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米中が第1段階の経済・貿易協定に署名、対中追加関税の大部分は据え置き

(米国、中国)

ニューヨーク発

2020年01月16日

トランプ米国大統領と劉鶴・中国副首相は1月15日、米国ホワイトハウスで両国の第1段階の経済・貿易協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。署名後30日以内に発効の見込みだ。中国側が知的財産の保護や金融市場の開放、為替操作の禁止などを約束するとともに、今後2年間かけて米国からの輸入を増やす内容となった。他方、米国側は1974年通商法301条に基づいて対中輸入に課している追加関税は一部について低減するも、大部分は据え置きにするとした。

中国が構造改革の一部と対米輸入増を約束

協定は、(1)知的財産権、(2)技術移転、(3)食品・農産品の貿易、(4)金融サービス、(5)マクロ経済政策、為替レート関連および透明性、(6)貿易の拡大、(7)2国間の評価と紛争解決、(8)最終規定、の8章から構成される。米国が中国に求めていた知的財産の保護と貿易赤字の削減に応える構成となっている。一方、このほかに米国が改善を求めていた中国政府による国有企業への補助金問題、いわゆる国家資本主義体制については盛り込まれなかった。

補助金問題に関し、リチャード・ニール下院歳入委員長(民主党、マサチューセッツ州)は、「2年にわたり、対中交渉での野心を高く持ち、表面的な勝利を収める誘惑に屈しないよう政権に求めてきた」が、「(今回の合意を)『第一段階』の合意と呼ぶことで、政権側は中国の不当な補助金に対する規律などの重要な約束がまだ実現できていないことを認めている」と批判した。

他方、識者の中には、今回の合意は良い傾向と評価する向きもある。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院のジョエル・トラクトマン教授は「今回の合意は両国がデカップリングに突き進むことを拒否したものとみられる」と分析している(CNBC1月15日)。

対中追加関税の撤廃は第2段階の交渉妥結まで据え置き

トランプ大統領は署名式で、今回の成果を強調しつつも、米国が現在、対中輸入に課している追加関税(注)に関しては、第2段階の交渉のカードとして据え置きにするとした。ただし、2019年12月の合意発表の際に約束していたリスト4Aの追加関税率を現行の15%から7.5%に半減させる措置については、米国通商代表部(USTR)が米国東部時間の2月14日から適用する旨を官報案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で公表した。トランプ大統領はその上で、「われわれはすぐに第2段階の交渉を始める」とし、それが締結できれば追加関税を撤廃する考えを示した。なお、交渉期限については言及しなかった。

第2段階交渉の見通しについて、前述のトラクトマン教授は「現時点では中国が深い構造改革に踏み込むことは難しい」としつつ、前日に日米欧の貿易相が産業補助金のルール強化にかかる声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した点を指摘し、「米国が同盟国と向き合って、より計画的に中国に対応しようとしている良いサインだ」とした。

中国による米国産品の輸入拡大は実現に疑問符

トランプ大統領が特に強調した中国による米国産品の輸入拡大では、2017年の輸入額をベースとして、中国が協定発効から2年間かけて追加で2,000億ドルの物品や農産品、エネルギー資源、サービスを購入・輸入する内容となっている。これに対しては、米国のメディアの間でも、その膨大な規模から実現に懐疑的な見方が多い。

「ウォールストリート・ジャーナル」紙(電子版1月15日)は、今回指定された分野における米国の2017年の対中輸出は約1,860億ドルだったが、協定の目標達成には2020年に2,630億ドルへ、2021年に3,090億ドルへと、米国の貿易の歴史においてかつてない増加が必要と指摘している。なお、協定の履行については両国で、閣僚レベルで半年ごと、次官レベルで四半期ごと、事務レベルで毎月の会合を持ち、確認することになっている。

(注)トランプ大統領は追加関税に関して、「約2,500億ドル相当の対中輸入に課している25%」「残りの3,000億ドルに課している10%(の追加関税)を引き下げて7.5%にする」と発言したが、米国政府が実際に課している関税は、約2,500億ドル相当(リスト1~3)に対する25%と、約1,110億ドル相当(リスト4A)に対する15%となる。

(磯部真一、藪恭兵)

(米国、中国)

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