特集:アフリカにおける医療機器ビジネスの可能性モロッコの医療機器ビジネスの可能性
現地ディストリビューターに聞くビジネス環境と可能性

2021年9月9日

モロッコの医療機器分野の市場環境と可能性について、同地で活動する医療機器分野の専門販売業者、ディストリビューターであるエラメディック(ERAMEDIC)の最高経営責任者(CEO)のモハメッド・カリム・ハジ=リッフィ氏に聞いた(2021年7月8日)。同社は、ジェトロが2020年9月に開催したアフリカ・オンライン商談会(医療行分野)に参加した。


エラメディックCEOのモハメッド・カリム・ハジ=リッフィ氏(本人提供)

国民健康保険の整備による医療分野の発展

質問:
ビジネスの概況は。
答え:
当社は、1976年にモロッコ最大の商業都市カサブランカに設立された。年間売り上げは1,700万ドル、従業員65人だ。医療機器分野の専門販売業者・ディストリビューターだが、取り扱い製品は内視鏡検査やX線検査、消化器科、手術室、調剤、消毒、耳鼻咽喉科、神経外科、外傷学に強みを持つ医療機器・科学機器・研究所用機器などと幅広い。機器の保守・メンテナンス、スタッフトレーニングもサービスとして提供している。顧客は保健省や大学病院、軍病院、総合病院、クリニック、医薬品会社と多岐にわたる。顧客の構成は公立病院(55%)、市立病院(30%)、軍病院(15%)。取り扱い製品はドイツや米国、イタリアといった多様な国外メーカーの物を扱っており、日本製品の取り扱い実績もある。
質問:
最近のモロッコの医療環境をめぐる特徴的な変化は。
答え:
2021年4月にモロッコ政府は今後の計画・目標として、国民健康保険を整備し、国民全員が国民健康保険に加入することを目指す計画を発表した。 この計画は今後10年間の医療部門の発展に多大な影響を与えるに違いない。また、当社の業務範囲、取り扱い製品群では新型コロナウイルス感染拡大による影響は受けていないが、医療関係者や環境に最も大きな影響を与えており、関連する医療関連機関、スタッフは大変な1年を過ごした。今後数年にわたり、新型コロナウイルスの影響は続くだろう。

市場アクセスを容易にするCEマーク、FDA

質問:
取り扱い製品を検討する際に重視するポイントは。
答え:
モロッコ保健省や顧客が求めるレギュレーションに対応できる製品かが重要だ。製品を輸入する際は、事前に輸入者がモロッコ保健省に製品を登録し、医療機器登録証明書を取得する必要があるが、実際の輸入時だけではなく、入札に参加する段階でも製品が既にこの証明書を取得していることが求められる。また、近年ではアフターサービスの内容や体制が充実していることが以前にも増して重要視されている。 将来的には適切な訓練を受けた技術者が現地に配置されていることが求められるだろう。
質問:
モロッコでの日本製医療機器の普及状況と今後の可能性は。
答え:
特に日本製品を意識してみているわけではないが、放射線関連(スキャナー、超音波検査など)の現場で日本製品を目にすることがある。ほかにも日本企業が強みを有している製品があるならば、発展の余地があるのではないか。
質問:
関心のある、あるいは日本から調達したい製品などはあるか。
答え:
日本の製品には高品質なイメージがあり、多様な製品を見てみたい。例えば、超音波スキャナー、 超音波プローブ、軟性内視鏡、透析装置、血液浄化装置などに関心がある。また、当社では既に日本企業2社との取引があり、病理細胞診検査関連機器と内視鏡を扱っている。
質問:
アフリカ・オンライン商談会での主な成果や日本企業へのアドバイスは。
答え:
2020年9月の商談会では、日本企業13社とオンライン面談を行った。今後、実際に会いたい企業もあるし、入札案件次第では相談したいと思う。日本企業へのアドバイスとしては、モロッコは欧州に距離的に近いこと、また、自由貿易協定によって欧州諸国との関税が免除されているため、日本企業・製品はこれらのアドバンテージを持つ欧州製品に対抗し得る価格設定が重要だ。また、製品が既にCEマークもしくはFDA認証を有しているとモロッコ市場へのアクセスが大幅に容易になるだろう。

参考:モロッコへの医療機器の輸入に関する調査(2019年10月)

執筆者紹介
ジェトロ・ラバト事務所長(執筆当時)
石橋 洋一郎(いしばし よういちろう)
1999年、ジェトロ入構。本部、ジェトロ愛媛、ジェトロ・パリ事務所に勤務し、2018年7月から現職。

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