米国の2019年の対中輸入額は前年比16%減、対中追加関税リスト3の影響大きく
(米国、中国)
米州課
2020年03月04日
米国商務省が発表(2月5日)した貿易統計(通関ベース、原数値)によると、米国の2019年の対中輸入額は4,522億4,300万ドルで、前年比16.2%減少した(表参照)。
2019年の対中輸入額を対中追加関税措置のリスト別に試算すると、リスト3の対象品目の輸入額は727億9,600万ドルで、前年比37.5%減少し、対中輸入額全体の減少に最も寄与した(寄与度マイナス8.11ポイント)。続いて、リスト1の対象品目が73億6,700ドルで31.6%減少、リスト2の対象品目が23億9,800万ドルで50.7%減少した。また、企業の申請により適用除外となった品目(注)についても、804億8,400万ドルと21.9%減少した。
他方、リスト4Aの対象品目の対中輸入額は、1,144億5,000万ドルで、前年比2.8%増加した。米中の第1段階合意(2020年1月16日記事、2020年1月17日記事参照)の発表に伴い、2019年12月の発動が見送られたリスト4Bの対象品目は、1,531億4,300万ドルで、1.8%の微減となった。
なお、追加関税の対象外品目の対中輸入額は216億700万ドルで、41.8%減となっている。これは、米国通商代表部(USTR)が追加関税対象品目を細分化するために、電話機およびその他の機器(HTS8517項)において、タリフライン(分類の細目数)の一部を廃止し、新たなタリフラインを設定したことが影響している。
米国の2019年の対中輸入額上位10品目(HTSコード上位4桁ベース)をみると、電話機およびその他の機器(HTS8517項)が590億2,700万ドルで前年比17.2%減、自動データ処理機械などの部分品および付属品(HTS8473項)が57億3,100万ドルで65.7%減、自動データ処理機械(HTS8471項)が448億5,100万ドルで13.1%減となり、対中輸入額全体の減少に大きく寄与した(添付資料参照)。
一方、上位10品目のうち、輸入額が前年比で増加したのは、玩具(HTS9503項、123億2,900万ドル、3.5%増)、ヘアドライヤー、アイロン、その他家庭用電熱機器(HTS8516項、60億1,600万ドル、0.5%増)の2品目だった。
(注)これまでに発表された各リストの適用除外対象品目の発表日および詳細は以下の記事を参照。
【リスト1】
- 1回目:2018年12月28日(2019年1月4日記事参照)
- 2回目:2019年3月25日(2019年3月28日記事参照)
- 3回目:4月18日(2019年4月18日記事参照)
- 4回目:5月9日(2019年5月13日記事参照)
- 5回目:6月4日(2019年6月5日記事参照)
- 6回目:7月9日(2019年7月16日記事参照)
- 7回目:9月20日(2019年9月24日記事参照)
- 8回目:10月2日(2019年10月3日記事参照)
- 9回目:12月17日(2019年12月17日記事参照)
【リスト2】
- 1回目:2019年7月31日(2019年8月1日記事参照)
- 2回目:9月20日(2019年9月24日記事参照)
- 3回目:10月2日(2019年10月3日記事参照)
- 4回目:12月17日(2019年12月17日記事参照)
- 5回目:2月25日(2020年2月26日記事参照)
【リスト3】
- 1回目:2019年8月7日(2019年8月7日記事参照)
- 2回目:9月20日(2019年9月24日記事参照)
- 3回目:10月28日(2019年10月30日記事参照)
- 4回目:11月13日(2019年11月14日記事参照)
- 5回目:11月29日(2019年11月28日記事参照)
- 6回目:12月17日(2019年12月17日記事参照)
- 7回目:2020年1月6日(2020年1月7日記事参照)
- 8回目:2020年2月4日(2020年2月5日記事参照)
- 9回目:2020年2月20日(2020年2月21日記事参照)
(甲斐野裕之)
(米国、中国)
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