米テキサス州の食品添加物に対する新規制に違憲判決

(米国)

ヒューストン発

2026年02月25日

米国テキサス州西部地区連邦地方裁判所は2月12日、テキサス州における特定添加物を使用する食品への警告ラベル規制(2025年8月12日付地域・分析レポート参照)が米国憲法修正第1条に違反するとして、同規制の執行差し止めを同州に命じた。

2025年6月22日に成立した同法(SB25)は、染料添加物や合成着色料など44種類の規制対象成分のうち1種類以上を使用する食品を2027年1月1日以降、テキサス州内で販売する場合に警告ラベル表示を義務付けている(2025年8月12日付地域・分析レポート参照)。この規制が米国憲法に違反しているとして、米国の大手食品飲料メーカーなどを会員にもつ、アメリカ飲料協会(American Beverage Association)、米食品産業協会(The Food Industry Association)、全米菓子協会(National Confectioners Association)などが共同して2025年12月10日に連邦地方裁判所に訴えた。

原告は、州が義務付ける「この製品には、豪州・カナダ・EU・英国で人的消費が勧められていない成分が含まれる」という警告ラベルについて、実際にはこれら4つの国・地域のいずれでも、対象となる44種類の添加物にそのような表示義務はなく、内容が虚偽または誤解を招くと主張した。従って、州が企業にその表示を強制することは、米国憲法修正第1条が保障する「商業言論の自由」を侵害するとし、さらに、州の目的は公衆衛生キャンペーンなど、企業により負担の少ない手段で達成できるとして、同規制の差し止めを求めた。

同裁判所は、警告ラベルの内容が、虚偽または誤解を与えるかどうかについては判断を示さなかったものの、企業にとってより負担の少ない手段がテキサス州にはあるという原告の主張を認めた。その上で、州が課す警告表示は、憲法上認められるべき「切実な州の利益のために狭く調整された手段」とはいえないと判断し、当該規制を違憲と認定するとともに、テキサス州に対し規制の執行差し止めを命じた。

トランプ政権2期目以降、連邦政府の「米国を再び健康に(Make America Healthy Again、以下MAHA)」運動に連動するかたちで、特定の添加物を使用する食品・飲料を規制する法律を制定する動きが、特に共和党支持層が多い州(レッドステート)でみられる(注)。一方、今回のテキサス州での違法判決のほかにも、ウエストバージニア州で2025年3月に成立した、特定食品染料を使用した食品の販売を2028年1月1日以降禁止する法律が、2025年12月に連邦地方裁判所に差し止められるなど、MAHA運動の動きに水を差すような流れも強まっている。

(注)2025年1月以降に添加物規制を目的とする州法が成立した州にはテキサス州、バージニア州、ウエストバージニア州、ユタ州、アリゾナ州、テネシー州、デラウェア州、ルイジアナ州などが挙げられる。

(キリアン知佳)

(米国)

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