日本での拠点設立方法

モデルケース解説

事前準備

(1)外資系企業の定義

外資系企業の明確な定義は各法令などにより異なる。経済産業省が認定している「特定対内投資事業者」では、外資比率が1/3を超える企業をいう。

(2)各種リサーチ

日本市場への参入を図る際には、自社の製品やサービスに市場競争力があるかどうかを含め、日本市場をよく知ることが不可欠。日本国外において日本市場に関する情報を得ることができる機関は、ジェトロをはじめ、国際会計事務所やコンサルティング会社など。

(3)駐日代表者の決定

日本での拠点設立作業を実際に進める責任者として、駐日代表者を決めておく必要がある。ポイントは、拠点設立作業をスムーズに進めるために、駐日代表者にかなりの意思決定権限を持たせること。最近では、日本の顧客との折衝や立ち上げ準備をスムーズに行うため、当初より日本人代表者を雇用するケースも増えている。

(4)駐日代表者長期滞在用ホテル

日本進出の目処がたったら、駐日代表者は当初出張ベースで来日し、拠点設立準備に取りかかることになる。具体的な各種手続については別途説明するが、それらの事前準備には通常3ヵ月程度必要である。この間、駐日代表者は長期滞在用ホテルやマンスリーマンションに滞在するケースが多い。
滞在先を決める際は、英語対応可能か、駅からのアクセスはよいかなどの点に留意するとよい。

(5)テンポラリーオフィス

設立準備段階では、様々な作業をこなし、いろいろな人と会う必要があるため、3ヵ月程度テンポラリーオフィスを借り、少なくとも連絡用の電話やFAXなどを持つことが望ましい。
テンポラリーオフィスは、ジェトロの対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)あるいは地方公共団体や民間企業が運営しているものを用途・予算によって選び分けることをお薦めする。民間企業運営のテンポラリーオフィスは、リース料および入居時の保証金(退去時に返還されることが多い)が数十万円以上かかるが、秘書サービスをはじめ各種サービスが充実しており、必要なサービスを実費精算方式で選ぶことができる。

一方、ジェトロのIBSCは原則50営業日無料で利用できる。1人部屋で約10平方メートル、2人部屋で約12~16平方メートル。電話・FAX、コピーなど基本的なビジネスサービスも整っている(実費負担)。IBSCを利用する最大のメリットは、ジェトロの手厚いサポートが受けられること。業種分野別のアドバイザーをはじめ、会計士や税理士、労務管理やビザ・法人設立に関する専門家が常駐し、個別コンサルティングを受けることができる。また、各種の情報提供サービスも充実している。日本でのビジネスが成功するようジェトロスタッフあげてサポートしているので、ご利用を希望される際は、まず最寄りのジェトロ事務所にお問い合わせください。

拠点設立

日本での拠点設立の形態には、子会社(日本法人)、支店、駐在員事務所などがある。拠点設立手続は複雑であり、かつ日本語で行わなければならないため、プロフェッショナル(弁護士・司法書士・行政書士など)に依頼することが多い。また、会社設立までには余裕をみて3ヵ月程度は予定しておいた方がよい。

(1)事前準備

会社を設立するにあたり事前に準備しておくこととしては以下の作業が挙げられる。

  1. 1.

    目的の検討

    「目的」とは会社が営む事業内容のこと。会社は定款に記載された目的の範囲内でしか活動を行うことができないため、はじめにしっかり検討を行う必要がある。

  2. 2.

    商号の決定

    会社の商号は定款で定め、登記しなければならない。商号は日本文字(ひらがな、カタカナ、漢字)もしくはアルファベットを用いることができる。不正の目的をもって他の会社と誤認させる商号を使用した場合には、設立後に差し止め請求などを受ける恐れもあるので、ほかにも同じ商号があると予想される場合には、あらかじめ調査しておくとよい。

  3. 3.

    許認可事項の有無の確認

    会社設立後、実際に事業を始めるにあたって、事業内容によっては官公署の許認可や届出が必要な場合もあるため、事前に確認しておくことが望ましい。

  4. 4.

    外為法上の事後報告および事前届出の要否の確認

    日本に拠点を設立後、原則として設立日の属する月の翌月15日までに日本銀行へ事後報告の提出が必要となる。(事前届出の提出を要する場合、取引又は行為を行う日の6ヵ月前以降、審査期間を見込んで届出る必要がある。)詳細については日本銀行へ問い合わせてもよいが、プロフェッショナルに相談する場合が多い。

  5. 5.

    個人の印鑑作成および印鑑証明取得

    会社の代表取締役などに就任する者は、個人の実印(居住地を管轄する役所に登録した印鑑)を作成する必要がある。日本では署名に代えて記名捺印をすることにより本人であることを示すことが一般的である。会社登記前に準備しておく必要があるが、印章屋にて5,000円程度から作成可能である。また、実印であることを証明する印鑑証明(役所から発行を受ける)も設立手続を進める上で数枚必要となる。なお、印鑑証明は、在留カードを所持していなければ取得できないので注意を要する。

  6. 6.

    会社の印鑑作成

    会社名が確定したら、会社の印鑑を作成する。通常は代表印(=会社の実印)、銀行印、社印の3本セットを作成する例が多い。印章屋にて1万円程度から作成可能である。代表印は会社の代表者が管轄法務局に届け出る印鑑のこと。個人印との兼用も可能であるが一般的には別にする。銀行印は銀行取引の際に使用する印鑑のことである。社印は領収書や請求書を発行する際に社名の上から押印する角印のことをいう。

  7. 7.

    払込取扱銀行の決定

    募集設立により株式会社を設立する場合には、出資金を銀行に払い込まなければならない。銀行が発行する「保管証明書」を登記申請の際に管轄法務局へ提出する必要がある。なお、銀行へ支払う手数料は、銀行により異なるので確認が必要である。発起設立においては、発起人、設立時代表取締役、設立時取締役の個人口座に出資金を払い込む方法も可能。この場合、預金通帳のコピーと出資金の払い込みがあったことを証明する書面を管轄法務局へ提出する必要がある。発起人、設立時代表取締役、設立時取締役全員が、海外に住所を置く場合、第三者に払い込みの受領を委任することができる。委任状、第三者名義の口座の預金通帳のコピーと出資金の払い込みがあったことを証明する書面を提出する必要がある。

    払込取扱銀行として、日本の銀行の国内本支店、海外支店、外国の銀行の日本国内の支店を利用することができる。

(2)登記の流れ

  1. 1.

    子会社(日本法人)の場合

    前述の準備作業が終わると、次に設立登記手続に移る。株式会社の場合、登記にかかる実費は約25万円~。これに前述の印鑑作成費用、払込取扱銀行手数料、さらにプロフェッショナルへの報酬等が加わる。報酬は依頼するプロフェッショナルによって異なるが、20万~50万円程度が相場のようである。

  2. 2.

    支店の場合

    会社設立と異なり定款を新たに作成することはないため、宣誓供述書を在日大使館で認証してもらう手続をとる(在日大使館が日本国内での手続を認めていない場合は、本国の公証人による認証が必要)。登記は比較的簡便に行うことが可能。登記にかかる実費は約10万円~。これに印鑑作成費用、さらにプロフェッショナルへの報酬が加わる。なお、会社でも支店でも営業活動においては、基本的に差はない。

  3. 3.

    駐在員事務所の場合

    広告、宣伝、市場調査など日本市場参入のステップとして有効な形態である。営業活動を行うことはできないが、原則として登記の対象にならないため登記費用は不要である。また税務届出なども不要である。営業活動を行う場合には、上記の子会社か支店という形態を選択する必要がある。

(3)いろいろなプロフェッショナル

日本には、その専門分野に応じた公的資格を持ったいろいろなプロフェッショナル(法律専門士業)が存在する。各資格者の業務範囲は、原則、管轄省庁別になっており、法律上、その資格のない者が、別の資格の独占業務を企業等の代理で行うことは許されていない。また、最近、行政手続きの電子化が進んでおり、各資格者は、それぞれの業務範囲で電子手続きを行うことができる。 プロフェッショナルの事務所では、他の専門士業事務所と提携している場合が多く、そうでない場合であっても、紹介を受けることができる。

  1. 1.

    弁護士

    訴訟当事者の依頼や裁判所の命令によって、当人を弁護することが主な業務。日本ではトラブルが発生してから弁護士に相談するケースが多いが、トラブルを未然に防ぐには事前に顧問契約を結び、逐次アドバイスをもらうことが重要である。

  2. 2.

    司法書士

    会社、法人や不動産などの登記申請の代理、これに関する書類の作成などを主な業務とする。会社、法人全般、不動産関係や金融機関などの場合は、業務上特に関わりが多い。

  3. 3.

    行政書士

    行政機関への各種申請の代行を主な業務とする。在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請などで依頼することが多い。

  4. 4.

    公認会計士

    監査業務を主な業務とする。日本では、会計監査、監査報告書の作成、監査意見の表明は公認会計士だけができる。

  5. 5.

    税理士

    会計帳簿の記帳代行、財務諸表の作成、税務関連の届出および申告書作成代行、税務相談など税務関連を行う。

  6. 6.

    社会保険労務士

    労働・社会保険並びに労働基準関連の手続、労務管理・労働紛争に関する相談などを主な業務とする。

  7. 7.

    弁理士

    工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)に関する事務全般を業務とする。

各種届出

会社設立登記が完了したら、各種届出の手続に入る。各種届出は、設立後10日~3ヵ月以内に日本語で行わなければならず、税務届出、社会保険関連届出においては複数の届出があり窓口が多岐に渡るので、プロフェッショナル(税理士、社会保険労務士など)に代行してもらうことが多い。

(1)外為法上の事前届出あるいは事後報告

日本に拠点を設立する際には、「国の安全保障」、「公の秩序維持」、および「公衆の安全」等に関連する業種は、事前届出が必要。それ以外の業種は、原則として設立の翌月15日までに日本銀行へ事後報告が必要となる。

(2)税務届出

国税を取り扱う税務署と地方税を取り扱う都道府県税事務所、東京23区以外は市町村への届出が必要となる。会計・税務事務所などのプロフェッショナルへ依頼することが多いが、今後事業を進めるにあたって、日常の会計処理などに関し継続的に会計・税務事務所と顧問契約を結ぶつもりであれば、同じ事務所に届出代行を依頼するのが効率的。顧問契約を考えていなければ、会社設立登記を依頼したプロフェッショナルなどに紹介を依頼するのも一つの選択肢である。

(3)社会保険関連届出

社員を雇用する場合には、社会保険および労働保険に加入することが法律で義務付けられている。社会保険は健康保険と厚生年金保険の両方(介護保険も必要な場合あり)、労働保険は雇用保険と労働者災害補償保険の両方に加入する必要がある。プロフェッショナルへ依頼する場合は、社会保険労務士に依頼することになる。会社設立登記を依頼したプロフェッショナルなどにまとめて依頼する場合は、実際の手続きをする者が社会保険労務士であることを確認した方がよい。

ビザの取得

駐日代表者が日本に居住し事業活動を行う場合には、就労ビザが必要となる。日本のビザの仕組みは、外務省(およびその出先機関である在外公館)と法務省(およびその関係機関である出入国在留管理庁)とにまたがっている。

(1)在留資格認定証明書

(1)在留資格認定証明書 就労ビザを取得するためには、基本的にまず日本の地方出入国在留管理局において在留資格認定証明書交付申請を行う必要がある。
在留資格認定証明書の申請にあたっては、就労ビザの種類を検討しなければならない。本サイトのモデルケースでは株式会社設立時は「経営・管理」、支店設立時は「企業内転勤」のステータスを前提としている。
まず、拠点設立のため、あるいは代理人が日本にいない場合は、申請者本人が短期滞在ビザ(ビザ相互免除取決め国については、指定された期間内の滞在であれば取得不要)を在外公館にて申請・取得し、出張ベースで日本に一旦入国しなければならない。すでに日本の設立拠点に職員がいる場合は、本人が来日しなくても当該職員が申請の代理人になり、書類の署名や申請をすることができる。
申請については、本人(及び申請人本人の法定代理人)や受入機関の職員その他の法務省令で定める代理人のほか、公益法人の職員で地方出入国在留管理局長が適当と認める者、さらには弁護士または行政書士で所属する弁護士会・行政書士会を経由して地方出入国在留管理局長に届け出た者が、書類提出等の手続を行うことができる。

(2)在留カード

在留カードは、入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人(中長期在留者)に対し、上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるものであり、中長期在留者は在留カードを所持して日本に在留することとなる。記載事項に変更があった場合には変更届出が義務付けられている。

(3)再入国許可

就労ビザを取得して入国した後、在留期間中の国外出張などに備えて再入国許可申請を行っておくと、その都度在外公館にてビザを取得する手間が省ける。再入国許可は最長5年間有効であり、許可の有効期限内に日本への再入国が一回に限り有効な「一回限り有効な再入国許可」と、有効期限内であれば何回でも出入国を繰り返すことができる「数次有効な再入国許可」の2種類がある。この申請は、パスポートと在留カードを持参し出入国在留管理庁で行う。なお、2012年7月9日以後、「みなし再入国許可」の制度が導入された。これにより、有効な旅券および在留カードを所持する外国人が出国する際、出国後1年以内に日本での活動を継続するために再入国する意図を表明して出国する場合は、原則として事前に再入国許可を受ける必要がなくなった。ただし、在留期限が出国後1年未満に到来する場合は、その在留期限までに再入国しなければならない。

オフィスセットアップ

オフィス探しには時間と手間を要するため、拠点設立作業の中でもかなり早い段階から取り掛かる必要がある。また、 会社設立登記や公的な届出、 在留資格認定証明書申請手続、銀行口座の開設、 従業員の採用などほとんどの拠点開設作業において、オフィスの住所が決定されていることが求められるため、早めの準備が必要である。

(1)オフィス仲介業者

外資系企業の場合、オフィス探しは、物件の品揃えが豊富で英語対応可能な大手オフィス仲介専門会社に依頼することが多い。仲介手数料として契約後に賃料の1ヵ月分かかることがあるものの、物件リストの無料提供、物件の見学および契約条件の交渉まで行ってくれる。直接オーナーにあたることも可能だが、自社の物件しか紹介しないため選択の幅が狭まってしまう。

(2)ロケーションの選定

ロケーションを決めるにあたっては、取引先やビジネス上の関係が深い企業に比較的近いこと、従業員の採用に支障がないこと、交通アクセスに優れていることなどが重要となり、利便性や賃料などを総合的に勘案し決定することをお薦めする。
また、通常のオフィス物件のほか、サービスオフィス(秘書サービスや備え付けの家具などがある/オフィススペースの拡張・縮小がフレキシブルにできるタイプ)やシェアオフィス(机・椅子のみのスペースで、他社とオフィススペースを共有)など多様なタイプのオフィスもある。

(3)商慣習の違い

オフィスを賃借する際の商慣習は、日本と欧米をはじめとする諸外国とではかなり異なるため、よく理解した上で交渉したい。特に、テナントの賃料不払いなどを担保する名目で取られる「保証金・敷金」が契約時に求められるため注意が必要である。賃料の10ヵ月分程度が相場である。通常は、退去時に原状回復にかかる費用を差し引いて返却される。また、共用部分の維持管理費として共益費を負担する必要もある。

(4)オフィスの規模

島型のオープンスペースというオフィスレイアウトが多い日本と異なり、欧米企業においては個人ブース型のオフィスが好まれるが、3人分のブースに加えて応接セットなどを考慮しても、50平方メートルほどの広さがあれば十分と思われる。ただし、新築ビルではあまり小さい面積では貸さないというところもあるため、よく調べることが肝心。

(5)オフィス内装工事

どのような内装工事を行うか、ビルの標準的な仕様がどのようなものかによって大きく異なる。

(6)オフィス機器、オフィスサプライ等

執務用の机や椅子、応接セット、パソコン、プリンター、電話機、コピー機などから文房具などの消耗品までいろいろなものが想定される。購入、リース、レンタルなど調達方法はいくつかあるため、事前に十分比較検討することが必要である。

(7)通信

固定電話はNTTの電話加入権を購入するか、インターネット回線を使ったIP電話に加入するかのどちらかである。どちらの場合にもメリット・デメリットがあるので、事前によく調べることをおすすめする。
固定電話がIP電話の場合は、携帯電話とインターネットを同一キャリアにすることによって、コスト削減ができる。

(8)損害保険への加入

最後に忘れてはならないものとして損害保険への加入が挙げられる。テナントが火元となって火災を起こしてしまった場合のオーナーに対する賠償責任や什器・設備の物損を補償するもので、オプションで休業損失担保や施設賠償責任担保などを付ける例が多い。

人事関連

日本での従業員採用においては、ハローワーク(公共職業安定所)や民間の人材紹介会社の利用、求人専門誌やインターネットでの募集、新聞での募集などの方法があるが、比較的高度な人材を探す場合や、スクリーニング等の手間を省きたい場合には、民間の人材紹介会社を利用することが多い。ここでは、マネージャークラスおよびアシスタントマネージャークラスの採用について触れる。

(1)マネージャークラス

通常、駐日代表者の下で働くマネージャークラスの年収は1,000万円前後が相場であるが、求める人材により大きく異なる。民間の人材紹介会社の紹介手数料は年収の35%前後と高くなるが、成功報酬ベースであり、条件に見合う人材が見つかるまで何度も面接を行うことができる。また、業界のビジネス経験、知識、人脈などが豊富な人材へのニーズが高いと思われるが、欧米に比べると人材流動性が未だ低いこともあり、条件が高すぎるとなかなか適当な人材は見つからない。紹介に要する時間は最低でも1ヵ月は見ておくべきである。

(2)一般事務員

一般事務員の年収は300~500万円が相場である。会社設立当初は様々な事務処理・雑務があるため、過去にそれらの業務の経験がある人材を雇うのも有効な手段である。民間の人材紹介会社を利用するのではなく、ハローワーク、求人専門誌、英字新聞、インターネットなどに募集広告を出すという方法もある。

(3)従業員に対する人事制度

従業員の採用にあたっては、採用条件の詰めと同時に、給与規定、人事考課制度、就業規則、年金プランなど人事制度が整備されていることが勤務の決め手となる。また、会社の形態(駐在員事務所、支店、法人)、地位(代表取締役、代表者、一般従業員など)、あるいは勤務条件により、従業員を雇用した際の労働保険と社会保険への加入義務関係が異なるので注意が必要である。

住居セットアップ

駐日代表者の日本での生活拠点探しも早急に取り掛かるべき作業の一つである。会社設立に際して、代表取締役に就任するためには印鑑証明が必要となるが、その証明を取得するには住居が決まっている必要がある。通常は、オフィス同様にブローカー(不動産仲介業者)へ依頼することが多い。

(1)不動産仲介業者

実際の住居探しは、物件の品揃えが豊富で英語対応可能な仲介専門会社に依頼することが多い。上述のような外国人が好む住居をメインに取り扱う業者もある。仲介手数料として契約後に賃料の1ヵ月分かかることもあるものの、時間と手間を考えると依頼した方が効率的。なお、実際の契約は個人としてではなく、法人として行うことが多いようである。

(2)ロケーションの選定

ロケーションを決めるにあたっては、職場への通勤に便利であること、母国人とのネットワーク形成が容易であることなどの生活環境を重視し、利便性や家賃などを総合的に勘案し決定することをおすすめする。

(3)商慣習の違い

住居を借りる際の商慣習は、日本と欧米をはじめとする諸外国とではかなり異なるため、よく理解した上で交渉したい。特に、借主の賃料債務を保証する目的で授受される「保証金・敷金」、借主が家主から権利をもらうお礼としての性格をもつ「礼金」に注意。敷金は退去時に原状回復費用を差し引いて返却されるが、礼金は一切戻らないのが一般的である。近年では敷金・礼金のない物件も増えてきている。

(4)住居の広さ

まさにケースバイケースである。単身であれば50平方メートル程度の1LDKから100平方メートルくらいまでと様々。

(5)水道光熱費など

生活するにあたって最低必要となる電気、ガス、水道について、日本では地域ごとに特定の事業体がサービスを提供している(東京の場合は「東京電力」「東京ガス」「東京都水道局」など)。入居時にすぐ使用できるようにするために、事前に入居日などを連絡しておく必要がある。
電話を引く場合には、NTTの電話加入権を購入するか、インターネットを使ったIP電話に加入するかのどちらかである。どちらの場合にもメリット・デメリットがあるので、事前によく調べることをおすすめする。

(6)その他

生活に必要な家具類については、本国から送る、日本で購入する、当初から家具類が備え付けられた住居を選ぶなどの選択肢がある。会社および駐日代表者の事情により十分検討することが重要である。
また、本国から荷物を送る場合には運送費用も考える必要がある。その際は、本国と日本の双方に拠点のある運送会社を使うのが便利である。

PRおよびウェブサイト開設

拠点設立作業がほぼ完了したら、今後のビジネスネットワークを広げるためにも、日本に拠点を開設したことを取引先や業界関係者に知らせるべく、プレスリリースの配信や会社案内などの印刷物によるPR、さらに開設記念パーティーを行うことも効果的である。また、在日の各国商工会議所のメンバーとして入会することにより、ネットワークを広げるということも多いようである。
最近では本国本社のウェブサイトに日本語ページを開設する場合も多い。日本で日本法人のウェブサイトを開設するには、ウェブサイト制作会社に依頼するのが便利である。料金はさまざまだが、簡単なものであれば10~20万円程度から制作可能である。

(2020年11月現在)

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