ジェトロのサービス
海外における営業秘密漏えい対策支援事業(中国本土、タイ、ベトナム、インドネシア)
※定員に達しましたので、受付を終了させていただきます。
海外における営業秘密漏えい対策支援事業(中国本土、タイ、ベトナム、インドネシア)における営業秘密漏えい防⽌対策の導⼊を⽀援します。
海外ビジネスを展開するにあたって、自社の経営や技術に関する情報を保護することは極めて重要です。とりわけ海外拠点では、ひとたび流出・漏えいが発生したら取り返しがつかず、企業に深刻な被害をもたらす「営業秘密」の保護を図るためには、限られた人的資源や予算制約のあるなかで、異なる商習慣や労働市場の流動性、取引先の管理体制の相違等に考慮して対応する必要があります。
本事業は、日本企業の中国本土、タイ、ベトナム、インドネシアの現地の営業秘密管理体制導入の促進を目的とし、現地の専門家による各種コンサルテーションや社員向けの研修を実施します。日本とは異なる商習慣や労務環境、司法保護状況に合わせて営業秘密の管理体制や保護措置を導入するために、ぜひご利用ください。
- 参考動画「中国営業秘密の保護について」
- 日本企業が海外でビジネスを行う際に自社の経営や技術に関わる営業秘密をどのようにして守ったらよいか、中国の法制度や具体的な事例を交えて紹介します。
- 再生時間:56分53秒
テキスト解説を読む
MC:このたびは、経済産業省委託事業「海外における営業秘密漏えい対策支援事業」にご関心をお寄せいただき、真にありがとうございます。
MC:この動画では、海外の現地法人や工場などにおける営業秘密の漏えい防止に関心をお持ちの方を対象として、中国における営業秘密に関する制度や運用に関する最新事情をご紹介いたします。本講義を通じて皆様が本テーマ、そして、私どもジェトロの企業支援サービスに関心をお持ちいただけますと幸いです。
MC:講師は上海華誠律師事務所(しゃんはいかせいりっしじむしょ)弁護士の栗本晟(くりもと あきら)様です。
MC:では、これより講義を開始します。栗本先生、よろしくお願いいたします。
映像説明:<テロップ>上海華誠律師事務所 弁護士 栗本 晟
講師:皆さん、こんにちは。
上海華誠法律事務所の栗本でございます。
私は2017年から中国で弁護士を務めさせていただいて、色々な日系企業向けに知財法務と会社法務をメインに事業を展開しております。
本日は、中国における営業秘密の保護について簡単にお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
映像説明:(スライド1枚目:表紙)
講師:それでは本日のセミナーに入りたいと思います。
映像説明:(スライド2枚目:目次)
講師:本日のセミナーなんですけど、4つのパートに分けて、中国の営業秘密保護の概要について紹介を申し上げたいと思います。
講師:第1パートでは、営業秘密の過去の案件と中国のこれまでの営業秘密の保護状況について、簡単に紹介したいと思います。
講師:第2パートでは、中国法上、どのような秘密情報が営業秘密に該当するのか、また、過去の色々な法律上の問題点について解説したいと思います。
講師:パート3では、中国の過去の典型的な手法、事例に基づいて、営業秘密の司法保護について紹介したいと思います。
講師:最後の部分では、企業の営業秘密保護対策において、どのような保護措置を講じていけばよいか、また、営業秘密の漏えい事件が発生した時、どういうような手順で対応していくのかを簡単に説明申し上げたいと思います。
(スライド3枚目: Part1 最近・過去の営業秘密の案件と中国営業秘密保護の発展)
講師:それでは、早速本題に入りたいと思います。
映像説明:(スライド4枚目:最近の営業秘密案件)
講師:第1パートですが、まずはここ最近の営業秘密案件について紹介を申し上げたいと思います。いずれも今年(2026年)の案件になるのですが、アップル(Apple)社の2つの案件になります。1つ目はここ最近の案件で、7月10日Appleがアメリカでオープン・エーアイ(Open AI)とAppleの元管理職2名を提訴したというニュースがございました。 ニュースによりますと、元管理職はAppleのプロトタイプとかCADの図面とかサプライヤー情報などの営業秘密をチームごと持ち出して、Open AIに入職(転職)したというような情報がございます。
講師:一方で、もう一つの有名な案件としまして、今年にアイフォン18(iPhone18)の情報が流出したという疑惑が持ち出されております。 ニュースによりますと、ワールド・リーク(World Leak)のサイバー攻撃によりまして、iPhoneの中核的なサプライヤーであるインドのタタ・グループ(Tata Group)からiPhone18に関する大量の情報が流出したというようなニュースがございます。右側の画面にもiPhone18の落下事件のビデオが、ビデオ画面が映っております。
講師:それ以外に、iPhone18のマザーボードの設計図面や高精度のチップの技術マニュアルなどのいろんな情報が満載のような状況でございます。
映像説明:(スライド5枚目:過去の営業秘密案件)
講師:続いて、過去の営業秘密案件につきまして紹介を申し上げたいと思います。これも歴史的に有名な案件になるんですけど、 1993年にアメリカのジェネラル・モーター(GM)の高級管理職、その方は特にコストダウンに豊富な経験を持っている方で、その方がジェネラル・モーターを離職した時に、7名の助手も連れてチームごとフォルクス・ワーゲンに就職したという経歴がありました。
講師:そして、3年後にジェネラル・モーターがフォルクス・ワーゲンを起訴する結果になりました。そこで、営業秘密の漏えいや不正な情報提供などを訴えて、最終的にフォルクス・ワーゲンは11億米ドルを賠償しなければならない状況になりました。さらにフォルクス・ワーゲンは7年以内に10億米ドルのジェネラル・モーターの部品を購入しなければならないと義務付けられました。 また、当該管理職は、2000年までフォルクス・ワーゲンの従業員もしくは顧問を務めてはならないという制限を課されました。
映像説明:(スライド6枚目:過去の営業秘密案件)
講師:続いてもう一つ案件ですけど、オラクル(Oracle)とマイクロソフトの間の案件でございまして、Oracleの方でマイクロソフトの清掃員を買収して、オフィスのごみ箱などをチェックさせて、マイクロソフトがアメリカ当局の方に賄賂を行った証拠を調査した。 これによってマイクロソフトを摘発して大ダメージを与えたというような案件がございました。こちらは過去の営業秘密の案件になります。
映像説明:(スライド7枚目:中国営業秘密保護体制の発展)
講師:続いて、中国での営業秘密の保護体制の発展について簡単に紹介申し上げます。まず、中国の営業秘密の保護体制につきまして、概ね3つの段階になると思います。
講師:中国法としまして、大陸の成文法というような分類でございまして、日本の法律ともかなり近いというのが特徴です。第1段階においては、1993年に中国の不正競争防止法を発令して、さらに行政当局である工商行政管理総局で「営業秘密侵害の禁止についての若干規定」を発令しました。 この段階では、主に基礎的な体制の構築がメインとなっておりまして、営業秘密の定義や営業秘密保護の原則的な規定がメインに構築された段階になります。
講師:第2段階におかれましては、「穏便な実施と発展」がメインのキーワードになります。 そのうち、2007年に最高人民裁判所で「不正競争民事案件審理の法律運用についての若干問題の解釈」という司法解釈が出されて、その中で営業秘密の保護にどのような審理上のルールがあるのかを定められました。もう一方で、2017年に不正競争防止法を一度見直して、営業秘密の保護に関するより詳細なルールを入れていきました。
映像説明:(スライド8枚目:中国営業秘密保護体制の発展)
講師:それでも法律上はかなりの不備がございましたので、第3段階に移行してから、さらなる色々な法律を発令して、営業秘密の保護に関する司法と行政保護の原則をさらに確立しました。
講師:どうしてこのような一連の法律を発令しなければならなかったか、それは、実務上の大きな問題が存在していたからです。
映像説明:(スライド9枚目:中国営業秘密保護体制の発展-訴訟状況)
講師:どのような状況かと言いますと、中国の営業秘密の民事訴訟につきまして、過去には原告の勝訴率が非常に低かったというような問題がございました。 データなんですけど、過去の原告の平均の勝訴率が38.7%しかなかったことが問題視されました。
講師:想像してください。原告がいろんな準備を立てて万全を期して起訴しても、4割未満の勝訴率しか見込めないのであれば、司法の制度としてはかなり運用が難しい制度となっております。そのために、中国の最高人民裁判所も政府側もこのような問題を問題視して、一連の細則などの発令によって、訴訟制度としてもっと運用が容易な制度に転換していきたいのがポイントになります。 これによって、2021年には原告側の勝訴率は28%くらいしかなかったんですけど、2025年には勝訴率が一気に53%くらいに発展(上昇)していきました。
講師:さらに訴訟案件の詳細を見ていきますと、いくつかの特徴が見られます。まず、当事者はハイテク分野の事業者と従業者(従業員)が多いことが見られます。また、左下の図をご覧にいただきますと、案件の多くは人材の流動によるものであることが分かります。具体的な統計なんですけど、8割以上、現在だと87%以上が人材の流動によるものだとみられます。
講師:さらに、紛争金額が大きいかなり高い金額が出ているのが特徴の一つになります。特に大手企業どうしの場合だと、地裁の訴訟の中でもかなり紛争金額が高い分類に入ると思います。億人民元単位の(金額の)案件も、ここ数年間で連発している状況で、かなり原告側にとって利益を出せるような民事訴訟になっているのが特徴の一つになると思います。
講師:その億人民元単位の紛争金額を実現するためにも、中国の懲罰性賠償というような制度の適用が増えております。これが今までの営業秘密の訴訟の状況でございます。
映像説明:(スライド10枚目:Part 2 法的視点から見た営業秘密)
講師:続いて第2パートに入りたいと思います。第2パートでは、中国法の視点から、営業秘密はどういうようなものであるのか、
映像説明:(スライド11枚目:営業秘密とは?)
講師:また、法律上の制度はどういうような問題があったのかを簡単に紹介申し上げたいと思います。
講師:まず、営業秘密の定義に関して簡単に紹介をしていきたいと思います。中国の不正競争防止法の規定なのですけど、営業秘密につきましては、「公衆に知られていなく、商業的な価値があり、さらに権利者が秘密保持の措置を講じている技術情報および経営情報をいう」という定義がなされております。
講師:この条文の中で構成要件は3つあることになります。 まずは「秘密性」(すなわち)公衆に知られていないこと。具体的にどのような話になりますと、公衆に知られていないというのは、世間の一般的な皆さんではなく、関連業界の業者に知られていない情報を意味しております。 例えば、有名な営業秘密の一つのコカ・コーラの配合なんですけど、コカ・コーラの配合にもいろんな成分が入っておりまして、その中にも必ず水、砂糖とか一般的なものが入っているんですけど、その部分は営業秘密には該当しません。なぜかといいますと、飲料業界の皆さんにとって甘い運用の中に水と砂糖とかが入っているのは容易に想像できる話だから。 営業秘密該当するのは、コカ・コーラに関連の香りをもたらしている香料の配合。その部分が営業秘密になっているのが状況でございます。
講師:2番目は「価値性」。価値性は「経済的な利益をもたらすことが可能」ということを意味しています。経済的な利益をもたらすことが可能というのは、積極的な内容、例えば「このような情報によって会社側に利益をもたらすことが可能」という情報ももちろん含まれますが、(反対に)「このような情報や方法を採用した場合、会社に不利益をもたらす」というような消極的な内容も価値性に該当します。いわば、試行錯誤の中で得た経験、教訓なども営業秘密に該当し得るというような結論になります。
講師:3番目になりますが、普通の方が想像できることになりますが、秘密性と価値性を確保されているのであれば、営業秘密に該当するというような考えを持っていらっしゃると思うんですけど、実際に法律上ではその3番目の「管理性」が一番重要視されています。 管理性につきましては、会社の方で営業秘密に関して何らかの総合的で合理的な措置を講じていることが重要視されます。それが法律上の「管理性」に該当します。いわば、会社の方で何らかの措置を講じていなければ、これは法律上保護を受けるべき営業秘密には該当しないという結論になります。
映像説明:(スライド12枚目:企業でよく見かける営業秘密)
講師:続いて、営業秘密は、技術類の情報と経営類の情報に分かれます。まず技術の情報について、企業でよく見かけられる情報について解説します。 まず、インターネット企業に多く見られるものとしまして、アルゴリズムやアルゴリズムの設計図などが見られます。また、設備に関するパラメータとか配合。加工企業によく見られる加工の工程、原材料の調合方法なども考えられると思います。3つ目は、検査方法と技術基準でございまして、最後に工程の資料や過去の実験データ、サンプルなども含まれると思います。
映像説明:(スライド13枚目:企業でよく見かける営業秘密)
講師:続いて、技術類の営業秘密について紹介を申し上げたいと思います。その中でも、マーケティング類の情報と顧客類の情報と企画類の情報に分けることが可能になります。 まず、マーケティング類の情報につきましては、市場調査の結果とか、今後の生産計画とか、コストの情報、仕入れ価格の情報があると思います。 それで、顧客類の情報につきまして、顧客リスト、その中にも顧客の担当者の情報とか、とある顧客の過去のニーズとか、そういうような内容が含まれております。提携先も同じような考えで大丈夫だと思います。 さらに、過去の入札資料につきまして、自社が出した入札資料はもちろんですけど、他社からいただいた入札資料なども情報の内容に該当すると思います。さらに、企画類の情報ですけど、広告の計画とか、商品の今後の企画とか、経営者の会議の計画とかも営業秘密に該当し得るような状況になります。
映像説明:(スライド14枚目:営業秘密VS特許)
講師:続いて、このページでは、営業秘密と特許の区別について簡単に紹介を申し上げたいと思います。まず、営業秘密につきまして、名前のとおり秘密性が重要なので、技術の公開は一切不要というような状況になります。一方、特許の場合、特許を出願する時、公開が必須の条件になりますので、特許は公開をもって保護と交換するというような制度になります。 有効期間ですが、営業秘密が一般的に知られるまでには永遠に存続するというような状況になるんですけど、特許は公開出願日から発明は20年、実用新案は10年、意匠は15年しか存続できません。 独占性につきましては、営業秘密は自分の方で秘密として保護されているんですけど、もし他の企業が正当なルートで開発などして同類の情報を獲得した場合でも、他社の利用は排除できないとなる状況がございます。
講師:一方で、特許は競争みたいに最初に出願された方が権利を握ることになりますので、たとえ他社が今後同じ技術を開発したとしても、特許権にハードルとされて勝手に無断で使用することはできないというような状況になります。そのため、排他性がかなり強いのが特許権の特徴になります。
講師:さらに、保護の手続なんですけど、営業秘密は自分で持っているだけで権利が有効になりますので、公的機関に通知とかする必要はなくて、さらに費用も一切発生しません。一方で、特許の方なんですけど、出願の時に当局の方に出願しなければなりません。さらに出願に弁護士費用とか弁理士費用とか、また当局の費用が発生するのがポイントになると思います。 もし公開された場合、営業秘密自体は権利が喪失することになります。一方で、特許の方は出願の時には既に公開されているので、公開しても権利の有効性には影響は与えられません。
映像説明:(スライド15枚目:営業秘密を侵害する行為)
講師:営業秘密の侵害する行為につきまして、簡単に紹介を申し上げたいと思います。今の中国の不正競争防止法の第10条を見る限り、4つのパートに分けて規定されているような状況でございます。 第1部分は窃盗とか賄賂とか詐欺とか、明らかにクロな手段(正当でない手段)を使って営業秘密を侵害することが該当します。例えば、この間のサイバー攻撃などを使ってiPhone18の情報を得たことは、明らかにこの条文に該当すると思います。
講師:2番目は、他人が前項の手段で取得した権利者の営業秘密を他人に開示、利用または利用を許諾する行為となっているんですけど、これは第三者がクロな手段(正当でない手段)を使った他人から営業秘密を得るか、さらに開示する行為を制限するものに該当すると思います。
講師:3番目ですけど、秘密保持義務または権利者の営業秘密保護に関する要求に違反して把握した営業秘密を開示利用または他人に利用許諾する行為があるんですけど、実務の中ではこれが一番よく色々な案件の中で見られる条項だと思います。いわば、会社の従業員が自社の営業秘密を流出させる行為は、この条項に該当するということになります。
講師:4番目ですけど、他人が秘密保持義務または権利者の方に関する要求の違反を教唆、勧誘、協力して営業秘密を取得するよう、または他人に利用許諾する行為に該当します。この4番目は3番目の幇助、教唆、勧誘の行為に該当しますので、他社の従業員に接近して、その従業員に営業秘密の持ち出しなどを要求する行為がこの条項に該当します。 さらに、その適用対象ですけど、自然人、法人、非法人組織、いわば個人や会社の両方が営業秘密の侵害の主体になり得るという規定内容になります。
映像説明:(スライド16枚目:営業秘密を侵害した場合の責任)
講師:さらに、侵害した場合の責任について簡単に紹介申し上げたいと思います。大きく分けますと、中国法上、営業秘密の保護に対しては、刑事責任、民事責任、行政責任、3つとも設定されている状況でございます。まず、刑事責任の場合、係争金額が比較的大きい場合、中国の刑法によって営業秘密の侵害罪に該当して刑事責任及び罰金を負うべきとの規定になっております。
講師:ここで、係争金額が比較的大きいというようなハードル(注:一つの基準)なんですけど、現在の実務のハードルとしましては、 30万人民元というようなハードルになっております。30万人以上の損害を被った場合、企業は警察に通報して、警察の方で刑事案件として調査することが可能になります。
講師:一方で、民事ですけど、民事は企業が損害を受けた場合、権利侵害に対して損害賠償というような請求が可能になります。
講師:行政の方ですけど、行政は日本の法制度とちょっと違って、中国では市場監督管理局という当局に摘発の要請をすることが可能でございまして、刑事とはちょっと似ているんですけど、行政へのハードルはそれほど高くなくて、違法行為の停止と違法所得の没収というような行政処罰が可能になります。さらに、営業秘密を漏えいした当該従業員に対して、企業側から労働関係の解除、いわば懲戒解雇などの罰則が適用されることがあると思います。
映像説明:(スライド17枚目:営業秘密を侵害する行為)
講師:さらに、法制度について1点、詳細な内容について紹介を申し上げたいと思います。過去の(事例紹介の)中で、先ほどご紹介申し上げたんですけど、この訴訟の中で原告の勝訴率がかなり低かったというような問題が存在していました。
講師:その理由としまして、営業秘密の3つの要件につきまして、原告側で全ての立証責任を満たすのがかなり難しいという問題が存在しておりました。特に、主張する営業秘密に対して秘密保持措置を講じていること、あるいは先方(加害者)がこの営業秘密に接触した可能性があること、この2つを同時に証明することがかなり難しいので、今の立証責任の分配のような制度が新たに導入されました。
講師:いわば権利者の方でまず主張する営業秘密につきまして、秘密保持措置を講じている初歩的な証拠を提示すれば可能です。その後に、具体的に加害者の方でどういうようなものを自社で作り出した情報なのであるか、自社でどういうような仕組みをもって作り出したのか、あるいは加害者が権利者以外の第三者から(営業秘密を)入手した場合、どのような仕組みで入手したのかを加害者の方で主張しなければならないというような制度がございます。
講師:これによって、権利者側の立証のハードルを下げて、加害者側の立証義務を増加(強化)させることなどによって、権利保護のバランスをもっとよく運用していくのがこの制度の目的であると思います。これによって、過去、勝訴率がものすごく低かったものの、現在は50%くらいに回復したというようなことになります。
映像説明:(スライド18枚目:中国の司法事例)
講師:パート3では、中国の過去の司法事例につきまして、簡単に紹介申し上げたいと思います。
映像説明:(スライド19枚目:「香蘭素」案件)
講師:まず、司法の業界でかなり有名な「香蘭素(こうらんそ)の案件について紹介申し上げたいと思います。漢字では「香蘭素」なんですけど、日本語で言いますと「バニリン」に該当します。バニリンというものは、アイスクリームなどにバニラの味付けをするものでございます。このバニリンにつきまして、もともとは原告側の嘉興市(かきょうし)にある中華化工有限責任公司が世界中でかなりのシェアを持っていた企業でございます。
講師:こちらの権利人の中華化工有限責任公司と上海のもう一つの上海欣晨新技術有限公司の方で、バニリンの生産について長期的な提携に合意して、香蘭素の生産、バニリンの生産に関する新しい工程を開発した。同時に、中華化工有限責任公司の方で、内部の品質コントロールとかプロセス管理、品質と環境管理などの色々な秘密保持制度を立ち上げているような状況でございます。これによって、この新しい工程を同社の営業秘密として保護に力を入れておりました。
講師:一方で、その中が加工会社の元従業員、フ(傅)さんという方は、被告の王龍会社(王龍集団公司)などとバニリン(に関する)提携について話を持ちかけて、第三者から技術の譲渡費用を受けて、生産図、工程ライン、フロー、設備のリストなどが保存されていたUSBメモリーを先方に渡しました。被告側はこの情報などに基づいて、王龍会社(王龍集団公司)の設備を利用してバニリンの生産を開始しました。
映像説明:(スライド20枚目:「香蘭素」案件)
講師:これで具体的にどのような被害が発生したかといいますと、もともと中華化工会社(中華化工有限責任公司)はグローバル市場でバニリンの6割以上のシェアを占めていた会社で、王龍会社(王龍集団公司)の侵害行為などによってグローバル市場のシェアの10%以上を持って行かれたという状況が発生しました。そのため、中華化工会社(中華化工有限責任公司)と上海の企業(上海欣晨新技術有限公司)は、王龍会社(王龍集団公司)を被告として約5億元の賠償金額を請求する訴訟を提起しました。
映像説明:(スライド21枚目:「香蘭素」案件)
講師:案件の事実になりますと、もともと(元従業員の)フ(傅)さんは中華化工会社(中華化工有限責任公司)の従業員でしたので、その従業員が自社の秘密保持義務の違反などによって違法に情報を持ち出した張本人なんですけど、その後にも王龍集団有限公司と王龍科学技術(王龍科技)と(この図の)最後にある喜孚獅王龍の三社が背後にありまして、さらにこの一連の会社(王龍集団、王龍科技、喜孚獅王龍)はフ(傅)さんが中華化工会社(中華化工有限責任公司)の従業員であることを明確に知っていて、さらにその情報の提供を受けたので、このような悪意があったため、一連の当事者(王龍集団、王龍科技、喜孚獅王龍)も全て「侵害者に該当する」という法的判断を受けました。
映像説明:(スライド22枚目:「香蘭素」案件)
講師:この案件なんですけど、第1審の時は浙江省の高級裁判所の方で判決を受けたんですけど、300万元しか損害賠償をもらえなかったというような状況がございます。一方で、第2審に入りますと、最高裁の方で第2審の方で損害賠償額を1.59億円に変更して、かなりの差が出ていることが分かります。
講師:なぜかと言いますと、最高裁の方で、過去の営業秘密侵害の訴訟におかれましては、侵害のコスト証拠の取得ハードルなどと比べて判決金額がかなり低いというような問題を問題視して、このような案件などによって、今後、営業秘密侵害の判決金額をより向上させたいというような目的があって、典型的な事例にしているのが目的だと思います。この案件によって、最高裁は、「悪意による侵害行為を打撃する」という明確な司法態度を世間に発信しているのがポイントになると思います。
映像説明:(スライド23枚目:「香蘭素」案件)
講師:さらに、秘密性なんですけど、この案件の中で中華化工会社(中華化工有限責任公司)が一連の秘密保持措置を講じていることが勝訴の重要な原因となっていると思います。例えば、右側の表にある通り、中華化工会社(中華化工有限責任公司)の方で当該営業秘密を把握している従業員の(秘密を知る)範囲も限定して、記録媒体にもいろんな表記を記載しているような状況で、秘密保持措置を徹底したということになります。
講師:一方で、従業員に対しても、単独の秘密保持契約あるいは従業員に対する教育とか、そのような人的管理も徹底されていたというような証拠を提出できました。そのため、裁判所はこの一連の証拠に基づいて、中華化工会社(中華化工有限責任公司)の方では、この新しい工程につきまして、自社の営業秘密について保護しているというような結論に至りましたので、これは法律上保護できる営業秘密だと認定いたしました。
講師:先ほど申し上げたとおり、営業秘密の侵害におかれまして、管理性の審査が一番重要なポイントになりますので、もし訴訟に勝ちたい場合、必ず会社内でどういうような営業秘密の保護措置をとっているのかを証明しなければなりません。
映像説明:(スライド24枚目:「香蘭素」案件)
講師:さらに、高額な賠償金になっていることにつきまして、どういうポイントが考慮されたかといいますと、この8つのポイントになると思います。 まずは、手段がかなり悪質であることで、かかる技術、秘密の量もかなり多い状況でございます。一方で、生産者(注:営業秘密を不正に入手してバニリンを生産した王龍科技等)の方では、フ(傅)さんがこの会社の従業員であることを知っていながら、技術を利用して生産したので、生産企業(王龍科技等)の方でもかなり悪意が高いというようなことになります。
講師:また、この技術秘密(営業秘密)の漏洩によりまして、グローバルシェアの10%が低下したことによって、技術秘密(営業秘密)の価値もものすごく高いものだと認定しました。最後に、王龍科技は、被告側で権利侵害をビジネスにしているような状況で、いろんな不誠実な事情もあったため、最終的には1.59億の損害賠償額になりました。
映像説明:(スライド25枚目:M社と李氏などの営業秘密侵害・不正競争紛争案件)
講師:2番目の案件に入りたいと思います。2番目は、地下鉄の入札に関する案件でございまして、こちらの概要はちょっと文字が多いので、直接図面で説明させていただきたいと思います。 (スライド26枚目:M社と李氏などの営業秘密侵害・不正競争紛争案件)
講師:こちらM社は、地下鉄に関する設備を製造する企業でございまして、Z社が現在地下鉄の方と提携関係を持っておりまして、Z社の方からM社にいろんな設備を購入したいというような状況になっております。
講師:そこで、M社の従業員のリ(李)さん、チョウ(張)さん、シ(施)さんの3人で、M社が現在Z社に提供予定の設備の状況などの営業秘密を漏洩して、李さんの妻、元妻なんですけど、その奥さんが作った会社A社の方がもう一度業務接触をして、同じ設備を提供するのにもっと安い価格で提供できる旨の連絡をしました。これによって、M社から案件を横取りしたというような状況になります。
講師:こちらも前の案件と同じように、従業員による営業秘密の漏洩がメインになります。もちろん、従業員の他にもいろんな関係の企業を使って営業秘密侵害行為を行っているんですけど、裁判では最終的にこの7つの被告(李氏、張氏、施氏、A社、李氏の元妻、T社、李氏の父親)で共同で賠償責任を負うべきという損害賠償になりました。
講師:この案件でどのような意味があるかといいますと、もともと営業秘密の中で顧客情報というのは顧客リスト、リストというのは2者以上というようなイメージをされている方がいらっしゃると思うんですけど、この案件の中で、一つのお客さんの一つの製品についての購買意向も営業秘密として保護できるというようなポイントがあると思います。 (スライド27枚目:Lilly社VS黄孟炜案件)
講師:それでは、3つ目の案件に入りたいと思います。 3つ目はリライ社(Eli Lilly and Company)の案件でございまして、アメリカの製薬会社のLillyですけど、グローバルでもかなり有名な企業です。もちろんLillyの方では、かなり営業秘密の保護体制につきまして完備した社内制度などを設けておりまして、従業員に対しても秘密保持契約と労働契約書などを提携しているような状況でございます。
講師:で、被告もLillyの従業員でございまして、その従業員はLillyの中国サーバーから21点のコアな秘密文書をダウンロードして自分のメモリー(私用のメモリーデバイス)に保存しました。もちろんLillyの方でもIT技術などにもかなり力を入れておりまして、自社のメモリー以外のメモリー、自分の私用のメモリーに保存する場合、何らか察知する体制がありましたので、このような事件を発覚した上で、被告側と交渉してデバイスを検査したところ、このような案件が発覚しました。 最後は交渉して当該情報を削除したので、外部への情報流出の痕跡はなかったので、より厳しい罰則にはならなかったんですけど、社内規則などに基づいてコウ(黄)さんを処罰したという案件になります。 (スライド28枚目:Lilly社VS黄孟炜案件)
講師:その結果としまして、すべての情報を削除して、営業秘密(技術秘密)が公衆に知られるまで他人に開示、利用または利用を許諾してはならないというような結果になった上で、被告側で合理的な費用、弁護士費用12万元を賠償するという結果になりました。 (スライド29枚目:中某会社、陸氏、司氏、徐氏の営業秘密侵害事件)
講師:最後に、もう一つの刑事案件について紹介したいと思います。 まず、こちらの企業なんですけど、滙科(フイクー)という会社名となっておりまして、関連する秘密保持の制度も社内で完備して立ち上げているような状況でございます。一方で、被告側のもう一つの中国の会社(中国の某企業)は、設立された後、(自社には)技術人材が欠けていたので、ヘッドハンティングなどの活動もしていて、いろんなところから人材を募集しておりました。
講師:一方で、2017年に入って、被告人、もう一人のルー(陸)さんの紹介によって、金銭的な甘み(利益)を与えることと交換して、シ(司)さん――司さんは滙科の従業員なんですけど--その司さんが職務上の便宜を利用して、滙科が秘密保持措置を講じている技術情報などの設計図を新しい企業(某企業)に移転するよう勧誘しました。この勧誘の対価は、22万人民元を払いました。 その新しい企業(某企業)は、滙科の秘密情報などを利用して、滙科の商品と類似する商品を展開してきました。2020年7月から2021年5月までの間で、500万元以上の損失を(滙科に)もたらした状況になります。 (スライド30枚目:中某会社、陸氏、司氏、徐氏の営業秘密侵害事件)
講師:その案件が発覚したので、滙科は警察に通報して、警察で一連の事実について調査をしました。 で、それを裁判所に提起したケースで、裁判所の意見は以下のとおりでございます。 新しいこの企業(某企業)は中国の企業なんですけど、企業として賄賂などの不正当な手段を利用して権利者から営業秘密を取得したので、その中のルー(陸)さんとジョ(徐)さんは直接の責任者であって、元々の(営業秘密の保有者である)滙科の従業員のシ(司)さんは秘密保持義務に違反して営業秘密を開示したことに該当します。
講師:そのため、ルー(陸)さん、ジョ(徐)さん、シ(司)さんはともに主犯格の人物でございます。さらに、新しい企業(某企業)と被告のシ(司)さんは共同犯罪にも該当します。中国の法制度上、企業と個人は共同犯罪に該当し得るというような状況もありますので、すべて営業秘密侵害罪で刑事責任を追及しました。 もちろん、自白などの事情もあったので、最終的には3年から3年6か月ぐらいの有期懲役というような状況になって、さらに罰金550万元の刑罰になったというような案件になります。
講師:このような一連の案件を通じて、中国で民事訴訟、刑事摘発、あるいは労働関係上の処罰などを加えることが可能になるというのが、営業秘密の侵害の法的責任(の説明)になります。 (スライド31枚目:Q&A 仕事中に蓄積した経験は営業秘密に該当しているか?)
講師:さらに、もう一つ企業からよく聞かれる問題について、簡単に紹介を申し上げたいと思います。 よく顧問の企業から聞かれる話として、元の会社で日常的な仕事を通じて従業員に自然に経験として積み上がっていく内容につきまして、これらの営業秘密に該当するかどうかというような質問なんですけど、現在の中国法上、このような経験の蓄積はもちろん営業秘密には該当せず、自社、新しい企業に転職しても合理的な範囲内では利用可能という結論になります。
講師:ただし、例外として以下の内容が存在します。もし、従業員は記憶だけではなくて、何らかの抄写やコピーなどの方法によって故意に企業情報を窃取した場合、それは営業秘密の侵害に該当する可能性がございます。また、前述の経験というものは、当該従業員の専門的な能力やポスト知識のレベルと一致するべきである。
講師:なぜかといいますと、もし元の企業で専門的な能力を育てていけない、あるいは不可能であったポストにあった者の場合、新しい企業に技術情報などを流出した場合、これはかなり不自然なことになりますので、この場合だと営業秘密の侵害に該当する可能性が高いという傾向になります。 また、3番目の例外としまして、元の会社や機関で担当したプロジェクトの経験を新しい企業(転職先等)でプロジェクトの経験として宣伝した場合、これは合理的な使用には該当しないので、これも不正競争に該当する可能性が高いということになります。 以上が事例の紹介になります。 (スライド32枚目:Part4 企業の営業秘密保護対策)
講師:4番目のパートでは、企業の営業秘密の保護対策について簡単に紹介を申し上げたいと思います。 (スライド33枚目:企業の営業秘密保護対策)
講師:まず、保護対策の全体的な概要図につきまして、以下、九つの側面があると思います。まずはコアな営業秘密の保護なんですけど、まずは社内で制度を立ち上げるのが最初になると思います。制度の立ち上げの中では、営業秘密の創出源の整理が必要不可欠というような状況になります。
講師:具体的なやり方などにつきましては、営業秘密のリストアップなどが有効な措置になります。具体的にどういうような会社内の部門で、どのような営業秘密が創出されているのかをリストとして作成します。そして、作成されたリストにつきまして、営業秘密の具体的な内容に応じて相応の保護措置を講じていくという流れになります。
講師:これは、最初の段階で、最初の段階が確保された後に、人的管理などをさらに強化していくことになります。例えば、入社時のチェックとか、各部門の営業秘密の保護の対策を統一するとか、営業秘密が記載されている媒体、ファイルとかサンプルとかを整理すること、社内の教育を徹底すること、定期的に上記の営業秘密保護措置をレビューすることとか、あるいは廃棄の時にどういうような引き継ぎとか回収する策などを見直しすることも重要だと思います。 (スライド34枚目:企業の営業秘密保護対策――制度の立ち上げ)
講師:続いて、制度の立ち上げにつきまして、もう少し詳細に紹介を申し上げます。 まずは権利者側の立証要求ですけど、先ほどの民事訴訟の中でもあったように、すでに一定の秘密保持措置を講じていることと、先方から接触された可能性があること、先方の技術と当方の技術が事実上盗用というような立証責任、立証のハードルがございますので、それに応じて内部の管理の制度と外部の管理制度を立ち上げる必要がございます。
講師:まず、内部の管理なんですけど、営業秘密の管理体制につきまして、必ず書面化することが推奨されます。その制度の中で、会社の営業秘密の定義とその内容、内容につきましては、制度ではなくてリストで保管されることが多いと思います。 また、管理人員の構成と職務というような管理職の方でどういうような責任を負っているのかを明記します。さらに具体的な管理措置、例えば接触メンバーの限定とか、ウィーチャット(We Chat)などのチャットアプリ利用の制限なども記載すべきだと思います。接触メンバーにつきまして、例えばある生産ラインにつきまして4つの工程がある場合、4つの工程の従業員にとって自分が担当する工程しか営業秘密に接触できないようにするのが重要だと思います。さらに、日常の教育の仕方とか違反時の罰則なども必ず明記しなければなりません。
講師:一方で、外部の管理につきましては、外部の企業と個人に機密保持義務を負わせることがメインになります。例えば、社外の対象、他の会社と提携する前に必ず秘密保持契約を締結するのが推奨されます。 また、もし関与する時にプロジェクトと無関係な情報を提供するのはなるべくしないように、また相手に適時に「今提供した情報は秘密なので、メールなどでこの機密情報に対して何らかの措置を講じてください」というような提示をするのも有効だと考えております。もちろん、相手側からこのようなことを言われた時にも、相互に秘密情報として管理するのも重要だと思います。そうでないと、先方の秘密情報の侵害に該当するリスクも発生します。 (スライド35枚目:企業の営業秘密保護対策――日常のファイル管理)
講師:さらには、日常的なファイル管理につきまして簡単に紹介申し上げます。まず、秘密資料と秘密資料ではない資料を区別して、秘密資料の所に機密レベルを記載することがメインになります。例えば、「極秘」とか「社内秘」とか「秘」とかのマークを書類につけるのが一番有効だと思います。
講師:秘密資料。もし紙媒体の資料がございましたら、専門的な場所で保管されていて、さらに鍵などの機密保持対策もされた方が良いと思います。 さらにリストなんですけど、リストは申し上げたとおり、どの部門、どの従業員の方で、どういうような機密情報を管理されているのかを直感的に示すことが重要だと思います。利用につきましては、ブラックボックスの管理とか、閲覧の記録台帳などを作成することも有効だと思います。
講師:現在は紙媒体の資料の必要性もかなり少なくなっておりますので、原則上、一連の操作も社内のシステム、パソコンで運用が基本となっておりまして、原則上、いろんな秘密情報の媒体のコピーとか持ち出しなどは原則禁止された方がよいと考えております。
講師:もし本当にまだ紙媒体が存在しているというような状況だと、適時に廃棄することもかなり重要だと思います。例えば、社内で一部門に紙資料の定期処理などを依頼して、定期的に保管期限などを確認しながら、不要な情報を破棄していくというような流れになると思います。 (スライド36枚目:企業の営業秘密保護対策――社外連絡の注意点)
講師:さらに、社外連絡の注意点につきましても紹介申し上げます。 まず、発送前に自社の方で必要な許可を得ているかどうかをまず確認することが重要だと思います。得ていなかった場合、発送は断念すること。重要性の方につきましても、重要性の低い情報から高い情報の順で開示していくことも重要だと思います。
講師:低い情報につきましても、もし先方での管理が徹底されていない場合、機密性が高い情報の開示は断念すること。発送方法につきましても、中国では電話、メール、あるいはチャットアプリのウィーチャットなどが多用されているので、もし営業秘密に関する図面とかを発送した場合、なるべくメールで発送されるよう提案いたします。ウィーチャットや電話で口頭で伝えると記録として残してこない状況もございますので、今後の立証にとってはかなり不利な状況に陥る可能性があります。
講師:最後に記載内容の注意ですけど、図面などにつきまして、特にスキャンデータの場合、文書名などを必ずファイル名に記載された方がよいと思います。なぜかと言いますと、プリンターなどの記録の中で文書の内容を確認できないプリンターもかなりありますので、その時は文書名しか記録されません。文書名によってこの情報の内容を特定できるのであれば、これも有効な証拠にはなりますが、文書名だけで日付とかの数字しかなかった場合、文書の内容を特定できなかった場合だと、証拠の立証能力に影響しますので、ご注意いただければと思います。 (スライド37枚目:企業の営業秘密保護対策――外部との会議)
講師:外部との会議におかれましても、先ほどと同じように、事前に提供できる資料などを社内で審査して、検討する議題と入れるべきでない話題などにつきましても区別して、パソコンのデスクトップも整理された方がよいと思います。会議が終わった後、もし自社にとって重要な紙媒体の資料がございましたら、その回収も確認された方がよいと思います。 議事録につきましては、初回の提携などの場合、参加者のサインをもらってメールでも確認させていただくことが重要だと思います。会議後にもし何かの新しい機密情報が掲載された場合、マークなどをつけて保存の作業も行われた方がよいと思います。 (スライド38枚目:企業の営業秘密保護対策――その他留意点)
講師:さらに、人員、戸締まりとソーシャルメディアの利用の注意につきまして。人員の出入りにつきましては、門番の方で訪問客の管理とか、無関係な者によるオフィスエリアへの立ち入りを防止された方がよいと思います。工場の見学なども承っている場合、外部の人間は指定された区域のみ見学できるような制度も立ち上げた方がよいと思います。 一方で、ソーシャルメディアの利用の時、社内では営業秘密に関する高度なエリアではスマートフォンの利用は禁止した方が良いと思うんですけど、オフィスエリアなどではどうしてもスマートフォンの利用のニーズが出てくる企業もあるので、その場合は「作業エリアの撮影だけは遠慮してください」というようなルールを作った方が良いと思います。 また、SNSでモーメンツなどを書き込む場合、仕事に関連する話はなるべく書き込まないよう制度で明確化した方が良いと思います。 (スライド39枚目:企業の営業秘密保護対策――発生時の対応)
講師:最後に、発生時の対応について簡単に申し上げたいと思います。まず、営業秘密の漏洩が確認された場合、まず速やかに報告するのが一番最初に必要な作業だと思います。当該部門の責任者と経営責任者、総経理などに通報された方が良いと思います。
講師:続いて、案件の状況と損害の状況などを確認します。対応の案も策定された方が良いと思います。場合によっては、弁護士などの外部専門家と対応を検討された方が良いと思います。 最後に執行なんですけど、社内での一連の証拠の調査をして、相手側と協議や和解なども可能でありましたら、民事訴訟や刑事告発などで、厳正に対応していくことも可能になると思います。
講師:本日のセミナーは以上となります。 ご清聴ありがとうございました。
MC:栗本先生、どうもありがとうございました。 視聴者の皆様へのご案内です。 こちらの画面に表示されているQRコードより、アンケートへのご協力をお願いしております。 ご回答いただいた方には、本講義でご紹介した資料のダウンロード用URLをご案内いたします。 私どもジェトロの支援事業へのお申し込みは、今ご覧いただいているウェブページより行えます。皆様からのご応募を心よりお待ち申し上げます。 本日はご視聴いただき、真にありがとうございました。
海外における営業秘密漏えい対策支援事業
事業概要
利用企業1社あたり1カ国・地域につき23時間を上限として、「専門家による管理職向けコンサルテーション」と「専門家による管理職・社員向け研修」の2種類のサービスを提供します。
海外における営業秘密漏えい対策支援事業ジェトロの提供するサービス内容
(127KB)
サービスの詳細内容は次の資料をご参照ください。
事業概要・応募要領
(180B)
支援フロー
まずは事業概要・応募要領をご確認のうえ、所定の申請書に必要事項をご記入いただき、押印済みのもののPDFファイルをジェトロ知的財産課宛てにメール(CHIZAI@jetro.go.jp)にてご提出ください。
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Step
01申請書提出
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Step
02採択
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Step
03保有情報リスト、 営業秘密管理体制セルフチェックシート提出
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Step
04専門家と面談
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Step
05コンサルテーション・研修
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Step
06フォローアップ面談
※本事業終了後(営業秘密管理体制導入後)にジェトロウェブサイト等を通じたサービス利用事例の紹介をさせていただく場合がございます。
- 応募条件
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- (日本国内の法人の場合)中国本土、タイ、ベトナム、インドネシアに現地法人・工場・駐在員事務所を有する、もしくは有することを予定している日本企業であること。
- (現地法人の場合)日本企業の出資を受けている、中国本土、タイ、ベトナム、インドネシアの現地法人であること。または上記4カ国・地域における駐在員事務所であること。
- 営業秘密管理体制の整備に積極的に取り組む意思があること。
- 事業終了後、アンケートおよびジェトロウェブサイトなどでの本事業の広報(事例紹介など)に協力することに同意すること。
- 費用
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無料
※専門家のアドバイスに基づく具体的な対策の導入にかかる経費は自己負担となります。 - 応募受付期間
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2026年6月1日(月曜)~上限(中国本土、タイ、ベトナム、インドネシアで計15件程度)に達するまで
※支援期間について、採択後から2027年2月5日(金曜)までとします。
※現地休日の事情により、支援期間が上記より早く終了することがあります。
※お申し込み順に審査を進め、順次採択します。上記受付期間にかかわらず予定採択件数に達した時点でお申し込みを締め切りますので、お早めにお申し込みください - 採択予定件数
- 計15件程度
事業ご活用例
- 事例(1)
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- 営業秘密管理についての必要性は感じているが、何から取り組んでよいかわからない。
- すぐに導入可能な、実践的な営業秘密保護に関する提案を受けたい。
- (サービスメニュー案)
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- 現在の管理体制に関する全般的なアセスメント:2時間
- 雇用契約、就業規則、秘密保持契約等の社内文書案の作成:6時間
- 管理職向けコンサルテーション・研修:4時間
- 従業員向け社内研修:4時間
- 工場やオフィスにおける管理体制のチェックおよび改善案の作成:6時間
- フォローアップ面談:1時間
- 事例(2)
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- 営業秘密保護に関する体制は一通り整備しているが、抜け・漏れがないか不安。
- ワーカーを含む、会社全体の営業秘密管理意識の底上げを図りたい。
- (サービスメニュー案)
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- 現在の管理体制に関する全般的なアセスメント:2時間
- 既存の社内マニュアル、研修資料、契約書類等のレビュー:8時間
- 従業員向け社内研修:3時間×2拠点
- 管理職向け研修:3時間×2拠点
- フォローアップ面談:1時間
受付窓口・お問い合わせ先
ジェトロ知的財産課 (担当:阿部、高野、粕谷、市原)
E-mail:CHIZAI@jetro.go.jp Tel:03-3582-5198
ジェトロの支援サービス一覧
ご相談の受付(国内)
海外での調査実施
海外事務所での現地情報のご提供
戦略立案から実現までの一貫サポート
外国企業誘致
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- 「新輸出大国コンソーシアム」専門家による個別支援サービス
- 海外におけるEC販売プロジェクト(JAPAN MALL)
- JAPAN STOREプログラム(米英Amazon出品販売)
- ジェトロ招待バイヤー専用 オンラインカタログサイト(Japan Street事業)
- 中国バイヤーとのオンラインマッチングプラットフォーム(China Japan Street事業)
- 地域のニーズ、産業特性などに応じた海外販路開拓・拡大支援(地域貢献プロジェクト)
- e-Venue(国際ビジネスマッチングサイト)
- 日本産食品グローバル・ゲートウェイ事業
- アフリカビジネスデスク(リストアップ・商談アポイントメント)



