中国タイヤ大手の賽輪集団、スエズの工業団地で工場建設契約、投資総額10億ドル

(エジプト、中国、インドネシア、日本、メキシコ)

カイロ発

2025年08月18日

中国タイヤメーカー大手の賽輪集団(SAILUN)が、エジプトにタイヤ工場を建設する。スエズ運河周辺4カ所のスエズ運河経済特区(Suez Canal Economic Zone, SCZone)のうち運河南側、紅海西岸のアインソフナ(Ain Sokhna)の港湾工業団地の一角を占める天津経済技術開発区(TEDA)のエリアに建設する。中非泰達投資(TEDA SUEZ)の曹慧・執行董事と賽輪集団の謝小紅・総裁が8月13日、工場建設の契約書に署名した。調印にはムスタファ・マドブーリー首相、カメル・ワジール副首相兼産業・運輸相、スエズ運河経済特区(SCZone)庁のワリド・ガマル・エルディン長官が立ち会った。

工場の敷地面積は35万平方メートル、投資総額は推定10億ドル、第1期の稼働は2026年中を目指しており、稼働初期は乗用車用タイヤ年産300万本、トラック・バス用タイヤ60万本が見込まれている。工場全体が完成すると、総生産能力は年間1,000万本を超え、国内需要を満たすほか輸出も可能になる。

マドブーリー首相は調印式で、国内に自動車産業のバリューチェーンを構築することは政府の優先事項であり、持続的に取り組んでいくと強調した。

賽輪集団は2025年5月28日、インドネシアで乗用車向けラジアルタイヤ工場を稼働させ、翌29日にはメキシコの半鋼ラジアルタイヤ工場を稼働したと発表した(2025年6月9日記事参照)。

賽輪集団の賽輪(瀋陽)輪胎は7月14日、ブリヂストンの中国でのトラック・バス用ラジアルタイヤ生産拠点で、すでに生産を終了していた子会社の普利司通(瀋陽)輪胎から2億6,500万元(約53億円、1元=約20円)で出資持ち分の譲渡を受けた。

アインソフナのSCZoneに立地する日系企業は、現時点でサラヤが唯一となっている(2024年7月5日記事参照)。

(西澤成世)

(エジプト、中国、インドネシア、日本、メキシコ)

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