ジェトロ対日投資報告2022
第3章 最近の政府施策
[コラム] 外国人投資家・ビジネスマンを念頭においた生活環境の改善への取り組み

政府の取り組み
2014年4月 対日直接投資を推進するため、投資案件の発掘・誘致活動の司令塔機能を担うとともに、外国企業経営者等から直接意見を聴取し、必要な制度改革等の実現に向けた関係大臣や関係会議の取組に資することを目的として、対日直接投資推進会議が開催決定。
2016年5月 同会議にて「グローバル・ハブを目指した対日直接投資促進のための政策パッケージ」をとりまとめ。外国企業が日本で投資を行うに際して課題となる規制・行政手続の簡素化について検討し、関係府省庁等と調整することを目的とした規制・行政手続見直しワーキング・グループの開催が決定(2017年4月とりまとめ発表)。

医療体制

  1. 2016年5月

    同パッケージで、2017年3月までに外国人患者の受入体制が整備された医療機関を全国に40 カ所程度へ拡大することを明示。

  2. 都道府県が選定する拠点的な医療機関を中心に、医療通訳等の配置支援、電話医療通訳の利用促進等を通じて、外国人患者受入れ環境の整備促進。
    (多言語化対応カバー医療圏は2021年9月時点で95.8%)(注)

  3. 2021年6月

    対日直接投資促進戦略にて、外国人が利用しやすい医療環境の整備を図り、2026 年3月までに多言語での対応が可能な病院数を 1,000 カ所以上とする目標を明示。

  1. (注)

    2次医療圏ベース。335医療圏のうち、321医療圏で対応。厚生労働省「令和3年度医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」より。

子女教育

  1. 2016年5月

    同パッケージで、外国人児童生徒に対する教育支援を進めることを明示。

  2. 帰国・外国人児童生徒等の学校への受入促進や日本語指導の充実等のために体制整備に取り組む自治体への支援を実施。日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施を必須事項とするなど、取組を促進。
    (日本語指導が必要な外国籍の児童生徒のうち学校において特別の配慮に基づく指導を受けている割合は76.9%(2016年)から90.9%(2021年)に拡大)(注)

  3. 2021年6月

    対日直接投資促進戦略にて、2023 年3月までに必要とする全児童生徒が日本語指導を受けられるようにするなど、外国人児童生徒の教育環境を改善する目標を策定。

  1. (注)

    文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」より。

在留資格

  1. 2017年4月

    同ワーキング・グループの議論を踏まえ、高度外国人材に係る永住許可申請に要する在留期間を大幅に短縮する「日本版高度外国人材グリーンカード」を創設。また高度人材ポイント制の要件を見直し(評価項目の追加等) 。

  2. 2018年12月

    認定された地方自治体の「外国人起業活動管理支援計画」に基づく管理・支援などを受ける外国人起業家は、最長で1年間、起業準備活動のために在留することが可能に。14の地方自治体が認定(注)。

  3. 2021年7月

    後述の「世界における国際金融センターの実現」の取り組みとして、在留中に投資運用業等の登録を受けた場合等について、「短期滞在」の在留資格から直接「高度専門職」、「経営・管理」等への変更が可能に。金融人材を対象とした高度人材ポイント制の優遇措置の拡充。家事使用人の雇用要件の緩和等。

  1. (注)

    なおこれ以外に2015年7月より実施されている「外国人創業人材受入促進事業」では、6カ月の創業活動のための在留が認められる。10自治体が活用。

法令等の外国語訳拡充

  1. 2015年3月

    「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」に基づき小売店・外食・道路・公共交通機関の多言語化を推進。

  2. 2016年5月

    「グローバル・ハブを目指した対日直接投資促進のための政策パッケージ」で2021年3月までに、新たに500以上の法令の外国語訳の公開を目指すとする目標が設定。

  3. ~2021年3月

    503法令(注)の外国語訳(改正対応を含む)を公開。累計公開法令数は800近くに。

  4. 2021年6月

    対日直接投資促進戦略で、2026 年3月までに少なくとも新たに 600本の法令英訳等を公開。これに加え、翻訳技術の進歩等に応じ、更に 400 本(合計 1,000 本)の法令外国語訳の公開を目指すとする目標が決定。
    (※)2021年1月開催の「日本法令の国際発信の推進に向けた官民戦略会議」では重点分野の一つとして、居住外国人に関わる分野が挙げられている。

  1. (注)

    2021年3月5日時点。

税制

2020年12月に閣議決定した「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」に「世界に開かれた国際金融センターの実現」を盛り込んだ。

世界に開かれた国際金融センターの実現
2021年4月 相続税について、これまで10年を超えて国内に居住していた場合、全世界財産が課税対象であったところ、勤労等のために日本に居住する外国人については居住期間にかかわらず、国外財産を相続税の課税対象外に。
2021年4月 ファンドマネージャーが、出資持分を有するファンドから運用成果に応じその出資割合を超えて受け取る利益の分配(キャリードインタレスト)について、利益の配分に経済的合理性がある場合等においては、総合課税(累進税率、最高55%)の対象ではなく、「株式譲渡益等」として分離課税(一律20%)の対象となることを明確化。
2021年11月 役員の業績連動報酬については、これまで非上場会社については損金算入不可だったところ、投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等について、業績連動給与の算定方法等を金融庁のウェブサイトへ掲載する等の場合には、損金算入を認める。

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