輸出企業が注意すべきラベリング規制
米国包装材規制の今(1)
2026年4月8日
米国の包装材規制は多岐にわたる。本稿では便宜的に(1)消費者保護(表示義務)、(2)安全性(形状や材質)、(3)環境保護(再利用と廃棄)に関する規制に分けて整理する。今回は(1)消費者保護、すなわちラベリング規制に焦点を当て、量目制度を中心とした連邦法と州法、アレルゲンや化学品などの含有物に関する表示義務などについて解説する。
連邦と州の量目規制、安全警告表示義務などを重層的に施行
米国のラベリング規制は、連邦法である公正包装表示法(FPLA)
(注1)を軸に、食品・医薬品などは食品医薬品局(FDA)規則(注2)、その他の消費者向け商品は連邦取引委員会(FTC)規則(注3)などによって構成されている。州レベルでは、統一包装表示規則(UPLR)や独自の表示義務によって構成されている。FPLAとUPLRはともに量目制度(注4)を中心とした規則であり、そこに量目以外の法律(アレルゲンや化学品など含有物に関する表示義務など)が重層的に施行されている。
FPLAは、消費者保護の観点から、消費者が製品の価値比較を容易にできるようにし、不公正または欺瞞(ぎまん)的な包装および表示による被害を防止することを目的とする。対象品は消費者向け商品(consumer commodities)で、その包装材にa.商品を特定する文言(例:洗剤、スポンジなど)、b.製造者、包装者、販売者または事業所の名称、c.内容物の正味量(重量、寸法、または個数で表記)を記したラベルを添付することを義務付けている。正味量表示にはメートル/グラム法とインチ/ポンド法の併記が必須だ。この規制の監督官庁はFDAとFTCで、FTCは、FPLA第4条(注5)に基づき、その実施規則
を定めている。企業がラベルを作成する際に具体的に従うべきルールはここに規定されている(図参照)。
出所:連邦行政規則21CFR101およびオレゴン州政府の資料から作成
連邦法のFPLAは包装材規制の基本の枠組みだが、実務上は製品分野ごとに別の連邦法や規則が上乗せされる点に注意が必要だ(表1参照)。例えば、複数の原材料を含む食品は連邦食品・医薬品・化粧品法によって、原材料を「一般的名称」で、重量の多い順に表示するなどの詳細ルール(注6)が定められている。同法は、アレルゲンに関する表示義務(注7)も定める。さらに食品アレルゲン表示および消費者保護法(FALCPA)(注8)と食物アレルギーの安全、治療、教育、研究法 (FASTER Act)(注9)が制定され、2023年1月より9大アレルゲンを含む食品の表示が義務付けられるようになった。
このほか、連邦法である消費者製品安全改善法(CPSIA)(注10)では、12歳以下の子供向けの玩具および製品に、製品の製造元や製造日、製造場所、バッチ番号を記載したCPSIA追跡ラベルを貼付(ちょうふ)することを義務付けている(ジェトロ「子供用玩具を輸出する際の留意点:米国向け輸出」参照)。
州独自のラベリング規制にも留意が必要
一方、州レベルでは、50州中45州(注11)がモデル規則であるUPLR(注12)を採用、州のラベリング法として施行している。UPLRでは、FPLAより詳細な表記ルールや表現方法に関する規定(重量・体積・数量の使い分け、分数表記、補助表記の扱いなど)などが定められている。さらに、州ごとに採用形態や追加要件が異なるため、「連邦法+州法(州規則)」の二層構造を前提に、販売先州の要件確認が必要となる。例えば、カリフォルニア州では、ポリエチレン製品について厚さなどの詳細表示を求める規定がある。マサチューセッツ州は推奨保存期間が90日未満の食品に対して“sell-by”または“best-if-used-by”といった賞味・販売期限要件の記載を要求している(Open-dating Regulationと呼ばれる)。ちなみに連邦法には、食品の期限表示に関する規定は存在しない(乳児用調製粉乳を除く)。
表1:FPLA、UPRL以外に表示を要求する主な連邦法、州法
| 監督官庁 | 表示義務対象 | 根拠法 |
|---|---|---|
| 食品医薬品局(FDA) | 複数原材料を含む食品は、原材料名明確表示を義務化 | 連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act、1938年) |
| FDA | 栄養成分表示義務 | 栄養表示・教育法(NLEA、1990年) |
| FDA | 9大アレルゲン(乳・卵・魚・甲殻類・ナッツ・ピーナツ・小麦・大豆、ゴマ)を義務化。 | 食品アレルゲン表示および消費者保護法(FALCPA、2004年)、食物アレルギーの安全、治療、教育、研究法 (FASTER Act、2021年) |
| アルコール・たばこ税貿易局(TTB) | 酒類向けにアレルゲン(乳、卵、魚、甲殻類、ナッツ、小麦、ピーナツ、大豆など)について、任意表示だが、表示する場合は厳格様式順守を義務化 | 連邦行政規則27CFR7F(2022年) |
| 農務省(USDA) | 肉・家禽(かきん)・加工卵製品のラベル表示に関し詳細な義務を課す(名称、成分、原産国 、取り扱い、事前承認など) | 連邦食肉検査法(FMIA、1906年)、家禽製品検査法(PPIA、1957年)、卵製品検査法(EPIA、1970年) |
| 消費者製品安全委員会(CPSC) | 乳幼児向け(12歳以下)製品に対して追跡ラベル(Tracking Label)や警告表示を義務付け | 毒物予防包装法(PPPA、1970年) |
| 連邦取引委員会(FTC) | 環境表示(環境ラベル)の表示ルール | ガイドラインだが、抵触すると連邦取引委員会法第5条(不公正・欺瞞的商取引)の違反に相当する |
| 監督官庁 | 表示義務対象 | 根拠法 |
|---|---|---|
| カリフォルニア州 | 約900種の化学物質(発がん性/生殖毒性)警告表示義務 | プロポジション65 (1986年安全飲料水および有害物質執行法) |
| テキサス州 | 44の食品添加物・化学物質を含有する食品の包装に独自の警告文記載を義務化 | SB25(2025年) |
| ルイジアナ州 | 44の食品添加物・化学物質に関するQRコード付き警告表示義務 | SB14(2025年) |
出所:連邦政府、州政府ウェブサイトからジェトロ作成
州独自の表示義務としては、カリフォルニア州の州法に定められた含有化学物質に関する警告表示義務(通称「プロポジション65」)(注13)が有名だ。これは一定の条件下で同州に上市される製品にがんや生殖毒性などのリスクがある化学物質が含まれる場合、明確で分かり易い警告表示を義務づけるものだ。2025年の動きとして、テキサス州とルイジアナ州で健康リスクの高い44種の特定食品成分/添加物について表示を義務付ける州法が成立したことが注目される。これはドナルド・トランプ大統領が提唱した「米国を再び健康に(MAHA)(注14)」に関連した動きとされることもあり、同様の法制定の動きが他州でも広がる可能性がある(2025年8月12日付地域・分析レポート参照)。もっとも、テキサス州の規制については2026年2月12日、テキサス州西部地区連邦地方裁判所が米国憲法違反と判断、執行差し止めを同州に命じている(2026年2月25日付ビジネス短信参照)。
ラベル表示義務違反の摘発・厳罰と訴訟リスク
前述のカリフォルニアの州法プロポジション65に違反した場合の民事制裁金は、原則として1件の違反あたり最大2,500ドル/日(注15)とされる。
2026年2月現在、リストに掲載された物質は900を超えており、また、対象物質リストは随時更新されるため、最新情報は州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)の公式情報Proposition 65
を参照する必要がある。詳細情報はジェトロ農林水産・食品課「よくある質問プロポジション65
(193KB)」でも解説している。
このほか近年、販売促進目的で「米国製」という表示を記載するケースが増えているが、記載には細心の注意を払う必要がある。実質的に原料から全てが米国内で調達・製造されていればよいが、FTCが定める「米国製」ルール(注16)を満たしていない場合、不公正・欺瞞(ぎまん)的な行為とみなされて、処罰の対象となる可能性がある。1件の違反につき最大約5万ドルの罰金が科されるが、複数の違反とみなされて巨額の罰金が科されることもある(2024年8月20日付地域・分析レポート参照)。さらに、2026年3月13日にはトランプ大統領が「米国製」をうたう広告について運用厳格化と関連省庁に対して規則やガイダンスの策定を命じる大統領令を発している(2026年3月18日付ビジネス短信参照)。
取り締まりや訴訟の対象になるという意味では、「スラックフィル」を巡る摘発や訴訟にも注意したい。スラックフィルとは、菓子袋の上部などにある隙間のことで、この隙間が過剰に大きいと「不当・誤解を招く表示」として当局による摘発、あるいは州法・消費者保護法制に基づく民事訴訟の対象になるリスクがある。FDAの規制(注17)より厳格なスラックフィル法を持つカリフォルニア州は、スラックフィル関連訴訟が多い州の1つといわれる。また、多くの州で量目制度違反の取り締まりを実施し、ニューヨーク州の計量局は「消費者保護」の名目で、年間数千個の包装物の抜き打ち検査を実施している。ペンシルベニア州も同様に全州で不正表示を摘発、その結果を州のウェブサイト上で公表している。このほか、オレゴン州では「リサイクル可能表示」に関し、州独自で極めて厳しい要件を導入し、不正表示摘発に力を入れている。
ラベリング義務違反に対しても、連邦レベルではFDAとFTC、州レベルであれば各州当局が管轄している。消費者からの通報に加え、米国の商標法に当たるランハム法(注18)は、他者の不正表示によって損害を被った者(ライバル企業など)が当該不正表示者を提訴する権利を認めている。米国では、訴訟リスクにも留意する必要がある。
米国のラベリング規制にどう対応すると良いか
連邦と州によるラベリング規制が複雑に入り組む中で、米国市場で商品を販売する(オンライン販売を含む)企業はどのような対策が可能だろうか。
1.全州で通用する標準的なラベル仕様を構築する
まずはどのような規制があるのかを整理・理解することが肝要だ。全州で最低限必要な事項を表2、表3にまとめた。また、マサチューセッツ州に上市する可能性がある賞味期間90日未満の商品は、賞味・販売期限の明示が不可欠だ。
- 参考:ジェトロ「米国進出のための食品パッケージデザイン戦略と食品ラベルに関するFDA等規制
(6.3MB)」
- ジェトロ「パックご飯の輸入規制、輸入手続き(米国)」より6.ラベル表示
表2:FPLAが規定する米国向け包装ラベルに必要な記載事項
| 記載事項 | 記載方法 | 根拠法 |
|---|---|---|
|
商品名/識別事項 (Statement of Identity) |
(1)品名(シャンプーなど注1)(2)商品名 (3)ロゴなど | 21C.F.R.101.3 |
|
正味量(内容量) (Net Quantity of Contents) |
|
21C.F.R.101.1 |
| 記載事項 | 記載方法 | 根拠法 |
|---|---|---|
|
製造者・販売者・梱包(こんぽう)業者情報 (Name & Place of Business) |
文字サイズは1/16インチ以上(約1.6mm、x-height、注3)。製造者・販売者・梱包業者のいずれかの名称と住所。 | 21C.F.R.101.5 |
| 原材料名(Ingredients) | 文字サイズは 1/16インチ以上(約1.6mm、x-height、注3)。2種類以上の原材料(添加物を含む)が使用されている場合は、それぞれの名称。アレルゲン (アレルギー原因物質) を含む場合は、その名称 (注4)。 | 21C.F.R.101.4 |
| 栄養成分表示(Nutrition Facts) | 全てのヒト用販売食品に適用され、サービングサイズ、カロリー、主要栄養素の重量(g/mg)および1日あたりの摂取量比率(%)の表示を義務付け。項目ごとにフォント規定があるが、最低6ポイント以上。 | 21C.F.R.101.9 |
| 原産国(Country of Origin) | 全ての輸入品と食肉、魚介類、農産物、ナッツ類などの食品に原産国表示を義務付け。 | 輸入品(19U.S.C.§1304)、食品(7U.S.C. 1638a) |
| 警告および取り扱い上の注意(Warnings and Precautions) | 有害物質、化学品、食品など、品目によって警告表示や取り扱い上の注意などの表示を義務付けている。 | (注5) |
| 賞味・販売期限(注5) |
賞味期間90日未満の商品。「sell by」「use by」「best by」などの用語を、日付の上下・横に隣接して記載。 日付は月(略称)+日+年の形式(例:Feb 10 2026)。 |
マサチューセッツ州105CMR 500.006 |
注1:Principal Display Panelの略。
注2:Information Panelの略。
注3:小文字のxの高さ。
注4:表示が義務付けられているアレルゲン:乳、卵、魚類(例えば、ヒラメ、タラ)、甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、エビ)、木の実類(例えば、アーモンド、クルミ、ピーカン)、ピーナツ、小麦、大豆およびゴマの9種類。魚類、甲殻類、木の実類については、その種類も明記する必要がある。
注5:有害物質(15 U.S.C. §§ 1261–1278a(FHSA)、16 CFR Part 1500–1513 )、職場の危険化学物質(29 CFR 1910.1200)、食品(21 CFR 101.17)など。
注6:賞味・販売期限に関する連邦レベルの規制はない。
出所:連邦政府、州政府ウェブサイトからジェトロ作成
| 品名と監督官庁 | 警告表示場所とフォント指定 | 根拠法 |
|---|---|---|
| 食品(FDA) | PDP(商品名・正味量)、IP(原材料・栄養) | 21 C.F.R 101 |
| 医薬品(FDA) | 「薬剤情報欄」内の固定位置に6ポイント以上 | 21 C.F.R 201 |
| 化粧品(FDA) | IP(裏面)、フォントサイズの規定なし | 21 C.F.R 701 |
| 家庭化学品(CPSC) | 化学品を直接入れる容器のPDP(瓶やチューブなど)、警告フォントは6pt以上 |
有害物質法(FHSA) 16 C.F.R 1500 |
| 玩具・子供製品(CPSC) | PDP(詳細なフォント指定あり) | 16 C.F.R 1500.19 |
| 肉・家禽製品(USDA) | PDPの目立つ位置 | FMIA/PPIA/EPIA |
| ポリ袋の窒息警告(州・自治体) | PDP(袋サイズに応じたフォント指定あり) | 州法・自治体条例 |
出所:連邦政府、州政府ウェブサイトからジェトロ作成
2.法令順守のための体制整備(モニタリングとレビュー)
州法、州規則は改正もあり得るため、外部専門家の活用を含め、規制改正の監視とラベルレビューの社内プロセスを確立することが望ましい。レビューでは「必要情報の網羅」「読みやすさ」「誤解を招かない表現(広告的表現を含む)」をチェックする。FDAは科学的根拠のないヘルスクレーム(「〇〇に効く」「××を予防」など)に対して「誤表示(Misbranding)」と位置付け、その監視と取り締まりを行ってきたが、最近それを強化する方向にある。2025年9月には、広告内容の監視強化を発表し、「誤表示」を行った約100件の企業に対してただちに停止を求める警告文書を発出した。
3.定期的なラベルの見直しと更新
前述のとおり、全米各州が別々の時期に規制を改正するため、ラベルへの記載内容は定期的に見直す必要がある。また、当局の規制方法が変更されたり、強化されたりすることもあるため、他社の摘発事例なども注視することが推奨される(注19)。
- 注1:
-
The Fair Packaging and Labeling Act(15 U.S.C.§1451–1461)の略。
- 注2:
-
21 C.F.R. Part 101
- 注3:
-
16 C.F.R. Part 500
- 注4:
-
特定の商品を密封販売する際、表示内容量と実際の重量の誤差が、法律で定められた範囲(量目公差)内であることを義務付ける制度。
- 注5:
-
15 U.S.C. §1453
- 注6:
-
21 C.F.R. §101.4
- 注7:
-
21 U.S.C. §343(w)でアレルゲンの表示義務を定義。
- 注8:
-
Food Allergen Labeling and Consumer Protection Act (21 U.S.C 301)の略。2004年に制定され、乳・卵・魚・甲殻類・木の実・ピーナツ・小麦・大豆の8品目を「主要アレルゲン」と定義。
- 注9:
-
Food Allergy Safety, Treatment, Education, and Research Act (21 U.S.C. 321) の略。2021年にゴマを追加でアレルゲンと定義。表示義務は2023年1月1日より発効。
- 注10:
-
Consumer Product Safety Improvement Act の略。15 U.S.C. §2051以降。
- 注11:
-
ルイジアナ州、ミネソタ州、ロードアイランド州、ワイオミング州、ノースダコタ州はUPLRを採用していない。
- 注12:
-
Uniform Packaging and Labeling Regulationの略。全米度量衡会議(NCWM)が1950年代に各州のモデル規制として設計、70年代に米国国立標準技術研究所(NIST)が毎年発行するハンドブック(HB)130に収載され、毎年内容が更新されている。NISTのハンドブックにはラベル表示のHB130の他、計量器を規定するHB44、量目検査手順を規定したHB133などがある。
- 注13:
-
「1986年安全飲料水および有害物質施行法」が正式名称。
- 注14:
-
Make America Healthy Againの略。
- 注15:
-
Cal. Health & Safety Code §25249.7(b)(1)
- 注16:
-
16 C.F.R. Part 323
- 注17:
-
21 C.F.R. §100.100、および15 U.S.C. §1125(a)
- 注18:
-
連邦商標法15 United States Code §1052-§1127
- 注19:
-
2025年1月にFDAは、食品パッケージ前面(FOP)に栄養表示を義務付けることを提案した。同提案では食品1食分に含まれる3つの栄養素(飽和脂肪、ナトリウム、添加糖)の相対量を「栄養情報ボックス」の形にしてパッケージ全面に表示し、消費者が食品を購入、使用する際にすぐに目に入るようにするというもの。規則発効日から大企業(年間売上高1,000万ドル以上)は3年以内、中小企業(同1,000万ドル未満)は4年以内の対応が求められるが、法制化が実現するかどうかは未定。
米国包装材規制の今
- 執筆者紹介
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ジェトロ調査部米州課アドバイザー
岩井 晴美(いわい はるみ) - 1984年、ジェトロ入構。海外調査部欧州課、中東アフリカ課、欧州ロシアCIS課、ロンドン事務所勤務の後、オランダにてコンサルティング会社代表を経て現職。





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