特集:COP27に向けて注目される中東・アフリカのグリーンビジネス太陽光を中心とした再生可能エネルギーの普及計画(ガーナ)

2022年11月9日

ガーナは、1957年の独立直後から当時のクワメ・エンクルマ大統領主導のもと、水力発電を積極的に活用してきた。同国初の水力発電施設であるアコソンボダムは1965年の稼働以来、経済発展の源泉となっている。他方で2010年に油田の商業生産を開始して以降は鉱物資源の開発も続け、天然ガスによる火力発電容量も増やしてきた。その中で、ガーナ政府は2015年のパリ協定に基づき、2030年における再生可能エネルギーの発電容量を10%まで引き上げることを目標としている。本目標の達成に向け、輸出全体のおよそ3割を占める石油やガスの輸出による収益を、再エネの利活用へ配分することが表明されている。

主電源は水力と火力が中心

ガーナの電源構成は、2021年末時点において、発電容量ベースで火力発電が68.9%、水力発電が29.1%を占めた。残る2.1%は太陽光やバイオガス発電、あるいは小規模水力発電(注1)を含む再エネである。再エネのうち、太陽光がほとんどを占める112MW(メガワット)で、小水力発電とバイオガス発電はそれぞれ0.045MW、0.1MWであり、小規模にとどまっている。

図:ガーナの電源構成(2021年末時点)
火力発電が68.9%、水力発電が29.1%、再生可能エネルギーは2.1%である。

出所:Ghana Energy Commission「2022 Energy Outlook For Ghana  」からジェトロ作成

ガーナは気候変動の影響の最小化を目指し、気候変動対策やグリーン分野で国際協調の姿勢を見せている。国連の「万人のための持続可能なエネルギー(SE4All)」(注2)イニシアティブやパリ協定による「国が決定する貢献(NDC)」、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の「再生可能エネルギーとエネルギー効率政策」などの国際条約や協定を批准しているほか、これら条約を受けた国内の政策体系として、2011年に「再生可能エネルギー法(政令832)」、2016年にガーナ版「万人のための持続可能なエネルギー(Sustainable Energy for All)」が施行され、民間企業の投資を活用した再エネの普及に向けて法整備が進められている。加えて、2022年9月にはナナ・アクフォ・アド大統領が同国のエネルギーミックスに原子力を組み入れることを表明した。

2030年までの再エネの社会実装に向けた取り組みが進む

2019年には、民間セクターの投資を通じたガーナにおける再エネの推進と開発を目的に「再生可能エネルギー基本計画(REMP)」が策定された。この中では、2030年までの達成目標として、再エネの発電容量を2015年の42.5MWから1,353.63MWまで引き上げることを掲げている。その内訳は、太陽光発電が全体の51%を占める692.5MWで、次いで風力発電327MW、水力発電が200.03MW、バイオマス発電が122.1MW、その他12MWとなっている。その他にも、1,000の集落へ再エネによる分散型電化オプションを提供することや、再エネ分野におけるローカル・コンテント規制を推進することなどがうたわれている。

特に、太陽光発電と水力発電においては、国営企業であるボルタ・リバー・オーソリティ(VRA)が国内のエネルギーシェアのおよそ53%を占めており、表1の再エネプロジェクトが発表されている。

表1:VRAによる再生可能エネルギー関連のプロジェクト一覧
No. プロジェクト名 種類 規模 稼働年
1 ナブロンゴ太陽光発電所 太陽光 2.5MWh 2013年
2 VRA本社 屋上太陽光発電所 太陽光 80kWp 2019年
3 カレオ・ラウラ 太陽光発電所 太陽光 17MWh 2020年
4 ラウラ太陽光発電所(第2期) 太陽光 14MWh 2022年
5 カレオ太陽光発電所(第2期) 太陽光 13.8MWh 2022年
6 VRA風力発電プロジェクト(第1期) 風力 76MW 2023年
7 プワルグ多目的ダムプロジェクト (PMDP)  水力 60MW 2025年
8 プワルグ (PMDP) 太陽光発電コンポーネント 太陽光 59MW 2025年
9 ボンゴ太陽光発電所   太陽光 40MW 2025年

出所:各種報道資料などからジェトロ作成

先述のとおり、2021年末時点の太陽光発電容量は112MWであり、「再生可能エネルギー基本計画(REMP)」が2019年当時に設定した大規模太陽光発電所による発電容量152.5MWの目標に達していない。2030年には現状の約4倍にあたる447.5MWを目指しており、目標達成に向けたさらなる建設計画の進展が見込まれる(表2参照)。

表2:太陽光発電における発電容量目標
種類 2015年
(基準値)
2020年
(目標値)
2025年
(目標値)
2030年
(目標値)
大規模太陽光発電所
(Utility Scale)
22.5MW 152.5MW 347.5MW 447.5MW
分散型太陽光発電
(Distributed PV)
2MW 20MW 100MW 200MW
自家消費型太陽光発電
(Standalone PV)
2MW 10MW 15MW 20MW
ソーラー照明等
(Street/Community lighting)
3MW 7MW 11MW 25MW

出所:「再生可能エネルギー基本計画(REMP)」(2019年2月)からジェトロ作成

2030年以降に向けた政策もまもなく発表予定

ガーナ政府は、アフリカ開発銀行、アフリカ開発基金を含む国際金融機関や、欧州、米国などの先進国から気候変動対策関連事業費のローンを既に受けている。民間セクターの同分野での参入を促進し、海外からの投資も積極的に呼び込みたい考えだ。

その中で、2022年11月のCOP27開催に向けて、ガーナ政府は新たな気候変動対策の発表を予定している。マハムドゥ・バウミア副大統領は2022年9月28日、「国家エネルギー移行委員会(NETC)」を設立し、2050年までのカーボンニュートラルを目指す枠組みを構築していると表明した。同委員会は2022年11月ごろに政策体系を発表するとしている。


注1:
2011年施行の「再生可能エネルギー法(政令832)」で、100MWまでの水力発電設備は再生可能エネルギーと定義される。
注2:
SE4Allは、2030年までの近代的エネルギーへの普遍的アクセスの達成、世界全体でのエネルギー効率の改善ペースの倍増、世界全体での再生可能エネルギーのシェア倍増の3つの目標を掲げている。
執筆者紹介
ジェトロ・アクラ事務所
柴田 北斗(しばた ほくと)
2019年、ジェトロ入構。ビジネス展開・人材支援部ビジネス展開支援課、国際ビジネス人材課を経て現職。

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