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創業者のエマ・サフコ氏は、“オーガニック”、“植物ベース”、“無添加”、“プラスティックの撤廃”、“グルテンフリー”、“コールドプレス(低温圧搾ジュース)”をコンセプトとした、「W ILD & THE MOON(ワイルド・アンド・ザ・ムーン)」を2016年3月に開店。2018年末時点でパリ市内に9店舗を出店し、瞬く間にパリでヘルシー料理専門のカフェを代表する存在になった。100%オーガニック、ビーガン、グルテンフリー、それぞれのレストランはあるが、3点がそろう店は希少だ。

「健康への意識や、自然の力にあふれた食品への興味が高まった時代に“ヘルシー”を集めたコンセプトが合ったのだろう。グルメで食べることが大好きなパリジャン・パリジェンヌには、幅広いメニューが必要で、何よりおいしいことが必須条件」とサフコ氏は語る。

メニューは、野菜やフルーツ、ナッツ、チアシードやアサイーなどのスーパーフードをミックスして作るドリンクや、サラダ、スープ、デザート菓子など。サフコ氏は、有機野菜や種子を中心とした母親の手料理で育ったといい、カフェで提供している料理の多くは母親と自分のレシピだという。

原材料は、オーガニックであることはもちろん、化学物質や添加物が入った食品や精製した砂糖は使わない。ジュースはコールドプレスのため殺菌をしておらず、野菜チップスは揚げずに乾燥させるのみ。このため、商品の賞味期限は最大2日と短いが、素材の栄養価が最大限に活かされている。

さらに、ジュースを絞った後に残る果肉や皮、野菜の葉などは、クラッカーの材料として活用。余剰商品は、専門の携帯アプリ「Too Good To Go(トゥー・グッド・トゥ・ゴー)」を通して割引価格で販売するなどし、食品ロスを極力減らしている。売上の95%がテイクアウトのため、包装資材の素材にも配慮。プラスチックは排除し、ラベルのシールに使われている糊も含め、生分解性の素材を選んでいる。

客層は国際色豊かで、健康志向の強い人が多い。オープン当初は女性客が中心だったが、最近では男性や家族連れも増えてきた。スポーツ選手も来店するという。

徹底したコンセプトだが、サフコ氏がめざすのは、スタイリッシュなオーガニック生活。「カフェ・レストランという枠を超えて、ライフスタイルや生き方を提案する場所でありたい」と話す。

また、現在オーガニック市場が活況である要因を「消費の仕方を見直し、変えざるを得ない状況を迎えている。流行ではなく構造的な現象」と分析している。

WILD & THE MOON(ワイルド・アンド・ザ・ムーン)
19 Place du Marché Saint-Honoré,75001 Paris
09 72 66 22 96
http://www.wildandthemoon.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
営業時間:月~金曜8時~22時、土曜9時~22時、日曜9時~20時(定休日なし)