韓国企業の海外展開の今と新たな挑戦暗号資産関連企業の進出が相次ぐUAE
韓国企業の中東進出(2)
2026年4月16日
韓国と中東諸国との外交関係、貿易、韓国企業の進出状況などについて、最近の動向をまとめている。第1回の「多様化する韓国企業のサウジアラビア進出」に次いで、第2回の本稿ではアラブ首長国連邦(UAE)を取り上げる。なお、韓国企業の進出状況については、現地での拠点構築事例を中心に概観し、拠点構築を含まないプラント建設プロジェクトの受注などは含まない。
原発建設・韓国軍部隊の駐留を契機に韓国・UAE関係が緊密化
韓国とUAEの関係は2010年代以降、深まってきた。きっかけは、バラカ原子力発電所の建設と韓国軍部隊のUAE駐留だった。前者は2009年2月に首長国原子力公社(ENEC)と韓国電力を主契約者として契約が締結されたもので、韓国型原発4基を建設するものだった。1号機が2021年4月に商業運転を開始したのを皮切りに、順次、商業運転に入り、4号機も2024年3月に送電を開始している。現在、韓国政府は世界各国への原発輸出に注力しているが、バラカ原発は韓国にとって初の原発輸出案件で、原発輸出のモデルケースになっている。産業通商部は「産業通商部業務報告」(2025年12月17日)の中で、現在の半導体に偏重した輸出構造を変えるべく、「輸出品目の多角化による『第2、第3の半導体』の育成」を政策目標の1つとしているが、その冒頭で挙げたのが「原発輸出モデル・市場・品目の多角化」だ。そこには「韓国UAE協力モデルを基にした原発新市場進出」と明記されている。
他方、後者の韓国軍部隊のUAE駐留は、UAEの要請を受けて、2011年に部隊をUAEに派兵したのが始まりだ。UAEの狙いは、韓国軍の教育訓練制度をベンチマーキングすることで、自国軍の水準を高めることにあった。韓国側はこれに応じることでUAEとの関係を強化するとともに、有事の際には現地の韓国人保護の業務を行う狙いがあった。韓国軍部隊のUAE駐留はその後、現在まで続いている。
要人の交流も活発だ。直近では2025年11月に李在明(イ・ジェミョン)大統領がUAEを国賓訪問した。李大統領はムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領との首脳会談で、自身の就任後初の二国間国賓訪問かつ初の中東訪問がUAEになったことは意義深いと述べ、同年10月末から韓国で開催されたAPEC首脳会議に、UAEが唯一の非加盟招待国として参加したことに感謝の意を表した。また、両首脳は、両国間の「特別戦略的パートナーシップ」を一段階高いレベルへ発展させる必要性で一致し、首脳会談を契機に、経済・投資、国防・防衛産業、原子力、人工知能(AI)、保健・医療、文化などの重要な戦略分野で未来志向のパートナーシップを構築していくことで合意した。さらに、李大統領は訪問先のUAEの日刊紙とのインタビューで 「今回の訪問で両国首脳は、既存の4大協力軸である投資、防衛・防衛産業、原子力、エネルギーに加え、AI・先端技術・保健・文化など未来志向分野へ協力を拡大することで合意した」「これは『両国関係の新たな100年』を開く基盤になるだろう」と述べた。
なお、通商関係を巡っては、2023年10月に両国間の包括的経済連携協定(CEPA)締結交渉が妥結したことは忘れてはならないだろう。その後、CEPAは2024年5月に正式に署名された(2024年6月3日付ビジネス短信「UAE大統領が韓国訪問、CEPAを締結」参照)。さらに、韓国産業通商部はCEPAが2026年5月1日に発効することで両国が合意したと発表した(2026年4月3日)。CEPAが発効すれば、韓国とUAEは発効後10年以内に、品目数ベースでそれぞれ92.8%、91.2%の関税を撤廃することとなり、両国間の貿易拡大に寄与するものと期待されている。
UAE向け輸出額は自動車、ウランの順
韓国のUAE向け輸出入の推移は次のとおり(図1参照)。UAE向け輸出入の傾向は、サウジアラビア向けと似ている。輸出は2014年に72億1,163万ドルを記録した後、反転し、2019年に34億6,977万ドルに落ち込んだ。その後は増加に転じ、2025年は56億6,605万ドルに回復した。半面、輸入は原油相場の影響を受け、大きく変動している。貿易収支は構造的に韓国の赤字が続いている。
出所:韓国貿易協会データベース
次いで、2025年の輸出入額を主要品目別に見ると、次のとおり(表1参照)。サウジアラビア向け輸出入と比べると、特定品目への集中度が低いのが特徴だ。
輸出が最も多い品目はサウジアラビアと同様に自動車だが、輸出総額に占める構成比は12.5%にとどまっている。
自動車に次ぐ輸出品目はウランだ。UAE向けウラン輸出は2016年に初めて計上されたが、輸出が本格化したのは2020年代に入ってからで、近年は輸出が急増している。これは、バラカ原発向けの燃料集合体の輸出だ。つまり、韓国勢が受注・建設したバラカ原発が順次、稼働し、ウランの輸出を誘発しているわけだ。
さらに、4位の石鹸(せっけん)・歯磨き粉・化粧品、5位の嗜好(しこう)食品など、韓流関連の消費財が上位に入っている点は、サウジアラビア向け輸出には見られない傾向だ。他方、8位に入った武器類は2010年代半ばに輸出が立ち上がっている。UAE向け武器輸出の傾向や背景要因は、サウジアラビア向け輸出と同じだ。
他方、UAEからの輸入で最も金額が多いのは原油だが、輸入総額に占める割合は6割強にとどまっている。ただし、原油と石油製品を合わせると、輸入総額の9割以上を占めており、それら以外の輸入は限定的だ。
表1:韓国の主要品目別UAE向け輸出入(2025年、輸出入上位10品目) (ーは値なし)
| 順位 | 品目名 | 金額 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 自動車 | 706 | 12.5 |
| 2 | ウラン | 418 | 7.4 |
| 3 | 自動車部品 | 305 | 5.4 |
| 4 | 石鹸・歯磨き粉・化粧品 | 290 | 5.1 |
| 5 | 嗜好食品 | 271 | 4.8 |
| 6 | 空気調節器・冷暖房機 | 235 | 4.1 |
| 7 | 無線通信機器 | 230 | 4.1 |
| 8 | 武器類 | 218 | 3.9 |
| 9 | 石油製品 | 213 | 3.8 |
| 10 | 電力用機器 | 189 | 3.3 |
| ー | 11位以下小計 | 2,590 | 45.7 |
| 合計 | 5,666 | 100.0 | |
| 順位 | 品目名 | 金額 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 原油 | 8,765 | 62.1 |
| 2 | 石油製品 | 4,194 | 29.7 |
| 3 | アルミニウム | 314 | 2.2 |
| 4 | 銅鉱 | 215 | 1.5 |
| 5 | 天然ガス | 148 | 1.0 |
| 6 | 船舶海洋構造物・部品 | 104 | 0.7 |
| 7 | 金・銀・白金 | 91 | 0.6 |
| 8 | その他金属鉱物 | 75 | 0.5 |
| 9 | 銅製品 | 70 | 0.5 |
| 10 | その他重電機器 | 12 | 0.1 |
| ー | 11位以下小計 | 124 | 0.9 |
| 合計 | 14,112 | 100.0 | |
注:品目区分は韓国独自コードのMTI 3桁ベース。
出所:韓国貿易協会データベース
韓国企業がUAEで設立した現地法人数が増加
韓国のUAE向け直接投資を金額ベースで見ると、2010年代後半から2020年に急増した(図2参照)。牽引役は原油開発事業への出資をはじめとする鉱業だった。ちなみに、ピークの2020年のUAE向け直接投資総額の97.3%が鉱業だった。2021年に直接投資額は急減したが、その後、直接投資額は徐々に回復している。とはいえ、2024年の直接投資額は3,873万ドルで、2020年の6億7,166万ドルには遠く及ばない。他方、新規法人数は2020年代に入り増加しており、2025年1~9月で、既に過去最高を大幅に更新している。近年のUAE向け直接投資は、資源関連をはじめとした大型投資が大きく減少する一方、比較的小規模な投資が活発化しているといえる。
注1:2025年は同年1~9月の合計。
注2:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値も遡(さかのぼ)って更新される傾向にある点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベースから作成(2026年3月4日アクセス)
情報通信業のシェアが最大に
次いで、2021年以降のUAE向け直接投資を業種別に見ると、鉱業の直接投資がほとんどなくなるなど、韓国企業の投資分野が変化している(表2参照)。
2021年以降の累計投資額を業種別に見ると、情報通信業が28.5%と突出して多く、情報通信業への投資が韓国のUAE向け直接投資の牽引役になってきたことが確認できる。情報通信業以外は、製造業(15.1%)、卸売り・小売り(11.0%)、建設業(10.5%)と、業種は分散している。
なお、在UAE韓国系企業の特徴について、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は「KOTRA国家情報 UAE」の中で、「2025年時点で178社の韓国企業がUAEに進出している。業種別には製造業(55社)、サービス産業(33社)、建設業(31社)の順」「ドバイは金融・貿易・交通の中心地で、貿易関連の現地法人の割合が高い。アブダビは建設プロジェクトの受注・遂行のための建設企業の割合が高い」と紹介している。
表2:韓国の業種別UAE向け直接投資の推移(2021年1月~2025年9月)
| 項目 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
新規 法人数 |
投資額 |
新規 法人数 |
投資額 |
新規 法人数 |
投資額 |
新規 法人数 |
投資額 | |
| 鉱業 | — | — | — | — | — | — | 1 | 0.0 |
| 製造業 | 3 | 3.5 | 4 | 4.5 | 3 | 3.9 | 6 | 4.0 |
| 電気・ガス・蒸気・空気調節供給業 | 1 | 0.0 | 1 | 1.1 | 2 | 2.8 | 1 | 0.2 |
| 建設業 | — | 5.0 | 1 | 2.1 | 0 | 8.5 | 1 | 1.0 |
| 卸売り・小売り | 3 | 1.2 | 4 | 1.1 | 4 | 1.5 | 8 | 9.4 |
| 運輸・倉庫業 | — | — | 1 | 0.0 | 2 | 3.7 | 3 | 0.1 |
| 宿泊・飲食店業 | — | — | — | — | 1 | 1.0 | 1 | 0.4 |
| 情報通信業 | 2 | 2.7 | 1 | 4.4 | 2 | 12.1 | 2 | 15.8 |
| 金融・保険業 | 1 | 8.0 | — | 2.0 | — | — | — | — |
| 専門・科学・技術サービス業 | — | 0.6 | 4 | 4.3 | — | — | — | — |
| 事業施設管理・事業支援・賃貸サービス業 | — | 0.5 | — | 0.4 | 1 | 0.4 | 1 | 0.1 |
| 公共行政・国防・社会保障行政 | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 教育サービス業 | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 保健業・社会福祉サービス業 | — | 1.0 | — | 0.9 | — | 0.8 | — | 0.4 |
| 協会・団体・修理・その他個人サービス業 | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 不明 | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 合計 | 10 | 22.6 | 16 | 20.8 | 16 | 35.0 | 26 | 38.7 |
| 項目 | 2025年1~9月 | 2021年1月~2025年9月累計 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
|
新規 法人数 |
投資額 | 新規法人数 | 投資額 | |||
| 社 | 構成比 | 金額 | 構成比 | |||
| 鉱業 | 1 | 0.3 | 2 | 1.5 | 0.3 | 0.1 |
| 製造業 | 12 | 12.1 | 28 | 21.5 | 28.0 | 15.1 |
| 電気・ガス・蒸気・空気調節供給業 | 2 | 7.9 | 7 | 5.4 | 12.1 | 6.5 |
| 建設業 | 3 | 2.8 | 5 | 3.8 | 19.5 | 10.5 |
| 卸売り・小売り | 11 | 7.1 | 30 | 23.1 | 20.3 | 11.0 |
| 運輸・倉庫業 | 2 | 1.2 | 8 | 6.2 | 5.1 | 2.8 |
| 宿泊・飲食店業 | — | 2.1 | 2 | 1.5 | 3.6 | 1.9 |
| 情報通信業 | 5 | 17.8 | 12 | 9.2 | 52.8 | 28.5 |
| 金融・保険業 | 5 | 3.8 | 6 | 4.6 | 13.8 | 7.4 |
| 専門・科学・技術サービス業 | 2 | 1.6 | 9 | 6.9 | 14.0 | 7.6 |
| 事業施設管理・事業支援・賃貸サービス業 | 13 | 5.2 | 15 | 11.5 | 6.5 | 3.5 |
| 公共行政・国防・社会保障行政 | 2 | 4.3 | 2 | 1.5 | 4.3 | 2.3 |
| 教育サービス業 | 1 | 0.0 | 1 | 0.8 | 0.0 | 0.0 |
| 保健業・社会福祉サービス業 | — | — | — | — | 3.1 | 1.7 |
| 協会・団体・修理・その他個人サービス業 | — | 0.8 | — | — | 0.8 | 0.4 |
| 不明 | 3 | 1.0 | 3 | 2.3 | 1.0 | 0.5 |
| 合計 | 62 | 68.0 | 130 | 100.0 | 185.0 | 100.0 |
注1:「-」は実績がないこと、「0.0」は実績があるものの、四捨五入の結果、「0.0」になることをそれぞれ示す。
注2:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値も遡(さかのぼ)って更新される傾向にある点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベースから作成(2026年3月4日アクセス)
暗号資産(仮想通貨)関連企業が一斉にUAEに進出
次いで、韓国企業のUAE進出事例を基に、近年の進出分野をみてみよう。サウジアラビアと同様に、UAEについても韓国輸出入銀行データベースでは進出企業情報を捕捉できないため、韓国メディア報道や各社のプレスリリースを基に、2024年から2025年にかけての主な進出事例を整理した(表3参照)。
前述のように、情報通信業の直接投資額が最も多かったが、進出事例でもネクスペースやカイア財団など、関連分野への進出事例がみられる。業種をさらに細かく見ると、暗号資産(仮想通貨)や、暗号通貨を技術的に支えるブロックチェーンに関連した分野に集中している。その背景には何があるのだろうか。オンライン経済専門媒体の「ザ・ベル」(2024年12月12日)は、「アブダビに法人を設立する韓国企業が増えている。韓国国内では仮想通貨の発行が事実上禁止されている。よって、海外に子会社を設立して通貨を発行しなければならない。過去、シンガポールが脚光を浴びたが、最近は規制強化により仮想通貨発行目的の子会社設立が難しくなった。その代案がアブダビだ」と述べている。同紙はさらに「仮想通貨関連でアブダビに拠点を置いているのは、ネクソンユニバース、ネオウィズホールディングス、カイア財団、ウィメイドなど」と紹介している。これらのうち表3に記載していない企業については、各種韓国メディアによると、ネオウィズホールディングスは2022年に、ウィメイドは2023年にUAEに現地法人を設立している。このうち、ウィメイドについては、「UAEは仮想通貨・ゲーム分野で企業に優しい傾向がはっきりしている。フリーゾーンでは、仮想通貨に対する規制が緩和され、税制のメリットも提供されている」(「韓国経済新聞」2024年4月9日、電子版)とする関係者の話が紹介されている。さらに表3にも掲載したネクソンユニバース(同社はオンラインゲーム大手のネクソンコリアの子会社。主な事業内容はソフトウエア開発など)は2023年末、UAEにネクソンユニバース・グローバルとネクスペースの2つの現地法人を設立している。親会社のネクソンコリアは、UAEをブロックチェーン事業の世界的な拠点として位置付けている。
さらに、シンガポールとの比較について、「ソウル経済新聞」(2024年12月18日、電子版)はカイア財団の関係者の話として、「シンガポールでは仮想通貨を発行して投資を受けると、販売行為とみなされ、付加価値税などの税金がかかる。半面、アブダビはこれを投資と認め、税金は賦課されない」と紹介している。
暗号資産以外の情報通信業関連分野では、サイバーセキュリティー企業もUAEに進出している。2024年に進出したジーニアンスについて、「聯合ニュース」(2026年3月2日)は「顧客数で見ると中東が最も多い。中東市場攻略のため2024年にドバイに事務所を開設した」と紹介している。さらに、同ニュースは、韓国のサイバーセキュリティー企業にとって中東市場が魅力的な理由として、「(各国は)外交的に利害関係が絡んだ国のサイバーセキュリティー技術を使用することに慎重にならざるを得ない」とし、利害関係のない韓国の企業の優位性について述べている。
情報通信業以外では多様な分野に進出
前述のUAE向け業種別直接投資実績を見ると、情報通信業以外では投資は幅広い業種で行われ、投資が集中している分野は特にみられない。他方、韓国企業のUAE進出事例をみても同じことがいえよう。
これらのうち、防衛産業分野では、LIGディフェンス&エアロスペース(2026年3月31日にLIGネクスワンから社名変更)が2025年11月、UAEの同業社と合弁企業を設立することで合意している。これは、サウジアラビア拠点構築と同様に、韓国企業の中東事業強化の流れの一環だ。本案件について、IT専門のインターネットサイトの「プレス9」(2025年11月24日)は、「(合弁会社の事業内容は)UAE政府が進めている国家10カ年計画『われらがUAEの2031年』における防衛産業の国内生産推進と合致したものと評価できる。本件は、中東における韓国防衛産業の現地化の時代を先取りしたものと解釈できる。合弁会社の設立は、UAE内の防衛産業の生産基盤構築、先端技術の移転、将来の共同開発プロジェクトの拡大につながる可能性が高い」と報じている。
また、金融・保険業では、韓国のベンチャーキャピタルが進出している。表3では、韓国人実業家などが出資して設立したAKベンチャーパートナーズや、ハッシュドが該当する。ハッシュドの進出理由について「韓国経済新聞」(2024年6月4日、電子版)は、同社代表の次の発言を紹介している。
- 韓国の内需は、高齢化と出生率低下により成長の限界に直面している半面、中東地域は人口構成が若く、市場の潜在力が大きい。
- 湾岸協力理事会(GCC)諸国は所得水準が高く、購買力がある。
- UAEなどは各種規制が厳しくなく、法人税率が低く、インフラが充実しているなど、企業に優しい環境が整っている。
| 年月 | 企業名 | 概要 |
|---|---|---|
|
2024年 2月 |
キム・ウンス(韓国人実業家) | UAE王族のシェイク・アフマド・ビン・マナ・アル・マクトゥーム氏とともにベンチャーキャピタルの「AKベンチャーパートナーズ」を設立。ドバイへの進出を希望する韓国スタートアップに対する投資を行う。 |
| 5月 | エルテックUVC | グリーンエネルギー関連企業の同社は、アルファタングループと合弁会社を設立、映像監視カメラ工場を着工。UAE市場の確保と中東地域全域での事業拡大を目指す。 |
| メディトックス | 現地国営企業のTecomグループとバイオ医薬品工場設立に関する意向表明書(LOI)を締結。メディトックスは、ドバイを戦略的拠点と位置付け、ハラル認証を受けた世界唯一のボツリヌストキシン生産拠点であることを強調し、中東・欧州市場を攻略する考え。 | |
| 6月 | ハッシュド | 同社はブロックチェーン・暗号資産関連のスタートアップに投資するベンチャーキャピタル。同社は、アブダビ政府系ファンド「ムバダラ投資会社」傘下の「HUB71」との業務提携と、アブダビにおける支社設立を発表。韓国のスタートアップの中東進出を支援する目的。 |
| 8月 | ロッテレンタル | 韓国からの中古車輸出の拡大のため、ドバイのジュベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)に現地法人を設立。同社は進出先としてドバイを選んだ理由について、「法律、経済、為替、政治情勢などリスクが少なく、海外企業支援制度などの投資環境が最適だったこと」としている。中東市場などでの営業力強化を目指す。 |
| カイア財団 | 同財団は「Klaytn」と「Finschia」の2つのブロックチェーンを統合して設立された。同財団は、アブダビの金融サービス促進機関・経済特区のアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の承認を受け、現地にカイアDLT財団を設立。カイアのエコシステム拡張を目指す。 | |
| 10月 | ジーニアンス | サイバーセキュリティー企業の同社は、ドバイに事務所を開設。中東地域のIT・金融分野への投資拡大で情報保護の必要性が高まっている。そのため同地域のサイバーセキュリティー市場は成長が見込まれる。同社は事務所開設により顧客基盤拡大を目指す。さらに、欧州・アフリカ市場への事業拡大を狙う。 |
|
2025年 1月 |
ネクソンユニバーススペース | ネクソンコリアの子会社の同社は、在アブダビ現地法人のネクスペースの独立事務所を開設し、人員数を大幅に増強。 |
| 2月 | SPCグループ | マレーシアの飲食大手ベルジャヤ・フードがSPCグループのベーカリーチェーン「パリバゲット」をUAEで展開すると発表。 |
| 9月 | モチイヤギ | フルーツ・デザート事業を行う同社はドバイに現地法人を設立。ドバイでフルーツ・デザートを生産するとともに、12月に現地ショッピングモールに1号店を開設する予定。 |
| 11月 | オートノマスA2Z | 自動走行のスタートアップの同社は、現地AIスペーステック企業(宇宙関連スタートアップ)のスペース42とアブダビで合弁会社を設立。両社は総額400万ドルを共同で出資し、アブダビの自動走行プロジェクトの受注を目指す。 |
| LIGネクスワン | 防衛企業の同社は、カリドゥスグループと合弁会社設立で合意。合弁会社は、次世代防空システムの共同開発、UAE内のミサイル共同生産ライン構築、現地エンジニアリング育成などを担う予定。 |
注:直接投資以外の進出事例も含む。ただし、拠点構築を伴わないプラント建設プロジェクト受注案件は含まない。企業名は報道当時。
出所:韓国メディア報道、各社プレスリリースを基に作成
中東情勢悪化が変数
ところで、2026年2月にイスラエルと米国がイランに対する攻撃を行って以降、中東情勢が悪化している。中東情勢の悪化やホルムズ海峡通航停止状態は、原油・天然ガスなどの価格上昇、エネルギーなどの供給不安、物流費の上昇など、さまざまな影響を韓国に及ぼしている。また、これにより世界経済が減速すれば、輸出をはじめとした韓国経済に影響がさらに拡大しかねない。こうした中、韓国政府は、資源・エネルギー需給、海上物流、輸出などの現状を把握するとともに、原油の数量確保、石油製品の国内流通価格の監視強化、中小企業の輸出支援など、幅広い分野での支援策を韓国国内で講じている。また、中東でも、現地滞在韓国人の退避支援や、現地韓国系企業に対する交戦状況関連の情報の即時提供などを行っている。
中東情勢悪化は、韓国経済そのものへの影響が危惧されるとともに、サウジアラビア、UAEを中心に、韓国企業の中東事業への影響も危惧され始めている。「聯合ニュース」(2026年3月2日)は、「中東情勢の不安定化により、韓国企業が中東諸国と進めていた防衛産業、自動車などの事業や輸出に支障が生じるとの懸念も出ている。サウジアラビアやUAEなどの中東諸国が進めている国家主導のプロジェクトには韓国企業が多数参加しており、中東向け輸出も増加傾向にあるものの、中東が『火薬庫』となれば、正常な投資や研究開発(R&D)協力などにブレーキがかかる可能性が高い」と報じている。
韓国企業の中東進出
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- 執筆者紹介
-
ジェトロ調査部中国北アジア課
百本 和弘(もももと かずひろ) - ジェトロ・ソウル事務所次長、海外調査部主査などを経て、2023年3月末に定年退職、4月から非常勤嘱託員として、韓国経済・通商政策・企業動向などをウォッチ。





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