英政府、新たな国境管理案を公表、意見聴取開始

(英国、EU)

ロンドン発

2023年04月07日

英国の内閣府と環境・食糧・農村地域省は4月5日、新たな国境管理の運用を整理した「目標運用モデル(Target Operating Model)」の案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、6週間の意見聴取を経て、6月に最終版を策定することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新たな国境管理では、多くの品目に関する現物検査の必要性の削減と、円滑な物流に必要な場合、通関地点から離れた場所での検査実施により、国境での遅延を避けることになるとしている。また、この新たな国境管理は全ての国からの輸入に適用し、英国の環境保護、消費者への食品の安定供給、コミュニティーに害を与える犯罪行為の未然防止を実現できるとしている。

バイオセキュリティーの重要性が増す中、ビジネスの実施を可能な限り簡略化させ、事業者の負担を制限しながら疫病脅威を防ぐため、今回提案したリスクに基づいた包括的な目標運用モデルでは、輸入手続きの簡素化と統合のためにデータと技術の活用をすることとしている。目標運用モデルの根幹となる「貿易一括窓口(Single Trade Window)」(2022年7月29日記事参照)と呼ばれる新たなプラットフォームは2023年から2027年にかけて段階的に導入する。新たな国境管理の導入スケジュールとして、以下の3段階を提案している。

  • 2023年10月31日:EUから輸入される中リスク(注)の動物性製品、植物、植物製品と、非動物性由来高リスク食品・飼料(HRFNAO)への衛生証明書添付の導入。
  • 2024年1月31日:EUから輸入される中リスクの動物性製品、植物、植物製品と、非動物性由来高リスク食品・飼料(HRFNAO)への文書検査、リスクに応じた同一性と現物検査の導入。EU域外国から輸入される低リスク植物・植物製品に対する輸入管理撤廃等の開始
  • 2024年10月31日:EUからの輸入に対する安全性・セキュリティー申告の開始と、輸入時の提出データ削減の導入。

第1段階は2023年10月31日に導入する強い意向を示す一方、3月に正式採択された「ウィンザー・フレームワーク」(2023年2月28日記事参照)と整合し、北アイルランド事業者の英国市場への自由な(unfettered)アクセスを担保するため、アイルランドからグレートブリテン島に製品が到着する港への第2、第3段階の導入時期については、目標運用モデルの最終版で明確にされる。

(注)動物性製品については、生きた動物、生きた水生動物、胚芽製品、緊急措置対象製品が「高リスク」、生鮮・冷蔵・冷凍肉、肉製品、乳製品、動物飼料用の動物副産物、動物原材料として輸入される水産品、水生動物が「中リスク」、混合食品や肉製品の缶詰など加工された常温安定の製品、加工済み動物副産物、特定の水産物と水生動物製品が「低リスク」とされている。カテゴリーごとの検査内容と頻度については添付資料参照。

(飯田俊平)

(英国、EU)

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