ジェトロ対日投資報告2021

2021年版のポイント

1.2020年の対日直接投資額は過去最高額に、2021年上半期は低調

  • 2020年の対日直接投資(ネット、フロー)は前年比61.8%増の7.1兆円となり、比較可能な2014年以降で最高額となった。地域別にみると、欧州が前年比351.3%増の4.1兆円で最多となった。
  • 2020年末の対日直接投資残高は39.7兆円で、7年連続で過去最高を更新した。
  • 2021年1~8月の対日直接投資額は前年比64.4%減となっている。グリーンフィールド投資件数(83件)も同期間は前年(144件)と比較して少なく、今後も新規投資案件の動きは注視が必要。

2.新たな目標「対日直接投資残高を2030 年に 80 兆円、GDP比で12%」を設定

  • 2021年6月の対日直接投資推進会議では「対日直接投資促進戦略」を決定、「対日直接投資残高を2030 年に 80兆円、GDP比で12%とすることを目指す」ことを新たな目標として設定した。
  • 同戦略では3つの柱として、(1)デジタル・グリーンの新市場の創造とイノベーション・エコシステムの構築、(2)グローバルな環境変化に対応したビジネス環境整備の加速、(3)地域の強みを活かした官民連携による投資環境整備が挙げられた。

3.日本でのビジネスについて、半数以上の外資系企業は「現状維持」と回答

  • 経済産業省の「外資系企業動向調査」によると、今後の事業展開について事業を縮小することを考えている外資系企業は少なく、「現状維持」が半数以上。3割ほどの外資系企業は「営業・販売・マーケティング機能の拡大を図る」と回答。
  • 新型コロナウイルスによる自社ビジネスへの影響については、「受注が減った」が約6割を占めた。今後もそれら影響が続く場合のビジネス上の課題として、顧客の維持や新規顧客の開拓と回答した外資系企業が6割以上を占めた。

4.2020年度におけるジェトロの外国企業支援実績は、成功件数96件

  • 2020年度にジェトロの対日投資促進事業にて支援を行った企業は1,020件で、そのうち日本に拠点設立を行った、あるいは日本でのビジネス拡大に至った企業は96件であった。
  • 2020年度の成功案件を親会社の出身地域別にみると、アジアが37.5%、欧州が29.2%、北米が28.1%などとなった。
  • 2020年度に、ジェトロの支援を受けて拠点設立などを行った企業事例をみると、少子高齢化や地域間格差などに伴う自動化への需要に応じ、日本の社会課題の解決に貢献する企業の日本進出などもみられる。

※本報告書は、2021年10月時点のデータをもとに11月にとりまとめたものである。