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1. フランスにおける有機食品の市場規模

フランスのアジャンス・ビオ(Agence BIO)1の報告書によると、フランス国内における2017年の有機食品の売上額は、約84億ユーロにのぼると推定されており、前年比17 %の増加、また、この10年間では約4倍(2007年比)と急激に増加している。その内訳は、大手流通小売(GMS)が約37億ユーロ(43.6%)を占め、次いで有機専門小売店が約29億ユーロ(34.3%)を占める。また、2016年の数字であるが、フランスの食品市場における有機食品の占有率は3.8%と推計されている。

  1. 2001年に創設された、有機農業の発展と促進のための組織

2. フランスにおける有機食品の品目別売上額

アジャンス・ビオ(Agence BIO)の報告書によると、最も多く家庭消費されている品目カテゴリーは、調味料、ソフトドリンク、スナックなどを含む加工食品(22.58億ユーロ)であり、そのほとんどが大手流通小売(49.9%)と有機専門小売店(48.3 %)で購入されている。
一方、野菜やフルーツなどの生鮮食品(約15億ユーロ)では、有機専門小売店(44.9%)での購入が一番多く、マルシェなどの直売での購入も21.0%を占める。
またワインに代表されるアルコール飲料(9.92億ユーロ)に関しては、42.1 %が直売での購入であり、大手流通小売は17.6 %にすぎない。

3. フランスにおける有機食品の輸入品の割合

有機食品を購入する層は、自身の健康への影響に加え、環境への影響にも関心が高く、輸送時間の短縮の観点などから地元の食品、すなわちフランス産又はEU産の食品を好む傾向にある。アジャンス・ビオのデータによると、フランス国内で消費されている有機食品の約7割はフランス産となっている。残りの3割についても、大半は、フランスでは生産されていない又は季節的にフランス産が手に入らない、バナナをはじめとする果物や水産物、加工食品などが占めている。

4. フランスにおける有機食品と非有機食品との価格差

日本同様、有機食品の価格は、非有機の食品に比べ高い。フランスの消費者団体が2016年5月から2017年5月にかけて1,541店舗のスーパー・ハイパーマーケットで実施した調査によると、野菜とフルーツの一年間あたりの購入金額は、有機食品のみの場合、非有機食品のみの場合よりも79 % 高くなる。ジェトロパリ事務所がパリ首都圏のスーパーマーケット、マルシェ(生産者直売)、有機食品専門店において、ジャガイモやリンゴなど8品目について、有機食品と非有機食品の価格差を調べたところ、上記調査と同様、有機食品の方が高い傾向がみてとれるが、商品によっては非有機食品と同程度のものも存在することも分かる。

5. フランスにおける有機専門店の増加

近年、フランスでは、有機専門店の開店が相次いでいる。フランス最大規模の有機食品の生産者協同組合であるビオコープ(1986年組合設立。)の店舗数は、2010年に318店舗であったが、2018年には550店舗となっている
また、大手流通小売グループは、ハイパー・スーパーマーケットで自社ブランドの有機商品を展開しているが、新たに有機専門店を開店する動きも出てきている。既に21店舗展開している「カルフールビオ」に続き、「オーシャンビオ」や「ルクレールビオ」を開店したり、カジノグループ傘下のモノプリが「ナチュラリア」を、ムスカテールが「ビオモンド」を買収するなど、拡大する有機食品市場のシェア獲得競争が激しさを増している。