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特集:アフリカ・スタートアップコワーキングスペースの差別化の段階に(ケニア)

2019年7月12日

エコシステム発展の流れを受け、ケニアの首都ナイロビでは柔軟性と機能性に富んだワーキングスペース需要が高まっている。著名なスタートアップを輩出してきた「アイハブ(iHub)」や「ナイロビガレージ(Nairobi Garage)」など先行するコワーキングスペースは、既にナイロビ市内に複数の拠点を有するまでに成長した。利用者は利用料金やオフィスの質、立地、サービス内容、評判(レピュテーション)を比較検討する。競合ひしめく貸しオフィス業界に、日本語の「生きがい」を名乗るコワーキングスペース「Ikigai」がある。創設者のニャブラ・ギチョヒ(Nyambra Gichohi)氏に、開設の経緯や差別化の工夫、業界のトレンドを聞いた(6月14日)。


レセプション(Ikigai提供)
質問:
「Ikigai」は日本人にはなじみの深い名前だが、ビジネスの概要は。
答え:
ナイロビ市内ラビントンとウエストランドの2カ所に拠点を構えるコワーキングスペースだ。2019年中には3拠点目を開所見込みである。2019年6月末時点で利用者は250人以上、プライベートオフィスを構える企業が36社で、利用者の50%が外国人という構成だ。各拠点には200台のデスク、100台のオープンシートをそろえている。
2016年の設立にあたっては、日本の概念「生きがい」からインスパイアを受けた。創設者はケニア人姉妹2人で、ボードメンバーに日本人がいるわけではない。

創設者のWachuka Gichohi氏(左)と
Nyambra Gichohi氏(右)(Ikigai提供)
スタートアップに特化したワーキングスペースではなく、アントレプレナー(起業家)、NPO、中小企業、大企業、個人の方も入居している。分野は、開発、技術、マーケティング、広告、リーダーシップ・コーチング、人工知能(AI)、環境保護、教育、ドローン技術、エンジニアリング、プライベートエクイティ(PE)などだ。入居者には、マイクロソフトや、英系インパクト・インベストメントファンドのボルタ(VOLTA)、林業に特化したマイクロファイナンスのコマザ(KOMAZA)などがいる。
質問:
「Ikigai」のこだわりや、差別化できるサービスは。
答え:
スペースづくりにこだわりを持っている。短期記憶や思考、創造力増幅のため、植物性の素材を多用した。床壁の一部には竹材を使用している。入居者はオープンスペース、会議室、スカイプルーム、バルコニー、ホワイトボードが張り巡らされた瞑想(めいそう)用の個室、授乳室、礼拝室も利用できる。テーブルなどインテリアは一部、独自にデザインし、自然と会話がはずむような空間づくりを心掛けた。

ワーキングスペース(Ikigai提供)

共有スペース(Ikigai提供)
仕事場と健康づくりを組み合わせた「ワークスペースウェルネス」に注目している。入居者は全員、無料でヨガのレッスンを受けることができる。インハウスカフェ「ローストトゥルース」も利用可能だ。これからも、入居者が健康的に仕事に向かえるような仕掛けを増やしていきたいと考えている。
定期的にワークショップも開催している。入居者はワークショップに無料(一部は割引価格)で参加することが可能だ。これまで、資金調達、物流、採用、職場でのトラブル、労務、教育、福利厚生などのテーマを扱ってきた。毎回50~100人程度が参加している。スタートアップや企業の経営者によるワークショップも好評だ。例えば、ルワンダで輸血や医療部品を輸送する米国のジップライン(ZipLine)は「Ikigai」の会員で、マネージャーによるワークショップは好評だった。
パートナー企業からのメンタリングやコンサルティングサービスも、最大20%オフの優遇レートで利用できる。例えば、採用面ではケニア発スタートアップのショートリスト(Shortlist)と提携していて、利用者には15%の割引を提供している。就労許可や居住資格取得、運転免許証など取得には、エービーシーエキスパット(ABC Expat)から10%の割引を受けることができる。今後は、法律事務所、デジタルマーケティング、会計事務所、テクニカルサポートサービスを追加する予定だ。

ボードルーム(Ikigai提供)
質問:
ケニアのコワーキングスペース事情については。
答え:
ケニアのエコシステムは年々、注目を浴び、コワーキングスペースの選択肢も増えている。利用企業の規模、業種、活用理由も多様化しているのは、良いことだ。外資系スタートアップおよび企業のスケール化に当たっては、ケニア企業との連携が不可欠で、職場サイズにも柔軟性が求められるため、コワーキングスペースが好まれる。「Ikigai」はオフィススペースの働きやすさ、アメニティやサービスで、他のコワーキングスペースと差別化できればと考えている。

ワーキングスペースの概観(Ikigai提供)

執筆者紹介
ジェトロ・ナイロビ事務所 調査・事業担当ディレクター
久保 唯香(くぼ ゆいか)
2014年4月、ジェトロ入構。進出企業支援課、ビジネス展開支援課、ジェトロ福井を経て現職。2017年通関士資格取得。

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