貿易管理制度

最終更新日:2024年01月03日

管轄官庁

商務省、通商代表部、国務省、国土安全保障省、財務省、内務省など。

貿易一般

商務省(Department of Commerce:DOC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

通商代表部(United States Trade Representative:USTR外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸出入関係一般

商務省 国際貿易局(International Trade Administration:ITA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

商務省 産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

国務省 国防貿易管理課(Directorate of Defense Trade Controls外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

国土安全保障省 税関・国境警備局(U.S. Customs and Border Protection:CBP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

制裁にかかわる輸出入管理

財務省 外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ワシントン条約にかかわる管理

内務省 魚類野生動物局(U.S. Fish and Wildlife Service外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸入品目規制

輸入禁止・制限品目、輸入数量割当制(クオータ制:Import Quota)、輸入にあたり許可が必要な品目の一部、個人による米国への持ち込みが規制される品目、輸入規制の管轄機関と連絡先。

輸入禁止・制限品目

税関・国境警備局(CBP)は、他の政府機関からの委託を受け、輸入禁止、制限の管理を行っている。何らかの制限が課せられたり、一定の基準を満たすことが求められたりする品目を挙げ説明している。

CBP "Importing into the United States外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"(106~150ページ “Special Requirements”の項を参照)

輸入数量割当制(クオータ制:Import Quota

一定期間内に輸入される品目の数量を制限する制度。同制度は、次の2種類に分かれる。

  1. 数量が制限される場合(Absolute Quota
  2. 一定の数量に対し関税の割引が適用されるものの、この数量を超える分に関しては、通常の税率が適用される場合(関税割当:Tariff-rate Quota

CBP "Quota Administration外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  1. 輸入数量制限品目(Absolute Quota
    1. 鉄鋼・アルミニウム製品
      2018年3月に一部の国・地域を除いて、鉄鋼製品の輸入に25%、アルミニウム製品の輸入に対して10%の追加的な関税引き上げ措置を発動した。その後、数回の変更を経て、2023年12月時点ではそれぞれ国別で次のとおり例外措置を導入している。
      1. 鉄鋼製品
        • 適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ、ウクライナ(ロシアのウクライナ侵攻に鑑み、2022年6月1日に特別措置として1年間を期限に関税の対象から外した。同措置は2023年5月31日に1年間の延長が決まった)
        • 数量制限:アルゼンチン、ブラジル、韓国
        • 関税割当:EU加盟国、英国、日本
      2. アルミニウム製品
        • 適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ
        • 数量制限:アルゼンチン
        • 関税割当:EU加盟国、英国
      CBP "Section 232 Trade Remedies on Aluminum and Steel外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
    2. 繊維製品
      2005年1月のWTO繊維衣類協定の規定により、それまで輸入繊維製品に課せられていた数量割当規制が、WTO加盟国からの輸入品に関して廃止された。中国からの輸入も、2009年1月1日以降、中国本土で製造され、米国向けに輸出されるすべての繊維製品が対象から除外された。ただし、WTO非加盟国については、制限の対象となる。

    参考:
    ジェトロ「衣料品の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出

    繊維製品に関する最新情報:米商務省(Office of Textiles and Apparel:OTEXA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  2. 関税割当品目(Tariff-rate Quotas
    1. ホウキおよびブラシ(Brooms
    2. エチルアルコール
    3. ミルクおよびクリーム
    4. オリーブ
    5. ミカン(Mandarins
    6. マグロ
    7. リクチワタ(Upland Cotton
    8. 綿シャツ素材の一部
    9. 太陽光セル・モジュール(2022年2月6日までの措置を2026年2月6日まで延長)

    CBP "Commodities Subject to Import Quotas外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
    CBP "Solar Cell/Modules外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

輸入にあたり許可が必要な品目の一部

  1. 食品(乳製品、食肉など)
  2. アルコール飲料
  3. タバコ製品
  4. 銃器
  5. 放射性物質
  6. 生物学的薬剤
  7. 野生動物
  8. 自動車:型式に応じた、連邦の自動車安全基準(FMVSS)、排気ガス基準を満たす必要がある。
  9. ボート:米国沿岸警備隊(USCG)の定める安全基準を満たす必要がある。

詳細およびその他の品目について
CBP "Importing into the United States外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"(106~150ページ “Special Requirements”の項を参照)

食品安全強化法(FSMA)については、ジェトロ「米国食品安全強化法(FSMA)に関する情報」を参照。

個人による米国への持ち込みが規制される品目

個人が米国に持ち帰る、あるいは個人的に取り寄せようとする際、個人消費目的であっても規制されるものがある。

  1. 規制品目
    規制品目は次のウェブサイト参照。
    CBP "For International Visitors外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
  2. 特に注意すべき品目
    1.のうち、特に注意すべき品目は次のとおり。
    1. タバコ

      個人消費目的に限り、免除規定を超えない範囲でのみ認められている(タバコ200本以内、葉巻100本以内)。
      CBP "Customs Duty Information外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

      2020年9月24日以降、キューバで購入したタバコなどの製品を米国に持ち込むことが禁じられている。
      CBP "Bringing in Cuban goods and/or cigars into the United States外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

    2. 医薬品

      連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)は、食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)による販売認可の下りていない処方薬の米国への輸入を禁じている。さらに、米製薬会社が製造した認可取得済み医薬品をその会社が外国市場に送った場合、同法は、製造元以外のいかなる人物でも、その医薬品を米国内に逆輸入することを禁じている。つまり、いかなる人物でも、外国にある処方薬を米国に輸入することは禁止されている。

      一方FDAは、米国内でまだ認可されていない処方薬を個人が米国に持ち込む場合、次のすべての条件を満たせば、最大3カ月分まで持ち込むことを例外として認めている。

      1. 米国内での効果的治療法がない重病のための医薬品
      2. 米国内において、商業目的で当該医薬品を流通させないこと
      3. 予測できない危険性が、当該医薬品にないこと
      4. 当該医薬品を持ち込もうとする人物は、その医薬品が患者のためだけのものであることを宣誓すると同時に、その医薬品と患者の治療を担当する米国内の医師免許保持者の氏名と住所を報告するか、その医薬品の服用(投与)が米国外で始まり、米国入国時も、それを続けなければならないことを証明する宣誓書を提出すること

      FDA "Import Program外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  3. 食品

    バイオテロ法(Bioterrorism Act=BTA)に基づき、「非商業目的(non-commercial purposes)」の食品が米国に持ち込まれる場合、FDAとCBPが、それぞれの裁量権をもって現場での取り締まりにあたる。
    「非商業目的」の対米輸出は、通常個人が外国で個人用に入手したものを、本人が自分で消費するために米国に送るか持ち込もうとする場合に限定される。「非商業目的」として扱われる例は、次の4つ。

    1. 家庭用の食品
    2. 個人が購入した食品で、米国内にある自分の住所に本人が送付したもの
    3. 個人が贈り物用に買ったもので、当該品を売った商業者ではなく、買った人物本人が送付したもの
    4. 外交官向け容器に入っている食品

バイオテロ法に関しては、後述の「輸入管理その他 バイオテロ法」参照。

輸入規制の管轄諸機関と連絡先

輸入地域規制

外国資産管理規制、キューバ資産管理規則等により、全面的、部分的に輸出入禁止措置がとられている国。

外国資産管理規制、キューバ資産管理規則等により、全面的、部分的に輸出入禁止措置がとられている国は次のとおり(これらの国を原産地とする産品は、第三国を経由したものでも輸入禁止)。

  • イラン
  • キューバ
  • 北朝鮮など。

財務省 "Sanctions Programs and Country Information外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  1. イラン

    2010年7月に成立したイラン包括制裁法(H.R.2194)などに基づき、輸入禁止措置がとられている。同法は、1996年に制定されたイラン制裁法を強化し、イランの核開発や石油精製開発を支援する外国企業に対し、米国内でのビジネスを制限するもの。2011年12月には、原油の貿易でイラン中央銀行と取引のある米国外の金融機関を制裁する措置を含む国防権限法(H.R.1540)が成立した。

    2016年1月に「共同包括行動計画(JCPOA)」で定められた核開発の制限に関する合意内容をイランが履行したことを受け、イランに対する経済制裁を一部解除したが、2018年5月にはJCPOAからの脱退を表明、同年8月、11月の二段階に分けて再び制裁を発動している。

    2019年5月に日本を含む8カ国・地域をイラン産原油禁輸措置の適用除外とする特例措置を予定通り撤廃。加えて同月に、イランの鉄鋼、アルミニウム、銅産業に関連する会社の所有者や取扱業者、金融機関などを対象に制裁措置を発動した。

    2020年1月10日、イランによるイラクの米軍基地へのミサイル攻撃を受け、建設業や鉱業、製造業、繊維産業を制裁対象に加えた。同年1月23日には、国務省がイラン産石油化学製品の購入・販売や同国の国営企業への関与などがあるとして、中国や香港、アラブ首長国連邦籍の企業や個人の米国内の資産を凍結すると発表した。さらには同年9月21日に、イランとの武器取引に関与した個人や団体に対する米国内の資産凍結や米国入国停止を内容とする大統領令に署名、また同年10月8日には、イランの金融機関18行との取引の禁止を非米国人にも適用するなど、同国に対する制裁を強化している。

    2023年にはイランがドローンなど無人航空機(UAV)を生産してロシアや中東諸国を支援している問題に対応すべく、米国政府は制裁措置を強化している。財務省は同年10月18日にイランの弾道ミサイルおよびUAV開発・生産の調達を支援する11人の個人と8事業体など、同年12月19日には同じくUAV開発・生産の調達を支援する4人の個人や10事業体に対して制裁措置の発動を発表した。

    財務省 "Iran Sanctions外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  2. キューバ

    対キューバ資産管理規則(31CFR515)に基づき、原則、財務省の許可がある場合を除き、輸入禁止措置がとられている。2019年5月2日にキューバ自由民主連帯法(ヘルムズ・バートン法)第3章を発動。キューバ革命政権に接収された資産を利用して直接または間接的(第三者経由)に利潤を得る商業行為をする企業に対して、当該資産の米国人所有者(主にキューバ系米国人)が、米国の裁判所に損害賠償訴訟を起こすことが可能となっている。また、2019年10月18日に、商務省は、国営キューバ航空への航空機リースに関する制裁や米国の製品・技術・ソフトウエアを含む外国製品がキューバに再輸出される場合の輸出管理規制を強化した。

    2022年5月16日、バイデン政権は制裁の一部を見直し、人権の保護をはじめとするキューバ国民への支援に力を入れると発表したが、それ以降に具体的措置を導入する動きは特にみられない。

    財務省:

  3. 北朝鮮
    大統領令13570などに基づき、財務省の許可がある場合を除き、輸入禁止措置がとられている。

    財務省 "North Korea Sanctions外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  4. ロシア

    ロシアのウクライナ侵攻を受けて、バイデン政権は2022年2月以降にロシアに対して制裁措置を次々と導入している。金融制裁や輸出管理規制の強化のほか、輸入面では同年3月8日にロシア産原油などエネルギー製品の輸入禁止に関する大統領令を発令、同年3月11日にロシア産水産物やアルコール飲料(ウオッカなど)、ダイヤモンドなどの輸入禁止に関する大統領令を発令、同年4月8日にロシアおよびベラルーシの正常貿易関係を撤回する法案に署名、同年6月27日に230億ドル相当のロシア原産品の輸入に対する関税率の35%引き上げ措置に関する大統領布告、同年6月28日には財務省がロシア産金の輸入禁止措置の発動を発表している。

    その後も2023年2月に28億ドルに相当するロシアからの金属・鉱物・化学品、およびアルミニウム製品の輸入に対して関税を引き上げる、同年9月にはロシアのエネルギー生産・輸出や金属鉱物分野などに関連する70を超える事業体や個人を金融制裁の対象である「特別指定国民(SDN)」に指定、同年12月にはロシアのエネルギーや鉱物資源分野における制裁の迂回を助長する第三国ネットワーク、軍事産業基盤のエンドユーザーなど事業体や個人を対象にSDNに指定するなど、対ロシア制裁の動きを強めている。

  5. このほか、国・地域の特定個人や団体に対する規制について

輸入関連法

アンチダンピング、相殺関税、セーフガード規定、バイ・アメリカン法、スペシャル301条など。

輸入関連法

概要については、次を参照。

  1. アンチダンピング(19USC1673PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(205KB)
  2. 相殺関税(19USC1671PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(246KB)
  3. セーフガード規定(19USC2251PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(215KB)
  4. 外国政府等の不正貿易慣行(通商法301条)(19USC2411PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(243KB)
  5. 不公正貿易慣行(19USC1337PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(262KB)
  6. 輸入課徴金(国際収支制限)(19USC2132PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(201KB)
  7. バイ・アメリカン、バイ・アメリカ関連
    1. バイ・アメリカン法:連邦政府調達品に関し、国産品を優遇する措置。国内産業保護を主な目的とする。

      ※バイデン大統領は2021年1月、バイ・アメリカン政策の強化について、大統領令を発出。行政管理予算局(OMB)に対して、バイ・アメリカン政策の実施を監督する部署と高官ポストを新たに設立し、例外適用の厳格化および政府機関が調達する製品における国内調達比率の引き上げの検討を進めるよう指示。同年7月30日には連邦調達規則(FAR)の改正案を官報で発表し、[1]国内調達要求の基準比率を75%に引き上げることや、[2]国内最終製品と認められた「重要製品」に対する価格優遇の枠組みの創設、[3]「重要製品」の国内調達比率の報告義務の追加など、全体的に規制を強化する提案を行った。2022年3月にはこれらにかかる最終規則を公表し、同年10月25日から基準比率の段階的な引き上げが開始している。

      大統領令(The White House: Presidential Executive Order on Ensuring the Future Is Made in All of America by All of America’s Workers外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
      官報(Federal Acquisition Regulation: Amendments to the FAR Buy American Act Requirements外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    2. 連邦航空局、連邦高速道路局、連邦鉄道局、連邦交通局など運輸省傘下の機関は、連邦バイ・アメリカン法より厳しい独自の国産品優遇措置(バイ・アメリカ条項)を採用している。

      ※米国の国防総省、連邦調達庁(GSA)、航空宇宙局(NASA)は、2019会計年度国防授権法(NDAA)に基づき、2019年8月7日に華為技術(ファーウェイ)など中国ハイテク企業5社などからの調達を禁じる暫定規則(GSA Guidance on Section 889 FAR Rule)を発表した。同3省庁は、2020年7月14日には同じくNDAAに基づき、それら中国ハイテク企業5社から製品・サービスを調達している企業と米政府機関が契約を行うことを禁止する最終暫定規則を公表した。
      官報(Federal Acquisition Regulation: Prohibition on Contracting With Entities Using Certain Telecommunications and Video Surveillance Services or Equipment外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

      ※米国連邦通信委員会(FCC)は、2019年11月22日に通信事業で公的な補助金(USF)を受ける米企業による華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの企業との新規契約を禁止すると発表、2020年1月3日に最終規則を公表した。
      官報(Protecting Against National Security Threats to the Communications Supply Chain Through FCC Programs; Huawei Designation; ZTE Designation外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

      ※2020年3月には連邦補助金を使用して通信機器・サービスを購入することを禁じる「2019年安全かつ信頼できる通信ネットワーク法」が制定された。FCCは米国の安全保障などにリスクをもたらすと認められる企業が製造または提供する通信機器・サービスのリストを1年以内に公表し、それ以降、米通信企業はFCCの補助金を使って、当該通信・サービスを購入・維持することが禁止される。
      2019年安全かつ信頼できる通信ネットワーク法:Secure and Trusted Communications Networks Act of 2019外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

      ※FCCはさらに2022年11月には、安全保障上の脅威となり得る通信機器・サービスについて、米国内への輸入や販売に関する認証を禁止する行政命令を発表。最初の指定として、中国5社の機器・サービスが対象とされた。その後、追加指定があり7月現在までに中国10社、ロシア1社の機器・サービスが指定されている。
      FCC行政命令(FCC Bans Authorizations for Devices That Pose National Security Threat外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
      FCC対象機器・サービスリスト(List of Equipment and Services Covered By Section 2 of The Secure Networks Act外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    3. 景気対策法:2009年2月に成立した景気対策法は、州政府が景気対策法に基づく連邦予算を公共事業に利用する場合、連邦政府が定めたバイ・アメリカン法を採用することを義務付けた。
      景気対策法:Publicizing Requirements Under the American Recovery and Reinvestment Act of 2009外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    4. インフラ投資雇用法:2021年11月15日成立。総額1兆2,000億ドル規模の国内インフラ整備・拡充を目的とした法律。同法にはインフラ事業に使用される鉄、鉄鋼製品、建設資材、製造品について国産品を優遇する条項が含まれている。バイデン政権が進めているバイ・アメリカン強化政策に沿う形で過去の類似インフラ整備関連法に採用された調達ルールよりも国産品優遇の水準が高く、かつ対象範囲を広げた内容となっている。
      インフラ投資雇用法:Infrastructure Investment and Jobs Act外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    5. 州政府による調達時の国産品優遇措置は、州によって異なる。例えば、カリフォルニア、フロリダ、イリノイ、ニューヨーク、テキサスなどの州では、鉄・鉄鋼製品の国産品使用義務に加え、入札には州内企業を優先する「バイローカル」ルールや、中小企業を優遇する制度がある。
  8. テロ支援国家からの輸入禁止(22USC2349aa-9PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(220KB)
  9. スペシャル301条(19USC2242PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(230KB)
  10. 農作物および繊維製品の輸入制限協定(7USC1854PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(224KB)
  11. 農産物への賦課金および割当(7USC624PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(249KB)

出所:政府印刷局(GPO)

その他の輸入制限法令

各関連法に関するUS Codeのウェブサイトを参照。

  1. 合衆国法律集(United States Code:USC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  2. 連邦行政命令集(Code of Federal Regulations:CFR外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸入管理その他

テロ関連の輸入規制、木製梱包材、中古車、文化資産、原産地証明などに関する輸入規制など。

テロ関連の輸入規制

テロ行為防止のための税関産業界提携プログラム(Customs-Trade Partnership Against Terrorism:CTPAT)

米政府は2003年、税関・国境警備局(CBP)による監督の下、国際供給網に関する国家安全保障を強化する目的で、CTPATを整備した。

  1. 輸入関連業者
    CTPATは輸入業者に対し、国際供給網をめぐる安全保障上の業務処理に関する提言や助言を告知する。提言や助言内容は、輸入に携わる業種別(例えば、輸送業者、通関業者、輸入業者、港湾倉庫業者)に分類されている。ただし、CTPATからの提言や助言内容は、業界標準としてではなく、業務上の指針として告知される。
  2. 外国の製造業者

    CBPは、2003年8月18日から、メキシコ以外の国の製造業者と輸出向け梱包業者をはじめとする対米輸出関連業者に、CTPATへの参加を奨励している。CTPATへの参加には資格が必要。メキシコの製造業者はほぼ自動的に有資格者となるが、CTPAT認定の輸入業者を米国で運営しているといったいくつかの条件がある。メキシコ以外の国の製造業者は、基本的にはCBPからの勧誘がない限りCTPATへの参加を認められない。外国の製造業者がCTPATに参加するためには、「CTPAT Application Procedures for Foreign Manufacturers」に準拠する必要がある。

  3. 強制労働への対処に関する要件が追加
    2022年8月1日以降、貿易法令順守プログラムに申請する事業者に対して、強制労働に関わる要件が追加された。申請事業者はサプライチェーンにおける強制労働の防止を含む包括的な内部統制システムを実施し、それを説明する文書の提出が必須となった。

CTPATに関する詳細
CBP "CTPAT:Customs-Trade Partnership Against Terrorism外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
CBP "CTPAT Trade Compliance Handbook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
日本機械輸出組合:サプライチェーン・セキュリティ対策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

コンテナ・セキュリティ・イニシアティブ(Container Security Initiative:CSI)

CSIはCBPによる政策の1つ。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を受け、米国に入港するコンテナおよびコンテナ船の安全保障を向上する目的で導入された。米国外のCSIプログラムに参加する港湾に検査官を派遣し、現地の税関当局と協力して、テロの危険性がある米国向けコンテナやコンテナ船を出港前にスクリーニングし、海上輸送を利用したテロリストによる攻撃を未然に防ぐことを目的とする。

  1. CSIは、次の3つの要素から成る。
    1. あらゆる情報を収集し、対米テロの危険性を秘めているコンテナを割り出す。
    2. 対米テロの危険性を秘めているとみられるコンテナが、米国向けに出港する前に、港でスクリーニングを行う。
    3. X線やγ線などを利用した探知装置を駆使し、貿易業務の妨げにならないよう、迅速にスクリーニングを行う。
  2. CSIプログラムに参加する世界の港湾は、次のとおり。
    CBP "OPERATIONAL PORTSPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.1MB)"
    米州
    カナダ:モントリオール、バンクーバー、ハリファックス
    ブラジル:サントス
    アルゼンチン:ブエノスアイレス
    ホンジュラス:プエルト・コルテス
    ドミニカ共和国:カウセード
    ジャマイカ:キングストン
    バハマ:フリーポート
    パナマ:バルボア、コロン、マンサニージョ
    コロンビア:カルタヘナ
    エクアドル:グアヤキル
    欧州
    オランダ:ロッテルダム
    ドイツ:ブレーマーハーフェン、ハンブルク
    フランス:ル・アーヴル、マルセイユ
    ベルギー:アントワープ、ジーブルージュ
    スウェーデン:ヨーテボリ
    イタリア:ラ・スペツィア、ジェノバ、ナポリ、ジオイア・タウロ、リヴォルノ、カリアリ、サレルノ
    英国:フィーリックストウ、ティルバリー、サウザンプトン
    スペイン:アルヘシラス、バルセロナ、バレンシア
    ポルトガル:シネス
    アジア
    シンガポール
    日本:横浜、東京、名古屋、神戸
    中国:香港、深セン、上海、チワン
    台湾:高雄、基隆
    韓国:釜山
    マレーシア:ポート・クラン、タンジョン・プラパス
    タイ:レム・チャバン
    UAE:ドバイ
    スリランカ:コロンボ
    オマーン:サララ
    パキスタン:ポート・カシム
    イスラエル:アシュドッド、ハイファ
    ヨルダン:アカバ
    アフリカ
    南アフリカ共和国:ダーバン

CSIに関する詳細
CBP "CSI:Container Security Initiative外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

24時間ルールおよび「10+2」ルール
  1. 24時間ルール

    2002年通商法(Trade Act of 2002)に基づき、2002年12月に施行。海外の船会社、または委託を受けた非船舶保有海上運送事業者(NVOCC)に対し、米国向け海上貨物の外国港での船積み24時間前に、積荷目録(マニフェスト)情報をCBPに提出することを義務付けている。2004年1月からは、海上貨物に加え、航空・陸上貨物にも適用されている。

    CBP "ACE Import Manifest Documentation外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  2. 「10+2」ルール

    2010年1月より施行。輸入者に対して10項目、船会社に対して2項目の貨物情報の提出を求めるもの。24時間ルールに基づき、船会社が提出する積荷目録(マニフェスト)の情報と輸入者が提出する10項目の貨物情報を照合する。

    CBP "Importer Security Filing '10+2'外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  3. 提出が必要な貨物情報
    輸入者
    米国向け貨物(FTZ、ITを含む):[1]記録上の輸入者登録番号/FTZ申請者識別番号、[2]荷受人番号、[3]売り主、[4]買い主、[5]配送先、[6]製造業者(またはサプライヤー)、[7]原産国、[8]商品のHTSUS番号(6桁レベルで可)、[9]コンテナ詰め込み場所、[10]混載業者
    中継貨物(FROB、IEおよびTE。荷揚げされずに船上に残る貨物や、荷揚げ後に他の港へ保税輸送されてから輸出される貨物):[1]船腹予約者、[2]配送先、[3]商品のHTSUS番号(6桁)、[4]外国の積み降ろし港、[5]納入場所
    船会社
    24時間ルールに基づき提出する積荷目録(マニフェスト)および、[1]船積み計画書、[2]コンテナ状況メッセージ

CBP "Importer Security filing and Additional Carrier RequirementsPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(480KB)"

その他、関連情報などは、ジェトロ調査レポート「米国の物流に関する調査報告書(2009年7月)」も参照。

航空貨物事前検査(ACAS)プログラム(2018年6月12日発効)

航空機に貨物が積載される前に貨物情報を税関に提出させることで危険度の高い航空貨物が米国に運ばれないよう、リスク軽減を図ることを目的として、CBPが2010年12月から試験的に導入、2018年6月に本格的に施行した。
ACASデータの提出を求められる主体は、外国から米国行き貨物を運搬する航空会社だが、貨物について知識を有し、より早く正確なデータ提出が可能な場合には、貨物取扱業者など他の当事者による提出も認められる。不正確なデータあるいはデータ提出の遅延などの違反には、損害賠償請求を受ける可能性もある。提出が必要となるACASデータは、次のとおり。

  1. 荷主名と住所
  2. 荷受人名と住所
  3. 貨物の詳細
  4. 総数量
  5. 総重量
  6. 航空運送状番号
バイオテロ法(Bioterrorism Act:BTA)

2001年9月11日のテロ事件を受け、2002年6月12日、バイオテロリズムから米国内の食品と食品流通網を守る目的で「Public Health Security and Bioterrorism Preparedness and Response Act of 2002」が制定された。通称「Bioterrorism Act」(バイオテロ法)と呼ばれる同法の下、税関・国境警備局(CBP)の検査官による米国への輸入食品の検査が強化された。また、バイオテロ法を所管する保健福祉省食品・医薬品局(FDA)は、同法の規定に基づく実施規則を策定し、2003年12月12日から施行している。このうち、米国への食品の輸入に直接的に関係する規則の概要は、次のとおりである。

  1. 関連施設の登録
    国産と外国産の食品(動物用も含めて)すべてに関わる製造工場や加工工場、梱包施設、保管施設は、FDAへの登録が必要。最終消費者に直接食品を販売する農場や小売店、レストラン、非営利団体による関連施設などは例外。
    登録施設は、偶数年の10月1日~12月31日までの間に登録を更新する。2020年12月1日、FDAは固有の施設識別名(UFI: Unique Facility Identifier)を求めた。UFIには、米企業情報サービス会社ダン・アンド・ブラッドストリートが開発した9桁の企業識別コードのダンズナンバー(DUNS Number)の使用が認められている。
  2. 事前報告(Prior Notice:PN)
    米国に食品を輸入する業者もしくはその情報を持っている者は、FDAに、詳細を電子的に報告する必要がある(FDA PNSI)。報告時期は、輸入手段が陸路(道路)の場合、米国到着の15日前~2時間前まで、陸路(鉄道)の場合は同15日前~4時間前まで、空路の場合、同15日前~4時間前まで、海路の場合、同15日前~8時間前まで。いずれの場合も、事前報告でCBPの自動ブローカーインターフェース(ABI/ACS)を利用する場合は、米国到着の30日前から報告が可能。

ただし、次の食品は、事前報告規定の対象から除外される。

  • 旅行者が所持する個人のための食品(税関での申告義務は、従来どおり適用される)
  • 米国入港地を離れずに、米国から輸出される食品
  • 肉(家禽肉を含む)、卵(農務省の管轄による規制は、従来どおり適用される)
  • 贈答品として個人宅で作られた食品

バイオテロ法に関する詳細
FDA "Registration of Food Facilities and Other Submissions外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

木製梱包材(WPM)の害虫駆除規制

  1. 農務省(USDA)は、植物に寄生する害虫の米国への流入を防ぐために、木製梱包材(Wood Packaging Material:WPM)に関する国際植物防疫条約(International Plant Protection Convention:IPPC)に基づく基準を2002年に導入し、以降、段階的に実施。
  2. USDAの動植物検査局(Animal and Plant Health Inspection Service)は、国土安全保障省(DHS)の税関・国境警備局(CBP)と共同で、2005年9月からWPM規制(7 CFR 319)を執行。
  3. 米国に持ち込まれるか、米国を経由するすべてのWPMは、ISPM 15(International Standards for Phytosanitary Measures:Guidelines for Regulating Wood Packaging Material in International Trade)に則った方法で熱処理するか、臭化メチルで殺虫する必要がある。
  4. IPPC基準内容に準拠したWPMは、それを証明するIPPCマークを貼ることが求められており、原則として、IPPCマークがなければWPMは即座に国外に出される。しかし、CBPの港湾責任者が、当該WPMを他の積荷から完全に隔離できると判断すれば、港湾に一時的に係留することが許される。

農務省(USDA) "Plant Import Information外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

中古車

  1. 輸入条件
    1. 車両に関する品質基準
      新車と同じく、現行の安全基準、バンパー基準、排ガス基準をすべて満たしていること。ただし、年式が古いもの(例えばガソリン車で1967年までに製造されたものなど)は排ガス基準の適用外。また、オートレースやオートショーのための臨時輸入などでは例外規定あり。詳しくは、運輸省国家道路交通安全監督局(NHTSA)参照。
    2. a.の品質基準に合わない車両
      政府が指定する業者(Independent Commercial Importer:ICI)を通して輸入することが義務付けられている。監督官庁は、運輸省(DOT)と環境保護庁(EPA)。
  2. 輸入通関手続き
    1. 通関手続き、必要書類、取得しておくべき資格、マークなど
      通関時に環境保護庁のForm 3520-1および運輸省のForm HS-7を提出する必要がある。ただし、オートレースやオートショーのための臨時輸入などでは例外規定あり。また、国務省が認める外交官やローマ法王などが持ち込む車両などは別扱い。
    2. 輸入関税率
      新車と同じで、乗用車は原則2.5%の関税。カナダ製はほとんどが免税。
    3. 輸入にかかわる内国税
      排気量が大きく燃費の悪い車両には、「燃料多消費車税(Gas-guzzler Tax)」と呼ばれる連邦税が課税されることがある。
  3. 車両登録手続き
    管轄官庁、必要書類、必要経費、車両検査等については、車両を登録する州の陸運局(Department of Motor Vehicles)がそれぞれ決める。詳細は、各州政府のウェブサイトで検索可能。
  4. 輸入自由化、または規制への動き
    特に変化なし。中古車に限らず、特定の国からの輸入は禁止。
  5. その他、特筆すべき事項、留意点など
    1. 排ガス規制の有無:あり
    2. 保税地区:なし
    3. 輸送ルート:なし
    4. 「植物検疫法」による規制:車両に土がついていたり、車の中に植物や植物の種が入ったりしたままでは輸入できない。
    5. 輸出者として留意すべき点:輸入はできても米国内で売却できない(輸入者が再輸出しなくてはならない)場合がある。例えば、排ガス基準を満たしていない車は、輸入後1年間使用できるが、それ以降は廃車にするか再輸出する必要がある。
  6. 管轄官庁

    運輸省(Department of Transportation:DOT外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    運輸省国家道路交通安全監督局(National Highway Traffic Safety Administration:NHTSA)
    "Importing a Vehicle外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

    環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)
    "Importing Vehicles and Engines into the United States外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    Independent Commercial Importer:ICIの情報あり)

    税関・国境警備局(CBP)"Importing a Motor Vehicle外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

    その他各州の陸運局

文化資産

文化資産保護法(Cultural Property Implementation Act)の下、国務省は次の国々と協定を締結し、対象となる文化資産の輸入を禁止している。管轄は、国務省の教育・文化局国際文化資産保護課。

国名 対象となる文化資産 発効・変更・更新
アルバニア 古代アルバニアの民族学的物質 2022年2月に発効
アルジェリア 古代アルジェリアの考古学的物質 2019年8月に発効
ベリーズ コロンビア時代以前および植民地時代の考古学的物質 2013年2月に発効、2018年2月、2023年1月に変更・更新
ボリビア コロンビア時代以前の考古学的物質 2001年12月に発効、2006年12月に変更・更新、2011年12月に更新、2016年12月、2021年11月に変更・更新
ブルガリア 教会の民族学的物質 2014年1月発効、2019年1月に変更・更新
カンボジア クメールの考古学的物質 2003年9月に発効、2008年9月、2013年9月、2018年9月に更新・変更
中国 旧石器から唐王朝時代の考古学的物質および記念碑彫刻および壁画 2009年1月に発効、2014年1月、2019年1月に変更・更新
チリ 古代から西暦250年までの考古学的物質 2020年9月に発効
コロンビア コロンビア時代以前の考古学的物質およびコロンビア時代の教会の物質 2006年3月に発効、2011年3月、2016年3月、2021年3月に変更・更新
コスタリカ コロンビア時代以前の民俗学的物質 2021年1月に発効
キプロス 古典的な考古学的物質 2002年7月に発効、2006年8月、2007年7月、2012年7月、2017年7月、2022年7月に変更・更新
エクアドル 紀元前の考古学的物質および植民地時代の民俗学的物質 2020年2月に発効
エジプト エジプト文化遺産の考古学的物質 2016年11月に発効、2021年11月に変更・更新
エルサルバドル コロンビア時代以前の考古学的物質 1995年3月に発効、2000年3月、2005年3月、2010年2月、2015年3月、2020年3月に変更・更新
ギリシャ 紀元前15世紀の考古学的およびビザンチン教会の民族的物質 2011年11月に発効、2016年11月、2021年11月に変更・更新
グアテマラ コロンビア時代以前の考古学的物質 1997年9月に発効、2002年9月、2007年9月、2012年9月、2017年9月、2022年9月に変更・更新
ホンジュラス コロンビア時代以前の考古学的物質 2004年3月に発効、2009年3月、2014年3月、2019年3月に変更・更新
イタリア ローマ帝国時代の考古学的物質

2001年1月に発効、2006年1月、2011年1月、2016年1月、2021年1月に変更・更新

ヨルダン 古代から西暦1750年までの考古学的物質

2020年2月に発効

リビア 旧石器時代からオスマン帝国時代の考古学的物質 2018年2月に発効、2023年1月に変更・更新
マリ ニジェール川渓谷およびバンディアガラ断崖の考古学的物質 1997年9月に発効、2002年9月、2007年9月、2012年9月、2017年9月、2022年9月に変更・更新
モロッコ 古代から西暦1770年までの考古学的物質 2021年1月に発効
ナイジェリア 紀元前1500年から西暦1770年までの民俗学的・考古学的物質 2022年1月に発効
ペルー コロンビア時代以前の考古学的物質および植民地時代の民族的物質 1997年6月に発効、2002年6月、2007年6月、2012年6月、2017年6月、2022年5月に変更・更新
トルコ 古代から西暦1770年までの考古学的物質 2021年3月に発効

輸入規制対象の文化資産(国別)について:国務省教育・文化局(Bureau of Educational and Cultural Affairs:ECA)"Current Agreements and Import Restrictions外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

※このほか、協定ではなく米国内法に基づき、緊急的に文化資産の輸入を禁止している例もある。イラクに関しては2004年諸関税・技術是正法(Miscellaneous Trade and Technical Corrections Act of 2004)第3部、シリアに関しては2006年国際文化所有物保護・保存法(Protect and Preserve International Cultural Property Act of 2006)第3章にて規定されている。また、2020年2月にはイエメン政府の要請を受けて、1983年文化所有物実施会議(Convention on Cultural Property Implementation Act of 1983)に基づき、緊急的に同国からの文化遺産の輸入を禁止している。さらに、2022年2月には同様に、アフガニスタンの民俗学的・考古学的物質の輸入を禁止している。

原産地証明

関税規則で定められる一部の例外を除き、輸入品は、原産地を確認しやすいところに英語で表示するよう義務付けられている。
また、輸入者は、通関関連申告書類に、他の輸入関連情報とともに、輸入品の原産地の記入が義務付けられている。
原産地表示のない貨物は、税関の監督下、外国への積戻し、廃棄処分、あるいは適切な表示への是正のいずれかを行う必要があり、いずれの場合も、関税評価額の10%相当額が追徴される。誤認を生じさせる原産地表示を行う、あるいは虚偽の原産地表示をした貨物の輸入は禁止されている。

※米国トランプ大統領は2020年7月14日、中国政府による香港への国家安全法導入を受け、香港を中国本土と別に扱うことを正当化できる自治がもはや維持されていないとし、香港への優遇措置を停止する大統領令を発表した。これにより、U.S. Code 1304の香港への適用が停止され、香港原産の物品は、中国原産と同様に扱われることになった。
大統領令13936(The President's Executive Order on Hong Kong Normalization外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

U.S. Code 1304 "Marking of imported articles and containersPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(156KB)"
出所:政府印刷局(GPO)

ジェトロ「原産地表示:米国

輸出品目規制

主に、商務省、国務省、財務省、原子力規制委員会、エネルギー省が、安全保障上で懸念される品目について、輸出管理を行っている。

商務省による輸出管理

  1. 米国輸出管理規則(Export Administration Regulations:EAR)

    米国輸出管理規則(EAR)は、軍事用としても非軍事用としても利用可能な「デュアルユース品目」と呼ばれる商用製品の輸出に適用される規則で、商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)が管理・規制の執行を管轄している。EAR規制対象品目は、物品(Commodities:服、建築資材、回路基盤、自動車部品など)、ソフトウエア(Software)、技術(Technology)をはじめ多岐にわたり、米国からの輸出のみでなく、再輸出の取引にも適用される。

    2018年8月には国防授権法に含まれた「2018年輸出管理改革法(ECRA)」が成立、輸出管理を強化することとなった。具体的には[1]新規で「新興・基盤的技術(emerging and foundational technologies)」を対象とした輸出規制の構築、[2]包括的武器輸出禁止国に対する輸出ライセンスの対象範囲および除外基準などの見直し、[3]商務省のライセンス発行審査における審査要件に、対象技術の輸出が米国の防衛産業基盤に及ぼす影響を追加する、などを含む。

    EARの詳細:商務省(BIS) "Export Administration Regulations Downloadable Files外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

    参考資料:ジェトロ調査レポート
    厳格化する米国の輸出管理法令(2019年9月)
    続・厳格化する米国の輸出管理法令 留意点と対策(2021年8月)
    米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応(2023年4月)

  2. EAR規制対象品目
    1. 米国内にあるもの
      • 米国にあるすべての品目
    2. 米国外にあるもの
      • 米国で生産された品目、米国原産品目(所在に関わらず)
      • 外国製品で、特定の割合を超えて米国規制品目が含まれている製品(組み込み品)
      • 外国製品で、特定の米国規制技術が使用されている製品(直接製品)
    3. その他
      • 米国人および米国人以外の外国人の特定の活動
      • 技術やソースコードの外国人への移転

        ※技術移転や、ソフトウエアのソースコードの開示なども輸出とみなされる。
        (出所:在日米国大使館商務部)

    対象品目の詳細:商務省(BIS) "Scope of the Export Administration Regulations外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  3. 輸出許可が必要な品目(規制品目リスト:CCL)

    すべてのEAR規制対象品目の再輸出に、商務省の輸出許可が必要なわけではなく、許可の必要の有無は、対象製品、輸出国、輸出国における輸入者、輸出用途により異なる。特に注意を要するEAR対象品目は、規制品目リスト(Commerce Control List:CCL)に掲載されている。品目は、次のa.カテゴリー、b.グループ、c.規制目的に応じたコードで分類されており、それらの組み合わせで分類コードが決まる(例:2B991など)。分類コードはECCN(Export Control Classification Number)と呼ばれる。

    1. 品目カテゴリー
      1. 核物質、核施設、核装置、その他品目
      2. 素材、化学物質、微生物、有毒物質
      3. 材料加工
      4. 電子機器
      5. コンピュータ
      6. 通信、暗号
      7. レーザー、センサー
      8. 航行補助装置・航空電子機器
      9. 海洋技術
      10. 推進システム、宇宙機器・関連装置
    2. 品目グループ
      1. 装置、組み立て品、部品
      2. 試験、検査、製造の装置
      3. 素材
      4. ソフトウエア
      5. 技術
    3. 規制目的
      1. 国家安全保障
      2. ミサイル技術
      3. 核拡散防止
      4. 生物化学兵器
      5. 欠番
      6. 商務省の決定によって国家安全保障または外交政策上の管理を必要とする品目
      7. ワッセナー・アレンジメントに基づく軍需品リストに記載されている品目
      8. 欠番
      9. 欠番
      10. テロ対策、犯罪防止、国連制裁など

    規制品目リスト(通商管理リスト) "Commerce Control List:CCL外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

※商務省産業安全保障局(BIS)は2021年10月21日、主に米国産のコンピュータやネットワークに不正侵入するソフトウエアと関連技術をEAR対象品目に追加指定した暫定最終規則を公示、2022年3月7日に暫定最終規則として施行、同年5月26日に同規則を修正する形で最終規則を施行した。

商務省以外での輸出管理

次の品目については、商務省以外の各担当省庁が輸出管理を行っている。

  1. 国防サービス・軍需品:国務省 国防貿易管理課(DDTC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  2. 制裁措置関連国への輸出:財務省 外国資産管理局(OFAC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. 核物質・核関連設備:原子力規制委員会(NRC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  4. 核関連技術および原子力・核関連特殊物質に関する技術データ:エネルギー省 国家核安全保障局(NNSA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  5. 天然ガス・電力:エネルギー省 化石エネルギー局(DOE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  6. 医療機器・医薬品:食品医薬品局(FDA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸出地域規制

現行の輸出管理規則の下では、何らかの制裁対象になっている国への直接輸出、および第三国を通じた間接輸出は、原則として禁止されている(ただし、人道的目的に限られた品目については、特別な許可を得れば輸出可能)。

包括的輸出禁止国

  1. キューバ

    対キューバ資産管理規則(31CFR515)に基づきライセンスを受けた者、商務省の許可を得た者のみが、一般に輸出可能。出版物、情報媒体(CDや一部芸術品)、寄贈目的の食料品、許可を得た法務サービスや通信サービス等、商務省が認めた商品を除いて、キューバへの輸出は禁止されている。1992年のキューバ民主主義法や2000年の通商制裁改革・輸出促進法により、商務省は一般に医薬品、医療機器、食料品、農産物の輸出においては、ライセンス発給を行っている。2015年1月16日の商務省の規則改正により、パソコン、携帯電話などのコミュニケーション機器は、販売目的でもライセンスなしで輸出可能となった。

    米政府印刷局(GPO):

  2. イラン

    財務省外国資産管理局(OFAC)のライセンスを受けていない限り、財、技術(技術に関するデータや情報を含む)、サービスの対イラン輸出は認められない。米国民(在留地問わず)、米国内で活動する個人は、国外での取引により、イランの利益となる行為を仲介してはならない。ただし、人道的救済を目的とした寄付、100ドル以下の贈与、ライセンスを受けた農産物・医薬品・医療機器、情報媒体(映画、ポスター、写真、CD-ROMなどHS9701~9703に包含されるもの)の輸出は認められる。

  3. シリア
    大統領令13338に基づき、商務省は、通商管理リスト(CCL)にある品目の輸出は認めない。また、事実上それ以外の品目についても、食品と医薬品を除いて、商務省は許可を与えない。
  4. 北朝鮮
    大統領令13722に基づき、商務省のライセンスを受けていない限り、財、技術、サービスの対北朝鮮輸出は認められない。
  5. ウクライナのクリミア地方
    大統領令13685に基づき、OFACのライセンスを受けていない限り、財、技術、サービスのウクライナ・クリミア地方への輸出は認められない。

部分的輸出禁止国・対象者

  1. 一般的に、国防関連の製品・サービスの輸出入を認めていない国、武器禁輸措置をとっている国

    ベラルーシ、ミャンマー、中国、キューバ、イラン、北朝鮮、シリア、ベネズエラ、スーダン、ロシアなど。

    国務省 "Country Policies外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

    商務省 "Russia-Belarus Export Controls外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  2. SDN(Specially Designated Nationals and Blocked Persons)リスト対象者との取引

財務省 "Sanctions Programs and Country Information外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

輸出関連法

国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく、大統領権限の発動。

米国からの輸出を規制する法律は対象産品等により多岐にわたるが、1979年輸出管理法(Export Administration Act of 1979)(50USC2401)が2001年8月に失効した後は、国際緊急経済権限法(IEEPA)が輸出管理を最も包括的に扱う法となっていた。
現在は、2018年8月成立の輸出管理改革法(ECRA)が輸出管理における主要な法律となっている(前記の「輸出品目規制 商務省による輸出管理」の項目を参照)。

罰則と大統領権限について:財務省 "Civil Penalties and Enforcement Information外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

国際緊急経済権限法:U.S. Code Chapter 35 "INTERNATIONAL EMERGENCY ECONOMIC POWERS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

罰則について:商務省産業安全保障局(BIS)"Penalties外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

輸出管理その他

輸出禁止業者。

商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)では、米国の輸出管理法令等に違反するなど、米国の国益に反する行為をした特定の業者や個人などを輸出制限対象としてリスト化しており、当該業者へ米国製品を輸出・再輸出・国内移送等する場合に制限を課している。

輸出禁止業者の詳細:BIS "Lists of Parties of Concern外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
ジェトロ調査レポート「米商務省国際貿易局 統合スクリーニングリスト(CSL)の利用ガイド(2022年12月)