エジプト初の完成車専用ターミナル開業、豊田通商、日本郵船が参画

(エジプト、日本)

カイロ発

2025年07月30日

スエズ運河の地中海側出口に位置するエジプトの東ポートサイード港に7月1日、国内初の完成車専用ターミナルが開業した。ターミナルの運営は豊田通商、日本郵船、アフリカ・グローバル・ロジスティクス(フランス)の合弁会社のスエズ・カナル・オートモーティブ・ターミナル(Suez Canal Automotive Terminal、SCAT)が手掛ける。豊田通商、日本郵船、アフリカ・グローバル・ロジスティクスがそれぞれ7月23日に発表した。

完成したターミナルは大型自動車専用船2隻が同時に着岸可能な岸壁と、最大1万台を収容できる車両収容スペースを備えている。エジプトの主要港のアレクサンドリア港は多目的港で、慢性的な収容スペース不足などの課題を抱えていることから、東ポートサイード港の開発が期待されてきた。国内の自動車輸出入需要に対応するとともに、スエズ運河の地中海側の出入り口という地理的優位性を生かし、欧州・地中海地域向けの積み替え需要も取り込む計画だ。

SCATのチーフ・フィナンシャル・オフィサーの藤原惇氏は今回の開業について「大きなポテンシャルを有するエジプト自動車産業の玄関港としてのみならず、周辺地域を代表するハブ港の1つとして活用してもらうことで、世界の自動車物流にしっかりと貢献していきたい」と述べた。

エジプトの自動車市場は2022年以来、外貨不足の影響を大きく受け、輸入が減少していたが、外貨流動性の回復に伴って市場回復の兆しがみられる(2025年6月9日付地域・分析レポート参照)。エジプトの自動車市場情報委員会(AMIC)によると、2025年1~5月の新車販売台数は5万8,080台で、前年同期比の95%増だ。中央動員統計局(CAPMAS)は、完成車の輸出入額はいずれも2022年以降、増加傾向にあり、今後も物流の需要が見込まれるという(添付資料図1、図2参照)。

(塩川裕子)

(エジプト、日本)

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