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添加物削減に向けた動き

現在EUでは約340種類の添加物がポジティブリストで許可されているが、2018年9月下旬、フランスの調査委員会は「加工食品に使用される添加物を2025年までに約50種類に減らす」ことを推奨する報告書を公表した。

この約50種類というのは、有機食品への使用が許可されている添加物の数であり、非有機食品についても添加物の使用を減らすことを目的としている。

例えば、今回取材した小売事業者でも、有機認証の取得の有無に関わらず、サプライヤーとの取引にあたり独自の仕様書を要求しており、その中にはEUで許可されている約150種類の添加物を「人体への安全性について確証が得られていない」という理由で排除する取引条件がある。

大手流通小売のムスカテールグループ(アンテルマルシェ)は、「L’ESSENTIEL(エッセンシャル)」という「国産であり添加物なし1」を謳ったPB商品を展開し、また、大手カルフールグループは、取り引きする全ての食品に対して、認可されている添加物から「安全性に懸念のある」約100種類の添加物を禁止するなど、大手小売業界でも添加物削減の方向にある。

農薬削減に向けた動き

フランスは従来、EUの中で最も農薬(植物病虫害防除剤)を使用している国の一つ言われており、フランス政府は2008年から2018年まで農薬使用量を50 %削減することを目的とした「エコフィト計画」を実施したが、農薬の消費量は減るどころか増えているという2

一方、フランスの環境NGO団体は代表的な大手流通小売7社3に対し、有機・非有機食品関係なく、「野菜やフルーツの生産における農薬を排除する努力」、「農家に対する農薬不使用栽培への援助」、そして「農薬を必要とする場合の説明の透明化」を要請し、2015年より毎年、自主的に残留農薬検査などを行い、ランク付けをして公表4している。

EUやフランスにおいて、「化学農薬不使用栽培」に関する公式な規則やガイドラインはなく、表示を行うには、「正確であり、消費者に誤解を与えないようにする」ことを前提として仕様書を作成し、サプライヤーと契約を取り交わす必要がある。大手小売業界では「残留農薬ゼロ」のみならず、「農薬不使用栽培」に関する独自の仕様書を課す動きがある。

例えば、カルフールグループは92年から化学農薬の使用を限りなく削減するよう契約農家に要請しており、「Filières Qualité Carrefour(カルフール品質パートナー)」ラベルを付す全ての野菜やフルーツに関しては収穫後に化学農薬を使用しないことを条件としている。

一方、認証団体によって検証された仕様書を使用している「残留農薬ゼロラベル5」にさらに付加価値をつけるために、カジノグループは契約農家と種子の選定や土づくりに及ぶ仕様書を取り交わし、「カジノアグリプラス」というラベルをつけることで限りなく農薬を排除した栽培であることをPRするなど、フランス国内では多くの小売事業者が農薬削減に向けた努力をしている。

  1. 着色料・保存料・香料を含む添加物なし
  2. フランス農水省やフランス国立農学研究所(INRA)やの報告によると農薬の消費量は増えており、2014年から2016年までに植物保護剤の消費額は12%上昇しており、「エコフィト計画」を25年までに延長している。https://agriculture.gouv.fr/le-gouvernement-donne-une-nouvelle-impulsion-au-plan-ecophyto外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. カルフールグループ、モノプリ、システムUグループ、ムスカテールグループ、ル・クレールグループ、オーシャングループ、カジノグループ
  4. https://www.greenpeace.fr/course-zeropesticide/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  5. フランス国内の44社、3,000人の野菜・フルーツの生産者が加盟しており、独立した検査機関によって残留農薬の分析を行い、0.01 mg/kgを超えないことを証明されたものにラベルを付す取組み。