特集:北米地域における環境政策の動向と現地ビジネスへの影響連邦政府、自動車の温室効果ガス・燃費規制の見直し案を発表(米国)
車両の電動化を推進

2021年10月18日

米国のバイデン政権は、2030年の温室効果ガス(GHG)排出量50~52%減(2005年比)、2050年のカーボンニュートラルを目指している(2021年6月9日付地域・分析レポート参照)。総じて、国内外双方に向けて、精力的な気候変動対策に取り組んでいると言えるだろう。

特に輸送部門は、米国のGHG総排出量の3割を占める。さらに、そのうち8割が自動車由来であることから、関連政策を矢継ぎ早に打ち出している。2021年8月5日には、新車販売に占めるEVとFCVの割合を2030年までに50%以上とする大統領令が発令されるとともに、関係省庁が新たな排ガス、燃費規制の草案を発表した。本稿では最近のEV動向やこれら規制案の概要などを紹介する。

2021年上半期、EV販売は全車の3.3%

2021年1月に発足したバイデン政権は、カーボンニュートラルの目標年を2050年に設定。あわせて、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2005年比で50~52%削減すると発表済みだ。これらを達成するため、自動車分野では、2030年までに乗用車と小型トラックの新車の50%以上を、電気自動車(EV、注1)または燃料電池車(FCV)にする販売台数目標を設定(2021年8月6日付ビジネス短信参照)。この目標に対して、ゼネラルモーターズ(GM)やフォード、ステランティスなど(注2)の米国メーカーや、全米自動車労働者組合(UAW)は支持。日系メーカーでもトヨタが「われわれの役割を果たしていく」と述べるなど、業界はおおむね前向きな姿勢を示した。

こうした中、EV市場はわずかにせよ拡大傾向を見せている。2021年上半期(1~6月)のEV販売台数は、2019年の年間販売台数の9割弱にあたる28万台。全車販売台数に占める割合も3.3%と、2019年および2020年上半期の1.9%から伸びが見られた(図1参照)。その要因として、米国で人気の高いスポーツ用多目的車(SUV)で、バッテリー式電気自動車(BEV)の新モデル(注3)が投入され、消費者の購買意欲を刺激したことなどが挙げられる(図2参照)。ちなみにBEVは、EVの約8割を占め主流的存在だ。また、米国での環境問題に関するピュー研究所の意識調査(注4)によると、「次に車を購入する際、真剣に電気自動車を検討するか」について可能性の高さを問う設問に、回答者の約4割が「非常に高い」または「やや高い」と答えた。これは、米国のEV市場が今後も拡大する可能性を示唆している。

図1:電気自動車(BEVおよびPHEV)の販売台数推移
EVの販売台数は、2019年に32.7万台、2020年上半期に12.5万台、2021年上半期に28.0万台となった。また全車に占める割合は2019年、2020年上半期に1.9%であったところ、2021年上半期に3.3%に上昇した。

出所:2019年データはエネルギー省、 2020年、2021年データはモーターインテリジェンス発表データを基にジェトロ作成

図2:メーカー別バッテリー式電気自動車(BEV)の販売台数割合(上半期)

図は2020年上半期のメーカー別バッテリー式電気自動車(BEV)の販売台数割合を示している。2020年上半期は、テスラが79.9%、GM(シボレー)が8.2%、日産が2.9%、アウディが2.8%、現代が1.5%、起亜が1.2%、ジャガーが1.1%、ポルシェが1.0%、その他が1.3%となった。
図は2021年上半期のメーカー別バッテリー式電気自動車(BEV)の販売台数割合を示している。2021年上半期は、テスラが66.7%、GM(シボレー) が9.3%、フォードが5.9%、日産が3.5%、アウディが3.2%、VWが2.9%、現代が2.5%、ポルシェが2.5%、起亜が1.3%、ボルボが 1.1%、その他が1.2%となった。

出所:モーターインテリジェンス発表データを基にジェトロ作成

一方、新車販売に占めるEVの割合が3%強に過ぎない現在の販売割合に鑑み、2030年までに50%へ引き上げるという政権目標について、より現実的な設定を求める声もある。MITリサーチラボでリサーチ・サイエンティストを務めるブライアン・リーマー氏は、「おとぎ話から抜け出さねばならない」と論評した。EVは、いまだ高価格帯に集中する。多くの消費者が充電施設の不足や短い航続距離に不安を抱いている点も変わっていない。まず足元の課題として、充電施設の整備や、購買時の消費者インセンティブプログラムの導入などがある。さらに中長期的には、レアメタルなどのバッテリー原材料のサプライチェーン構築といった問題を並行して解決しなければならない。そのいずれにも、政府による踏み込んだ支援策が必須だ。

米国議会では、約1兆ドルのインフラ投資計画法案と3兆5,000億ドル規模の投資計画が議論されている。その中には、充電設備整備のための75億ドルの補助金や、EV購入の際の税額控除が含まれる(表1参照、2021年8月11日付8月26日付ビジネス短信参照)。なお、インフラ投資計画法案には、電力網とクリーンエネルギーの現代化と拡張を目的として、730億ドル規模の予算が含まれている。今後は車両の生産から廃棄までの排出量を評価する「ライフ・サイクル・アセスメント」が新たな評価軸となると想定されるため、その行方にも注目が集まる。

表1:EV・環境規制を巡る政府、議会の動き
日付 内容
1月20日 バイデン大統領が「気候危機に取り組むための公衆衛生と環境の保護、科学の回復に関する大統領令(大統領令13990号)」を発令。
環境保護庁(EPA)と運輸省交通安全局(NHTSA)が、それぞれ排ガス、燃費規制の見直しを開始
2021年1月22日付ビジネス短信参照)。
3月31日 バイデン大統領が、1,740億ドルの「補助金や税制優遇など電気自動車普及支援」に
50億ドルの「新しいEV充電ステーションの建設」を盛り込んだ、「米国雇用計画」を発表(2021年4月5日付ビジネス短信参照)。
4月22日 バイデン大統領が、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を2005年比で50〜52%削減する目標値を発表
2021年4月23日付ビジネス短信参照)。
5月26日 米国上院財政委員会が、米国の組合労働者によって組み立てられたEVの電気自動車税額控除を
最大12,500ドルに引き上げる法案を提出(2021年8月25日時点では提出に留まる)。
8月5日 バイデン大統領が、2030年までに新車の50%以上をEV、FCVとする大統領令を発令(2021年8月6日付ビジネス短信参照)。
EPAとNHTSAが排ガス、燃費規制の改定規則案を発表
(排ガス規制は2021年12月31日、燃費規制は2022年4月までに最終規則を制定)。
8月10日 米上院がEVインフラ、低排出車整備に対する150億ドルを盛り込んだ1兆ドルのインフラ投資計画法案を可決
2021年8月11日付ビジネス短信参照)。
米上院が、現行の7,500ドルの連邦税額控除の対象となるEV価格の上限を4万ドルとする、
「拘束力のない決議(non-binding resolution)」を可決。
8月18日 NHTSAが企業間燃費(CAFE)基準未達企業に対する罰金引き上げ(1ガロン当たりの未達分0.1マイルあたり5.5ドルから14ドル)開始時期を、現在の2022年製車から2019年製車に前倒しする規則案を発表(2021年8月23日付ビジネス短信参照)。
8月24日 米下院が、3.5兆ドル規模の投資計画について、予算決議案を可決(2021年8月26日付ビジネス短信参照)。

出所:ホワイトハウス、各種報道よりジェトロ作成

一連の政策の中でもとく高い関心を集めるのが、GHGと企業別平均燃費基準(CAFE)に関する規制だ。これらは、EVの開発や生産に影響が大きいといわれる。歴史的経緯としても、自動車の環境規制は政権政党に左右されてきた。例えば、共和党のトランプ前政権は、2020年に「SAFE車両規制(以下SAFE、注5)」を制定。民主党のオバマ政権が2012年に制定した「フェーズ2」に基づく基準値を大幅に緩和した(2021年6月29日付地域・分析レポート参照)。しかしその後、バイデン大統領は2021年1月20日に「気候危機に取り組むための公衆衛生と環境の保護、科学の回復に関する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(13990号)」を発令。これに基づき、環境保護庁(EPA)と運輸省道路交通安全局(NHTSA)が、それぞれ基準値などの見直しを進めた(注6)。8月5日には、その草案として改定規則案が発表されている。なお、両機関は同規則案に対して、パブリックコメントを募集中だ。その結果を受け、EPAは2021年12月31日までに2023年~2026年製の自動車に関して最終規則を公示予定。またNHTSAは、2022年4月までに2024年車の基準制定を行う予定である。以下では、両機関が発表した改定規則案の概要を紹介する。

基準値は、トランプ前政権前以上の水準に

自動車のGHG排出基準は、米国の連邦規則(CFR)上、「40 CFR 」の中で「Parts 86 および 600」に盛り込まれている。EPAはこれを改定する規則案として、「Revised 2023 and Later Model Year Light-Duty Vehicle Greenhouse Gas Emissions Standards」を発表した。この基準案の上では、2023年~2026年製の乗用車と小型トラックについて、業界全体での二酸化炭素(CO2)排出量の目標平均値をその製造年ごとに設定した(表2参照)。例えば2026年車については、目標平均値を、1マイル(約1.6キロ)あたり171グラムに設定。これを達成した場合の燃費換算値は、1ガロン(約3.8リットル)あたり52.0マイルと試算した。いずれについても、SAFEやフェーズ2を超える厳しい基準値だ。また、前年からの削減率は、SAFEからの移行期にあたる2023年車については9.5%、2024年車以降は平均4.9%になる。SAFEの平均削減率、1.7%を大幅に上回る。

表2:二酸化炭素排出量目標値(単位:CO2 グラム/マイル)と2026年車の燃費換算値(マイル/ガロン)
製造年 改定規則案
(2021年)
フェーズ2
(2012年)
(注1)
SAFE
(2020年)
(注1)
クリーンカーズ
枠組み協定
(2020年)
2021 223(注2) 214 223 214
2022 220(注2) 205 220 206
2023 199 195 216 199
2024 189 186 214 191
2025 180 177 209 184
2026 171 177 205 177
2026年車の燃費換算値(マイル/ガロン)(注3) 52.0 50.1 43.3

注1:全販売台数に占める小型トラックの割合が増えていることなどを考慮して更新された値であるため、
各規制の最終規則とは異なる。
注2:改定規則案の対象車両は2023年車からであるため、2021、2022年車はSAFE基準値が適用される。
注3:すべての改善が排気ガスから達成された場合に、燃費に換算した値。
出所:EPA

一方で、燃費基準は、「49 CFR」の中で「Parts 523、 531、533、536および 537」に規定される。この基準はCAFE(Corporate Average Fuel Economy Standards)と称されるように、企業ごとの平均として規定される。NHTSAはその改定案「Corporate Average Fuel Economy Standards for Model Years 2024-2026 Passenger Cars and Light Trucks」の中で、2024年~2026年製の乗用車と小型トラックについて、その製造年ごとの目標値を示した(表3参照)。例えば、2026年車については、乗用車と小型トラックを合算して算出された目標値は1ガロンあたり48マイルとした。これはSAFEの最終規則で定められた目標値(同40.4マイル)を2割近く上回る。また、前年比改善率の平均値も8.2%と、SAFEの1.6%を大きく超えたかたちだ。

なお、EPAの定めるCO2排出量の目標平均値の燃費換算値と、NHTSAが目標とする燃費基準値が異なるのは、それぞれの規制が異なる法に準拠するためだ。GHG排出規制の準拠法は「大気浄化法(CAA)」となる。CAAでは、エアコンの性能向上など、自動車の排ガスに由来しないものに関する改善も燃費の改善として扱われている。そのため、CAFE規制が準拠する「エネルギー政策・保全法(EPCA)」や「エネルギー独立安全保障法(EISA)」よりも、燃費改善とみなすことのできる範囲が広い。その結果として、GHGの燃費換算値はCAFE基準値よりも高くなっているわけだ。

表3:燃費目標値(マイル/ガロン)
製造年 乗用車 小型トラック 合算
2024 49 35 41
2025 53 38 44
2026 58 42 48

出所:NHTSA

インセンティブでEV、FCVの販売を促進

企業が新たな規則案の下で各車種の燃費基準値を特定する際には、車種ごとのフットプリント(注7)が基準になる。また、車種ごとに販売台数で加重された調和平均を算出し、企業ごとに基準値と実測値が求められることになる。これらの点は、従来同様である。さらに、基準値超過分の繰り越し(banking)や他社との取引(trading)なども引き続き可能とされる。

一方、今回の規則案で目新しいのは、代替エネルギー車への促進策が盛り込まれたことだ。そのような規定は、SAFEでは取り下げられていた。例えば無排出車・低排出車などについては、一定の係数(表4参照)を掛けることでEVとFCVの販売台数を一定倍に積み増すことが認められている。これにより、調和平均の結果が実際よりも上昇することになる。EV開発のインセンティブとして機能する結果が期待できるわけだ。また、「フェーズ2」で認められていたフルサイズ・ピックアップトラックのハイブリッド車などに対するインセンティブは、2022年~2025年製車にも再び認めた。このほかCAFE規則案でも、新たな基準値策定の過程でBEVのデータに基づく分析などが取り込まれた。さらには、2016年~2020年車での基準値超過分の繰り越しや、間接的な排出削減機能に対するクレジットの上限引き上げといった方策も、新たに盛り込まれている。

表4:EV、FCVの販売台数に対する係数
製造年 EV、FCV PHEV
2022~2024 2.0 1.6
2025 1.8 1.5
2026以降 1.0
(クレジットなし)
1.0
(クレジットなし)

出所:EPA

なお、EPAとNHTSAはこれまで、GHG・CAFE両規制に関してルールを共同作成してきた。両機関が検討すべき技術的課題が共通していたことや、両者の矛盾を回避する重要性を考慮してきたためである。

しかし、すでに協力体制が確立済みとなっている一方、準拠法の違いにより異なる基準の設定が必要だとの見方から、今回の改定規則案ではそれぞれ別個に策定されることとなった。これにより、両規則案の対象となる車両の開始年も異なっている。CAFE規制の準拠法、EPCAとEISAでは、新たな規制の施行までに18カ月のリードタイムを設けることが求められている。そのため、施行の対象は早くとも2024年車になる(注8)。一方、CAAにはそうした縛りがなく、GHG規制は、CAFE規制に先んじて2023年車から運用開始が可能である。さらに、準拠法の違いにより両規制それぞれに基づく燃費基準値が異なることは、前出のとおりだ。ただし、これらの運用にあたっては、同じ車両に矛盾する複数の基準値が適用されないよう、両機関が協力して規則案の調整を図るものとされている。

見直し案は一貫性を重視

多くのメーカーがその事業計画を遂行する上で重要視しているのは、基準値水準もさることながら、規制内容の一貫性である。

そのため今回の基準値策定の過程では、カリフォルニア州が牽引する取り組みも反映された。具体的には、「クリーンカーズ枠組み協定(枠組み協定、注9)」と、ZEV規制(注10)だ。ちなみに、枠組み協定は、新車市場の約3分の1に適用されている計算になる(注11)。ZEV規制に関しては、いまだ連邦政府として再認されるまでには至ってはいないものの、現行SAFE下でメーカーはEVやFCVの開発を進めている。今回の見直しで、連邦政府は、カリフォルニア州を中心に既に多くのメーカーが採用するこれらの規制内容と一定の整合性がとれることになる。実態として全米で統一した基準を実現することで、効果的で一貫したCO2の削減に向け、EV、FCVなどの生産・販売促進が期待できそうだ。

さらに厳しい基準値が追求される可能性も

では、改定規制案が適用された場合、どの程度の便益が期待できるのだろうか。

EPAは、2023年から2050までのCO2削減量を22億トンと見込む。これは、2019年以来の自動車からのCO2総排出量に相当する量だ。さらに、燃料費の節約や排ガスの減少による健康の改善などを合わせると、2050年までの純便益は最大で1,400億ドルに上ると試算した。また、消費者が受ける恩恵として、2026年車の走行期間を通した燃料費の削減分が、車両コストを約900ドル上回ると見積もっている。

NHTSAによる試算でも、2030年までに販売される車両について、1,400億ドルに相当する燃料が節約できる。2050年までとなると、4,700億ドルに及ぶ。また、今後30年間でのCO2排出削減量は、SAFE規制が適用された場合に比べて18億トン増加すると見込む。

さらにホワイトハウスは、大統領令による台数目標の達成をあわせると、2030年には新車からの排出量が、2020年比で60%以上削減されるという(オートモーティブニュース、8月9日)。

他方で台数目標に関するEPAの試算では、2026年時点の全車両に占めるEVの割合は8%に過ぎない。26%を見込む枠組み協定の目標値を大きく下回る。また専門家の中には、充電施設不足など課題が山積しているため、2030年新車販売に占めるZEV車販売の割合が25%程度にとどまるとの厳しい見方もある。こうした中で、ホワイトハウスを含め、一部関係者から、一層高水準の排出基準値に期待する声も多く上がっている。このような状況下、EPAは、2026年車に対してより厳しい基準(マイル当たり5~10グラムの改善)を求める規則案についても、パブリックコメントを募集中だ。

EV化の進展を左右する変数は無数に存在する。そのため、市場に対する見通しは専門家の間でも定まっていない。カーボンニュートラルの観点から、今後、燃料を含むライフ・サイクル・アセスメントが評価軸に加わると、さらに課題は複雑となることも予想される。米国では、地域ごとに電源が大きく異なるためだ。連邦政府によるイニシアチブがEV市場拡大の起爆剤となるのか、排ガス・燃費を含む各種規制をはじめ、まずは目下展開する政策の動きに注視したい。


注1:
本レポートでは、バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を指す。
注2:
これら企業は自主的に、新車販売総台数に占めるEVまたはFCVの割合を2030年までに40%~50%にする目標を掲げている。
注3:
例えば、テスラ「モデルY」、フォード「マックE」、フォルクスワーゲン(VW)「ID.4」、アウディ「e-tronスポーツバック」、ボルボ「XC40」などが挙げられる。
注4:
ピュー研究所は、米国のシンクタンク。この調査は2021年4月に実施された。
注5:
「Safer Affordable Fuel Efficient Vehicles Rule for Model Years 2021-2026 Passenger Cars and Light Truck」の略称。
注6:
EPAは GHG規制を所管し、NHTSAは CAFE規制を所管する当局。
注7:
前輪軸と後輪軸の距離と左右車輪の中心間距離の積。
注8:
NHTSAは、車両の製造年の開始日を前年の9月とみなす。18カ月のリードタイムを考慮すると、2024年車の基準値設定の期限は遅くとも2022年4月になる。
注9:
枠組み協定とは、フォード、ホンダ、フォルクスワーゲン、BMW、ボルボとカリフォルニア州が、自発的に締結したGHG規制。SAFE規制によりカリフォルニア州による規制が失効した後も、GHG削減とEV移行の加速化に向け一貫して取り組むことを目的とした。
注10:
カリフォルニア州が定める一定比率の無排出ガス車(ZEV)の販売を義務付ける規制。2019年のSAFE規制(One National Rule)制定に伴い、無効とされた。
注11:
適用されるのは、セクション177州。具体的には、カリフォルニア州のほか、13州とワシントンDC。
執筆者紹介
ジェトロ・ニューヨーク事務所 リサーチャー
大原 典子(おおはら のりこ)
民間企業勤務を経て2013年よりジェトロ・ニューヨーク勤務。自動車産業を柱に米国の産業調査を担当。