特集:拡大するロシアEC市場価格比較型サイトでEC利用者の利便性向上を図る(ロシア)
ロシアEC企業ヤンデックスマーケットに聞く

2020年6月23日

ロシアでは、ワイルドベリーズやオゾンなどのプラットフォームサイトが台頭している。一方で、違うかたちで利用者を獲得し、成長している企業がある。価格比較型の電子商取引(EC)サイトを運営するヤンデックスマーケット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます だ。ロシア最大の検索エンジンサイト「ヤンデックス」の子会社でもある。同社のビジネスとロシアEC市場の今後などについて、サンクトペテルブルク支店のスタニスラフ・ボリンスキー地域販売グループリーダーに聞いた(2019年11月1日)。


スタニスラフ・ボリンスキー地域販売グループリーダー(ジェトロ撮影)
質問:
貴社のECサイトの特徴は。
答え:
商品を直接掲載・出品している一般的なECプラットフォームサイトと違い、当社のサイトは各商品を取り扱っているさまざまなECサイトのリンクを掲載している。1つの商品を検索すると、さまざまな会社のECサイトでその商品がどのような価格や支払い条件、配送条件で販売されているかを一覧で確認、比較できるシステムだ。利用者は気に入ったECサイトのリンクをクリックし、そのECサイト上で取引を行う。このため、当社サイト上で商品の販売は直接行わない。ロシア国内の価格比較型ECサイトは当社だけだ。
質問:
価格比較型サイトのメリットは。
答え:
利用者にとっては、さまざまなECサイトでの販売価格や条件を一目で確認できる点がメリット。さまざまなサイトを確認する手間が省け、利用者の利便性向上につながる。また、掲載するECサイトやECプラットフォーム企業にとっては、ヤンデックスマーケットからの購買客の流れ込みが期待できる。
質問:
貴社サイト掲載に至るまでの流れとコストは。
答え:
まず、掲載したいECサイト(大手プラットフォームを含む)が、指定のフォーマットに価格や各種販売条件などの詳細情報を記入して提出。それをもとに、当社でページを作成する。コストは、当初の契約金に加えて、掲載リンクの1クリックごとに発生する。前述のとおり当社サイトでは直接販売は行わないため、実際に取引が成立したのか追跡が難しい。このため、売り上げの手数料ではなく、クリックごとに費用が発生する仕組みとなっている。1クリックごとの費用は商品価格とカテゴリーによって異なる。
質問:
現在の利用状況と売れ筋の商品は。
答え:
1日320万人、1カ月当たり2,500万人がサイトを訪問(注1)。当初はネット利用頻度の高い若者が多かったが、最近は45歳以上の利用者も増えてきた。平均購買価格は7,000~8,000ルーブル(約9,800~約1万1,200円、1ルーブル=約1.4円)。電気製品など比較的高価な商品が購入されることが多い。売れ筋の商品は、子供用品やタイヤなどの自動車用品、電気製品、DIY用品など。特に学期初めには、子供用品が良く売れる。
質問:
販促・マーケティング方法は。
答え:
ヤンデックスマーケットのサイト自体の広告は行っていないが、商品を検索した際、親会社の検索エンジン・ヤンデックスの検索結果のトップに掲載される。インターネットを利用するロシア人の約半数がヤンデックスを利用しているため、広告効果が大きい。ヤンデックスマーケットの出店企業の販促方法としては、追加費用を支払ってヤンデックスマーケット内の検索結果上位に載せる方法(オークション制度)や、送料無料などのキャンペーンなどがある。効果的な手段は、販売価格の値引きとオークション制度を組み合わせて利用することだ。
質問:
外国企業のECサイトも掲載可能か。日本企業の掲載はあるか。
答え:
可能だが、現在掲載しているのは数社程度。主にロシアに現地法人を持つ中国企業だ。ロシア市場に興味があれば、日本企業の掲載も可能。ロシアの現地法人を持つ必要はないが、商品のロシアへの輸送、支払いの方法に問題が生じる可能性がある。
質問:
個人情報の取り扱いなど、法律的な面で気を付けていること、課題はあるか。
答え:
サイト上で販売取引が行われないこともあり、個人情報は親会社ヤンデックスでログインしてくる顧客のアカウント情報に限られる。原則としてヤンデックスが収集・取り扱っている情報だが、法改正などの際には、当社でも個人情報の取り扱いに問題がないか留意している。このほかの課題の1つは、医薬品(注2)やアルコールのEC上の販売が禁止されていることだ。現在、解禁に向けた動きがみられるので、注視している。
質問:
ロシアにおけるECの今後の展望について。
答え:
ロシアのEC市場は今後も成長していく。多くのロシア人にとって、インターネットでの買い物は既に当たり前となっている。今後のさらなる成長に向けて、広大な国土をカバーするロジスティクスの発展が肝となるだろう。

注1:
ユニーク訪問者数ベース。集計期間中、同一人物(ブラウザ)が何度訪問しても、1人としてカウントされる。
注2:
医薬品の販売は、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、2020年4月に関連法令が制定された。6月現在、本格的な導入に向けて準備が進められている。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課
加峯 あゆみ(かぶ あゆみ)
2018年4月、ジェトロ入構。同月より現職。

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