日本からの輸出に関する制度 健康食品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する健康食品のHSコード

タイでは健康食品の定義は特にされておらず、広範となることから、ここでは主に栄養補助食品(Food Supplement)のうちビタミンサプリを例に取り上げます。

保健省告示による栄養補助食品の定義としては、通常の食品(Conventional Foods)ではない、健康促進を期待する消費者向けの錠剤、カプセル、粉末、フレーク、液体、その他の状態の栄養素、またはその他の物質を含有する通常の食品とは別に摂取する製品、とされています。この栄養素またはその他の物質とは次のものを指します。

  1. ビタミン、アミノ酸、脂肪酸、ミネラル、植物または動物由来の産物
  2. 1.の濃縮物、代謝物、含有物、抽出物
  3. 1.または2.の物質を模倣した人工物質
  4. 1.または2.または3.の物質のいずれか一つまたは複数を混合した物質
  5. 食品医薬品委員会事務局が規定したその他の物質

本ページで定義する栄養補助食品の一例(ビタミンCサプリ)のHSコードは次のとおりです。
HSコード:2106.9072

タイの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年8月

保健省告示により、次の食品は輸入が禁止されています。

  • 食品ではないものを含む食品(食品の品質維持や調理に使用されるもので、かつ消費者の健康被害がないものは例外とする)
  • 遺伝子組み換えまたは遺伝子工学によりCry9C DNA Sequenceを有する食品およびこの食品を成分として含有する食品
  • 次の1)〜13)およびこれを原料とする食品
    1. 臭素化植物油
    2. サリチル酸
    3. ホウ酸
    4. ホウ砂
    5. 塩素酸カリウム
    6. クマリンまたは1,2−ベンゾピロンまたは5,6−ベンゾ−α−ピロンまたはcis-O −クマル酸無水物またはo−ヒドロキシケイ皮酸ラクトン
    7. ジヒドロクマリンまたはベンゾジヒドロピロンまたは3,4-ジヒドロクマリンまたはヒドロクマリン
    8. ジエチレングリコール、ジヒドロキシジエチルエーテル、ジグリコール、2,2'−オキシビスエタノール、2,2'−オキシジエタノール
    9. ズルチンまたは4-エトキシフェニル尿素またはパラ - フェネトールカルバミド
    10. AF − 2または2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミドまたはフリルフルアミド
    11. 臭素酸カリウム
    12. ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド溶液、パラホルムアルデヒド
    13. メラミンおよびその類縁体(シアヌル酸)
  • 保健省告示No.424で指定される植物、動物、動植物の部位80種類

その他、保健省告示No.390(2018年)「販売用製造、販売用輸入、販売食品における材料使用基準、条件、方法」において、ヨウ素酸カルシウムやステビアなどの使用基準が規定されています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年8月

健康食品を輸入する際には、使用している成分が許可されているかどうか事前に食品医薬品委員会事務局栄養補助食品許可申請部に確認することをお勧めします。
許可されている成分ではなかった場合(保健省告示No.376「新規食品Novel Food」に規定される新規食品の定義:食品としての消費歴が15年未満、一般的な製造工程由来ではないものなどに該当する場合または新規食品の定義には該当しないが食品医薬品委員会事務局が過去に許可をしたことのない食品である場合)、それぞれ次の手順で安全評価を受ける必要があります。

  1. 食品医薬品委員会事務局指定の次の評価機関のいずれかにおいて、食品安全評価を受けます。所要日数は最大90営業日で、費用は6万~9万バーツ(審査項目・審査機関により異なる)となっています。
    評価機関
    • Bureau of Quality and Safety of Food, Department of Medical Sciences, Ministry of Public Health
    • National Food Institute, Ministry of Industry
    • Thailand Risk Assessment Center (TRAC) Institute of Nutrition, Mahidol University
  2. 食品安全評価申請書と必要書類をe-submissionシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから提出し、担当官の簡易確認の後、申請料3,000バーツを支払います。
  3. 評価機関による安全評価結果原本を食品医薬品委員会事務局に提出し、評価結果の承認審査を担当する小委員会などから審査を受けます。所要日数は最大40営業日(修正や追加書類の提出にかかる日数は含まない)です。
  4. 食品医薬品委員会事務局からe-submissionシステムを通じて審査結果が通知されます。

    栄養補助食品は、食品法上、品質規格管理食品に該当し、輸入者が食品登録番号(通称:オーヨーマーク)を取得する必要があります。その際、輸出国側の「GMP製造基準適合証明書」、製品の成分が記された書類、主要成分の品質規格書(Raw material specification)、国内外の政府機関、政府機関が認定した認証機関、国際基準の試験所認定機関により認定された認証機関が発行した品質規格分析結果報告書が必要です。これら機関については、関連リンク「分析検査サービス機関リスト」を参照してください。
    また、日本・タイ経済連携協定(JTEPA)、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)税率の適用を受ける場合、輸出者側で特定原産地証明書を取得する必要があります(日本商工会議所が発給)。

GMP製造基準適合証明書について

食品医薬品委員会事務局は、食品の製造方法などに関する基準を定めており、タイ国内の食品製造施設に基準の順守を求めています。輸入品については、タイ国内と同レベル以上の製造施設で製造されていることを担保するため、告示で定められる基準と同等以上の基準に基づく規格等の証明書(GMP製造基準適合証明書)を提出することが求められています。個別商品の登録を行う場合は、登録時と輸入通関時に提出することが必要となっています。  輸入時にGMP製造基準適合証明書またはそれに相当する証明書が求められる食品は、加工なしの生鮮水産物、アルコール飲料を除くほぼすべての食品となるため、健康食品においても必要です。特定の生鮮青果物については保健省告示第386号で指定、その他の食品については、2021年2月に従来の告示9本が統廃合・改正された保健省告示第420号で指定されており、健康食品についても第420号の対象となります。保健省告示第420号の施行日は2021年4月11日ですが、施行日前に食品輸入許可証(Orr.7)を取得していた場合のみ、2021年10月7日から適用されています。この保健省告示第420号では、食品共通で順守することが求められる基本要求事項が定められているほか、飲料水、ミネラルウオーター、氷には個別要求事項1が、低温殺菌ミルク製品には個別要求事項2が、密閉容器に入った低酸性食品/飲料には個別要求事項3への対応がそれぞれ追加で求められます。保健省告示第420号の適用に伴う主な変更点は次のとおりです。

  • GMP製造基準適合証明書またはそれに相当する証明書が求められる食品の範囲が拡大している。
  • ISO9001は食品製造に特化した規格ではないとしてGMP製造基準適合証明書としての使 用が認められなくなる。

この証明書については、次の2つの条件を満たすことが必要です。
(1)保健省告示第420号に定められた基準と同等以上の基準に基づく規格などの証明書であること。
(2)保健省の認める発行主体(ア.食品製造国の政府機関、イ.食品製造国の政府が認めている認証機関、ウ.IAF(International Accreditation Forum)メンバーでIAFから認められた認定機関によって認定された認証機関、または エ.Guidelines for the Design, Operation, Assessment and Accreditation of Food Import and Export Inspection and Certification Systems (CAC/GL 26-1997)に準拠した検査および認証システムを備えた機関など、信頼性のある機関のいずれか)が発行した証明書であること。
タイ保健省からはISO22000の適合証明書などが具体例として挙げられていますが、具体例として公表されていない場合でも、法令に適合していれば使用可能なものがあります。例えば、日本の食品衛生法第55条(2021年6月の改正前は第52条)に基づく営業許可証は、従来、保健省告示第193号などの要求を満たす証明書として使用されており、保健省告示第420号の基本要求事項を満たす証明書としても使用可能とされています。
なお、証明書がタイ語または英語でない場合は、タイ語または英語への翻訳が必要です。翻訳は(1)製造国のタイ国大使館または領事館、(2)タイ国内の食品製造国の大使館または領事館、(3)国際的水準の翻訳機関、(4)証明書に表示されている言語について学士課程以上の水準の教育を修了したタイ人、(5)その言語の高等教育機関の教師のいずれかから、正しい翻訳である旨の証明を受ける必要があります。
原本ではなく写しを使用する場合は、(1)証明書発行機関、(2)タイ国内の食品製造国の大使館、(3)食品製造国の政府機関、(4)政府機関に認められた者のいずれかから、原本と相違ない旨の証明を受ける必要があります。
また、証明書に有効期限が記載されていない場合は、証明書発行日から1年以内は使用可能となります。

表.使用できる証明書の例
食品の種類 順守が求められる規定 使用できる証明書の例 すべての食品で使用可能な証明書
大半の食品 保健省告示第420号基本要求事項
  • Good Hygiene Practices (GHPs).
  • SQF:Edition 8.1
  • SQF:Edition 9 など
    なお、日本の食品衛生法第55条(旧第52条)に基づく営業許可証も使用可能。また、青果物の場合は、保健省告示第386号に基づく証明書も使用可能(行政機関による衛生証明書、JFS規格適合証明書、J-GAPなど)。
  • ISO22000:2005.
  • FSSC 22000
  • Global Standard for Food Safety Issue 8 British Retail Consortium.
  • International Food Standard;IFS
  • JFS-B
  • JFS-C
  • 農林水産省発行の GMP証明書
    (保健省告示386号で指定される青果物を除く)
一部青果物(さつまいも、柿、桃など)
飲料水、ミネラルウオーター、氷 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項1
  • CAC/RCP 48-2001.
  • CAC/RCP 33-1985.
  • SQF:Edition 8.1
  • SQF:Edition 9など
低温殺菌ミルク製品 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項2
  • CAC/RCP 57-2004.
  • SQF:Edition 8.1
  • SQF:Edition 9など
密閉容器に入った低酸性・酸性化食品/飲料 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項3
  • CAC/RCP 23-1979.
  • CAC/RCP 40-1993.
  • SQF:Edition 8.1
  • SQF:Edition 9など
保健省告示第386号で指定される青果物(りんご、いちごなど) 保健省告示第386号
  • CAC/RCP 53-2003
  • GLOBAL G.A.P. / ASIA GAP / J-GAP
  • 行政機関発行の証明書
  • JFS規格適合証明書など

関連リンク

関係省庁
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ財務省関税局(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
1979年食品法(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(828KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)
保健省告示No.405(2019年)「栄養補助食品」(第3版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(251KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(227KB)
保健省告示No.376(2016年)「新食品(Novel food)」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(277KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(322KB)
食品医薬品委員会事務局告示「食品医薬品委員会事務局が認める安全評価機関名及び食品安全評価ガイドライン」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(558KB)
保健省告示No.420(2020年)「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(473KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(187KB)
(ジェトロ仮訳)
2020年食品医薬品委員会事務局告示 「保健省告示No.420「食品の製造方法、製造におけるツール、用具及び保管」に関する説明」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.3MB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル( 294KB)
食品医薬品委員会事務局告示「食品輸入用の製造システム規格書又は証明書」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)( 1.5MB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル( 238 KB)
財務省告示「日本原産品の関税減免」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.7MB)
財務省告示「ASEAN・日本自由貿易協定の関税減免」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.3MB)
その他参考情報
ジェトロ「貿易管理制度」
ジェトロ ビジネス短信「タイへの食品輸出に必要なGMP証明書、農林水産省が新たに発行(2021年07月26日)
農林水産省 食品(GMP証明書))外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品安全評価申請マニュアル 2021年12月1日改正版(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(449KB)
新食品安全評価について(保健省医科学局食品品質安全室)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
新食品安全評価について(工業省食品研究所)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(94KB)
新食品安全評価について(マヒドン大学栄養研究所タイ国リスク評価センター)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(256KB)

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年8月

なし

タイの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年8月

栄養補助食品の食品規格は、栄養補助食品に関する保健省告示に規定されています。

栄養補助食品の主な品質規格は次のとおりです。

  1. 当該製品の種類に基づいた特有の性質を有していること。
  2. 食品医薬品委員会事務局が規定する病原性微生物の上限値を超えてはならない。
  3. MPN算出法による食品1g中の大腸菌(Escherichia coli)は3未満であること。
  4. 微生物毒素、残留農薬、その他の有毒物質、汚染物質、残留動物薬は、保健省告示で規定された基準値を超えて検出されてはならない。
  5. ビタミンまたはミネラルサプリメントは、そのビタミンまたはミネラル含有量が15%以上かつ、6歳以上のタイ人の1日当たりの栄養推奨摂取量(Thai RDI)に規定する最大値を超えてはならない。

その他、食品医薬品委員会事務局告示において、栄養補助食品(Food Supplements)における有効成分としてのビタミンおよびミネラルの使用規定、栄養補助食品(Food Supplements)における有効成分としてのアミノ酸の使用規定、栄養補助食品に使用できる植物が規定されています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年8月

残留農薬規制
食品中の残留農薬規制については、残留有害物質を含有する食品に関する保健省告示No.387、No.393第2版、No.419第3版に規定されおり、No.387のリスト1および2021年6月に施行されたNo.419(クロルピリホス、パラコートなどの5物質を追加)に掲載されている製造、輸入、輸出、所有が禁止されるカテゴリー4の有害物質(※)について、食品からの検出が禁止されています。これ以外については、次のとおり規定されています。
  1. リスト2に最大残留基準を設定
  2. 1.に規定がないものはコーデックス基準に従う
  3. 1.および2.に規定がないもので、リスト3の植物用規定値以外については、一律基準0.01mgを適用
  4. リスト4の外因性最大残留基準を超えてはならない
※保健省告示におけるカテゴリー4の有害物質の定義
「1992年有害物質法に基づく工業省告示 有害物質リスト」に基づく製造、輸入、輸出、所有が禁止される有害物質
動物用医薬品残留規制
保健省告示No.303(2007年)において動物用医薬品の最大残留基準が規定されています。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年8月

食品中の重金属および汚染物質については、2020年11月16日から保健省告示No.414「汚染物質を含有する食品基準」による次の基準が適用されています。

  1. 保健省告示No.414付表1に設定する食品別の重金属、カビ毒、その他の汚染物質、放射性物質の基準値を超えないこと。
    栄養補助食品の基準値として、カドミウム:0.3mg/kg、鉛1mg/kg、総水銀0.5mg/kg、総ヒ素2mg/kgが設定されています。
  2. 1以外の汚染物質については、食品および飼料中の汚染物質および毒素に関するコーデックス一般規格; CODEX STAN193-1995に規定する最大値を超えないこと。
  3. 1および2以外の汚染物質については、FAO/WHO合同食品規格 コーデックス委員会 (Codex Alimentarius Commission)の最大量規定指針に基づく最大値を超えず、また、販売用食品製造者または輸入者が、当該汚染物質量が許容水準内にあることを示す責任を負うこと。

栄養補助食品の微生物基準は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) 食品1g中不検出、クロストリジウム属(Clostridium spp.)食品1g中不検出、サルモネラ属菌(Salmonella spp.)食品25g中不検出、大腸菌(Escherichia coli)は食品1g中3未満です。

また、全食品を対象に、保健省告示No.269(2003年)、No.299(2006年)において食品中不検出とする化学物質汚染に関する基準が規定されています。不検出とされる化学物質は、次のとおりです。

  1. クロラムフェニコールおよびその塩(Chloramphenicol and its salts)
  2. ニトロフラゾンおよびその塩(Nitrofurazone and its salts)
  3. ニトロフラントインおよびその塩(Nitrofurantoin and its salts)
  4. フラゾリドンおよびその塩(Furazolidone and its salts)
  5. フラルタドンおよびその塩(Furaltadone and its salts)
  6. マラカイトグリーンおよびその塩(Malachite Green and its salts)
  7. βアゴニストおよびその塩(β-Agonist chemical groups and its salts)

1~7の物質の代謝物を含む。

4. 食品添加物

調査時点:2021年8月

食品添加物については、食品法に基づき、保健省告示 No.281(2004年)「食品添加物」に定義、品質規格など、No.381(2016年)第4版に保健省告示の規定にない食品添加物の使用に向けた手続きなど、No.418(2020年)「食品添加物の原則、条件、使用方法及び割合」(第2版)にタイにおいて許可されている食品添加物の使用基準(食品添加物名、対象とする食品、基準値など)が規定されています。なお、No.418に掲載の基準値の採用年が2020年(仏暦2663年)の食品添加物を使用している食品については、告示No.418の施行日(2020年10月10日)から2年以内にこの告示の規定を順守する必要があります。
また、食品製造用の酵素の使用基準については、保健省告示 No.409 (2019年)「食品製造に使用する酵素」に規定されています。それ以外については、各種安全評価を経たうえで、食品医薬品委員会事務局の承認に基づいて使用する必要があります

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年8月

食品法に基づき、保健省告示 No.92(1985年)、No.295(2005年)において規定されています。なお、現在、食品容器の告示の見直しが検討されており、バイオプラスチック製容器の製造、使用状況などについて調査が行われています。

共通
清潔であること。
再利用ではないこと(材質により例外あり)。
健康を害するおそれのある量の重金属またはほかの物質が食品を汚染しないこと。
病原菌を含有していないこと。
色素が食品を汚染しないこと。
プラスチック製
材質基準と溶出基準が規定されています。
セラミック・ほうろう製
鉛とカドミウムの溶出基準が規定されています。

6. ラベル表示

調査時点:2021年8月

ラベル表示については、食品法に基づき、保健省告示「包装食品のラベル表示について」において、タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)から記載が免除された場合を除き、タイ語(英語併記でも可)による次の表示が義務付けられています。加えて、保健省告示「栄養補助食品」に規定される内容を表示します。

  • 食品名
  • 食品登録番号(通称:オーヨーマーク)
  • 輸入者の名称、所在地および製造者の名称、製造国名
  • 食品量
  • 主要原材料(重量の割合の多いものから順に記載)
  • アレルギー情報(対象となるアレルゲンは、グルテンを含む穀物、甲殻類、卵、魚、ピーナッツ、大豆、乳(乳糖含む)、木の実およびこれらの製品、10mg/kg以上の亜硫酸塩。例外あり。)
  • 食品添加物の(1)機能分類名および(2)名称またはINS番号
  • 「天然香料添加」、「天然模倣香料添加」、「合成香料添加」、「天然フレーバー添加」、「天然模倣フレーバー添加」(使用している場合)
  • 賞味期限/消費期限/製造年月日「賞味期限」または「消費期限」とともに食品の保存期間が90日以下の場合は「日・月・年」、90日超の場合は「日・月・年」または「月・年」を表示する。これ以外に、食品個別の告示で指定されている場合は、「製造」または「消費期限」を表示する。月は数字でも文字でもよい。日付が日・月・年、月・年の順ではない場合、表示形式を説明する分かりやすい記述が求められる。
  • 注意事項(あれば)
  • 適切な保存方法(あれば)
  • 調理方法(あれば)
  • 乳幼児、特定グループを対象としている場合はその使用方法と注意事項
  • タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)が告示で規定した食品の場合、同局が規定した表示
  • 保健省告示No.401「包装食品のラベル表示について」で指定される追加情報

保健省告示「栄養補助食品」に規定される内容

  • 「栄養補助食品」を食品名の一部に入れるか食品名に添える。
  • 栄養補助食品量
    • 錠剤またはカプセル:内容数
    • 液体:正味容量
    • 固体またはその他:正味重量
  • 栄養補助食品の主要成分およびラベル内に言及している効能の成分名および量
  • 注意事項
    • ラベル背景色と反対色の枠に、枠内背景色と反対色の1.5mm以上の文字で「注意」
    • はっきりと読み取れるサイズの文字で「小児、妊婦は摂取しないでください」と表示
    • はっきりと読み取れるサイズの文字で「5大栄養素を満たす様々な食品をバランスよく摂取しましょう」と表示
    • ラベル背景色と反対色の枠に、枠内背景色と反対色の太字で「病気の治療、予防効果はありません」と表示
  • 保健省告示No.405のリストに基づく製品別の注意事項
  • 健康強調表示は保健省告示No.182「栄養表示」および食品医薬品委員会事務局告示「栄養素の機能強調表示」の規定に従う。

なお、前述の栄養素の機能強調表示で規定されるもの以外を表示する場合は、学術的証拠などを添えてタイ国食品栄養健康強調表示評価センターにおいてその適切性の評価を受ける必要があり、この評価には約130営業日かかります。費用は7万バーツ(栄養素の機能表示の評価)、または10万500バーツ(その他の機能表示または疾病リスク低減に関する機能表示の評価)です。センターで評価を受けた後、健康強調表示(Health Claim)評価申請書と必要書類をe-submissionシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから提出し、担当官の簡易確認の後、申請料3,000バーツを支払います。そして、この評価の結果とその他必要書類を食品医薬品委員会事務局に提出し、承認審査を受ける必要があります。この審査には最大で40営業日かかります。これらの所要日数には、書類の修正、追加提出、補足説明日数は含まれません。

その他、注意すべき表示規則として、主に次のものが挙げられます。

  1. 遺伝子組み換え食品の表示
    • 大豆およびトウモロコシ製品 22 品目に該当するもので、遺伝子組み換えの大豆またはトウモロコシを原材料(原材料の上位3位以内、かつ、その原材料が食品重量の5%以上)に5%以上含む場合は、規定に従い「遺伝子組み換え」と表示する。
  2. 食品ラベル上の「プレミアム」表示
    • 「プレミアム」と表示する際は、タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)から許可を受けることが義務付けられている。
  3. グルテンフリー食品
    • 保健省告示No.384の条件に沿うものは、「グルテンフリー(gluten free)」と表示する。また、場合に応じて「グルテンを排除するために特別な加工済み(being specially processed to remove gluten)」と表示する。

有機表示については、「その他」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ国食品栄養健康強調表示評価センター(CNACT)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
1979年食品法(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(828KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)
保健省告示No.367(2014年)「包装食品のラベル表示について」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(93KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(237KB)
保健省告示No.383(2017年)「包装食品のラベル表示について」(第2版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(54KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(237KB)
保健省告示No.401(2019年)「包装食品のラベル表示について」(第3版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(211KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(206KB)
保健省告示No.410(2019年)「包装食品のラベル表示について」(第4版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(90KB)
保健省告示No.293(2005年)「栄養補助食品」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(79KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(29KB)
保健省告示No.405(2019年)「栄養補助食品」(第3版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(251KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(227KB)
保健省告示No.411(2019年)「栄養補助食品」(第4版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(133KB)
保健省告示No.182(1998年)「栄養表示」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1129KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(41KB)
保健省告示No.219(2001年)「栄養表示」(第2版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(61KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(48KB)
保健省告示No.392(2018年)「栄養表示」(第3版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(80KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(76KB)
食品医薬品委員会事務局告示「栄養素の機能を強調する文言の表示」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(331KB)
保健省告示No.251(2002年)「遺伝子組み換え食品の表示について」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(55KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(43KB)
保健省告示No.365(2013年)「食品ラベル上の「プレミアム」表示について」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(45KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(186KB)
保健省告示No.384(2017年)「グルテンフリー食品の表示」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(81KB)
健康強調表示評価の申請マニュアル 2021年11月30日改正版(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(392KB)
CNACT健康強調表示評価の期間と費用(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(256KB)
農林水産省「各国の食品・添加物等の規格基準」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

7. その他

調査時点:2021年8月

なし

タイ内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年8月

関税は、最高税率のほかに、関税率勅令第12条に従い減免された基本税率(一部対象外)、WTO税率、2007年11月に発効した日本・タイ経済連携協定税率(JTEPA)、2009年6月に発行した日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)があります。JTEPA、AJCEPの適用を受けるには、原産品であることを証明する「特定原産地証明書」の提出が必要です。これらの適用を受けない場合は、基本税率が設定されている品目については基本税率、設定されていない品目についてはWTO税率が適用されます。
一例として、ビタミンCサプリメントのJTEPA税率は0%、AJCEP税率は0%、基本税率は5%となっています。

2. その他の税

調査時点:2021年8月

輸入額(CIF)と関税額の合計に付加価値税(VAT)7%が課税されます。

3. その他

調査時点:2021年8月

通関手数料は200バーツです。
輸入申告書入力代行手数料(入力を依頼する場合)は100バーツです。

その他

調査時点:2021年8月

ハラール認証

タイのハラール認証機関は、1997年に制定された「イスラーム教組織運営法」に基づき設立されたタイ国イスラーム中央委員会(The Central Islamic Committee of Thailand /CICOT)および全国40県に配置されているイスラーム委員会の事務局です。同法「ハラール認証に関するイスラーム中央委員会規則」に基づき、政府関連機関との連携により、現在までにハラール認証を受けたタイ企業は約1万700社、製品数は約15万品目となっています。認証取得会社、品目は、タイ国イスラーム中央委員会が運営するハラール認証製品情報ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまたは「Halal Thai」アプリで確認することができます。

有機認証

現在、タイにおける有機食品に関する法律、基準は次のとおりです。これらの認証を受けた製品は「Organic Thailand」のマークが与えられます。

農産物規格法(2008)第2版(2013)第3版(2018)
タイ農産物規格有機農業(TAS9000)
第1部 有機生産物、加工、表示、製造販売(TAS9000-2009)
第2部 有機畜産物(TAS9000-2018)
第3部 有機水産物飼料(TAS9000-2011)
第4部 有機米(TAS9000-2010)
第5部 有機魚(Snakeskin Gourami)(TAS9000-2010)
第6部 有機蜂 (TAS9000-2013)
タイ農産物食品規格有機海エビ養殖(TACFS7413-2007)

認定機関はタイ農産物食品規格局で、認証機関は農業局、米局、水産局、畜産局、農産物生産システム認証機関(ICAPS)、タイ科学技術研究所(TISTR)などとなっています。

有機表示

日本の有機JASなどを含め、有機認証マークをパッケージに表示する場合は、その認証書の期限が切れていなければ、表示することが可能です。また、包装に「Organic」と表示することについても同様に、取得した有機認証書の期限が切れていなければ、表示することが可能です。この認証書は、食品登録番号を取得する食品の場合は、食品登録の際に提出します。また、食品登録番号の取得の有無にかかわらず、通関時にも認証書の確認が行われます。この認証書が日本語の場合は、タイ語または英語に翻訳し、翻訳証明が入ったものが必要です。

なお、食品医薬品委員会事務局告示「食品製造システム規格認証取得に関する文言またはマークの表示基準」において、GAP(Good Agricultural Practice)、有機認証(「Organic」の表示も含む)、ハラール認証などの任意認証を表示する際には、認証を示すマークまたはロゴ(Certification mark/Logo)に加え、次の情報を併記することが規定されています。

  1. 認証を受けた食品製造施設名
  2. 認証を受けた食品製造システム規格の種類
  3. 認証書を発行した認証機関名

関連リンク

関係省庁
タイ国イスラーム中央委員会(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農業協同組合省農産物食品規格局(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
イスラーム教組織運営法(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(563KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5MB)
農産物規格法(2008)、第2版(2013)第3版(2018)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(221 KB)
タイ農産物規格有機農業第1部有機生産物、加工、表示、製造販売(TAS9000-2009)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(400KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(270KB)
タイ農産物規格有機農業第2部有機畜産物(TAS9000-2018)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(772KB)
タイ農産物規格有機農業第3部有機水産物飼料(TAS9000-2009)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(120KB)
タイ農産物規格有機農業第4部有機米(TAS9000-2010)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)( 927KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)
タイ農産物規格有機農業第5部有機魚(TAS9000-2010)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,525 KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(228KB)
タイ農産物規格有機農業第6部有機蜂 (TAS9000-2013)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(738KB)
タイ農産物食品規格有機海エビ養殖(TACF7413-2007)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(834KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(173KB)
食品医薬品委員会事務局告示「食品製造システム規格認証取得に関する文言又はマークの表示基準」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,324 KB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル( 168KB)
その他参考情報
ハラール認証製品情報(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「有機食品の同等性について」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(99KB)