トランプ米大統領、232条に基づき一部の半導体へ追加関税賦課を決定

(米国)

ニューヨーク発

2026年01月15日

米国のドナルド・トランプ大統領は1月14日、1962年通商拡大法232条に基づき、特定の半導体に25%の追加関税を課す大統領布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。ホワイトハウスは同日、ファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも発表した。米国税関・国境警備局(CBP)も同日、ガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

商務省産業安全保障局(BIS)は2025年4月1日、232条に基づき、半導体などの輸入に対して調査を開始し(2025年4月15日記事参照)、商務長官は同年12月22日に大統領に報告書を提出した(注1)。報告書では、米国における半導体や、先進リソグラフィー・エッチング装置などの特定の半導体製造装置などの生産能力は、米国内の需要を満たすには不十分で外国に依存せざるを得ないこと、米国は世界の半導体の約4分の1を消費しているにもかかわらず必要な半導体の約10%しか米国内で生産できていないことなどを指摘し、現在の半導体、半導体製造装置、それら派生品の輸入量は、米国の安全保障を損なう恐れがあると結論付けた。これを受けトランプ氏は、安全保障上の脅威に対抗するため、次の措置を取ると決めた。

  • 商務長官と米国通商代表部(USTR)代表は、半導体などの輸入に伴う安全保障の脅威に対処するため諸外国との交渉を実施・継続し(注2)、90日以内に大統領に交渉状況を報告する。大統領は報告を受け、半導体に関連する広範な輸入に対する関税賦課や米国内での製造を促進するためのプログラムを検討する(注3)。
  • 米国関税分類番号(HTSコード)8471.50、8471.80、8473.30に分類され、特定の仕様(注4)を満たす半導体の輸入に対して、米国東部時間2026年1月15日午前0時1分以降、25%の追加関税を課す。
  • ただし、輸入される半導体が米国内の、データセンターでの使用、修理または交換、研究開発用途、スタートアップ企業による使用、非データセンター向け民生用途、公共セクターでの使用を目的とする場合のほか、商務長官が米国の技術サプライチェーンもしくは半導体派生製品の国内製造能力の強化に寄与すると判断する場合は、追加関税の対象外となる。
  • 追加関税の対象となる半導体が他の232条関税の対象となっている場合、半導体への追加関税が優先され、それ以外の232条関税は課さない。また、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税、フェンタニルなどの流入防止のためのメキシコとカナダへの追加関税も課さない(注5)。

今回、追加関税の対象となった品目は限定的だが、大統領布告やファクトシートなどでは、今後、広範な半導体関連品目に追加関税を課す可能性が示唆されている。一方で、今回の大統領布告などでは、鉄鋼・アルミニウムと自動車部品に対して設けられた、対象品目拡大プロセス(2026年1月7日記事参照)に関する言及はなかった。米国の業界団体からは、半導体に対しても同様の追加プロセスが設けられることを懸念する声が上がっていた(注6)。

なお、現時点では、対象外となるデータセンター向け用途などの細かい定義は明らかでない。また、米国の関税措置に関する日米合意では(2025年7月28日記事参照)、半導体に232条関税が課される場合は日本を他国に劣後するかたちで扱わない、と規定されているが、この扱いも現時点では不透明だ。関連する品目を米国に輸出している企業は、状況を注視することが重要だ。

(注1)232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税などの措置を発動する権限を大統領に認めている。

(注2)大統領布告では、交渉相手国は明記されていない。相互関税発表後に各国・地域と行っている交渉を指すとみられる。

(注3)関税相殺プログラムが創設される可能性がある。関税相殺プログラムは、232条に基づく自動車部品への追加関税措置に対する緩和措置として導入されている(2025年11月4日記事参照)。

(注4)ファクトシートによれば、エヌビディアの「H200」やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の「MI325X」などが該当する。帯域幅などによって細かく条件が指定されており、詳細は大統領布告の付属書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)およびCBPのガイダンス参照。

(注5)関税払い戻し(ドローバック)の対象にはならない。

(注6)ジェトロによる2025年6月25日のインタビュー。

(赤平大寿)

(米国)

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