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EPAの原産品判定基準と特恵関税:タイ向け輸出

日本からタイに商品を輸出する際の日・タイ経済連携協定および日・ASEAN包括的経済連携協定の原産品判定基準と関税について教えてください。

日本から商品をタイに輸出する場合、2007年11月1日に発効した「日・タイ経済連携協定(JTEPA)」、または2009年6月1日に発効した「日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)」に基づく特恵関税の適用を受けることができます。

両協定は優先関係のない、併存する国際協定で、輸出者および輸入者は、どちらか有利な方を選択し、タイでの輸入通関の際に申告できます。

I. 日・タイ経済連携協定(JTEPA)
1. タイの輸入関税の引き下げ・撤廃
日・タイ経済連携協定(JTEPA)で規定された原産地規則を満たした日本原産品については、協定のカテゴリーおよびスケジュールに基づき、タイでの輸入関税が引き下げ・撤廃されます。タイの譲許表は、文末の「外務省:日本・タイ経済連携協定(英語版)」Annex1のPart 3に収録されています。同表では、第1欄にHSコード、第2欄に品名、第3欄に区分(撤廃・譲許カテゴリー)、第4欄に注釈、第5欄に毎年の関税率が記載されています。注釈の内容はAnnex1のPart1に記載されています。なお、関税の段階的引き下げは、毎年4月1日に実施されます。

2. 日本原産品の判定基準
A. 原産地基準
原産地規則の詳細は、協定文の第3章(第27条から第49条)に記載されており、原産地基準は第28条の「原産品」の定義にしたがいます。また、原産品であることを証明するために、「特定原産地証明書」の提出が必要です。特定原産地証明書の必要記載事項はAnnex3に収録されています。特定原産地証明書の第5欄「Preferences Criteria」には、WO、PE、PSのいずれかの原産地基準が記入されなければなりません。

  1. 完全生産品(Wholly Obtained:WO)
    協定締約国内で完全に得られ、または生産される産品。
  2. 原産材料のみから生産される産品 (Produced Entirely:PE)
    協定締約国内の原材料のみから当該締約国内で完全に生産される産品。
  3. 非原産材料を使用して締約国内で完全に生産される産品(Product Specific Rules:PS)
    非原産材料を用いて当該締約国において完全に生産される産品であって、Annex2に定める品目別規則などを満たす産品。工業製品は、多くの場合この判定基準が適用となります。

上述のPSについては、Annex2の品目別規則にHSコードごとに、該当する必要のある実質的変更基準が定められています。基準は以下の3つです。

  1. 関税分類変更基準 (CTCルール:Change in Tariff Classification)
    輸入原材料および非原産材料か原産材料かが不明な材料の関税分類番号が、生産された完成品の関税分類番号と異なれば、完成品の製造国の原産品とします。品目によってどの程度の番号の変更が求められるかは、Annex2の品目別規則を確認してください。
  2. 付加価値基準 (VAルール:Value Added)
    加工の結果、産品に付加された価値が特定の比率(例:40%以上)となる場合に原産品とします。
  3. 加工工程基準 (SPルール:Specific Process Rule)

各製品について、重要と認められた製造作業または技術的な加工作業を例示し、域内で当該加工を施されたことをもって原産品とします(繊維製品・化学品が該当)。例えば織物の場合、製織と染色が必要です。化学品は化学変化、精製、異性体分離、生物工学的工程のいずれかの工程を経る必要があります。

B. 積送基準(協定第32条)
協定で定める特恵関税の適用を受けるためには、産品は原則として直送されなければなりません。第三国を経由した輸送は、荷の積み替え、積み替えの際に荷を良好な状態に保つために保存する作業などの場合に限り認められます。この場合、当該第三国の税関または権限ある官公署が発行する、上述の作業以外の加工が行われなかったことを証明する資料の提出、または「通し船荷証券」の写しを提出する必要があります。

3. 特定原産地証明書の取り扱い
A. 発給機関
日本商工会議所

B. 発給手続き

  1. 輸出者または製造者が、日本商工会議所に特定原産地証明書判定依頼および発給申請のための企業登録をします。
  2. オンライン発給システムにログインするためのID、パスワードが届きます。
  3. オンラインシステム上で、輸出する産品の原産性の判定依頼を提出します。日本商工会議所の提示要求に応じ、事前に作成した対象産品に対する原産地規則を満足していることを証明する確認書に証拠書類を添付したものを提示します。
  4. 判定が下りたことを確認し、システム上で特定原産地証明書発給申請をします。
  5. 商工会議所窓口で証明書を受け取ります。この時、1通につき基本料2,000円と品目数による加算額の手数料を支払います。郵送による受け取りも可能です。
  6. 上述c.で提出した対象産品に対する原産地規則を満足していることを証明する確認書に証拠書を添付したものを5年間保管します。

C. 現地通関手続き
通常の輸入通関手続きに必要な書類に加え、日本商工会議所が発行した特定原産地証明書を提出します。第三国にて積み替えをした場合は、タイの税関に通し船荷証券の写し、または第三国税関の発行する加工を施していないことを証明する書類を提出する必要があります。

D. 仲介貿易
商品は日本から直接タイに輸送されますが、第三国の企業が一度買い取り、タイの企業に販売することがあります。本協定ではこうした仲介貿易の商流を認めています。この場合、特定原産地証明書の第7欄に第三国で発行されるインボイス番号および日付を記載し、第8欄に当該インボイスの発行者の名称および住所を明記する必要があります。特定原産地証明書の発給時に第三国で発行されるインボイス番号が不明の時は、日本の輸出者が発行するインボイス番号および日付を第7欄に記載します。

II. 日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)
2009年6月より、日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)が発効しています。AJCEPはJTEPAとは法的に優先関係のないそれぞれ独立した協定です。

1. 一般規則と品目別規則
AJCEPには品目別規則に加え、一般規則があります。品目別規則に原産地規則の規定がない品目の原産地規則は、一般規則が適用されます。

JTEPAではすべての品目が「品目別規則」に記載されていますが、AJCEPでは例外的な取り扱いをする品目についてのみ「品目別規則」を記載しています。輸出産品のHS番号が「品目別規則」に存在するかを確認し、存在している場合、その基準を満足していることが原産品と認められる条件となります。HS番号が「品目別規則」に存在しない場合は、上述のとおり「一般規則」が適用され、関税番号4桁の変更(CTH)、または域内原産割合の40%以上を満たしていれば原産品となります。

2. 累積条項
同協定では、ASEANの締約国における産品の累積による原産地認定が規定されています。同協定第29条を中心に関連する第26、27条などをご確認ください。また、文末の「ジェトロ:EPA活用マニュアル日本アセアンCEP版」もご参照ください。

3. 特定原産地証明書(Form AJ)
AJCEPでは、特定原産地証明はForm AJを使用します。原産地規則はすべての締約国で共通ですが、関税の譲許率は国によって異なります。また、AJCEPにおけるタイの譲許表は、JTEPAの譲許表とも異なりますので注意が必要です。

III. その他の注意事項など
タイでの輸入申請時に、2国間EPAであるJTEPA、あるいはAJCEPどちらの税率が適用されるかは、原則として輸入者がどの協定に基づく特定原産地証明書を添付して輸入国の税関に申告するかによって決定します。

なお、HSコードは原則として輸入国の税関が決定します。原産地規則や関税率などはHSコードによって異なるため、特定原産地証明書などEPAに関する書類を作成する前に、タイ税関に当該産品のHSコードを確認されることを推奨いたします。詳細については文末の「ジェトロ:事前教示制度」をご参照ください。

参考資料・情報
外務省:
日・タイ経済連携協定:日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日・タイ経済連携協定に関する「運用上の手続規則」(英語)
日・ASEAN包括的経済連携協定:日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日・ASEAN包括的経済連携協定に関する「運用上の手続規則」(英語)
日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)原産地規則にかかるアセアン側原産地証明書の書式(Form AJ)の変更外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ:
日本・タイ経済連携協定
EPA活用マニュアル日本タイEPA版
日本・ASEAN経済連携協定
EPA活用マニュアル日本アセアンCEP版PDFファイル(7.4MB)
世界各国の関税率
貿易投資相談Q&A:
事前教示制度:タイ
輸入通関手続きおよび留意点:タイ
日本商工会議所:
特定原産地証明書発給申請の手引き外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
特定原産地証明書発給申請マニュアル

調査時点:2015/07

記事番号: E-080302

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