ジェトロ対日投資報告2022

2022年版のポイント

ジェトロは、外国企業・外資系企業が日本におけるビジネスを検討する際の情報提供、また、外国企業の対日投資を支援する上での参考材料の提供を目的として、対日投資に関する包括的な報告書「ジェトロ対日投資報告2022」をまとめた。ポイントについては、次のとおり。

1.2021年の対日直接投資額フローは前年比55.0%減の3.0兆円、残高は前年比0.8%増の40.5兆円

  • 2021年の対日直接投資額フローは、前年比55.0%減の3.0兆円であった。資本形態別にみると、日本への新たな投資や増資の傾向を表す株式資本が前年比425.0%増の2.6兆円となり、2020年から一転して大幅に増加し、過去最高となった。地域別にみるとアジアが前年比98.5%増の2.2兆円で最多となり、次いで北米が前年比41.4%減の1.0兆円となった。欧州はマイナス1.1兆円と引揚超過なった。
  • 2021年末の対日直接投資残高は、40.5兆円で、前年比0.8%増となり引き続き最高値を更新した。残高の対GDP比は7.5%となった。アジアからの投資が拡大し、初めて北米を抜いた。

2.日本でのビジネスについて、外資系企業の半数以上が強化・拡大の方針

  • ジェトロが2021年9月~10月にかけて実施した「外資系企業ビジネス実態アンケート調査」によると、国内での今後の事業展開について「強化・拡大する」と回答した企業が過半数(52.6%)を占め、拡大志向が強い。拠点の強化・新拠点設置にあたり、進出先で重視する点は、全体では「新規の顧客獲得が見込める」が最も多かった。製造業では「ビジネスコストの低さ」が重視されている。
  • 注目する政府施策の分野(複数回答可)については、「労務・税務関連手続きのワンストップ化」が全体で39.2%と最も高かった。「デジタル・トランスフォーメーションの促進」はサービス業その他で、「カーボンニュートラル社会に向けた政策」は製造業で関心が高く、ともに4割を超えた。

3.新しい資本主義に向けた重点投資分野を決定

  • 2022年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」では、新しい資本主義に向けた重点投資分野として(1)人への投資と分配、(2)科学技術・イノベーションへの投資、(3)スタートアップへの投資、(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資、(5)デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資、が示された。
  • デジタルの力を活用して大都市への一極集中から地方・地域への多極集中に転換し、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指すデジタル田園都市国家構想について、 その実現のための基本方針となる「デジタル田園都市国家構想基本方針」 が2022年6月に閣議決定された。

※本報告書は、2022年6月時点の情報をもとにとりまとめたものである。