タイ向け食品輸出におけるRCEP利用のメリット

(タイ)

バンコク発

2022年03月18日

日本の農林水産省は、2022年1月1日にタイや日本を含む10カ国で発効(2月1日に韓国、3月18日にマレーシアでも発効)した、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定(2022年1月6日記事参照)の利用について、日本産食品の輸出促進の観点から解説したセミナーの資料を、同省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに公開した。

日本とタイの間ではすでに日タイ経済連携協定(JTEPA)などが締結されており、日本の農林水産物・食品のタイ向け輸出に関しては、RCEPを活用した場合の関税率は既結EPAの範囲内となっている(農林水産省ウェブサイト「RCEP農林水産品輸出関連の主な合意内容PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を参照)。

他方、RCEPの活用には、JTEPAなどにはないメリットもある。具体的には、以下のとおり。

(1)RCEPでは、締約国産の原材料を日本産原材料とみなすことが可能(累積)。中国産および韓国産の原材料は、既存のEPAでは日本産原材料とみなされないが、RCEPでは日本産原材料とみなして使用できるため、加工品を中心にEPAを利用できる可能性が拡大。

(2)RCEPでは、日本商工会議所が原産地証明書を発給する第三者証明のほかに、経済産業省から認定を受けた輸出者が、自ら原産地証明書を発給する認定輸出者制度を採用。認定時には登録免許税が必要となるが、その後は自ら原産地証明書を発給できるため、継続的に輸出を行う場合には費用・時間を節約できる可能性がある。

(3)RCEPでは可能な限り、48時間以内の貨物の通関(生鮮食品などの腐敗しやすい物品や急送貨物の場合は、6時間未満での貨物の引取り)を規定。

詳しくは、セミナー資料のほか、税関ウェブサイト「RCEP協定原産地規則について(原産地規則ポータル)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」、ジェトロ作成の「RCEP協定解説書」、および農林水産省ウェブサイト「EPA利用早わかりサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照のこと。

(谷口裕基)

(タイ)

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