貿易管理制度

最終更新日:2023年08月17日

管轄官庁

ビジネス・通商省(DBT)、歳入関税庁(HMRC)

ビジネス・通商省(Department for Business and Trade:DBT外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

所在地:Old Admiralty Building Admiralty Place, London, SW1A 2DY
Tel:+44 (0)20 7215 0011(問い合わせは次のフォームから行うことを推奨)

問い合わせフォーム:

輸入ライセンスに関する照会先:ビジネス・通商省輸入ライセンス局(ILB)
  • 輸入ライセンスの申請先:輸入ライセンス局のオンラインシステム(Import Case Management System:ICMS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • メールでの問い合わせ先:enquiries.ilb@trade.gov.uk
輸出ライセンスに関する照会先:ビジネス・通商省 輸出管理局(Export Control Joint Unit:ECJU外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • メールでの問い合わせ先:exportcontrol.help@trade.gov.uk
    Tel:+44 (0)20 7215 4594
  • 郵送での問い合わせ先:
    Export Control Joint Unit
    Department for Business and Trade
    Old Admiralty Building, Admiralty Place, London, SW1A 2DY, United Kingdom

歳入関税庁(HM Revenue and Customs:HMRC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸出入全般に関する照会先(Imports and exports: general enquiries外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

Tel:+44 (0)30 0322 9434
Webchat(Customs and international trade: chat外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

VATに関する照会先(VAT:general enquiries外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

Tel:0300 200 3700(英国内)/ +44 (0)29 2050 1261(英国外)
(電話は自動応答システムで、担当者との通話は音声ガイダンスに従う)

輸入品目規制

国際条約・協定に基づく輸入禁止・規制品目、その他の輸入禁止品目および輸入ライセンスのみで許可される主な品目、化学品・医薬品の主な規制品目、動植物とその製品などの主な規制、貿易制裁に基づく特定品目の規制。

輸入品目規制の詳細は以下を参照のこと。

ジェトロ「英国 貿易管理制度:輸出入品目の規制PDFファイル(431KB)」(後述の各品目の詳細を記載)
ジェトロ「英国 輸出入手続:輸出入許可申請

国際条約・協定に基づく輸入禁止・規制品目

絶滅危惧動植物(ワシントン条約)、オゾン層破壊物質(ODS)とハイドロフルオロカーボン(HFC)(モントリオール議定書)、残留性有機汚染物質(POPs条約)、廃棄物(バーゼル条約とOECD理事会決定)、毒性化学物質(化学兵器禁止条約)、対人地雷(オタワ条約)。

その他の主な輸入禁止・規制品目

核物質、銃火器・弾薬、攻撃用武器(指定されたナイフなど)、拷問・処刑用の器具、犬猫の毛皮、一部の二重価格医薬品。

化学品・医薬品の主な規制品目(ライセンス、証明書、通知などが必要)

有害化学物質(ロッテルダム条約による事前通知・同意手続(PIC)の対象となる物質)、固体硝酸アンモニウム(肥料)、ヒト用医薬品、動物用医薬品、規制薬物、前駆体化学物質。

動植物とその製品などの主な規制品目(証明書、登録・通知が必要な場合がある)

動物・動物製品と非動物由来の高リスク食品・飼料、植物・植物製品、水産品、木材・木材関連製品。
規制品目の詳細は、英国政府「一般公開輸入ライセンス(Open General Import License:OGIL)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照。

その他の輸入規制

貿易制裁に基づく特定品目の輸入規制

詳細は、後述の「輸入地域規制」を参照。

関税割当品目

自主的関税割当(ATQ)は、数量を限定して関税を免除するもの。EU加盟当時のATQは離脱後も引き継がれ2024年8月31日まで関税停止対象となっている(EU産水産物の一部も含む)。さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2021年1月1日から多くの医療品、2021年10月29日から14種のワクチンに対してともに2023年12月31日まで関税停止を実施中。
最新情報は英国政府「英国の貿易関税:関税賦課一時停止と自主的関税割当(UK Trade Tariff:duty supensions and autonomous tariff quotas外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を参照。

一定数量まで低税率または無税とする関税割当制度(TRQ)の確認および最新情報は次で確認できる。

輸入地域規制

適用法令と管轄官庁、貿易制裁(輸入)の主な対象地域。

適用法令と管轄官庁

適用法令

英国法規サイト:2018年制裁・資金洗浄防止法(制裁法)(Sanctions and Anti-Money Laundering Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (the Sanctions Act)

概要

2020年12月31日までは、国連の制裁措置や欧州安全保障協力機構(OSCE)の要請による制裁、EUの制裁措置はEU規則を通じて適用していたが、2021年1月1日以降、制裁法により独自の制度を導入した。以前のEU規則による制裁措置は、英国独自の措置として置き換えて施行している。制裁法は、制裁の権限や見直し、資金洗浄・テロ資金供与の防止などを定め、貿易制裁の導入方法などを規定。

管轄官庁

制裁に関する施策全般は外務・英連邦・開発省(FCDO)が担い、貿易制裁やその他の貿易制限はビジネス・通商省(DBT)が実施する。輸入に関する管理はDBTが担う。

  • 問い合わせ先(輸入規制):ビジネス・通商省
    E-mail:importcontrols@trade.gov.uk
  • 問い合わせ先(制裁全般):外務・英連邦・開発省(FCDO)制裁ユニット
    E-mail:fcdo.correspondence@fcdo.gov.uk

貿易制裁(輸入)の主な対象地域

後述の「輸出地域規制」も参照のこと。

国連安保理決議に基づく対象国

北朝鮮(武器関連のほか資源、食品、機械、繊維など広範な品目)、イラン(武器と関連品、武器関連技術など)、イラク(武器と関連品、武器関連技術、不法に取得されたイラクの文化財)、リビア(武器と関連品)、ソマリア(武器と関連品、武器関連技術、木炭)

EUの制裁を英国独自の制裁として導入した輸入規制

ロシア(ウクライナ情勢に対する経済制裁の一環として武器と関連品、石油・石油製品、石炭、石炭製品、液化天然ガス(LNG)、金、宝飾品、奢侈品、高収益品、クリミア自治共和国の原産品など)、ベラルーシ(武器、鉄鋼、カリおよび鉱物製品、鋳物製品、セメント、ゴム、木材、金・宝飾品)、シリア(武器と関連品、原油・石油製品)。

ウクライナ情勢をめぐる特別措置

ロシアによるウクライナ侵攻を受け各種支援措置、制裁措置が導入されている。詳細は以下を参照のこと。
ジェトロ「英国 貿易管理制度:ウクライナ情勢をめぐる特別措置PDFファイル(572KB)

輸入関連法

1939年輸出入関税権(防衛)法、1954年物品輸入(管理)令、2018年制裁・資金洗浄防止法。

輸入規制に関連する主な法令

  • 英国法規サイト:1939年輸出入関税権(防衛)法(Import, Export and Customs Powers (Defence) Act 1939外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    輸出入管理の基本を規定。制定時に規定していた緊急事態の存続に関係なく継続的に適用するため、1990年輸出入管理法(Import and Export Control Act 1990外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)により一部改正。
  • 英国法規サイト:1954年物品輸入(管理)令(Import of Goods (Control) Order 1954外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    物品輸入の禁止と当局の発行するライセンスによる輸入の許可などを規定。
  • 英国法規サイト:2018年制裁・資金洗浄防止法(Sanctions and Anti-Money Laundering Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    EU法を通じて行っていた国連制裁措置やEU制裁措置を英国法で独自に適用するための法規。制裁の権限や見直し、資金洗浄とテロ資金供与の防止などを定め、貿易制裁の導入方法などを規定。

その他、品目別の輸入規制に関連する法令

英国政府:手荷物として携行する場合に規制対象となる商品(Restricted and controlled goods for merchandise in baggage外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

品目別の輸入規制に関連する法令は次も参照。
ジェトロ「英国 貿易管理制度:輸出入品目の規制PDFファイル(431KB)

輸入管理その他

輸入に関連するその他の規制(UKCAマーク、特別な規制が適用される製品、食品の規制、動物・動物製品と植物・植物製品の検疫と登録)、輸入ライセンス、貿易救済関連措置(適用法令、調査プロセス、救済措置の発動、既存の救済措置の見直し)。

輸入に関連するその他の規制

工業製品の安全性と品質基準:UKCAマークとUKNIマーク

EUの適合基準マークであるCEマークに代わり、2021年1月1日から新たに英国(北アイルランドを除く)にUKCA(UK Conformity Assessed)マークが導入された。輸入品を含めてCEマークの対象となっていた製品の大部分に適用される。製品が満たすべき技術的要件(必須要求事項)および適合評価手続きと適合性を示すために必要な規格はCEとほぼ同じ。英国政府はEU離脱当初、数年の移行期間を経て英国内でのCEマークの使用を中止するとし2024年末をその期限としていたが、2023年8月に使用期限を無期限に延長する意向を示した(次項の「UKCAマークの対象だが別途特別な規制も適用される製品」は例外)。

なお、北アイルランドではEU基準への適合性を示すCEマークが適合基準マークとしてそのまま使われ、UKCAマークは使用できない。2021年1月1日からUKNIマークの使用も可能。UKNIマークはUKCAマーク同様、英国の第三者認証機関が適合性評価を行うもので、英国企業が北アイルランド市場に製品を上市するには、UKNIマークをCEマークとともに貼付することが必要。逆に北アイルランド事業者がグレートブリテン島市場に上市する際、第三者認証機関による適合性評価を必要とする製品にはUKNIマークを貼付する義務がある(ただし、自己宣言のみで上市が認められる製品については北アイルランド事業者向けの特例としてCEマークのみの貼付が認められている)。

ジェトロウェビナー「UKCAマーク」(2022年7月21日付)

ジェトロ「英国のEU離脱と離脱後の欧州ビジネス環境の変化

特別な規制が適用される製品
  1. UKCAマークの対象だが別途特別な規制も適用される製品:医療機器、鉄道の相互運用性、建築資材、民生用爆薬、ロープウエー、輸送可能な圧力設備、エネルギー関連製品、舶用機器、エコデザイン、特定有害物質使用制限(RoHS)
  2. UKCAマークの対象ではなく特別な規制が適用される製品:化学品、医薬品、動物用医薬品、自動車車両、航空宇宙、化粧品、たばこ製品、肥料

管轄官庁:ビジネス・通商省(DBT)
一般問い合わせフォーム(Contact us外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

食品の規制

EU離脱前は、EUで2002年に施行された「規則178/2002(一般食品法規則)」が英国に適用されていた。2018年EU離脱法(European Union (Withdrawal) Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)により、この規則は英国法に置き換えられ、英国のEU離脱に伴う移行期間終了後もほぼ同様に適用されている。この規則は、食品の輸出入で食品法規を順守すること、安全性、トレーサビリティ、適切な情報表示、ラベル表示、安全でない食品の撤去と回収などを規定。北アイルランドでは引き続きEU規則が適用される。

監督官庁:環境・食料・農村地域省(DEFRA)食品基準庁(FSA)

動物・動物製品と植物・植物製品の検疫と登録

生きた動物、動物由来製品(POAO)、非動物由来の高リスク食品・飼料(HRFNAO)には原産国が発行した衛生証明書が必要で、所定の港湾・空港の英国国境管理施設(Boarder Control Post: BCP)で検疫を受ける。一部の動物・動物製品には輸入ライセンスが必要。植物・植物製品では、種子を含むほぼすべての植物に植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate: PC)が必要。一部の植物の輸入ではPEACH(Procedure for Electronic Application for Certificates)システムに登録し、輸入に際して事前に英国動植物衛生庁(APHA)に通知する必要がある。北アイルランドは規制が異なる。
詳細は以下のページおよびPDFを参照のこと。

ジェトロ「英国 輸出入手続:輸出入許可申請
ジェトロ「英国 貿易管理制度:輸出入品目の規制PDFファイル(431KB)

輸入ライセンス

多くの工業製品において輸入ライセンスは必要とされないが、特定の国・地域の一部品目に対して、ライセンス付与による監視措置が適用される場合がある。輸入ライセンスが必要かどうかは、ビジネス・通商省(DBT)輸入ライセンス局(ILB)が運営するオンラインシステム(Import Case Management System:ICMS)で確認ができる。輸入ライセンスには、ビジネス・通商省の輸入ライセンス局が発行する一般公開輸入ライセンス(Open General Import Licence:OGIL)のほか、OGILが対象外の場合には個別に輸入ライセンスを取得する。製品によっては、輸入ライセンスと併せて、あるいは輸入ライセンスが不要であっても輸入に際して事前に関係当局に登録・通知が必要な場合もある。

輸入ライセンスと登録制度の詳細は、以下のページおよびPDFを参照のこと。

ジェトロ「英国 輸出入手続:輸出入許可申請
ジェトロ「英国 貿易管理制度:輸出入品目の規制PDFファイル(431KB)

貿易救済関連措置

適用法令
  • 英国法規サイト:2018年租税(クロスボーダー貿易)法(Taxation (Cross-border Trade) Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    附則4でダンピングと補助金の調査と救済措置の適用、附則5でセーフガードの調査と措置の適用を規定

二次法:

調査プロセス

貿易救済措置の調査は、ビジネス・通商省(DBT)貿易救済庁(Trade Remedies Authority: TRA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が、国内産業界からの申し立て、または特別の状況では国際通商相の判断により実施する。

  1. ダンピングの調査または補助金の調査
    ダンピングされた輸入品、または補助を受けた輸入品が国内産業に損害を与えているか調べる。着手時に関係国政府と利害関係者に通知し、着手の通知を公表する。補助金の調査では、着手前に関係国政府とも協議する。調査は関係者への質問状による情報収集と分析、検証のための訪問、ヒアリングなどからなる。調査期間はいずれも通常11~13カ月。
  2. セーフガードの調査
    対象物品の輸入量の急増が、国内生産者に深刻な損害があるかもしくは損害が見込まれるか、を調べる。着手時に利害関係者に通知し、着手の通知を公表する。調査内容は前記調査とほぼ同様。調査期間は、通常は8~10カ月。

いずれの調査でも救済措置が英国の経済的利益にかなうかどうかを検討する「経済的利益テスト(Economic Interest Test: EIT)を実施する。

救済措置の発動
  1. アンチダンピング措置または補助金相殺関税措置
    TRAが調査により国内産業に損害を与えていることを立証すれば、措置を国際通商相に勧告する。場合によって最長6~9カ月(アンチダンピング措置)や最長4カ月(相殺関税措置)の暫定措置を提示することもある。最終決定前に、TRAは決定の根拠を利害関係者向けに公表する。国際通商相が勧告に同意すれば、通達公表の翌日に措置が適用される。期間は最長5年間。
  2. セーフガード措置
    TRAの勧告にビジネス・通商省(DBT)が同意すれば適用される。期間は最長4年間で、見直しにより延長されれば全体で最長8年間。最終決定前に、検討した事実の概要や提供された情報を却下した理由、決定に至る事実を示し、どのような決定になる可能性があるかの説明文書を公表する。なお、決定の遅れにより修復が困難な損害を英国産業に与えると考えられる場合は、TRAが調査開始時点でセーフガード暫定措置を勧告する場合がある。
既存の救済措置の見直し

英国は、EUのアンチダンピング措置と補助金相殺関税措置の中で、EU離脱後も継続すべき措置について検証した。これにより継続する措置と終了する措置を決めているが、一部は引き続き見直しを進めている。

EUが2019年2月から実施している鉄鋼セーフガード措置については、離脱に伴い26製品カテゴリーのうち19製品カテゴリーをEU離脱後も継承したが、見直しの結果、2021年7月1日から4項目についてセーフガード措置の対象から外し、5項目については2022年6月末まで、10項目について2024年6月30日まではセーフガードの対象にし、その間にさらに検討するとした。その結果、2022年7月1日以降、前記5項目についても2024年6月30日までセーフガード期間を延長することを発表した。

対象品目には関税割当枠が設定され、各割当枠の一部が、指定された輸入元となる国・地域に割り当てられる。残りの割当枠は、適用期間の各四半期に均等に設定された関税割合を基に先着順で割り当てられる。各四半期の終わりに、割当枠の未利用分は次の四半期に繰り越されるが、最終四半期の未利用分は次の年へは繰り越されない。また、最終四半期に限り、指定国が割当枠を使い果たした場合、その品目の残りの割当枠を利用できる。割当枠を超過した場合は、25%の追加関税が課される。

英国への輸入量が少ない開発途上国に対して実施されている関税割当免除についても見直しが行われた。その結果、英国の総輸入の3%(免除の閾値)を超えるような品目について国別割り当てが強化された。

ウクライナ産鉄鋼製品のセーフガード措置について、2024年6月30日までの2年間、停止すると発表した。

輸出品目規制

国際条約に基づく輸出禁止・規制品目、主な輸出規制品目。

輸出品目規制の詳細は以下を参照のこと。

ジェトロ「英国 貿易管理制度:輸出入品目の規制PDFファイル(431KB)」(後述の各品目の詳細を記載)
ジェトロ「英国 輸出入手続:輸出入許可申請

国際条約・協定に基づく輸出禁止・規制品目

国際条約・協定に基づき規制している。これには、絶滅危惧動植物(ワシントン条約)、武器(ワッセナー・アレンジメント)、廃棄物(バーゼル条約とOECD理事会決定)、有害化学物質等(ロッテルダム条約)、オゾン層破壊物質とハイドロフルオロカーボン(HFC)(モントリオール議定書)、毒性化学物質(化学兵器禁止条約)などがある。

その他の主要な輸出規制品目

軍用品と二重用途品(民生用と軍事用の両方に使われる可能性がある品目)やソフトウエア、テクノロジー、放射性物質など、銃火器・弾薬、拷問・処刑用の器具、規制薬物、前駆体化学物質、ダイヤモンドの原石、文化財、貿易制裁の対象となる物品など。
具体的な輸出規制対象品目については、「戦略的な輸出管理リスト(Guidance UK Strategic Export Control Lists外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」をビジネス・通商省(DBT)輸出管理局(Export Control Joint Unit: ECJU外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)がとりまとめている。輸出品が規制対象に該当するかどうか、また該当する場合、どのような種類のライセンスが必要か、ビジネス・通商省のオンラインチェッカーで確認し、オンライン輸出ライセンスシステム「SPIRE」を通じて申請できる。

輸出ライセンスなどは「輸出管理その他」、貿易制裁(輸出)は「輸出地域規制」を参照。

新たな制裁について、ビジネス・通商省輸出管理局はメールを配信。
輸出者向けメール配信登録先:subscribe to the Export Control Joint Unit’s notices to exporters外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
電話による問い合わせ:+44 (0)20 7215 4594
メールによる問い合わせ先:exportcontrol.help@trade.gov.uk

輸出地域規制

適用法令と管轄官庁、制裁措置とトランジットの制限、貿易制裁(輸出)・武器禁輸の主な対象国・地域。

適用法令と管轄官庁

適用法令

英国法規サイト:2018年制裁・資金洗浄防止法(制裁法)(Sanctions and Anti-Money Laundering Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(the Sanctions Act)

概要

2020年12月31日までは、国連の制裁措置や欧州安全保障協力機構(OSCE)の要請による制裁、EU規則に基づく制裁措置を実施していたが、2021年1月1日以降、制裁法により独自の制度を導入し、独自の制裁措置を実施している。

管轄官庁

制裁に関する施策全般は外務・英連邦・開発省(FCDO)が管轄し、貿易制裁やその他の貿易制限はビジネス・通商省(DBT)が実施する。輸出に関する制限はDBTの輸出管理局(ECJU外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が担う。一部の貿易制裁には除外規定があり輸出ライセンス発行の可能性があり、その場合は輸出管理局に輸出ライセンスを申請する。軍事品や二重用途物品に関する輸出ライセンスは、オンライン輸出ライセンスシステム「SPIRE」から申請する。軍用品と二重用途物品の規制品目および輸出先に該当する規制、規制が該当する場合に必要なライセンスの種類は、ビジネス・通商省のオンラインチェッカーで確認できる。

  • 輸出制裁・制限に関する問い合せ先
    E-mail:exportcontrol.help@trade.gov.uk
  • 軍用品と二重用途物品以外の品目・サービスの輸出ライセンスの問い合せ先
    E-mail:tradesanctions@trade.gov.uk
  • ビジネス・通商省:オンラインチェッカー(OGEL and Goods Checker Tools外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • ビジネス・通商省:オンライン輸出ライセンスシステム(SPIRE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸出ライセンスの詳細は「英国 輸出入手続:輸出入許可申請」参照。

制裁措置とトランジットの制限

貿易制裁と武器禁輸措置

貿易統制の対象となる品目は、2008年輸出管理令の附則1に明記されている。武器禁輸は、制裁法では、軍事品の輸出、供給・配送、使用を可能とすること、技術移転の禁止、軍事品と軍事技術に関連する技術的支援や金融サービス、他国同士の間の仲介サービスを提供することの禁止からなる。

トランジットの制限

制裁対象国への再輸出を目的に、英国を経由する物品の輸送または英国での積み替えにはライセンスが必要。2008年輸出管理令には通過および積み替えの除外規定が含まれるが、これは制裁対象国向けの特定品目には適用されない。

貿易制裁・武器禁輸の主な対象国・地域

国連制裁に基づく武器禁輸・貿易制裁の主な対象国

北朝鮮(武器、二重用途物品、航空燃料、原油、液化天然ガス、工業機械、鉄鋼、貴金属など)、イラン(武器、グラファイトと関連金属品など)、イラク(武器、不法に取得されたイラクの文化財)。

その他の主な武器禁輸対象国:中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、レバノン、ソマリア(即席爆発装置の構成部品・技術を含む)、南スーダン、スーダン、イエメン

欧州安全保障協力機構(OSCE)の要請による制裁

武器禁輸の対象国:アルメニア、アゼルバイジャン

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)

ECOWASは域内に広がる小型武器に対処するため、小型武器とその弾薬・関連材料の輸出入モラトリアムを「ECOWAS小型武器条約」として国際協定にした。これにより英国は、ECOWASが例外措置を出さない限り、対象品目の輸出ライセンスを発行しない。

EUの制裁を移行期間終了後も英国独自の制裁として導入しているもの

ロシア(ウクライナ問題に対する経済制裁の一環として行われているもの。詳細は後述の「ウクライナ情勢をめぐる特別措置」を参照)、ベラルーシ(武器、内部抑圧に使用される物品・技術、詳細は後述の「ウクライナ情勢をめぐる特別措置」を参照)、シリア(武器と関連品、航空燃料、原油と天然ガスの関連品・技術、内部抑圧に使用される物品・技術、化学・生物兵器の関連品・技術、傍受・監視の用品・技術、金・貴金属・ダイヤモンド、発電関連品、奢侈品など)、ミャンマー(武器、二重用途物品・技術、内部抑圧に使用される物品・技術など)。
その他の主な武器禁輸対象国:ミャンマー、アフガニスタン、ベネズエラ、ジンバブエ。

ウクライナ情勢をめぐる特別措置

ロシアによるウクライナ侵攻を受け各種支援措置、制裁措置が導入されている。詳細は以下を参照のこと。
ジェトロ「英国 貿易管理制度:ウクライナ情勢をめぐる特別措置PDFファイル(572KB)

輸出関連法

輸出規制に関する主な法令(2002年輸出管理法、2006年放射線源(管理)令、2008年輸出管理令、2018年制裁・資金洗浄防止法)、その他の品目別の輸出規制に関する主な法令。

輸出規制に関する主な法令

  • 英国法規サイト:2002年輸出管理法(Export Control Act 2002外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    1939年輸出入関税権(防衛)法(Import, Export and Custom Powers (Defence) Act 1939)の制約を取り除き、時代に即した輸出管理の目的や手段などを規定。

2002年輸出管理法の二次法:

  • 英国法規サイト:2006年放射線源(管理)令(The Export of Radioactive Sources (Control) Order 2006外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    放射線源の輸出について、ライセンスを含めた輸出管理方法を規定。
  • 英国法規サイト:2008年輸出管理令(The Export Control Order 2008外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    2002年輸出管理法に基づいて輸出管理を定めた二次法を統合した。
  • 英国法規サイト:2018年制裁と資金洗浄防止法(Sanctions and Anti-Money Laundering Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    EU法を通じて行われていた国連制裁措置やEUの制裁措置を英国独自で適用するための法規。制裁の権限や見直し、資金洗浄とテロ資金供与の防止などを定め、貿易制裁の導入方法などを規定。

その他の品目別の輸出規制に関する主な法令

英国政府:手荷物として携行する場合に規制対象となる商品(Restricted and controlled goods for merchandise in baggage外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

品目別の輸入規制に関連する法令は次も参照のこと。
ジェトロ「英国 貿易管理制度:輸出入品目の規制PDFファイル(431KB)

輸出管理その他

輸出ライセンス、自由販売証明書。

輸出ライセンス

ビジネス・通商省(DBT)輸出管理局が輸出ライセンスを管轄。ライセンスには主として、一般公開輸出ライセンス(Open General Export Licence: OGEL)、標準個別輸出ライセンス(Standard Individual Export Licence: SIEL)、個別公開輸出ライセンス(Open Individual Export Licence: OIEL)がある。

OGEL:軍事品や二重用途物品の中で、比較的緩やかな規定が適用される。輸出管理局が運営するオンライン輸出ライセンスシステム「SPIRE」に登録して申請する。
SIEL:OGELの対象でない規制品目について、特定の荷受人への1回の輸出に発行。
OIEL:特定製品の特定輸出先への複数回の発送について、個別に発行。

輸出先や品目が規制対象に該当するかどうか、また該当する場合、どのような種類のライセンスが必要か、ビジネス・通商省のオンラインチェッカーで確認できる。

  • ビジネス・通商省:オンラインチェッカー(OGEL and Goods Checker Tools外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • ビジネス・通商省:オンライン輸出ライセンスシステム(SPIRE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸出ライセンスの詳細は以下のページおよびPDFも参照のこと。

ジェトロ「英国 輸出入手続:輸出入許可申請
ジェトロ「英国 貿易管理制度:輸出入品目の規制PDFファイル(431KB)

自由販売証明書(Certificate of Free Sales:CFS)

特定の消費者向け製品をEU域外に輸出する際、当該製品が英国内で合法的に販売されていることを証明する「自由販売証明書(CFS)」の提出を求められる場合がある。ビジネス・通商省(DBT)輸入ライセンス局(ILB)が輸出者向けに発行するが、製品によっては以下の各省庁が発行する。

  1. 動物医薬品:環境・食料・農村地域省(DEFRA)
  2. 医薬品:保健・ソーシャルケア省(DHSC)
  3. 医療機器:医薬品・医療製品規制庁(MHRA)
  4. 殺生物剤:安全衛生庁(HSE)
  5. 食品・飲料・サプリメント:農村地域支出庁(RPA)

ビジネス・通商省へのCFS申請は、オンラインシステム(Import Case Management System (ICMS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で行う。