米国の存在感高まる台湾の貿易投資
トランプ2.0下の台湾ICT産業(1)

2026年4月13日

米中貿易摩擦などに代表される国際通商秩序の変化は、台湾企業と日本企業が相互補完関係を強めてきた半導体およびPC、スマートフォン、サーバーなどの情報通信技術(ICT)産業に大きな影響を与えてきた。2025年には第2次トランプ政権(トランプ2.0)の下で新たな関税リスクや、米国国内生産に対する要請の高まりなどを受け、これらICT産業で大きな存在感を示す電子機器受託製造(EMS)など台湾企業のサプライチェーン戦略にも影響を及ぼしている。

本稿では、台湾企業のサプライチェーンの動向を把握すべく、主にトランプ2.0発足後の2025年以降の動向に焦点を当て、前編・後編に分けてまとめる。前編となる本稿では、同年の台湾の対外投資と貿易の動向を整理する。後編では、ICT産業の主要製品分野におけるサプライチェーンの変化を概観する。

2025年の対外直接投資、ASEAN、米国向けなどが牽引

台湾経済部投資審議司の発表によると、2025年の対外直接投資(中国大陸を含む、認可ベース)は399億3,113万ドルだった(2026年2月19日付ビジネス短信参照)。台湾積体電路製造(TSMC)による米国(アリゾナ州)子会社への増資や、日本のJASMへの増資などが牽引して過去最高を記録した前年からは17.8%減少したが、同年に次ぐ第2位の規模となった(図1参照)。

全体の中で最大の構成比(54.4%)を占めたのは英領中米(主にケイマン諸島、バージン諸島)で217億2,704万ドルだった。TSMCによる大型投資案件が牽引しており、同社は2回に分けて、それぞれ約200億ドルを英領バージン諸島のTSMC GLOBALに増資した。為替ヘッジ費用を考慮するためとしている。このほか、ASEAN6カ国(シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、以下ASEAN6)向けが55億1,177万ドル(構成比13.8%)、米国向けが51億5,358万ドル(12.9%)だった。なお、日本向けは21億6,327万ドル(5.4%)だった。

図1:台湾の対外直接投資統計
台湾の対外直接投資額について、棒グラフは主要国・地域別に2010年から2025年までの推移を表している(左軸)。2010年から順に、中国は14,617,872、14,376,624、12,792,077、9,190,090、10,276,570、10,965,485、9,670,732、9,248,862、8,497,730、4,173,090、5,906,489、5,863,173、5,046,755、3,036,819、3,654,259、1,498,870(単位:千ドル、以下同)。日本は、40,648、252,347、1,089,349、170,499、680,020、303,795、4,504,219、202,039、619,881、71,924、388,405、2,216,365、73,281、214,805、5,490,205、2,163,272。米国は、490,730、730,069、144,137、416,023、282,293、362,479、319,768、836,641、2,038,975、561,029、4,194,367、476,853、1,088,764、9,690,035、14,126,490、5,153,577。 ASEAN6は、1,082,770、1,118,518、5,719,708、2,163,891、1,055,475、3,385,177、2,247,904、2,817,717、1,552,174、2,235,761、2,216,823、5,525,729、4,604,297、5,138,461、8,475,911、5,511,772。その他は、1,209,304、1,595,893、1,145,446、2,481,853、5,275,894、6,879,694、5,051,203、7,716,811、10,083,531、3,982,440、5,005,510、4,380,186、4,195,940、8,533,939、16,839,351、25,603,643。また、折れ線グラフは台湾の対外直接投資件数(対世界)を表している(右軸)。2010年から順に、1,161、1,193、957、927、990、889、819、1,082、1,364、1,280、991、827、918、896、1,092、1,058。

注:ASEAN6は、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの合計。
出所:台湾経済部投資審議司からジェトロ作成

ASEAN6への投資については、トランプ1.0以降の対中追加関税リスクの増大や、先端半導体の輸出管理などが強化される中で、台湾EMS企業などが主要顧客である米国ブランド企業の意向を受けて中国に集中していた生産拠点の分散化を図る動きが加速(2025年5月14日付地域・分析レポート参照)。2010年から2020年まではおおむね10~20億ドル台で推移していたが、2021年以降はおおむね45~55億ドル規模に増加し、2024年には、84億7,591万ドルと過去最高額を記録した。2025年は前年から35.0%減ったものの、55億1,177万ドルと高い水準を維持した。

2025年のASEAN6向け投資のうち4割超をシンガポール向け(22億8,517万ドル)が占めた。主な投資案件を見ると、最大案件は、世界最大手のEMS企業である鴻海精密工業(ホンハイ)によるシンガポール子会社への増資(14億8,900万ドル)を通じたインド子会社への再投資を行う案件だった(表1参照)。インドではスマートフォン部品の新工場を建設する計画だ。米国アップルは2026年末までに、米国で販売するiPhoneの組立生産を全面的にインドに移管する方針としており、EMSを担うホンハイはインドにおける製造能力の拡大に向けて継続的に資本投入を強化している(詳細は後編参照)。

その他のEMS企業による投資案件では、英業達(インベンテック)が、タイ子会社への増資を通じてノートPCおよびサーバー用のマザーボードの組立拠点を拡充した。

また、ASEANにおける生産需要の高まりの中で、生産設備や部材の供給を行う台湾企業の投資案件もみられた。光宝科技(ライトン)は、サーバーモジュールおよび民生用電子機器向け電源供給装置の生産業務を行うベトナム子会社に増資を行ったほか、台湾最大級のプリント基板(PCB)メーカーの欣興電子(ユニマイクロン)は、タイにおいて複数回の増資を実施してPCB製造能力を拡張した。

このほか、半導体分野では、ASEANで後工程の機能を強化する動きなどが目立った。頎邦科技(チップボンド)はマレーシアに新会社を設立、京元電子はシンガポール子会社を増資して、それぞれパッケージング・テスト事業を展開および強化するとした。これまで中国などで行ってきた後工程の生産プロセスをASEANなどに分散する傾向がみられている(2024年5月13日付2024年12月18日付地域・分析レポート参照)。

表1:2025年の台湾企業の主な対ASEAN投資案件(製造業関連分野)
企業名 投資先 投資額 概要
鴻海精密工業
(ホンハイ)
シンガポール
(最終投資先:インド)
14億8,900万ドル シンガポールのFOXCONN SINGAPOREへの増資を通じてインド子会社YUZHAN TECHNOLOGY INDIAへ再投資。
文曄科技
(WTマイクロエレクトロニクス)
シンガポール 4億7,040万ドル 茂宣企業が保有していたシンガポールのFUTURE ELECTRONICS INC.(DISTRIBUTION)(半導体、受動部品の卸売・小売会社)の株式49%を譲り受けた。
光宝科技
(ライトン)
ベトナム 2億ドル ベトナムのLITE-ON VIETNAMを増資し、サーバーモジュールおよび民生用電子機器向け電源供給装置の生産業務を行う。
頎邦科技
(チップボンド)
マレーシア 1億9,981万ドル マレーシアのCHIPBOND TECHNOLOGY MALAYSIA SDN. BHD. を設立し、半導体のパッケージングおよびテスト業務を営む。
鴻海精密工業
(ホンハイ)
シンガポール
(最終投資先:メキシコ)
1億734万ドル シンガポールのECMMS PRECISION SINGAPOREへの増資を通じ、電子製品のEMS事業を行うメキシコ子会社PCE Technology de Juarez S.A. de C.V.の株式を間接取得。
欣興電子
(ユニマイクロン)
タイ 1億228万ドル プリント基板(PCB)の製造・販売事業を行うタイのUNIMICRON(THAILAND)に対し増資を行った。
瑞儀光電 シンガポール 1億ドル シンガポールにRADIANT OPTO ELECTRONICS SINGAPOREを設立し、電子部品の卸売業およびファイナンスセンター業務を営む。
英業達
(インベンテック)
タイ 8,125万ドル ノートPCおよびサーバー用マザーボードの組み立てなどを行うタイのINVENTEC ELECTRONICS(THAILAND)への増資。
京元電子 シンガポール 7,797万ドル 半導体の封止・テストを行うシンガポールのKYEC SINGAPOREへの増資。
欣興電子
(ユニマイクロン)
タイ 7,540万ドル プリント基板(PCB)の製造・販売事業を行うタイのUNIMICRON(THAILAND)に対し増資を行った。
鴻海精密工業
(ホンハイ)
シンガポール
(最終投資先:メキシコ)
6,984万ドル シンガポールのFOXCONN SINGAPOREへの増資を通じて、メキシコ子会社で電子製品の売買事業を行うeCMMS S.A. de C.V.およびFoxconn Baja California S.A. de C.V.の株式を間接取得。

出所:台湾経済部投資審議司発表資料からジェトロ作成

中国国内の成熟した生産エコシステムを活用する動きも

中国向け投資は、前年比59.0%減の14億9,887万ドルだった。構成比は近年減少傾向で、2025年にはシェア3.8%まで低下した。

前述のとおり、EMSなど台湾ICT製造企業においては、特に米国市場向けの製品で中国から生産拠点を移管する「チャイナプラスワン」を進めてきた中で、中国における新規投資は限定的だ。他方で、台湾の公的シンクタンクの資訊工業策進会(台湾資策会)産業情報研究所(MIC)の専門家は、ノートPCの生産などにおいて、従来から中国で構築されてきた生産エコシステムを活用する動きも加速していると指摘する。同専門家によれば、中国の生産エコシステムは、コスト競争力のある部品調達、モジュール化された設計、迅速な量産立ち上げなどの特徴が挙げられる。また、設計検証や認証のプロセスも台湾と同等レベルの体制を備えているという。こうした成熟したエコシステムを活用することで、中国市場に加え、東南アジア、南米など価格感度の高い新興市場への展開において競争力強化につながることから、台湾ブランドのみならず、米国ブランドでも活用する動きがみられると指摘する。

対米投資はサーバーの組み立て拠点拡充の動きが活発

米国向けの投資は、近年TSMCによる大型投資などが牽引する構造が強まっている。2020年12月のTSMCアリゾナ設立に関する投資認可後、2023年には同社への合計80億ドルの増資が、2024年には合計125億ドルの増資が行われた。これらの投資が牽引するかたちで、対米投資は2023年に96億9,004万ドル、2024年には141億2,649万ドルと2年連続で過去最高額を記録した。

また、TSMCは2025年3月にアリゾナ州における先端半導体製造事業に対して追加投資を行うことを発表。同発表では、少なくとも1,000億ドルを投じて、新たに3つの工場を建設するとともに、2つのパッケージング施設、研究開発(R&D)のための施設を建設する予定とした(2025年3月4日付ビジネス短信参照)。MICの専門家は、TSMCの顧客とされるアップルは、追加関税リスクへの対応として、米国内のサプライチェーンを拡大し、中核部品の管理能力を強化していると指摘する。また、在台湾の民間シンクタンクのアナリストは、「TSMCが米国からアリゾナ工場の設置の要請を受けた当初は、チップの先端技術の米国内製造を求められたかたちだったが、トランプ2.0以降は先端パッケージングなどのプロセスを含むサプライチェーン全体の移管を求めるなど、要求のレベルが変化している」と指摘する。

2025年の米国向け投資は、前年比63.5%減の51億5,358万ドルだった。なお、上述のTSMCによる追加投資案件は未計上とみられる。2025年の主な米国向け投資案件を見ると、旺盛な人工知能(AI)需要を受けてデータセンターなどの建設が相次ぐ中、大手EMSなどによるサーバーの組み立て拠点の強化に関する投資案件が目立った。最大の投資額となったのは、ホンハイによる案件で、投資額は7億3,500万ドルだった。このほか、緯創資通(ウィストロン)および同社から分社化されたクラウド向けサーバー専業企業の緯穎科技服務(ウィウィン)、仁宝電脳工業(コンパル)、英業達(インベンテック)も軒並み関連投資を行った。各社はノートPCやスマートフォン事業ではASEANおよびインドなどで生産能力を強化する一方、サーバー事業では米国向け投資を強化している(詳細は後編参照)。

表2:2025年の台湾企業の主な対米国投資案件(製造業関連分野)
企業名 投資額 概要
鴻海精密工業
(ホンハイ)
7億3,500万ドル PROJECT ETA(DE)を設立し、モジュール型データセンターおよびサーバーの組立・製造事業を行う。
美時化学製薬 6億5,800万ドル 西洋医薬品の製造、医薬品および医療用品の小売事業を行うNEW ALVOGEN GROUPの全株式を間接的に取得。
緯穎科技服務
(ウィウィン)
5億ドル 高密度サーバーおよびストレージ設備の販売などの事業を行うWIWYNN INTERNATIONALに増資。
緯創資通
(ウィストロン)
4億5,500万ドル サーバー製造事業を行うWISTRON INFOCOMM(USA)に増資。
仁宝電脳工業
(コンパル)
4億2,500万ドル COMPAL USA HOLDINGへの増資を通じ、 サーバー製品事業を展開するCOMPAL USA TECHNOLOGYに再投資。
祥碩科技
(アスメディア)
3億9,110万ドル 集積回路(IC)設計事業を行う米国 TECHPOINTの株式100%を取得。
緯穎科技服務
(ウィウィン)
3億ドル 米国にWIWYNN TECHNOLOGYを設立。クラウドサーバー製品の生産および販売(流通)サービスの提供を行う。
緯穎科技服務
(ウィウィン)
2億5,000万ドル クラウドサーバー製品の生産および販売(流通)サービスの提供を行うWIWYNN TECHNOLOGYに増資。
元太科技工業
(イーインク)
1億ドル 主に電子インクの研究開発および製造事業を手掛ける米国のE INKに間接増資。
英業達
(インベンテック)
8,500万ドル INVENTEC USへの増資を通じ、米国でサーバーの組立事業を行うINVENTEC(USA)に再投資。
仁宝電脳工業
(コンパル)
7,500万ドル 米国にCOMPAL USA HOLDINGを設立し、同社を通じて米国にCOMPAL USA TECHNOLOGYを設立。北米向けサーバー製品事業を展開する。

出所:台湾経済部投資審議司発表資料からジェトロ作成

輸出においても米国の存在感が急速に高まる

米国におけるサーバー事業活発化の動きは、台湾の貿易構造にも影響をもたらしている。2025年の台湾の輸出は前年比35.1%増の6,407億5,899万ドル、輸入は23.2%増の4,941億4,500万ドルで、貿易収支は1,466億1,399万ドルの黒字となった(注2)

主な輸出先を見ると、全体の30.9%を占める米国向けが、前年比78.2%増の1,982億630万ドルと輸出全体を大きく牽引した。米国の構成比は上昇傾向を続けており、2025年に初めて中国(含む香港)を上回り、台湾にとって最大の輸出先となった(表3および図2参照)。

米国向け輸出を品目別(HSコード6桁ベース)に見ると、自動データ処理機械のユニット(HS847180、構成比40.1%)、同処理装置(HS847150、同21.2%)、同部品・付属品(同847330、同7.3%)の3品目で対米輸出額全体の7割弱を占める。いずれも、データセンター向けサーバーやネットワーク機器を構成する中核部材とされる。台湾が優位性を持つ先端半導体などが搭載された中核部材を輸出し、米国内でのサーバー組み立て工程を支えるかたちでサプライチェーンが形成されている。

表3:台湾の輸出先(輸出額上位10カ国・地域)注:伸び率は対前年比。
順位 輸出先 2019年 2024年 2025年
金額
(100万ドル)
金額
(100万ドル)
金額
(100万ドル)
構成比
(%)
伸び率
(%)
1 米国 46,350 111,216 198,206 30.9 78.2
2 中国(香港含む) 132,535 150,374 170,517 26.6 13.4
3 シンガポール 18,202 33,688 40,400 6.3 19.9
4 マレーシア 9,411 19,859 37,689 5.9 89.8
5 日本 23,397 25,789 30,020 4.7 16.4
6 韓国 17,017 20,765 26,613 4.2 28.2
7 メキシコ 2,849 7,896 21,991 3.4 178.5
8 ベトナム 10,785 14,255 18,170 2.8 27.5
9 タイ 5,523 11,797 12,817 2.0 8.6
10 インド 3,299 7,880 9,218 1.4 17.0
合計(対世界) 330,413 474,259 640,759 100.0 35.1

注:伸び率は対前年比。

出所:グローバルトレードアトラスからジェトロ作成(原典:台湾財政部)

図2:台湾の輸出額に占める構成比の推移
図2は台湾の輸出額に占める米国と中国(香港含む)の構成比について、2019年から2025年までの推移を示した折れ線グラフ(単位は%)。中国は(2019年から順に、以下同)、40.1、43.9、42.3、38.8、35.2、31.7、26.6。米国は、14.0、14.6、14.7、15.7、17.6、23.5、30.9。

出所:グローバルトレードアトラスからジェトロ作成(原典:台湾財政部)

台湾からの直接輸出においても米国の存在感が高まる中で、米国の通商政策への対応は、台湾および台湾企業にとって引き続き大きな課題となっている。

米国にとって台湾は、中国、メキシコ、ベトナムに次いで第4位の貿易赤字相手国だ。米国は台湾に対する相互関税率(注3)を、2025年4月に32%、同年7月の大統領令では20%と発表していた。この際、対米輸出主要品目の半導体関連品目は対象外とされたが(注4)、米国は2025年4月から1962年通商拡大法232条に基づく半導体などへの追加関税導入について調査を実施しており、同関税措置の行方に大きな注目が集まっていた。

台湾行政院は2026年1月16日、米国との間の通商合意について相互関税率を15%として最恵国待遇(MFN)税率の累加なしで妥結したと発表した(2026年1月19日付ビジネス短信参照)。また、米国は同合意発表に先立ち、1月14日に1962年通商拡大法232条に基づき特定の半導体に対して25%の追加関税を課す大統領令を発表したが、同合意では台湾の半導体メーカーおよび関連製品企業に最恵待遇を与えることを約束したとされている。また、輸入される半導体が米国内のデータセンターで使用される場合など、現行の追加関税措置では複数の適用除外措置が設けられていることから(2026年1月15日付ビジネス短信参照)、台湾企業への影響は現時点では限定的との見方が大勢だ。

他方、米台間の合意事項の中には台湾企業が半導体やAIアプリケーションなどの産業で自主的に2,500億ドルの対米投資を行うことなども盛り込まれた。既出のMICの専門家は、投資額の規模を踏まえると半導体関連投資が中心になるとの見方を示した。今後のさらなる投資促進に向け、米台間で締結された相互貿易協定の中で、「双方の協力により米国で科学園区を1カ所以上設置し、人材育成や研究開発協力などを重点に、台湾の投資家が行政・規制上の許可を円滑に取得できる環境を整備する」との事項が盛り込まれている(2026年2月25日付ビジネス短信参照)。

半導体とその応用先であるICT産業のサプライチェーンにおいて、台湾企業は台湾域内外でグローバルにサプライチェーンを構築しながら、最大の取引先として米国企業と、最大の消費地として米国市場と深く結びついたビジネスを展開している。トランプ2.0の通商政策の下、米国における台湾企業の投資動向は、当該企業の米国内のビジネスのみならず、グローバルサプライチェーンにも大きな影響を及ぼすと考えられる。主要な製品領域における企業動向を地域横断でみていく重要性が高まっているといえよう。後編では、ICT産業の主要製品分野におけるサプライチェーンの変化について詳しく見ていく。


注1:
インド向けの投資額は過去6年間1億ドル台で推移しているが、投資審議司の対外直接投資統計は台湾での認可ベースの統計であることから、第三国(シンガポールなど)経由で投資されるケースは計上されていない点には留意が必要。なお、ホンハイは2023年8月にインドでスマートフォンおよび同部品を扱う子会社への投資認可を受けた際にも、シンガポール子会社への増資(ベトナム事業とインド事業の合計で3億2,852万ドル)を経由して投資を行っていた。 本文に戻る
注2:
台湾財政部の貿易統計を基に、貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値。 本文に戻る
注3:
米国連邦最高裁は2月20日に、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき課した「相互関税」および「フェンタニル関税」などにつき権限を超過しているとして無効と判断した(2026年2月24日付ビジネス短信参照)。 本文に戻る
注4:
米国大統領令(2052年4月2日)の付属書2に列挙されている医薬品、半導体、重要鉱物、エネルギーおよび関連製品などは、11月17日時点で相互関税の対象外とされている。また、4月5日に遡及(そきゅう)してスマートフォンなどを対象外に追加、大統領令(9月8日)で付属書2を一部修正。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ調査部中国北アジア課 課長代理
小林 伶(こばやし れい)
2010年、ジェトロ入構。海外調査部中国北アジア課、企画部企画課事業推進班(北東アジア)、ジェトロ名古屋などを経て2019年6月から現職。