吉利汽車、2027年にカナダ市場へ参入、需要見通しが悪化する中で販売網構築へ
(カナダ、中国、日本、米国)
調査部米州課
2026年10月14日
中国の自動車大手、吉利汽車(Geely)は10月9日、カナダ市場への参入を発表
した。2027年の新車販売開始に向け、現地事業の立ち上げや販売・サービス網の構築を進めるとしている(2026年10月14日記事参照)。
現在、カナダに輸入される中国製電気自動車(EV)は、年間4万9,000台を上限に、最恵国待遇(MFN)税率(6.1%)が適用されている。カナダは、トルドー前政権下の2024年10月、MFN税率に加えて100%の追加関税を課した(2024年8月30日記事参照)が、カーニー政権下の2026年3月から、中国との新たな戦略的パートナーシップに基づき、輸入割当制度の運用が開始された(2026年1月20日記事参照)。9月に発表された同制度の運用状況によれば、第1期(2026年3月1日〜8月31日)の利用済み枠は1万5,603台で、第2期(2026年9月1日〜2027年2月28日)の割当枠は最大3万3,397台となる見通しだ(2026年9月7日記事参照、注1)。カナダ政府は同制度について、今後5年間で中国製EVの輸入台数の50%以上を低価格帯EVとし、消費者に安価な選択肢を提供できると説明している。
メラニー・ジョリー産業相は6月の訪中時、吉利汽車を含む中国の自動車関連企業が輸入割当制度に関心を示したと、訪中後の記者会見
で明らかにしていた(2026年7月1日記事参照)。カナダでは、中国・上海の工場で生産された米国EV大手テスラが同制度による恩恵を受けている見方があるほか(「Bloomberg」10月2日、注2)、吉利傘下のロータス(Lotus)は5月、中国・武漢の工場で生産したバッテリー式EV(BEV)をカナダ向けに初めて出荷したと発表している。
カナダのZEV市場は縮小傾向に、生産戦略を見直す動きも
カナダの2025年ゼロエミッション車(ZEV)の新車登録台数は、前年比34.7%減の17万7,034台となった(2026年7月7日付地域・分析レポート参照)。EV需要見通しの悪化や政策環境の不確実性から、生産戦略を見直す動きもみられる。ゼネラルモーターズ(GM)は商用ZEV生産を停止したほか、ステランティスはEV生産計画の米国移管を決定した。ホンダは2025年5月、EV市場の成長鈍化を理由に、2024年4月に発表したEVバリューチェーン構築計画を延期し(2025年5月15日記事参照)、2026年5月には同計画を無期限で凍結する方針を明らかにした。工場が立地するオンタリオ州ニュー・テカムセス市は市長声明で、急速に変化するグローバル市場で競争力を維持するため、国内の労働者や地域社会、企業の長期的な投資を支援できる連邦政府の政策運営を訴えている。
(注1)年間割当枠を第1期と第2期に分け、各期2万4,500台をベースの割当枠として運用する。第2期の割当枠には、第1期の割当枠の残数が上乗せされる。なお、発表された「利用済み割当数量」は輸入許可ベースの数値であり、実際の通関台数や販売・登録台数とは必ずしも一致せず、最終的な第2期割当数は最大値よりも少なくなる可能性がある。
(注2)テスラが中国で製造する「Model 3 Premium」は、同社が確保した輸入割当数を超過する需要によりカナダでの受注を中断し、2027年3月以降の割当増枠を踏まえて再開する見込みだと、公式HPに掲載している(10月13日現在)。
(木村勇翔)
(カナダ、中国、日本、米国)
ビジネス短信 8b6e97ea557e1c0a





閉じる