2025年の新車販売台数が前年比70%増加(エジプト)

2026年3月26日

エジプトの自動車市場情報委員会(AMIC)によると、2025年の新車販売台数は17万3,763台で、前年比69.9%増加した。同国の新車販売台数は2021年にピークを迎え(29万846台)、外貨不足などの影響により2023年まで減少を続けていたが、2025年には2022年に近い水準まで回復した(図1参照)。

車種別に見ると、乗用車が13万3,973台(前年比64.4%増)、バスが1万1,343台(53.6%増)、トラックが2万8,447台(112.5%増)といずれも大幅に増加した。

図1:新車販売台数推移
エジプトにおける新車販売台数は2021年をピークに減少。2023年に底を打ち、2024年は前年比微増、2025年は2022年並みの水準(173,763台)まで回復した。

出所:AMIC

現地組み立て車が大幅増加

2025年の新車販売台数のうち、現地組み立て車は9万9,598台(前年比65.0%増)、輸入完成車は7万4,165台(77.1%増)だった(図2参照)。特に現地組み立て車の販売台数は、新車販売台数がピークだった2021年(11万6,650台)に次ぐ水準まで増加している。

図2:組み立て車・完成車別販売台数推移
組立車、完成車別の販売台数を見ると、2021年をピークに減少も、2023年に底を打つ。2025年は組立車、完成車とも前年度比約70%増加。

出所:AMIC

エジプトでは日産自動車、トヨタ、奇瑞汽車(チェリー)、現代自動車などが完成車のコンプリートノックダウン生産(CKD)を実施している。2024年には日産自動車、ステランティス、GMが相次いで現地組み立てのラインアップ拡大を発表しており、2025年に入って吉利汽車(Geely)が中東・アフリカ初となる完成車組み立て開始を発表した。外貨流動性が回復して部品の輸入量が増加したこと(図3参照)、トルコ、モロッコなど周辺国に比べて人件費、電気使用料などオペレーションコストが低いことが現地組み立て増加の追い風となっている(ジェトロ「投資関連コスト比較調査」参照)。

図3:自動車部品輸入額推移
自動車部品の輸入額は2020年以降ほぼ横ばいだが、2023年に大きく減少。2024年は2022年水準に持ち直し、2025年は11月までで2020年を超える7,500万ドルに達した。

出所:エジプト中央統計・動員局(CAPMAS)

エジプト政府はさらなる現地組み立ての増加および現地調達比率の向上を目指し、部品を含む自動車産業の誘致を進める。2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)予算では15億エジプト・ポンド(約45億円、EGP、1EGP=約3.0円)を国内の自動車産業育成に割り当てた。

エジプトでは従来、在欧州自動車工場向けのワイヤーハーネスなどの生産が盛んだが、2025年5月には日本の住友電装、12月にドイツ系レオニ(LEONI)がそれぞれ新工場を開所、生産能力を拡大した(2025年6月5日付2025年12月16日付ビジネス短信参照)。また、2025年8月には中国タイヤメーカー大手の賽輪集団(SAILUN)がエジプトへのタイヤ工場建設契約書に署名、2026年中の稼働を目指している(2025年8月18日付ビジネス短信参照)。メーカー関係者からは、エジプト企業のサプライヤー基盤が拡大している一方、部品調達はいまだ欧州やアジアからの輸入が大半であるとのコメントがあった。

輸入完成車もラインアップ拡大

外貨流動性の回復に伴い、完成車の輸入額も回復傾向にある(図4参照)。

図4:完成車輸入額推移
完成車輸入額は2021年がピーク、2022年に激減。2023年は微増、2024年には2020年とほぼ同水準に回復、2025年は11月までで2024年を超える約34億ドルに達した。

出所:CAPMAS

市場拡大に伴い、各ブランドもエジプト市場開拓を進める。欧州勢ではメルセデス、ポルシェが、2025年に相次いでエジプト市場への新車種の導入を発表した。中国勢の動きも盛んだ。12月には新興電気自動車(EV)の理想汽車(Li Auto)がエジプトへの販売拠点設置を発表(2025年12月22日付ビジネス短信参照)、2026年2月には、BYDがエジプトの大手ディーラー、マンスール・グループ(Mansour Group)と提携して正式にエジプト市場に参入すると発表した(注)

また、2025年7月には豊田通商、日本郵船が参画するエジプト初の完成車専用ターミナルが開業(2025年7月30日付ビジネス短信参照)するなど、自動車の輸出入需要増加を見込んだインフラ整備も進んでいる。

国別シェアでは中国が首位

乗用車販売台数を国・地域ブランド別に見ると、中国車が5万699台(前年比66.5%増)で首位となった。日本車は3万5,461台(35.5%増)、韓国車は2万1,041台(42.3%増)だった。2024年に中国が日本を抜いて首位となったが、中国勢が躍進して差が広がったかたちだ(図5参照)。

図5:国・地域ブランド別の乗用車新車販売台数
国・地域ブランド別で乗用車新車販売台数をみると、2021年、2022年、2023年いずれも日本車がトップ。2025年は中国が50,699台でトップ、2021年水準まで回復。

出所:AMIC

個別ブランドの全車種合計では、シボレー(シェア18.3%)が、日産とチェリーを抜いてトップとなった(図6参照)。シボレーは2024年10月から乗用車の現地組み立てを開始したことが販売台数増加につながった。

図6:ブランド別マーケットシェア・全車種合計
ブランド別のマーケットシェアを全車種合計でみると、シボレー、日産、チェリー、MG、現代、トヨタ、ルノー、起亜、プジョーの順に並ぶ。シェア15.1%で2位の日産以外の日本ブランドでは、トヨタが5.6%のシェアを持つ。

出所:AMIC


注:
2026年2月のマンスール・グループとの提携発表以前にもBYDはエジプトで販売されている。Al Amal社が2004年からBYDの独占代理店として活動。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・カイロ事務所
塩川 裕子(しおかわ ゆうこ)
2016年、ジェトロ入構。展示事業部、ジェトロ富山、企画部(中東担当)を経て2022年7月から現職。