韓国企業の海外展開の今と新たな挑戦チェコは自動車、ハンガリーは電池が集中
韓国企業の欧州戦略(2)

2026年1月7日

韓国企業の欧州進出をテーマに、2回に分けて紹介している。第1回「生産拠点は中・東欧に集中」では、直接投資統計を軸に、今までの推移を概観すると共に、業種別、国・地域別の特徴をみた。

第2回の本稿では、製造業の直接投資が集中している中・東欧3カ国(ポーランド、チェコ、ハンガリー)における韓国企業の進出の経緯や最近の事例などについて紹介する。

LGグループ企業が集積するポーランド

はじめに、中・東欧諸国の中で韓国の直接投資額(実行ベース、以下同様)が最も多いポーランドについてみる。

韓国のポーランド向け直接投資の推移をみると、(1)1990年代後半、(2)2000年代後半、(3)2010年代後半から2020年代前半にかけての3回のピークがあった(図1参照)。

(1)は、当時の大宇自動車(現・韓国GM)の投資によるところが大きい。同社は1995年、元国有自動車メーカーFSOに出資し、社名を大宇FSOとした。当初は買収後5年間で12億ドルを投資する計画だった。しかし、1997年末の通貨・経済危機をきっかけにした大宇自動車の経営破綻(2000年)により、大宇FSOも経営破綻した。

(2)は、LGグループの投資によるところが大きい。LG電子は同国南西部のブロツワフに液晶テレビ、冷蔵庫工場を建設し、2006年秋に稼働した。また、同社は同国北部ムワバの地場のテレビ工場を1999年に買収していたが、2005年に第2工場を建設した。さらに、LGフィリップスLCD(現・LGディスプレイ)は、液晶モジュール組み立て工場を建設、2005年5月に竣工(しゅんこう)した。さらに、LG化学、LGイノテックといったグループ企業をはじめとした関連企業がポーランドに生産拠点を構築した。

(3)は、自動車部品分野の直接投資が活発化したことによるところが大きい。例えば、ポーランド向け直接投資が最も多かった2019年についてみると、自動車製造業の投資額は7億1,235万ドルで、ポーランド向け直接投資総額の68.7%を占めた。これは完成車分野ではなく、自動車部品分野の直接投資だった。自動車部品分野の直接投資が活発化した理由として次の点が挙げられる。

  • 現代自動車(チェコ工場)と起亜(スロバキア工場)が域内での部品調達拡大を図っていたこと
  • ポーランド政府が2018年に新しい投資支援システムを導入し、経済特別区に限られていた所得税免除などの投資インセンティブを全国に拡大したこと
  • ポーランドが、チェコ、スロバキア、ドイツなどの自動車生産国に地理的に近く、人件費などの生産コストが相対的に安いこと

(3)の時期にポーランドで事業を拡大した韓国自動車部品関連の企業の事例として、韓国の各メディア報道は、万都(スプリング、スタビライザー生産の第2工場の建設)、SKIET(車両用二次電池向けセパレーター生産の工場を2カ所新設)といった事例を報じている。

なお、2025年6月までのポーランド向け累計直接投資額を業種別にみると、製造業が全体の9割弱と圧倒的に多かった。さらに、製造業の内訳をみると、自動車・トレーラー(以下「自動車」とする)製造業が全体の4割、製造業の5割を占め、圧倒的に多かった(表1参照)。

図1:韓国のポーランド向け直接投資の推移
投資額は次のとおり、単位は100万ドル。1991年1、1992年0、1993年1、1994年5、1995年38、1996年128、1997年50、1998年269、1999年40、2000年49、2001年14、2002年38、2003年17、2004年36、2005年78、2006年231、2007年119、2008年94、2009年30、2010年55、2011年92、2012年27、2013年22、2014年55、2015年39、2016年55、2017年216、2018年535、2019年1175、2020年739、2021年569、2022年907、2023年369、2024年718、2025年96。新規法人数は次のとおり、単位は社。1991年1、1992年1、1993年2、1994年0、1995年4、1996年6、1997年22、1998年5、1999年2、2000年4、2001年5、2002年2、2003年2、2004年3、2005年18、2006年20、2007年17、2008年13、2009年1、2010年12、2011年9、2012年2、2013年7、2014年8、2015年10、2016年22、2017年14、2018年29、2019年36、2020年22、2021年29、2022年27、2023年34、2024年14、2025年24。

注1:2025年は同年1~6月分。
注2:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値もさかのぼって更新される傾向にある点に留意が必要。 出所:韓国輸出入銀行データベース(2025年12月10日アクセス)を基にジェトロ作成

表1:韓国の業種別ポーランド向け累計直接投資(~2025年6月末)(単位:100万ドル、%)
業種名 金額 構成比
農業・林業・漁業 2 0.0
鉱業 0 0.0
製造業 6,089 88.2
階層レベル2の項目食料品製造業 0 0.0
階層レベル2の項目繊維製品製造業(衣服を除く) 1 0.0
階層レベル2の項目化学物質・化学製品製造業(医薬品を除く) 780 11.3
階層レベル2の項目ゴム・プラスチック製品製造業 1,061 15.4
階層レベル2の項目非金属鉱物製品製造業 14 0.2
階層レベル2の項目一次金属工業 278 4.0
階層レベル2の項目金属加工製品製造業(機械・家具を除く) 55 0.8
階層レベル2の項目電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装置製造業 556 8.1
階層レベル2の項目医療、精密、光学機器・時計製造業 75 1.1
階層レベル2の項目電気装置製造業 268 3.9
階層レベル2の項目その他機械・装置製造業 38 0.5
階層レベル2の項目自動車・トレーラー製造業 2,879 41.7
階層レベル2の項目その他輸送機械製造業 78 1.1
階層レベル2の項目家具製造業 2 0.0
階層レベル2の項目その他製品製造業 4 0.1
階層レベル2の項目産業用機械・装置修理業 0 0.0
水道・下水・廃棄物処理・原料再生業 0 0.0
建設業 239 3.5
卸売り・小売り 104 1.5
運輸・倉庫業 10 0.1
宿泊・飲食店業 4 0.1
情報通信業 90 1.3
金融・保険業 9 0.1
不動産業 318 4.6
専門・科学・技術サービス業 22 0.3
事業施設管理・事業支援・賃貸サービス業 12 0.2
保健業・社会福祉サービス業 0 0.0
芸術・スポーツ・余暇関連サービス業 0 0.0
協会・団体・修理・その他個人サービス業 1 0.0
不明 0 0.0
合計 6,901 100.0

注1:業種区分は大分類(製造業の内訳は中分類)別。投資実績のない業種は省略した。
注2:数値は各期間の投資額・新規法人数の累計で、撤退などを反映したものではない。
注3:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値もさかのぼって更新される傾向にある点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベース(2025年12月10日アクセス)を基にジェトロ作成

最近は防衛産業関連企業の進出が目立つ(表2参照)。近年、韓国政府は防衛装備品の輸出拡大に注力しているが、最大の輸出先がポーランドだ。現代ロテム、ハンファエアロスペース、韓国航空宇宙産業(KAI)の各社はポーランドや欧州全域への営業力強化を図っているが、前2社は将来的には現地生産も目指しているもようだ。その他では、EV(電気自動車)関連分野での動きがみられる。

表2:最近の韓国企業のポーランド向け投資事例(2024年1月~2025年12月上旬)
年月 企業名 概要
2024年7月 現代ロテム 国営防衛関連企業PGZと、K2PL(ポーランド型K2戦車)生産のための新規コンソーシアムに関する合意書を締結。当初は韓国からポーランドに輸出するが、その後はポーランド現地生産に移管する。
8月 亜州スチール 設備投資のため、ポーランド現地法人に53億ウォンを追加出資。
2025年1月 栗村 精密冷間引抜バルブ生産の同社は、330億ウォンを投じ、ブロツワフ近郊に新工場を建設。世界のEV生産の拡大を見越す。
4月 LGエナジーソリューション ブロツワフ工場(生産能力:90GWh/年) の遊休生産施設を電力貯蔵システム(ESS)用に転換し、EV需要の減少に対応。
ハンファエアロスペース 航空部品生産の同社は、ポーランド民間軍事企業のWBグループと合弁会社設立のための合意書を締結。同社にとって初の欧州合弁企業の設立となる。合弁法人はポーランド軍に供給するための80キロメートル級の誘導弾の現地生産を進める。将来的には欧州市場への輸出も念頭に置く。
6月 韓国航空宇宙産業(KAI) ワルシャワに欧州法人を設立。ポーランドや欧州全域に「FA-50軽攻撃機」などを輸出するための現地営業網強化や現地政府との窓口業務の効率化などを目指す
10月 ポスコインターナショナル オポーレ県で駆動モーター工場を竣工(しゅんこう)。現代自動車・起亜向けに販売する他、メルセデスベンツ、BMWなどの欧州メーカーへの販売を狙う。
12月 クムホタイヤ 5億8,700万ドルを投じ、オポーレ県にタイヤ生産の新工場を建設することを決定。2028年8月の稼働を目指す。

注1:本表は進出事例を幅広く掲載したもので、必ずしも直接投資を伴うものではない。
注2:1ウォン=約0.1円。
出所:各種韓国メディア報道などを基にジェトロ作成

自動車とタイヤの投資が9割を占めるチェコ

韓国のチェコ向け直接投資の推移をみると、2007年前後に大きな投資のピークがあった(図2参照)。これは、自動車製造業の投資が急増したことによるものだ。ちなみに、2007年の自動車製造業の投資額は5億2,563万ドルで、チェコ向け直接投資全体の98.0%を占めた。自動車関連の投資が一段落した後、チェコ向け投資は比較的落ち着いた動きを示している。2018年に2億ドルを超えたが、これは、ゴム・プラスチック製品製造業が活発だったことによるところが大きい。2018年のゴム・プラスチック製品製造業直接投資額は1億6,302万ドルで、同年のチェコ向け直接投資全体(2億4,469万ドル)の66.6%を占めた。

2025年6月までのチェコ向け累計直接投資を業種別にみると、製造業が9割弱を占めた(表3参照)。製造業の内訳をみると、自動車製造業が最も多く、ついで、ゴム・プラスチック製品製造業の順だった。これら2つの業種以外の直接投資は限定的だ。

図2:韓国のチェコ向け直接投資の推移
投資額は次のとおり、単位は100万ドル。1993年1、1994年3、1995年0、1996年6、1997年0、1998年29、1999年~2002年0、2003年5、2004年0、2005年10、2006年112、2007年536、2008年231、2009年94、2010年13、2011年12、2012年3、2013年118、2014年5、2015年7、2016年80、2017年98、2018年245、2019年65、2020年22、2021年125、2022年182、2023年48、2024年34、2025年2。新規法人数は次のとおり、単位は社。1993年1、1994年2、1995年1、1996年0、1997年0、1998年1、1999年~2002年0、2003年1、2004年0、2005年2、2006年7、2007年15、2008年12、2009年1、20102年、2011年8、2012年3、2013年6、2014年4、2015年5、2016年4、2017年3、2018年10、2019年6、2020年3、2021年2、2022年0、2023年3、2024年2、2025年4。

注1:2025年は同年1~6月分。
注2:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値もさかのぼって更新される傾向にある点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベース(2025年12月10日アクセス)を基にジェトロ作成

表3:韓国の業種別チェコ向け累計直接投資(~2025年6月末)(単位:100万ドル、%)
業種名 金額 構成比
製造業 1,864 89.4
階層レベル2の項目パルプ・紙・紙製品製造業 0 0.0
階層レベル2の項目コークス・練炭石油精製品製造業 0 0.0
階層レベル2の項目化学物質・化学製品製造業(医薬品を除く) 5 0.2
階層レベル2の項目ゴム・プラスチック製品製造業 582 27.9
階層レベル2の項目非金属鉱物製品製造業 9 0.4
階層レベル2の項目一次金属工業 30 1.5
階層レベル2の項目金属加工製品製造業(機械・家具を除く) 0 0.0
階層レベル2の項目電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装置製造業 4 0.2
階層レベル2の項目医療、精密、光学機器・時計製造業 1 0.1
階層レベル2の項目その他機械・装置製造業 4 0.2
階層レベル2の項目自動車・トレーラー製造業 1,218 58.4
階層レベル2の項目その他製品製造業 0 0.0
電気・ガス・蒸気・空気調節供給業 0 0.0
建設業 1 0.0
卸売り・小売り 171 8.2
運輸・倉庫業 13 0.6
宿泊・飲食店業 0 0.0
情報通信業 4 0.2
不動産業 29 1.4
専門・科学・技術サービス業 0 0.0
事業施設管理・事業支援・賃貸サービス業 4 0.2
教育サービス業 0 0.0
合計 2,086 100.0

注1:業種区分は大分類(製造業の内訳は中分類)別。投資実績のない業種は省略した。注2:数値は各期間の投資額・新規法人数の累計で、撤退などを反映したものではない。注3:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値もさかのぼって更新される傾向にある点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベース(2025年12月10日アクセス)を基にジェトロ作成

2007年前後の直接投資額の増加は、現代自動車のチェコ工場建設によるところが大きい。同社にとってチェコ工場はEUにおける唯一の完成車生産拠点(現代自動車グループ全体では、起亜がスロバキアに生産拠点を有する)だ。チェコ工場開所式における同社の発表(2009年9月24日)によると、概要は次のとおりだった。

  • 投資総額は10億ユーロ。2008年11月に量産を開始。生産能力は年産20万台だが、2011年までに年産30万台まで生産能力を増強する。
  • チェコ工場の完成により、米国、中国、インド、トルコなど世界の主要市場全てに生産拠点を確立することとなり、グローバル生産ネットワークが完成した。

進出先としてチェコを選定した理由について、同社では、(1)欧州の主要市場であるドイツ、フランス、英国などに近い、(2)同社の欧州本部・技術センター・デザインセンター・テストセンターのあるドイツに近い、(3)チェコは自動車関連の人的資源が豊富、(4)チェコ政府がさまざまなインセンティブを提供する構想を提示した、といった点を挙げている。

現代自動車の進出に伴い、現代モービスをはじめとした自動車部品企業もチェコに進出した。

他方、2016年から2018年の投資拡大は、ネクセンタイヤのチェコ工場建設によるところが大きい。同社のプレスリリース(2014年8月12日)によると、概要は次のとおりだった。

  • 欧州のタイヤ需要拡大と、フォルクスワーゲン、シュコダ、セアットなどの欧州メーカーへの安定的なタイヤ供給に対応するために、1兆2,000億ウォン(約1,200億円、1ウォン=約0.1円)を投じ、タイヤ工場をチェコのウースチー州ジャテツに建設する。2018年の稼働を目指す。
  • 中・東欧6カ国を対象に建設地を検討した。その中で、ジャテツを選択した理由として、人材が豊富なこと、ドイツ・フランス・英国などと市場が拡大している中・東欧をつなぐ場所に位置していること、ジャテツから半径400キロ以内に約30社の自動車メーカーが立地していること、チェコ政府が外資誘致に積極的で、手厚い支援を約束したことなどを挙げた。

最近は、チェコにおける韓国企業の大規模な投資事例は限定的なようだ。そのような中で、「聯合ニュース」(2024年7月15日)はネクセンタイヤの投資事例を紹介している。それによると、ジャテツの欧州工場第2段階増設工事が完了し、工場は稼働に入った。工場増設は欧州市場での販売拡大を目的としたもので、タイヤの年間生産能力は従来の550万本から1,100万本に倍増した。

また、「聯合ニュース」(同年9月22日)は、現代自動車グループの鄭義宣会長がチェコ工場を訪問し、「チェコ工場は環境に優しいモビリティー・ビジョンと技術のために将来投資をする核心的な拠点で、重要な役割を担っている。品質と安全に対する投資を惜しまない」と発言したことを伝えている。

二次電池関連の投資が集中するハンガリー

韓国のハンガリー向け直接投資額は2017年までは低調だったが、2018年以降、急増し、2022年にピークを迎えた(図3参照)。

ハンガリー向け直接投資の主役は二次電池関連の投資だ。EU市場では2018年ごろから電気自動車(EV)が本格的に普及し始めた。その理由としては、(1)EUや各国政府がガソリン車の新車販売を将来的に禁止する方針を打ち出したこと、(2)各国がEV販売にインセンティブを付与したこと、(3)充電インフラの整備が進んだこと、(4)以上を受けて、自動車メーカー各社がEV販売に注力したこと、などが挙げられる。

EV販売の拡大に伴い、二次電池需要が拡大した。韓国のハンガリー向け直接投資はこのような流れに沿ったものだ。

2025年6月までのハンガリー向け累計直接投資を業種別にみると、製造業が8割強を占めており、ポーランド、チェコと同様に、直接投資の中心が製造業であることが分かる。製造業の内訳をみると、電気装置製造業が72.8%を占めており、圧倒的に多い(表4参照)。この主体が二次電池だ。

図3:韓国のハンガリー向け直接投資の推移
投資額は次のとおり、単位は100万ドル。1989年1、1990年0、1991年3、1992年4、1993年7、1994年5、1995年35、1996年1、1997年9、1998年28、1999年5、2000年10、2001年33、2002年89、2003年13、2004年4、2005年13、2006年70、2007年15、2008年3、2009年8、2010年14、2011年1、2012年0、2013年40 、2014年1、2015年8、2016年40、2017年13、2018年394、2019年741、2020年328、2021年847、2022年1841、2023年863、2024年526、2025年16。 新規法人数は次のとおり、単位は社。1989年1、1990年0、1991年1、1992年2、1993年3、1994年1、1995年1、1996年1、1997年2、1998年1、1999年1、2000年2、2001年4、2002年1、2003年3、2004年5、2005年3、2006年17、2007年8、2008年4、2009年2、2010年8、2011年1、2012年1、2013年 、2014年4、2015年2、2016年8、2017年8、2018年20、2019年43、2020年27 、2021年25、2022年33、2023年30、2024年19、2025年5。

注1:2025年は同年1~6月分。
注2:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値もさかのぼって更新される傾向にある点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベース(2025年12月10日アクセス)を基にジェトロ作成

表4:韓国の業種別ハンガリー向け累計直接投資(~2025年6月末)(単位:100万ドル、%)
業種名 金額 構成比
製造業 4,995 82.9
階層レベル2の項目食料品製造業 32 0.5
階層レベル2の項目衣服・衣服アクセサリー・毛皮製品製造業 1 0.0
階層レベル2の項目コークス・練炭石油精製品製造業 0 0.0
階層レベル2の項目化学物質・化学製品製造業(医薬品を除く) 113 1.9
階層レベル2の項目医療用物質・医薬品製造業 1 0.0
階層レベル2の項目ゴム・プラスチック製品製造業 41 0.7
階層レベル2の項目一次金属工業 153 2.5
階層レベル2の項目金属加工製品製造業(機械・家具を除く) 7 0.1
階層レベル2の項目電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装置製造業 83 1.4
階層レベル2の項目医療、精密、光学機器・時計製造業 1 0.0
階層レベル2の項目電気装置製造業 4,390 72.8
階層レベル2の項目その他機械・装置製造業 37 0.6
階層レベル2の項目自動車・トレーラー製造業 141 2.3
階層レベル2の項目その他製品製造業 3 0.0
階層レベル2の項目産業用機械・装置修理業 1 0.0
電気・ガス・蒸気・空気調節供給業 0 0.0
水道・下水・廃棄物処理・原料再生業 13 0.2
建設業 27 0.5
卸売り・小売り 152 2.5
運輸・倉庫業 22 0.4
宿泊・飲食店業 3 0.0
情報通信業 0 0.0
金融・保険業 232 3.9
不動産業 3 0.1
専門・科学・技術サービス業 578 9.6
事業施設管理・事業支援・賃貸サービス業 3 0.0
合計 6,029 100.0

注1:業種区分は大分類(製造業の内訳は中分類)別。投資実績のない業種は省略した。
注2:数値は各期間の投資額・新規法人数の累計で、撤退などを反映したものではない。
注3:累計投資額は小数点以下を、構成比は小数点第2位以下を四捨五入したため、表の「合計」と各項目の合計値が一致しない。
注4:本統計は、新しい統計値の発表時に、過去に発表した統計値もさかのぼって更新される傾向にある点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベース(2025年12月10日アクセス)を基にジェトロ作成

主な韓国企業による二次電池や同部材のハンガリー生産拠点構築などの動きは、表5のとおり。二次電池では、韓国の大手3社のうち、サムスンSDI、SKオンが欧州生産拠点をハンガリーに置いている。また、関連企業の進出も相次いだ。

表5:主な韓国二次電池関連企業のハンガリー進出状況
企業名 内容
サムスンSDI 従来、プラズマディスプレーパネルを生産していたハンガリー工場を二次電池工場に転換。2017年から二次電池を生産。
SKオン ハンガリーで3つの二次電池工場を稼働中。立地と稼働開始年は、第1工場がコマーロム・2020年、第2工場は同・2022年、第3工場はイバンチャ・2024年。
載元産業 SKオンの第1・第2工場の近郊で二次電池製造に用いられるn-メチル-2-ピロリドン(NMP)、CNT導電スラリーなどを生産。
ソンイルハイテク 2016年から廃バッテリーリサイクル工場を運営。
LG化学 2021年10月に、東レのセパレーター製造・販売子会社に出資し、50:50の合弁会社に転換することで東レと合意。その後、2025年10月に東レの持ち分を全て取得することで東レと合意。
シンフンSEC サムスンSDIの二次電池生産に合わせ、2017年にハンガリー工場を設立。中大型角型電池の電池ふたを生産。

注:順不同。
出所:各種韓国メディア報道などを基にジェトロ作成

最近の事例は表6のとおり。従来と同様に、二次電池関連企業への投資が中心となっている。ただし、世界的なEV需要の伸び悩みを受け、追加的な投資は必ずしも活発とはいえない。

そのような中で、サムスンSDIのハンガリー生産拠点強化は投資規模が比較的大きく、注目される。例えば、「毎日経済新聞」(2025年4月4日、電子版)は「2兆ウォンの有償増資を断行したサムスンSDIは、このうちの3分の1の6,413億ウォンをハンガリー・ゲド工場に投資する」と報じた。このことは、同社全体の中でもハンガリー工場の戦略的重要性が極めて高いことを示している。同紙はさらに「二次電池市場の競争が激化し、米国のEV市場の伸び悩みが憂慮されるだけに、サムスンSDIは(価格が相対的に安い)LFP電池の競争力を強化し、欧州市場でのシェアを高める方針だ」「サムスンSDIは(ハンガリーで)LFP電池の量産体制を構築し、欧州市場で中国の二次電池企業との競争に備える考えだ」と紹介している。

表6:最近の韓国企業のハンガリー向け投資事例(2024年1月~2025年12月上旬)
年月 企業名 概要
2024年2月 SKオン 第1工場(コマーロム、生産能力 7.5GWh/年)、第2工場(同、10GWh/年)に次ぐハンガリー第3工場(イバンチャ、30GWh/年)が稼働開始。現代自動車グループ、メルセデスベンツ、フォードなど、欧州に工場を有する主要企業との関係を強化する狙い。
4月 WCP 二次電池用セパレーター生産のハンガリー工場(年産12億4,000万平方メートル)を試運転。2026年の量産開始を目指す。
2025年3月 ハンコックタイヤアンドテクノロジー 5億3,800万ユーロを投じる大型車両用タイヤ工場のライン増設工事を開始、2027年の完成を目指す。
サムスンSDI 2兆ウォン規模の増資を進めることを決定。調達資金は、ハンガリーの二次電池工場の生産能力拡大のほか、米国合弁企業への追加出資、韓国国内の全個体電池生産ライン投資に使用する予定。ハンガリーでは、既存のゲド第1・第2工場の有休用地を活用し、4,955億ウォンを投じて、EV用角型LFP電池の量産が可能な生産設備を建設する。
11月 エコプログループ デブレツェンで新工場を竣工。新工場には、グループ傘下のエコプロBM(正極材)、エコプロイノベーション(リチウム加工)、エコプロAP(工業用酸素・窒素生産)などが入居。2026年からハイニッケル三元系電池向け正極材の量産を開始する予定。顧客ニーズに応じて、LFP電池向け正極材も生産予定。

注:本表は進出事例を幅広く掲載したもので、必ずしも直接投資を伴うものではない。
出所:各種韓国メディア報道などを基にジェトロ作成

韓国企業の欧州戦略

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(1)生産拠点は中・東欧に集中

執筆者紹介
ジェトロ調査部中国北アジア課
百本 和弘(もももと かずひろ)
ジェトロ・ソウル事務所次長、海外調査部主査などを経て、2023年3月末に定年退職、4月から非常勤嘱託員として、韓国経済・通商政策・企業動向などをウォッチ。