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特集:アフリカにおける医療機器ビジネスの可能性厳しい価格競争市場、実情に即した市場開拓を(モザンビーク)

2021年10月18日

モザンビーク保健省の2020年度統計によると、同国の人口1,000人あたりの病床数は0.72床だ(注)。医療サービスの充実を推進する政府の計画では、公立医療施設のうち「病院」に区分される施設の数を増やすことになっている。具体的には、2020年時点の65カ所を2024年に114カ所にする。4年間で75%増という計算だ。医療機器市場の将来的な成長が、ここから見込めることになる。

その市場の特徴や近年の動向について、MLJのジョゼ・バンジ代表に話を聞いた(2021年8月24日)。バンジ代表は、アフリカ医療機器オンライン個別商談会(ジェトロ主催)にバイヤーとして参加した。


MLJ社のジョゼ・バンジ代表(ジェトロ撮影)

新型コロナウイルス対策で医療市場に変化

質問:
貴社のビジネスの概況は。
答え:
2012年の創業以来、一貫して病院向け医療機器、資材、企業のラボラトリー向けの分析機器の輸入販売、サポートを手掛けている。2019年には、入院設備も備えたクリニックをオープン。売り上げは約120万ドルに上った。
2020年からは、不動産事業も開始している。
質問:
新型コロナウイルス感染拡大で、モザンビークの医療機器市場に影響は。
答え:
医療用および一般向けのマスクや手袋など、ディスポーザブル製品に対する需要が増えた。また、市民の間で健康への関心が高まった。クリニック併設の薬局では、ビタミン系サプリメントの売れ行きが好調だ。
それらとは対照的に、当社が主力製品として取り扱う医療機器への需要は全般的に低下している。モザンビークでは、医療水準が低く、病院のキャパシティも小さい。新型コロナ患者への対応を優先させるために、待機手術や緊急性の低い手術は延期されている。新型コロナ以外の傷病に対する医療行為が相対的に減少した結果、プロフェッショナル向けの医療機器や付属消耗品に対する需要が落ち込んだ。
当社は創業時からの方針を変えず、医療機器や分析機器を中心に取り扱っている。ディスポーザブル製品の輸入は、機器類の輸入と比較して手続き上のハードルが低い。その分、競合他社も多い。当社としては、競争率の高い分野に事業領域を拡大するよりも、これまでのノウハウを生かせる分野でさらに成長していく戦略を立てている。引き続き医療機器や分析機器で勝負していくつもりだ。
当社にとって、新型コロナ禍による市況変化は厳しい。もっとも、我々はこれを一過性のものとして捉えている。今後、医療機器需要は回復していくと見ている。

参入の鍵は現地の市場、商慣習

質問:
モザンビークに進出する際に考慮すべき、同国の医療機器市場の特徴は。
答え:
モザンビークの医療機器市場には、大きく2つの特徴がある。
1つ目は、価格競争が激しいという点だ。モザンビーク国内に医療機器を製造するメーカーは存在しないため、すべての医療機器が輸入品だ。特に、中国製およびインド製の医療機器は、販売価格が他国製品のそれと比べて低いため、モザンビークの医療機器市場で近年、存在感を増している。実際、当社も2021年4月、インド製の機器を落札した。進出にあたっては、こうした他企業との価格競争が課題となる。
2つ目は、モザンビークの顧客は、慎重に製品を選定するという点だ。検討中の医療機器を使用している他の医療機関から話を聞くなど、情報収集を欠かさない。そのため、医療機器メーカーが商談を進めるにあたっては、サンプル品の提供やデモ機の設置を通して、使用感を体験してもらうことが重要になる。当社の営業担当者の場合、商談へ向かう際、サンプルを詰めたキャリーバッグを携行する。また、保健省から輸入承認を得る際の審査プロセスでも、サンプルの提示を求められるケースがある。こうした背景から、当社は、医療機器の販売促進のため、実機を陳列したショールームを開設する計画を立てている。

顧客訪問時に持参する営業ツール(ジェトロ撮影)
質問:
日本製医療機器の可能性、日系メーカーへの期待は。
答え:
日本の医療系メーカーは、企業規模の大小にかかわらず技術力が高い。また、豊富な製品ラインナップをそろえている。モザンビークでも、日本の技術力に対する評価は高く、そのブランド価値は他国製品に対する差別化のポイントとなる。
他方、既に述べているように、モザンビークの医療機器市場は価格競争が激しい。顧客の製品選定も慎重だ。価格や販売方法など、当地に適したビジネスモデルで市場に参入することが重要になる。

注:
公立病院と公立小規模医療施設を含め、国内1,739カ所の公立医療施設の病床数合計。モザンビークの公立医療施設は、ベッドがあり入院可能な「病院」と、「ヘルスポスト」「ヘルスセンター」と呼ばれる小規模医療施設とに大別される。
執筆者紹介
ジェトロ・マプト事務所
松永 篤(まつなが あつし)
2015年からモザンビークで農業、BOPビジネスなどの事業に携わる。2019年からジェトロ・マプト事務所業務に従事。

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