特集:未曽有の危機下で日本企業が模索する海外ビジネス海外ビジネスの見直し、今後のヒントとは(世界、日本)

2021年3月15日

ジェトロが実施した2020年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(以下、本調査。注参照)によると、海外ビジネスのリスクが顕在化する中、事業戦略や組織体制など、海外ビジネスに関する見直しを何かしら行う企業は69.6%に上っている(図1参照)。

販売戦略を中心に、7割が海外ビジネス見直し

見直し方針をみると、「販売戦略の見直し」と回答した割合(複数回答)が42.5%と最も大きく、企業規模別では中小企業(44.3%)で特に大きい。

図1:海外ビジネスの見直し方針と見直し内容(企業規模別)
全体(n=2,722)、大企業(n=410)、中小企業(n=2,312)の順に上から、 何も見直さない、27.1、20.2、28.3。 何らか見直す(参考)、69.6、72.9、69.0。 (↓以下)見直し内容、 販売戦略の見直し、42.5、32.0、44.3。 調達の見直し、14.0、12.7、14.2。 海外ビジネス人材の見直し、13.8、21.0、12.5。 デジタル化対応、13.6、19.3、12.6。 生産の見直し、13.2、13.9、13.1。 社内インフラ整備・改善、8.6、13.2、7.7。 組織再編、5.5、10.5、4.6。 事業継続計画(BCP、)策定、4.6、6.8、4.2。 その他、4.3、6.8、3.9。 財務・ファイナンス、4.0、3.7、4.1。 無回答、3.3、6.8、2.7。

注1:nは本調査の回答企業総数。
注2:「何らか見直す」の比率は、100%から「何も見直さない」と「無回答」の回答比率を引いて算出。
注3:「海外ビジネス人材の見直し」の選択肢上の正式表記は「海外ビジネス人材の見直し(人材確保・育成(日本人、外国人)、雇用条件等)」。
出所:2020年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(ジェトロ)

比率が最も大きい「販売戦略の見直し」と、サプライチェーン構築の観点で関係する「調達の見直し」「生産の見直し」について、その具体的な方針や本調査に寄せられた企業のコメントを追う。そこから、今後の海外ビジネス見直しのヒントを探る。

まず、「販売戦略の見直し」を行うと回答した企業の中で、具体的な方針を見ると、「海外販売先(ターゲット)の見直し」(以下、販売先の見直し、60.9%)が6割を超えた。そのほか、「バーチャル展示・商談会等活用の推進」(以下、バーチャル展示会、38.5%)や「越境EC販売開始・拡大」(以下、越境EC販売、30.0%)など、デジタル活用による販路開拓に取り組む企業の割合が高いことが明らかとなった(図2参照)。

図2:販売戦略見直しの具体的な方針
販売戦略を見直す企業(図1より):全体(n=2,722)、大企業(n=410)、中小企業(n=2,312)の順に上から、図1の「販売戦略の見直し」、42.5、32.0、44.3。 その具体的な方針: 販売戦略を見直す全体(nn=1,076)、大企業(nn=121)、中小企業(nn=955)の順に上から 海外販売先(ターゲット)の見直し、60.9、60.3、60.9。 バーチャル展示・商談会等活用の推進、38.5、33.1、39.2。 越境EC販売開始・拡大、30.0、26.4、30.5。 海外販売網(ネットワーク)の見直し、19.9、29.8、18.6。 海外販売製品・サービス内容の見直し、19.1、24.0、18.4。 デジタルマーケティング、AI利用等推進、13.7、19.8、12.9。 海外販売価格の引き上げ、6.3、9.9、5.9。 海外販売価格の引き下げ、5.9、5.8、5.9。

注1:nは本調査の回答企業総数。
注2:nnは見直し方針で「販売戦略の見直し」を選択し、かつ具体的な方針を回答した企業数。
出所:2020年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(ジェトロ)

「調達の見直し」を行う企業の具体的な方針では、「調達先の切り替え」(54.0%)、「調達数量・配分や調達品目の見直し」(52.8%)の2つの割合が特に大きい。これに、「複数調達化の実施」(28.5%)が続く(図3参照)。上位3つの調達見直し方針について、調達される(納品する)側の立場から捉えると、「調達先の切り替え」や「調達品目の見直し」は既存販売先の喪失につながり、「調達数量・配分の見直し」や「複数調達化の実施」は既存販売先の縮小になる可能性がある。

前述のとおり、販売戦略の見直し方針の上位だった「販売先の見直し」や「海外販売製品・サービス内容の見直し」の背景には、納入先企業側の調達見直し方針を受けた対応という側面もあると考えられる。

図3:調達見直しの具体的な方針
調達を見直す企業(図1より):全体(n=2,722)、大企業(n=410)、中小企業(n=2,312)の順に上から、図1の「調達の見直し」、14.0、12.7、14.2 。 その具体的な方針: 調達を見直す企業全体(nn=354)、大企業(nn=50)、中小企業(nn=304)の順に上から、 調達先の切り替え、54.0、56.0、53.6。 調達数量・配分や調達品目の見直し、52.8、54.0、52.6。 複数調達化の実施、28.5、44.0、26.0。 (ECサイトの活用等)デジタル化の推進、10.2、10.0、10.2。 調達先の集約化の実施、5.6、10.0、4.9。

注1:nは本調査の回答企業総数。
注2:nnは見直し方針で「調達の見直し」を選択し、かつ具体的な方針を回答した企業数。
出所:2020年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(ジェトロ)

生産の見直しを行う企業の具体的な方針では、「生産数量・配分や生産品目の見直し」(50.9%)が5割を超える一方、「生産地の見直し」(31.4%)の回答は約3割だった。(図4参照)。これらに、「新規投資/設備投資の増強」(27.5%)や「新規投資/設備投資の中止・延期」(19.8%)が続く。なお、「増強」の比率が「中止・延期」を上回っている。

「生産数量・配分や生産品目の見直し」と回答した企業による「販売に適した生産品目への見直し」(飲食料品)とのコメントに見られるように、販売戦略の見直しが生産見直しの具体的な方針にも影響を及ぼしている面はあるだろう。

図4:生産見直しの具体的な方針
調達を見直す企業(図1より):全体(n=2,722)、大企業(n=410)、中小企業(n=2,312)の順に上から、図1の「生産の見直し」、13.2、13.9、13.1。 その具体的な方針: 生産を見直す企業全体(nn=338)、大企業(nn=56)、中小企業(nn=282)の順に上から、 生産数量・配分や生産品目の見直し、50.9、53.6、50.4。 (国内外含む)生産地の見直し、31.4、41.1、29.4。 新規投資/、設備投資の増強、27.5、25.0、28.0。 新規投資/、設備投資の中止・延期、19.8、33.9、17.0。 自動化・省人化の推進、13.3、21.4、11.7。 OEM、等アウトソーシングの活用・増加、10.9、14.3、10.3。 デジタル化(IoT、の導入等)の推進、10.7、17.9、9.2。 OEM、等アウトソーシングの見直し、4.7、5.4、4.6。

注1:nは本調査の回答企業総数。
注2:nnは見直し方針で「生産の見直し」を選択し、かつ具体的な方針を回答した企業数。
出所:2020年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(ジェトロ)

販売先見直しの基準は「国・地域」「業界」「顧客」

では、具体的にどのような見直しを行うのか。販売戦略、調達、生産の見直しで、それぞれ上位の具体的な方針に関する回答企業のコメントから、その見直し内容を紹介する。

まず、販売戦略の最大の見直し方針である「海外販売先(ターゲット)の見直し」に関するコメントの多くは、国・地域、業界、顧客(層)の3つのカテゴリーに大別できる。「国・地域」では、「輸出候補国を幅広くしてリスク分散」(商社・卸売り)や「対象国の優先順位付け」(その他製造業)など多角化・差別化を図るものや、「アジアから米国、EUに変更」〔木材・木製品(家具を除く)〕のように、ターゲット国・地域の変更に関するコメントが見られた。「業界」では、「外食メインから小売り・EC強化」(商社・卸売り)や「自動車産業から食品系へ」(電気機械)など、新型コロナの影響がより小さいとみられる業界に販売ターゲットをシフトしようとする姿勢がうかがえる。

「顧客(層)」では、「非日系企業へのアプローチ」(電子部品・デバイス)や「ハイブランドへの販売拡大」(繊維・織物)など、販売ターゲットグループやセグメントを以前より拡大させることで新たな顧客獲得につなげたいとの意欲が感じられる。また「中国からベトナムへ移管してくるリード(見込み客)に対して、グループ全体で取りこぼしのない営業フォロー体制」(プラスチック製品)といったように、サプライチェーンの変化に対応して新規顧客開拓をもくろむ企業もいる。一方で「出張しなくても販売できる顧客に絞っている」(化学)や「信用調査の実施」(飲食料品)など、新型コロナ禍で確実に売り込める顧客を見極めようとする慎重な姿勢も垣間見られる。

デジタル活用の時期

販売戦略の見直しの中で「バーチャル展示会・商談会の活用」と「越境EC販売の開始・拡大」については、見直しに着手する時期にやや違いが見られる(図5参照)。「バーチャル展示会・商談会の活用」については、2020年に着手する企業が61.6%と大きい。「海外のカタログサイトへの製品掲載」(電気機械)、「ジェトロオンライン商談会の参加」(飲食料品)、「VR(仮想現実)を用いたバーチャルデモ」〔精密機械(医療機器を含む)〕など、新型コロナにより海外渡航を制限される中で、限られたツールを活用して商談などの機会を確保・創出しようとするコメントが目立った。

一方、「越境EC販売」は、2021年に着手する予定と回答した企業の比率(47.1%)が大きい。2021年に着手する予定の企業からのコメントには、準備に時間を要する取り組みが散見された。例えば「(越境EC販売用)オリジナル商品開発中」〔その他サービス(旅行、娯楽など)〕、「複数国での(越境EC)販売開始」(医療品・化粧品)、「(越境EC)販売サイトのAI(人工知能)化(による拡大)」(商社・卸売り)、「中国語サイトのリニューアル」(その他製造業)、「(越境EC販売の)パートナーの再構築」(飲食料品)など、越境EC販売拡大のためのサイトや体制の充実化、などだ。なお、2020年の見直し着手企業からは、「業界サイトへの掲載」(金属製品)、「海外向けの注文サイトの開設」(医療・福祉)、「自社サイトグローバル化を先送りにし、現地(EC)モール活用に切り替え」(繊維・織物)などのコメントがあった。

調達、生産とも数量などの見直しは2020年が中心

次に、調達見直しの具体的な方針についてみてみる。調達の方針見直しとして最も大きい「調達先の切り替え」については、「中国調達→ASEAN調達」(自動車部品)など、調達国の切り替えに関するコメントが目立つ。また、「納期・性能リスクの少ない国内品へ切り替え」(商社・卸売り)や「海外調達拡大」(金属製品)といったように、国内・国外の切り替えに関するコメントも見られる。調達側企業による大幅な調達方針の切り替えは、部材を供給する側の日本企業にとって進出先での既存販売先を失うリスクをはらむ。そのほか、「国内業者通しではなく、直接海外業者の確保を複数行う」(その他製造業)や「品質・価格面で調達先を評価」(その他製造業)など、調達ルートや調達先の評価方法に関するコメントも見られた。

「調達数量・配分や調達品目の見直し」(55.6%)と「複数調達化の実施」(49.5%)については、「調達先の切り替え」(42.4%)に比べ、2020年の見直し着手時期の割合が大きく、半数近くに上る(図5参照)。「調達数量・配分や調達品目の見直し」では、需要の増減に迅速に対応した様子がうかがえる。「販売低下による原料調達の抑制」(その他製造業)や「需要増への対応」(その他製造業)、「必要な量と必要な時期に(調達)」(商社・卸売り)、などがその一例だ。ほかにも、「仕入量を詳細に把握」(商社・卸売り)や「社内在庫基準数の見直し」(その他輸送機器)といった、数量の把握レベルや基準数の見直しなど調達の運用ルールに関するコメントもあった。「複数調達化の実施」では、「国内海外でのマルチ調達」(その他製造業)、「同様商品の国を代えての輸入」(商社・卸売り)、「韓国・中国以外の海外調達先の調査」(金属製品)、「複社購買の実施」(ゴム製品)などの見直しに2020年中に着手したとの声が聞かれた。2021年の見直し着手予定の企業からも、「調達数量・配分や調達品目の見直し」では、「調達数量の交渉」(自動車部品)や「調達品目数の拡大」(窯業・土石)、「複数調達化の実施」では、「主力製品の代替品を別製造先で用意」(商社・卸売り)や「新規調達先開発」(商社・卸売り)など、2020年同様のコメントが見られる。

さらに、生産見直しの具体的な方針についてもみてみる。「生産数量・配分や生産品目の見直し」は、2020年中の見直し着手の比率が62.2%を占めた。そうしたこともあり、「在庫数を見ながら生産数の調整」(商社・卸売り)、「生産品目数の削減」(飲食料品)、「商品の仕向け地の分散」(金属製品)、「需要増対応のため増産」(その他製造業)など、新型コロナ禍を受けて臨機応変な対応を行ったとみられるコメントが目立つ(図5参照)。

なお、2021年の見直し着手予定の企業からは、「(生産)子会社の有効活用」(一般機械)により、企業グループ内で生産数量や品目などの調整を行うコメントがあった。このほかにも、「海外のニーズに合った製品作り」(農業・林業・水産業)、「現地の嗜好(しこう)を再検証」(飲食料品)など、コロナ禍で変化するニーズに対応しようとするものもあった。

「生産地の見直し」では、2021年に見直し着手予定の企業から、「(生産地の)国内→海外への移管」(金属製品)、「新規生産地の開拓」(アパレル)、「中国から東南アジアへ」(繊維・織物)など、生産地自体の移管・新設などに関するコメントがあった。一方、2020年中に見直しを行った企業からは、「一部の生産機能を中国からベトナムへ移管」(その他製造業)、「海外品の一部国内製造」(窯業・土石)、「複数拠点での生産を品目ごとに集約」(その他製造業)など、既存の生産拠点間での生産機能(生産地)の一部の変更にとどまるとする言及が見られた。既存の生産拠点を有効活用した見直しが可能な場合はそれを優先し、それで対応し切れない場合に生産地の見直しに踏み切るとの慎重な姿勢が伝わってくる。

図5:販売戦略、調達、生産の各見直し着手時期(回答企業総数上位方針のみ)
2019年までに着手済み、2020年に着手/着手予定、2021年に着手予定の順に上から、 販売戦略の見直し着手時期: バーチャル展示・商談会等活用の推進(n=414)、8.9、61.6、29.5。 海外販売網(ネットワーク)の見直し(n=214)、11.7、49.5、38.8。 海外販売先(ターゲット)の見直し(n=655)、15.4、45.6、38.9。 海外販売製品・サービス内容の見直し(n=205)、14.1、45.9、40.0。 デジタルマーケティング、AI利用等推進(n=147)、6.8、53.1、40.1。 越境EC販売開始・拡大(n=323)、12.7、40.2、47.1。 調達の見直し着手時期: 調達数量・配分や調達品目の見直し(n=187)、16.0、55.6、28.3。 複数調達化の実施(n=101)、21.8、49.5、28.7。 調達先の切り替え(n=191)、18.3、42.4、39.3。 生産の見直し着手時期: 生産数量・配分や生産品目の見直し(n=172)、14.0、62.2、23.8。 (国内外含む)生産地の見直し(n=106)、17.9、39.6、42.5。

注1:nは各具体的な見直し方針の回答企業数。
注2:見直し方針で「販売戦略の見直し」「調達の見直し」「生産の見直し」を選択した企業のうち、各具体的な見直し方針の着手時期を回答した企業が対象(ただし、n≧100の具体的な見直し方針に限る)。
出所:2020年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(ジェトロ)

何も見直さない理由は4つ

最後に、「何も見直さない」と回答した企業(27.1%)について。そのような企業は、どのような理由から見直しを行わないのだろうか。回答企業のコメントによると、その理由は、(1)そもそも見直す必要がない、(2)様子見、(3)優先度(が低い)、(4)見直したくても見直せない、の4つに分けられる。

(1)「そもそも見直す必要がない」企業については、以下のような理由が挙がっている。「今のところ売り上げプラス」(商社・卸売り)、「外部環境による影響が小さい」(紙・パルプ)、「台湾内の活動においてはコロナの影響を受けていない」(飲食料品)、「コロナは一時的なものであるため、あまり路線を変更したくない」(鉄鋼)、「新型コロナや米中対立以前から検討・見直し(済み)」(商社・卸売り)、「FC(フランチャイズ)パートナーから特に(見直しの)要望がない」(飲食店・宿泊施設)、「コロナ禍にかかわらず海外に販路を求める以外に成長を望めない」(精密機器(医療機器を含む))など、さまざまだ。

また、中・長期的な見直しを行う段階ではないとの観点から、「そもそも見直す必要がない」と判断したコメントもある。例えば、「スポット案件のため、都度ビジネスモデルが変動」(その他製造業)、「(海外ビジネスの)取扱量が少ないから」(その他製造業)、「立ち上げステージのため」(鉄鋼)、「現場でできることがまだある」(その他製造業)、「(中・長期的な見直しではなく)事業に合った逐次見直し」(医療品・化粧品)など。

(2)「様子見」については、「コロナの状況を見据えた上で見直しが必要かどうかを検討」(飲食料品)、「世界の状況が見通せない中で、中途半端な見直しを行っても無意味」(飲食料品)、「もう少し見通しがつくまでは現状のまま」(アパレル)など、コロナの状況次第では見直す可能性があるものの、現状ではその判断ができないという内容だ。

(3)「優先度(が低い)」については、国内ビジネスや直近の海外ビジネス見直しを優先するため、中・長期的な海外ビジネスの見直しまでは行っていないとのコメントが見られた。「現状は国内業績立て直し(が急務)」〔その他サービス(旅行・娯楽など)〕、「国内においてのコロナの影響が大きく、そちらの対策を重要視」(飲食料品)、「(中・長期など)そんな先の話はわからない」(商社・卸売り)。

(4)「見直したくても見直せない」企業には、人材などの経営資源の限界といった事情がありそうだ。「後継者がいない」(窯業・土石)、「担当者が高齢で仕事を請けられない」(小売り)、「人材不足」(情報・ソフトウエア)、「生産キャパが限界」(飲食料品)、「海外事業専任の部門がなく、経営資源を割くことができない」(飲食料品)など。また「(見直したいが)何を見直したらよいのかわからない」(飲食料品)とのコメントもあった。

ただ、海外ビジネスを見直さない企業の中には、「今は見直しの時期ではなく、構築の時期」(飲食料品)や、「見直しではなくアフター・コロナに対応すべき方法を見いだしていく」(商社・卸売り)とのコメントを残している企業もある。海外ビジネスを何も見直さない企業でも、「アフター・コロナ」の世界での生き残りをかけて、着々と準備を進めているようだ。


注:
調査は、海外ビジネスに関心の高いジェトロのサービス利用企業1万3,503社を対象に、2020年10月末から12月初めにかけて実施。2,722社から回答を得た(有効回答率20.2%、回答企業の84.9%が中小企業)。プレスリリース報告書も参照。過去の調査の報告書もダウンロード可能。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部国際経済課 課長代理
古川 祐(ふるかわ たすく)
2002年、ジェトロ入構。海外調査部欧州課(欧州班)、ジェトロ愛媛、ジェトロ・ブカレスト事務所長などを経て現職。共著「欧州経済の基礎知識」(ジェトロ)。