかげで、かえって緊張せずにステージに立つことができた。ライブが始まると、観客の反応は想像以上だった。私の曲を事前に知っている人はほとんどいなかったと思うが、まるで以前からのファンのように踊ってくれた。客席にはダンスリーダーのような人が自然と現れ、その動きを周囲がすぐにまねた。誰かが促したわけでもないのに、観客が輪になって踊り始める場面もあった。それぞれが自由に楽しみながらも、ステージとはしっかりつながっている。観客と一緒にその場をつくっている感覚があった。
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「オタ祭り2026(OTAMATSURI 2026)」で歓声を送る観客(同氏提供) - 質問:
- ナイロビ、ラゴス、カイロでは、観客の反応にどのような違いがあったか。
- 答え:
- ナイロビでは、前年にCDを購入した人が今年も会場に来てくれた。リピーターが生まれたことが何よりうれしかった。初めて聴く曲でも、観客が自分たちなりに踊り、会場全体でライブに参加する力が強い。現地のコスプレも完成度が高く、普段のライブ衣装では埋もれてしまうほどだった。ラゴスの盛り上がりは圧倒的で、これまで公演した中でも特に勢いがあった。初めて聴く曲にもすぐに反応し、観客が身体を動かして会場全体で楽しんでくれた。現地の民族衣装を着て出演したことも喜ばれ、受け入れてもらえたと感じた。カイロは学生が多く、観客とコミュニケーションを取りやすかった。アニメに限らず、着物など日本文化全般に関心を持つ人が多い印象だった。公演に合わせてTikTokを始めたところ、来場者が一緒に動画を撮り、積極的に投稿してくれた。「行きたかった」というコメントも多く、来年のカイロ再訪に向け手応えを感じている。
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熱気に包まれた「Super Japan in Lagos」の会場
(ジェトロ撮影)
サインを求めるカイロのファン(同氏提供) - 質問:
- アフリカのファンには、どのような特徴を感じたか。
- 答え:
- 単に日本のコンテンツを見るだけでなく、自分たちの装いや踊りを見せたり、一緒に動画を撮ってSNSで発信したりする人が多い。現地のファンは積極的に動画を投稿してくれて、好きなものに対して、自分から参加し、発信する姿勢が強いと感じた。一方、「アイドル」という存在が各地で十分に理解されているとは限らない。歌手、俳優、モデルとは異なる日本独自のアイドル文化を、どのように伝えるかは課題だ。日本と韓国のコンテンツが一くくりに捉えられる場面もあり、自分たちが日本のアイドルとして何を届けるのかを、丁寧に伝えていく必要がある。
- 質問:
- 現地のファンの日本への関心は、日本企業にとってもビジネスのきっかけになるか。
- 答え:
- つながる可能性はあると思う。アフリカの若い人たちに日本を好きになってもらい、日本の商品を買ってもらうことが、日本企業が現地へ入るきっかけになればよいと考えている。
- 私自身も、現地との取り組みを広げていきたい。2026年9月には、南アフリカ共和国・ヨハネスブルクで開催される「Super Japan in Johannesburg」(ジェトロ主催)に出演する予定だ。それに合わせて、現地でアニメ制作に取り組む企業からコラボレーションの話も出ている。アフリカでの活動はまだ2年目に入ったところだが、少しずつ活動の幅が広がっていると感じている。
- 質問:
- 現地のファンに、今後どのようなかたちで応援してもらいたいか。
- 答え:
- 現地では、非正規品とみられるグッズを目にすることもある。そうした商品が先に広がると、本物の日本のコンテンツやアーティストの価値が伝わりにくくなると感じている。正規品の商品や音楽を、現地のファンが無理なく選べる環境になってほしい。私自身の楽曲も、もっと正規にダウンロードしたり、定額制音楽配信サービスで聴いてもらったりしたい。アフリカのファンが継続して音楽を聴き、再生回数が積み上がっていけばうれしい。
- 質問:
- 今後、アフリカでどのような活動を目指すか。
- 答え:
- 2026年9月にはヨハネスブルクでの公演を控えており、その後も、ラゴスやカイロなど、アフリカ各地で活動を続けたい。都市によって反応のよい曲が異なることも分かってきたため、これまでの公演で得た感触やSNS、アンケートを基に、それぞれの都市に合わせてセットリストを変えていきたい。これまでは、自分が売れたい、有名になりたいという思いが強かった。しかし、10年以上アイドルを続けてきた今は、次の世代が海外へ挑戦する道をつくりたいと考えている。まずは自分が現地へ行き、実際にライブをした上で、「ここなら挑戦できる」と思える場所に、アフリカで活動したいアイドルを連れていきたい。今回のナイロビ公演にも、ほかのアイドルを誘って一緒に出演した。自分が日本へ戻った後も、現地のファンが動画や音楽配信を通じて応援してくれる。そうしたつながりを、ほかの日本のアイドルにも広げ、アフリカ各地へつないでいきたい。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・アディスアベバ事務所
石川 晶一 (いしかわ しょういち) - 2014年、ジェトロ入構。本部、ジェトロ愛媛、ジェトロ・プノンペン、貿易投資相談課などを経て、2024年8月から現職。





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