特集:ロシア・デジタル経済政策とスタートアップ生態系イノベーション関係イベントの中心もスコルコヴォ
ロシアにおける主要イベント

2019年6月19日

ロシアにおけるイノベーション業界やスタートアップ企業に関する主要イベントの多くは、モスクワ郊外にあるスコルコヴォ・イノベーション・センターで開催される。地方都市ではサンクトペテルブルク、タタルスタン共和国のカザンなどでイノベーション関連イベントが開催されている。

現地でイノベーション業界やスタートアップ企業に関する調査を行うには、同業界に関するイベントや展示会に参加することが早道だ。主なものを次に紹介する。

代表的なイベントはいずれもスコルコヴォ・イノベーション・センターで開催

ロシアのスタートアップ企業を探索するには、毎年5月にスコルコヴォ・イノベーション・センターで開催される「スタートアップ・ビレッジ」を訪問するのがよいだろう。2018年は在ロシア日本大使館が主催して、「ジャパン・ロシア・テックマッチ2018」と題するパビリオンを設け、日本の大手企業などがプレゼンテーションを行った。この他、フランスやイタリアもパビリオンを設置し、韓国やバングラデシュのスタートアップ企業が個別ブースを出展した(2018年6月11日付ビジネス短信参照)。


スコルコヴォの「スタートアップ・ビレッジ2018」の様子(ジェトロ撮影)

ロシアのイノベーションの最新動向を把握するには、毎年10月にスコルコヴォで開催される年次フォーラム「オープン・イノベーションズ」がよい機会となろう。同フォーラムには、イノベーション分野に関わる政府、支援機関、研究者、イノベーションの種を探す大企業、投資会社、スタートアップ企業など、産学官関係者が一堂に集まる。スタートアップ企業のピッチや展示も行われる。政府から首脳級が参加するため、イノベーション関連のイベントにおける同フォーラムの格付けは高い。2018年はデジタル経済分野を担当するアキモフ副首相、ノスコフ・デジタル発展・通信マスコミ相、ソビャニン・モスクワ市長が参加した(2018年の概要は別記事「イノベーションを通じたデジタル経済化を議論」を参照)。


「オープン・イノベーションズ」でのスタートアップ企業展示(ジェトロ撮影)

サンクトペテルブルク、タタルスタン共和国でも、イノベーション分野のイベント開催

サンクトペテルブルクでの代表的なイベントとして、11月に開催される国際イノベーション・フォーラムがある。2018年は11月28~30日に開催され、「デジタル・トランスフォーメーション」というテーマで展示や会合が行われた。主催者発表によると、ロシアと海外から350社が出展したという。フォーラム「ロシアの生産者」と併催されることから、主な展示は機械加工分野の新製品、ロボットや自動化機械、新素材などだ。2018年のフォーラムでは、ジェトロは広報ブースを出した。ロシア企業からソフトウエアの現地開発受託、ロボット化技術を有する日本企業への関心が寄せられた。

モスクワとサンクトペテルブルク以外の地方に目を向ける場合、タタルスタン共和国のカザンが有力候補となろう。市中心部にITパーク、郊外にはイノポリスという特区があり、IT産業の集積地の1つとされる。ここでもIT・スタートアップ関係のイベントが開催されている(主なイベントについては表参照)。

表:イノベーション分野での主なイベント
イベント名 開催日または今後の開催予定日 開催場所 内容
フォーラム「ロシア製造業におけるデジタル産業」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 2019年5月22~24日 タタルスタン共和国
イノポリス
産業のデジタル化という観点で、各界の関係者による会合や展示が行われる。2018年の前回は約5,000人が来場。
Startup Village外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 2019年5月29~30日 モスクワ
イノベーション・センター・スコルコヴォ
スタートアップ企業、投資ファンド、大企業などが集まり、会合やコンテストが行われる。外国のスタートアップ企業による出展もあり、2018年の前回は日本企業によるロシアのスタートアップ向けプレゼンテーションが行われた。
INNOPROM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 2019年7月8~11日 エカテリンブルク
エカテリンブルクEXPO
ロシア最大規模の産業総合見本市で、工作機械、産業機械、ロボット、IT関連製品・サービスが展示される。最近のコンセプトは「デジタル・マニュファクチャリング」。2017年は日本がパートナー国だった。ジェトロは2017年から3年連続でジャパン・パビリオンを設置する。
Open Innovations外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 2019年10月21~23日 モスクワ
イノベーション・センター・スコルコヴォ
イノベーション分野での産学官関係者が集まり、ビジネスや科学に関しての各種会合が行われる。政府からはメドベージェフ首相やアキモフ副首相が出席。2018年の前回は約1万5,000人が来場。
St. Petersburg International Innovation Forum外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 2019年11月13~15日 サンクトペテルブルク
エクスポフォーラム
フォーラム「ロシアの生産者」と併催され、主な展示内容は機械加工分野の新製品、ロボットや自動化機械、新素材など。2018年の前回、ジェトロは広報ブースを出した。
Russian Internet Week外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 2019年11月20~22日 モスクワ
国民経済達成博覧会(VDNKh)
デジタル分野での政府・ビジネス・スタートアップ関係者が集まり、同分野の最新技術に関する会合や講義が行われる。2018年の前回は1万5,000人余りが来場。
Kazan Startup Weekend外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2018年11月23~25日)
タタルスタン共和国
カザンITパーク
スタートアップ企業、投資ファンド、大企業などが集まり、会合やコンテストが行われる。
Skolkovo Cyberday Conference外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2018年11月30日~12月1日)
モスクワ
イノベーション・センター・スコルコヴォ
サイバーセキュリティー分野の技術開発に関する国際会議。同技術に関するプロジェクトのコンテストも行われる。
Russian Startups Go Global外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2018年12月1日)
モスクワ
デジタル・ビジネス広場(TsDP)
イベント名のとおり、スタートアップ企業の海外展開を目的とし、投資家の活用方法、海外展開事例などが議論される。海外の公的支援機関も出展し、2018年の前回はジェトロもPRブースを出展した。
OpenTalks.AI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2019年2月14~16日)
モスクワ
DIテレグラフ
人工知能(AI)分野の専門家が集まり会合が行われるとともに、スタートアップによるピッチ・セッションも開催される。
Fintech Failconf外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2019年2月19日)
モスクワ
ホテル「パルミラ・ビジネス・クラブ」
フィンテック分野でのスタートアップ企業含む関係者、投資家、アクセラレーターが集まり、同分野での失敗事例を共有する。直近のイベントでは2,700人が来場。
EKB Startup Day外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2019年3月29日)
エカテリンブルク
エリツィン・センター
IT・スタートアップ分野の専門家、投資家、スタートアップ企業などが集まる会合。ピッチ・イベントも行われる。
Startup Show外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2019年4月4日)
モスクワ
デジタル・ビジネス広場(TsDP)
スタートアップ企業が、国内外のベンチャー基金、大企業など投資家に対してプレゼンテーションを行う。
Russian Venture Forum外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 未定
(直近は2019年4月11日)
タタルスタン共和国
カザンEXPO
イノベーション分野での最新技術について産官学関係者が集まり議論する。スタートアップ企業のピッチ・セッションも開催される。

注:各イベントの時期・場所等は2019年4月時点のもので、その後変更される可能性がある。今後の開催予定が未定の開催場所は直近で開催された場所を記載している。
出所:各イベントのウェブサイト

執筆者紹介
ジェトロ・モスクワ事務所 次長
浅元 薫哉(あさもと くにや)
2000年、ジェトロ入構。2006年からのジェトロ・モスクワ事務所駐在時に調査業務を担当したほか、農水産輸出促進事業、知的財産権保護事業にも携わる。本部海外調査部勤務時に「ロシア経済の基礎知識」(ジェトロ、2012年7月発行)を上梓。2017年7月から再びジェトロ・モスクワ事務所勤務。

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