英政府、北アイルランド向け食品移送制度の概要と要件を公表

(英国、EU)

ロンドン発

2023年06月12日

英国環境・食糧・農村地域省は6月9日、EU離脱協定の一部の北アイルランド議定書にかかる問題の解決に向けて、2023年2月に公表した「ウィンザー・フレームワーク」(2023年2月28日記事参照)のうち、食品の移送に関する政策文書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと食品ラベル要件に関するガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した(添付資料参照)。

食品移送に関する政策文書では、ウィンザー・フレームワークで策定するとされた小売り向け包装済み製品のグレートブリテンから北アイルランドへの移送に関する新たな制度「北アイルランド小売り移送制度(ReMoS)」の運用開始を2023年10月とし、制度の対象事業者の種別や制度登録、食品移送時の要件、対象製品などを解説している。ReMoSでは、公的獣医師の承認を得た証明書ではなく、包装明細書(パッキングリスト)を基にした単一の包括証明書(General Certificate)と事業者の宣告により、英国の公衆衛生などの基準に適合した食品の移送が可能になる。ReMoS運用開始に向け、英国政府は7月に追加のガイダンスを公表する予定。

また、食品ラベル要件に関するガイダンスでは、ReMoSで移送される食品に求められる「Not for EU」ラベル(注)の段階的導入の時期や段階ごとに対象となる食品の種別を解説している。ラベルの段階的導入は2023年10月、2024年10月、2025年7月とし、2023年10月の第1段階ではラベル要件に対応する事業者向けに政府から財政的支援を行う予定。2024年10月の第2段階から、ラベル要件をグレートブリテンから移送され、北アイルランドで消費される食品のみならず、グレートブリテンで販売される、あるいはグレートブリテンに輸入される食品にも拡大することを検討中。今後、食品ラベル要件に関する追加のガイダンスも公表する見込み。

(注)グレートブリテンから移送され、北アイルランドで販売される食品がEU向けではないことを示すために表示が義務付けられるラベル。

(飯田俊平)

(英国、EU)

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