News & Reports for Japanese Companies

 地域・分析レポート 

カナダにおける日本食・日本産酒類の可能性を探る

2024年10月17日


近年、カナダにおける日本食人気が高まっている。カナダにおける日本食ブームは、日本と地理的に近い西部から始まり、東部に伝播(でんぱ)した。オンタリオ州トロントでは居酒屋やラーメンのブームを経て、焼きそば、カレー、串焼きなどの安価な日本食が浸透する一方で、高級モダン和食レストランが相次いでオープンするなど多様化が見られる。また、2023年9月に更新されたミシュランガイド・トロント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、星付きレストラン17軒のうち6軒が日本食レストラン、同年10月に発表されたバンクーバー版でも星付き全9軒のうち3軒が日本食レストランと、カナダにおける日本食人気の高さがうかがえる。


そのうち、ミシュランガイド・バンクーバーで一つ星を獲得した桶屋久次郎外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、2020年にケベック州モントリオールに開店した寿司(すし)と和食の完全予約制レストランで、2022年バンクーバーに開店した2号店に続き、2024年5月にトロントに出店するなど、カナダでの事業を拡大させている。2024年8月にはトロント店において、1647年創業で「醸し人九平次」という日本酒を製造する萬乗醸造とともに、フランス料理のシェフやソムリエに向けた日本酒イベントを開催するなど、各店舗において日本文化の発信にも取り組んでいる。


今回は、桶屋久次郎オーナーの松田卓也氏と、萬乗醸造外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの海外営業・醸造工学部門のマテイ・ガブリエル・ニコラエ氏に、カナダにおける日本食のトレンドや、今後の展望などを聞いた(8月26日)。


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 地域・分析レポート 

カナダの2023年新車販売は前年比11.8%増、生産は22.8%増

2024年10月8日


カナダの2023年の新車販売台数は、第4四半期(10~12月)の在庫改善と、ここ数年の繰り延べ需要により、前年比11.8%増と、厳しい経済状況を切り抜けるかたちとなった。メーカー別では、ゼネラルモーターズ(GM)が浮上して首位に、フォードが2位に後退したものの、引き続き米国系2社がトップを維持した。タイプ別で見ると、バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の合計であるゼロエミッション車(ZEV)の新車登録台数が前年比で49.4%増加し、市場シェアも10.8%と引き続き拡張基調を見せている。生産台数はほとんどのメーカーで増加し、全体では前年比22.8%増と大きく伸びた。日系がトップ2位を占め、そのシェアも上昇した。ZEV生産では、稼働開始や大規模投資計画を発表するなど、各社の動向が注目される。

販売台数は記録的な増加率で回復傾向に

調査会社デロジエ・オートモーティブ・コンサルタント(DAC)が2024年1月15日に発表した統計によると、カナダの2023年の新車販売台数は前年比11.8%増加の166万4,085台で、1997年以来では最大の伸び率となり、ここ数年の落ち込みから回復を成し得た年となった(表1参照)。2023年第4四半期(10~12月)には、在庫レベルの改善と、過去数年間の逆風の経済を克服したことによる繰り延べ需要が見られた。

メーカー別にみると、GMが前年比15.4%増の26万3,084台で、1位に浮上。フォードは前年比0.2%減の23万9,790台で、2位に後退した。トヨタは13.6%増の22万7,460台で、前年と変わらず3位。ステランティスは前年比6.3%減の15万9,152台で、4位を維持した。前年6位だったホンダは前年比20.7%増の12万4,628台、前年5位だった現代が12万2,285台で、前年比の3.4%増にとどまったことにより、順位が逆転して5位に浮上した。日系メーカーの販売台数が一様に増大した中で、特に三菱は前年比61.6%増と、際立って好調だった。


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 調査レポート 

カナダのスタートアップ・ビザ・プログラムについて(2024年8月)

2024年9月5日


移民国家カナダには、経済政策としてのイノベーション振興を移民政策と結びつけているという特徴がある。その一環として、既に他国での実績がある起業家のカナダへの移住とビジネスの拡大を促すことを目的としたスタートアップ・ビザ・プログラムがある。本レポートでは、カナダでのビジネス展開を検討する起業家、スタートアップ関係者を対象に、スタートアップ・ビザ・プログラムによるカナダ永住権の取得制度についてまとめた。    

発行年月:2024年8月
作成部署:ジェトロ・トロント事務所
総ページ数:7ページ
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 調査レポート 

カナダのイノベーション動向とスタートアップ事例(2024年8月)

2024年9月4日


カナダには最先端の情報技術や要素技術を活用・促進する企業創出のエコシステム(=生態系)が、各主要地域・都市で構築されている。本調査では、特にスタートアップやスケールアップなどの新興企業を育成するエコシステムに着目して、IT分野、ハードウェア分野、グリーン分野、バイオ・ヘルスケア分野におけるイノベーションの動向をまとめた。各分野におけるカナダ政府の取組みや、注目を集めるカナダ発のスタートアップについても掲載している。

発行年月:2024年8月
作成部署:ジェトロ・トロント事務所
総ページ数:29ページ
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 2023年度カナダ日系企業実態調査 

前年度より経営安定も雇用の課題が深刻化(カナダ)

2024年4月8日


ジェトロは2023年9月、カナダに進出する日系企業を対象に、アンケート調査(注)を実施した。この調査は、対象企業の経営状況や現地でのビジネス環境の変化などを把握することを目的にする。2023年度の調査結果PDFファイル(1.98MB)からは、在カナダ企業のうち、黒字を見込んだ割合はいまだ新型コロナウイルス禍前の水準には達していないものの、赤字を見込んだ割合は縮小していることや、在カナダ日系企業が雇用に関する課題を強く感じていることが分かった。

黒字割合は減少するも、赤字割合も減少

新型コロナ禍がカナダ経済と在カナダ日系企業に与えた影響は大きい。図1のとおり、新型コロナ禍が猛威を振るっていた2020年のカナダの実質GDP成長率はマイナス5.1%だった。これは過去に類を見ない値で、リーマン・ショックが起こった2008年のマイナス2.9%をはるかに下回るものだ。在カナダ日系企業でも、新型コロナ禍以前は、黒字を見込む企業の割合は75%付近で推移していた。しかし、新型コロナ禍の影響で2020年度に黒字を見込む企業の割合が53.8%に沈んで以来、新型コロナ禍前の数値には戻っていない。2023年度に黒字を見込む企業の割合は65.4%で、前年度の71.0%よりも大きく低下している。

だからといって、在カナダ日系企業の経営状況が必ずしも悲観的な状況というわけではない。黒字を見込む企業の割合が減少すると同時に、赤字を見込む企業の割合も減少傾向にある。過去最高の赤字割合を出した2020年度の数値26.6%から赤字割合は年々低下しており、2023年度の9.6%というのは、直近12年で最も低い数値となっている。


図1:営業利益見込みとカナダの実質GDP成長率
カナダにおいて黒字と回答した企業は、調査開始した1998年は71.3%であり、2000年に81.6%で最高を記録。以降2003年の64.9%になるまで下落し、2005年から2007年まで75%前後を推移。2009年に51.5%の最低記録となるも、自然で65.2%まで持ち直し、以降、2012年から2019年まで75%程度を推移。2020年に53.8%に下落の後、2021年に67.5%、2022年に71.0%となり、2023年度は65.4%を見込んでいる。カナダにおいて赤字と回答した企業は、1998年に21.1%、1999年に10.9%にまで下がるも、2001年に15.3%まで上昇お、2002年は10.0%にまで下がり、2003年には16.2%にまで再度上昇。2005年の7.4%から2008年の14.7%まで上昇を続けたのち、2009年に26.3%を記録、以後2019年に至るまで、多少の上下はありつつも10~15%前後を記録。2020年に26.6%を記録して以来、低下傾向にあり、2023年には9.6%にまで落ち着いた。カナダにおいて均衡と回答した企業は、調査開始した1998年は7.6%であり、2002年に22.5%となる。依頼、2022年になるまで10%から20%の間を推移。2023年に25.0%と、均衡を見込む企業は過去最多を記録した。カナダの実質GDP成長率は、再考で1999年と2000年の5.2%ののち、2001年には1.8%にまで下落。以降2%前後を維持していたが、2009年にマイナス2.9%にまで下落。2010年には3.1%に戻り、一時的な下落はあれど、安定していたが、2020年はマイナス5.2&の最低記録となる。2021年には反動もあり4.5%の成長、2022年は3.3%の成長であった。

注:回答企業数(2023年):104社。
出所:ジェトロ調査に基づき作成


業種別に状況を見てみたい。全業種では黒字を見込む割合は下がったものの、製造業の中で最多の有効回答があった自動車関連産業は7割を記録した。他方、赤字を見込む割合は全業種で軒並み前年から減少している。最も赤字を見込む割合が高い業種は鉄・非鉄・金属の28.6%だったが、それでも前年度の4割と比較すると、減少している。(図2参照)

図2:2023年の営業利益見込み(業種別)
カナダの日系企業において、黒字を見込む企業は65.4%、均衡を見込む企業は25.0%、赤字を見込む企業は9.6%であった。製造業は70.8%が黒字、22.9%が均衡、6.3%が赤字を見込んでいる。非製造業では、60.7%が黒字、26.8%が均衡、12.5%が赤字を見込んでいる。製造業のうち、プラスチック製品は100%が黒字と回答、自動車等部品は70.0%が黒字、20.0%が均衡、10.0%が赤字を見込んでいる。鉄・非鉄・金属は57.1%が黒字を、14.3%が均衡を、28.6%が赤字を見込音いる。食料品は赤字と回答した企業はなく、40.0%が黒字、60.0%が均衡を見込んでいる。非製造業のうち、販売会社の84.6%が黒字を見込み、均衡・赤字と回答した企業はともに7.7$だった。商社・卸売業は61.5%が黒字、30.8%が均衡、7.7%が赤字と回答した。運輸業・情報通信業はともに黒字が60.0%、均衡が40.0%であり、旅行・娯楽業は黒字が33.3%、均衡が50%、赤字が16.7%であった。

出所:図1に同じ


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 調査レポート 

Amazon.com等のカナダ国外の越境ECを活用したカナダへの商品輸出ガイド

2024年3月19日


ジェトロとAmazonは日本の事業者の商品を掲載・特集するストア「JAPAN STORE」をAmazon.com米国)に設置しており、隣国カナダの消費者への販売も狙えるプラットフォームとなっているが、関連する規制が不明確であるとして、カナダへの配送を不可とする出品者は少なくない。


本ガイドではそうした出品者向けに、カナダの消費者への商品販売について考慮すべき点をまとめている。またAmazon.com以外の越境ECプラットフォームへの出品を介してカナダの消費者への販売を検討している日本企業も、以下の3条件を満たす場合には本ガイドの対象となる。 (1)カナダの顧客が輸入者となり、(2)カナダに物理的な拠点を設けておらず、かつ(3)商品販売時に当該商品が物理的にカナダにない場合。


なお「付録A」(添付資料「Amazon.com等のカナダ国外の越境ECを活用したカナダへの商品輸出ガイド」5ページ目)では、輸入品として人気の5品目についてカナダの消費者が個人(非商業)使用目的で輸入する際に適用される、製品規制概要をまとめた。日本企業が個人(非商業)使用目的としたカナダの消費者向けにこれら品目を輸出する際には、付録Aの規制を遵守する必要がある。


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 調査レポート 

カナダ・オンタリオ州における日本産酒類および酒器の流通に関する調査(2024年3月)

2024年3月7日


本調査では、カナダ・オンタリオ州へ日本産酒類や酒器などの輸出を検討中の事業者を対象に、当該商品の市場概況をまとめた。オンタリオ州では、ウィスキーや日本酒など200を超える日本産酒類が販売され、輸入額は過去10年間で4倍、酒器などの関連製品の輸入額も2倍に増えるなど、消費は拡大している。酒類は州政府公社による専売制が敷かれているが、仕組みを理解すれば参入可能だ。日本産品は、「本物志向」の消費者のニーズを満たし、人口増などを背景に今後も需要が拡大する可能性が高い。


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 地域・分析レポート 

石油・ガス業界、CCSと低炭素燃料をGHG削減の切り札に(カナダ)

2024年2月19日


カナダ政府は2023年12月、石油・ガス部門で温室効果ガス(GHG)排出量に上限を設定する計画があることを発表した(2023年12月13日付ビジネス短信参照)。その狙いはもちろん、当該部門での脱炭素化を加速することにある。


現在時点で、そのGHG排出量削減目標は「前年の業界排出量の平均値以下」とされる(2023年9月27日付地域・分析レポート参照)。業界が一丸となって取り組まなければ、排出基準値が下がることもなく、成り行き任せな目標といえる。当部門では今後、政府主導で厳しい削減要求が課せられていくことになりそうだ。


もっとも、業界自体も、脱炭素化に向け精力的に取り組んでいる。本稿では、カナダの当該業界がGHG排出量削減に向けてどのように対応しているのか、解説する。


炭素回収・貯留(CCS)が切り札

脱炭素化に向けた施策について、当地業界はどう乗り切ろうとしているのか。切り札の1つと考えているのが、炭素回収・貯留(CCS)によるGHG排出量削減だ。


CCS事業は、アルバータ州とサスカチュワン州で先行開発が進められている。特にアルバータ州では、 (1)アルバータ・カーボン・トランクライン(ACTL/州政府が積極的に関与)や、(2)クエスト(シェル・カナダが主導)が知られている。


そのほか、(3)パスウエーズ・アライアンス(Pathways Alliance)も有力だ。カナダの大手オイルサンド企業6社が共同で、その事業を運営している。というのも、CCS事業では、必要な資金額や土地が極めて大きくなってしまいがちだからだ。個社が、そうした過大なリスクを負うのは避けたい。そこでアライアンスが取り扱い、各社共通の利益を創出できるようにした。この事業体では、a)オイルサンド事業からの二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに年間2,200万トン削減する、さらにb) 2050年までにCO2排出量を正味ゼロにする、という目標を掲げた。その達成に向けて、複数のプロジェクトを同時に進めている。


図1:パスウェイズ・アライアンスの炭素貯留地に向けたCO2輸送図

出所:カナダエネルギーセンターの情報を基にジェトロ作成


当該事業では、CO2を安全かつ恒久的に地下貯蔵する必要がある。そのため図1のとおり、オイルサンド採取地から炭素貯留のハブまでCO2輸送ラインが敷設される予定だ。まずは、複数のオイルサンド施設からCO2を回収する。それをアルバータ州コールドレイク地域のハブまで運び、貯留する。このCCSネットワークにより、オイルサンド事業に由来する正味CO2排出量削減が期待できる。2050年までに年間4,000万トンに拡大する見込みだ。こうして、CO2排出量の「正味ゼロ」が見えてくる。


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 海外マーケットセミナー 

カナダの日本食市場 2023年動向と2024年見通し -トロントとモントリオールを中心に-

2024年2月16日


カナダ市場における日本食外食産業と小売食品業界の2023年動向と2024年見通しについてお話する。主なトピックは以下のとおり。

・カナダ市場基本情報 ・高インフレや銀行金利の急激な上昇の市場への影響
・トロントにおける日本食と日本酒/ウイスキーの需要の高まり
・パンデミック中に事業方向転換して成功したトロントの日本食品小売企業の例
・トロントとモントリオールにおける日本食のトレンド ・ミシュランガイドが外食産業に与える影響
・カナダの流通チャネルと、食品・アルコール飲料分野の参入障壁
・カナダの 食品規制について(SFCR、レストランと外食サービス会社の両方に対するCFIA 検査)


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 海外発トレンドレポート 

カナダ(主にバンクーバー周辺)におけるライフスタイル分野(日用品)市場調査(カナダ・トロント発)

2024年1月19日


多文化国家であるカナダは、その積極的な移民政策により、人口が毎年1%前後増加、主要先進国トップレベルの増加率となっている。特に2023年第3四半期には3か月間で43万0635人(1.1%増)の人口増を記録。これは1957年第2四半期(1.2%増)以来の高い増加率である。一方、GDPは2024年推計値で世界10位、1人当たり名目GDPは約55,528米ドルと日本(34,555米ドル)の約1.6倍で、G7の中ではドイツと僅差の3位となっている。最低賃金は州によって異なるが、バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)では、時給16.75カナダドル(約1,800円、1Cドル=約108円)で、日本の最低賃金の約1.8倍の水準にある。カナダは高付加価値帯の商品購買力が高い国であると言える。


今回は、日本のサプライヤーにとってさまざまな商品のマーケットとしての将来性を感じられるであろうカナダで、主にバンクーバー周辺におけるライフスタイル分野(日用品)商品の市場について調査を行った。


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 注目度高まる北米グリーン市場、その最前線は 

カナダにおけるGHG排出量削減規制の現状

2023年9月27日


地球環境保護の観点から、温室効果ガス(GHG)削減の取り組みが欧州や米国で活発であり、各種環境規制が制定されている。米国の隣国であるカナダも例外ではない。むしろ、トップクラスのGHG排出規制を備えている。本稿では、カナダにおけるGHG排出量削減に関する規制が、何を対象としてどのように実施されているのかを解説する。


カナダのGHG排出に関する現状

2021年におけるカナダの産業別のGHG排出量を比較した図を以下に示す(図1参照)。最も排出量の多い部門は石油・ガスである。これはカナダが世界第4位の産油国であり、中でも石油精製時のGHG排出量が原油よりも多いオイルサンドであることとも関係している。次にGHG排出量が多いのが、自動車からの排ガスを主体とする運輸部門である。この他、建築物、重工業、農業と続くが、重要なのは石油・ガス部門と運輸部門でカナダ全体のGHG排出量の約半分を占めている点だ。従って、この2部門からのGHG排出をどう抑えるかが削減のポイントとなる。


図1:カナダの部門別GHG排出量・割合(2021年)

注:Mtは100万トンの略。
出所:カナダ環境・気候変動省


続いて、各州によるGHG排出量を比較したのが図2である。興味深いのは、人口が密集しているオンタリオ、ケベック、ブリティッシュ・コロンビア州と、主要産油州であるアルバータ、サスカチュワン州の5州が突出している点である。2021年は、これら5州でカナダ全体の90%以上のGHG排出量を占めた。

図2:カナダ各州でのGHG排出量比較

注:グラフ横軸に記載されているのは各州・準州の略称。それぞれの名称は次のとおり。
NL(ニューファンドランド・ラブラドール)、PE(プリンスエドワード島)、NS(ノバスコシア)、NB(ニューブランズウイック)、QC(ケベック)、ON(オンタリオ)、MB(マニトバ)、SK(サスカチュワン)、AB(アルバータ)、BC(ブリティシュ・コロンビア)、YT(ユーコン準州)、NT(北西準州)、NU(ヌナブト準州)
出所:カナダ環境・気候変動省


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 注目度高まる北米グリーン市場、その最前線は 

脱炭素政策とともに注目度増す、北米グリーン市場(総論)

2023年9月27日


各国で気候変動対策が進んでいる。北米も例外ではない。米国のジョー・バイデン大統領は、2020年大統領選挙時から「2050年までのカーボンニュートラルの実現」を公約の1つに掲げ、大統領選挙の勝利宣言直後に発表された4つの優先政策課題の1つにも気候変動対策を含めた(注1)。2021年の大統領就任後は、パリ協定への復帰や気候変動対策に資する法律の制定など、公約を実現すべく行動に移している。カナダでも、ジャスティン・トルドー首相が2021年に、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を2005年比で40~45%まで削減することを発表するなど、積極的に政策を展開している。


カーボンニュートラルの実現に向けた政策の後押しが強まるにつれ、北米において電気自動車(EV)の普及が加速し、再生可能エネルギー(再エネ)を積極的に導入する州がみられ、クリーンテックの発展を促すエコシステムが形成されるなど、伝統的なエネルギー産業には必ずしもとらわれない「グリーン市場」が拡大している。本特集では、政策の後押しを受け注目度が高まる、北米グリーン市場の最前線を追う。


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 特集:各国が描く水素サプライチェーンの未来 

多様な水素の活用目指す連邦政府

    カナダにおける水素戦略(1)

2023年6月9日


カナダ政府は2020年12月、2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロ達成と35万人の雇用創出に向けて、水素の製造や利活用推進方針をまとめた「カナダのための水素戦略(Hydrogen strategy for Canada)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 」を公表した。カナダは年間推定300万トンの水素を製造しており、世界でトップ10の水素製造国の1つである。さらに、連邦レベルのみならず州や準州、地域レベルでも、戦略やロードマップ策定などの動きが進んでいる。本レポートの前編では、連邦政府の水素戦略を概観し、後編では、カナダ国内で進む主要プロジェクトのほか、新たに注目される地方の特色について報告する。


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 特集:各国が描く水素サプライチェーンの未来 

州・準州レベルでも戦略策定進む

    カナダにおける水素戦略(2)

2023年6月9日


前編では、カナダ連邦政府の水素戦略を概説した。一方で、州や準州も、水素に関する戦略やロードマップの策定を進めている。後編では、これまでの水素先進エリアである主要4州(アルバータ、オンタリオ、ケベック、ブリティッシュ・コロンビア)に加え、新たに注目される大西洋諸州などにおける水素戦略を解説する。


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 調査レポート 

カナダ、強制労働に関する法案可決、上場企業などへ関与防止措置などの報告を義務付け(2023年5月)

2023年5月10日


カナダ下院は5月3日、「サプライチェーンにおける強制労働、児童労働との闘いに関する法律を制定し、関税率を改正する法案(S-211)」を可決した。同法案は2021年に上院に提出され、2022年4月に可決されていた。この度の下院での可決により、同法案は国王裁可を経て法律となり、2024年1月1日の発効が見込まれる。同法は、特定の政府機関や民間企業に対し、自社または自社のサプライチェーンで強制労働または児童労働が使用されるリスクを防止・低減するために取られた措置を報告する義務を課す。また、事業体に適用する検査制度を規定するとともに、事業体に一定の情報提供を求める権限を大臣に付与する。さらに、全部または一部が強制労働または児童労働によって製造または生産された物品の輸入を禁止すべく、関税定率表を改正する。


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 特集:進む北米のEV化、各地域の市場と政策を探る 

EV市場に大きな成長余地、充電基盤整備が課題(カナダ)

2022年10月24日


カナダでは現状、中国や欧州などに比べて緩やかに電気自動車(EV)が普及しているのが実情だ。しかし、政府は、(1) 2050年までに、温室効果ガス(GHG)排出量ゼロ、(2) 2035年までに、乗用車・ピックアップトラックの新車販売について100%、無排出車(ZEV、注1)化、という目標を掲げる。そうしたカナダで、EV市場の成長余地は大きい。充電インフラの整備や販売価格の低下など、条件が整うと、急速に拡大する可能性を秘めている。


カナダ統計局が2022年4月21日に発表したカナダ全国の2021年の新車登録台数(カナダ統計局ウェブサイト参照)新しいウィンドウで開きますは、164万6,609台。このうち、バッテリー式電気自動車(BEV)は5万8,726台、プラグインハイブリッド車(PHEV)は2万7,306台だった。いずれも、前年実績(BEV 3万9,036台、PHEV 1万5,317台)を大きく上回った(表1参照)。


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 調査レポート 

いまこそ活用すべきカナダのイノベーションエコシステム(2021年5月)

2021年6月1日


最先端の情報技術や要素技術を活用・促進する企業創出のエコシステム(=生態系)が、各主要地域・都市で構築されているカナダ。
本レポートでは、特にスタートアップやスケールアップなどの新興企業を育成するエコシステムに着目して、カナダにおけるオープンイノベーションの取り組みを中心に考察、また、日本の各産業分野がカナダのエコシステムを活用し、連携できる可能性についても解説しました。

付属資料として、カナダの主なスタートアップ・スケールアップ企業を市場セグメントごとにまとめた「カオスマップ」を掲載しています。


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レポートはこちらから新しいウィンドウで開きます  (Japanese)





 ウェビナー 

第4回 オープンイノベーション塾 カナダのスタートアップ・エコシステム―日本企業に開かれた協業の可能性― 



ジェトロでは、海外のスタートアップ等とのオープンイノベーションに取り組む日本企業や、これから取り組もうとしている日本企業の皆様に対して、その活動を進めるにあたっての”ヒント”となる情報をご提供する、セミナーシリーズ「オープンイノベーション塾 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を2020年度より開催しております。


第4回目となる今回は、カナダのスタートアップ・エコシステムをテーマに、現地のエコシステムの最新情報や現地スタートアップとの協業のコツをお伝えしました。

日時:2021年6月10日(木曜)9時30分~10時45分(Japanese)


ジェトロ・メンバーズ限定 ウェビナー アンコール放送については、こちらから外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
オンデマンド配信時間: 2021年7月14日(水曜)~2022年3月31日(日本時間)(木曜)


内容は、ビジネス短信 「AIの経験値が魅力、カナダエコシステム紹介ウェビナー新しいウィンドウで開きます」 (Japanese)

よりご確認いただけます。



 特集:北米イノベーション・エコシステム 注目の8エリア 

カナダのイノベーション・エコシステム、AIに世界が注目

2019年11月22日


カナダのトロントと約100キロ西に位置する研究都市ウォータールーを結ぶトロント・ウォータールー回廊は、世界で最も急速に成長しているイノベーションハブの1つだ。実際、トロント・ウォータールーは、スタートアップ・ゲノムの調査レポート「グローバル・スタートアップ・エコシステム・レポート2019」で、世界第13位、北米第6位に位置付けられている。この地域では、5,000以上のスタートアップを含む2万を超える企業、約80のアクセラレーターなどの支援機関、90以上の資金提供者がエコシステムを形成している。


全文は、こちらから外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Japanese)






カナダのAIエコシステム2018プロフィール(要約版)/
Canadian AI Ecosystem Report (Summary)


JETROでは今般、Green Technology Asia Pte Ltd社の協力のもと、同社の調査報告書の和訳を作成しました。

同調査は、カナダのAI(人工知能)企業297社や研究者、研究機関のインタビュー/分析を含みます。また、カナダAI業界、政策立案者、投資家や研究者についても言及されており、今注目のカナダのAIエコシステムを分かりやすくまとめた調査報告書となっています。

ダウンロードはこちらから新しいウィンドウで開きます (Japanese)




地域・分析レポート


AI中心に拡大するイノベーション・エコシステム(カナダ)

レポートはこちらから新しいウィンドウで開きます (Japanese)



ビジネス短信
世界主要国のAI研究者数、2万2,400人に増加、カナダAI企業調べ(カナダ、世界)

レポートはこちらから新しいウィンドウで開きます (Japanese)




カナダの交通インフラ市場調査(2017年2月)


本報告書は、カナダにおける現在のPPP市場の概要について提供するものである。
カナダの近代的なインフラの多くは、官民調達モデルと“PPPの優秀事例=ベストプラクティス”によって実施されており、世界中の事業者の注目を集めている。カナダにおけるPPPの実績は主に交通機関やヘルスケア産業であるが、この分野での成功が、エネルギー、防衛、文化を含む他分野のインフラでのPPPモデルの利用に繋がっている。カナダのPPPセクターで豊富な経験を持つカナダの企業、法律アドバイザー、コンサルタントもPPPプロジェクトのために世界レベルで競争力を持ち、専門知識を提供している。
この報告書は本調査実施時点(2017年2月現在)、ゼネコンなどのコンソーシアムを形成する企業だけでなく、サブコントラクターや機器納入のサプライヤーが参入可能と思われる進行中のプロジェクトを対象とし、その概要を紹介している。

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