2025年の中国自動車生産・販売動向
中国自動車市場、NEV成長と輸出拡大が鮮明に
2026年6月26日
生産・販売台数は過去最高
中国自動車工業会(CAAM)の発表によると、2025年の中国の自動車生産台数は、前年比10.4%増の3,453万1,000台だった(図1参照)。内訳は、乗用車は10.2%増の3,027万台、商用車は12.0%増の426万1,000台だった。
出所:中国自動車工業協会
また、自動車販売台数は前年比9.4%増の3,440万台となった(図2参照)。5年連続で増加し、過去最高を更新した。内訳は、乗用車が9.2%増の3,010万3,000台、商用車が10.9%増の429万6,000台だった。国内販売は6.7%増の2,730万2,000台、輸出は21.1%増の709万8,000台だった。
出所:中国自動車工業会
中国の自動車生産・販売台数は3年連続で3,000万台を超えた。また、生産・販売ともに、現時点で公開されている2008年以降の統計(CAAMによる)で過去最高を更新した。
新エネルギー車が市場を牽引
2025年の中国自動車市場は、引き続き新エネルギー車(NEV)(注1)が成長を牽引した。NEVの販売台数は前年比28.2%増の1,649万台となり、自動車販売台数全体に占める割合は47.9%と、前年比7.0ポイント上昇し、過半数に迫る水準となった。また、長期的に見てもNEVの販売台数は、2020年の132万台から5年間で約12.5倍と大幅に増加した。
NEV販売台数増加の背景には、中国全体で展開されたNEV買い替え補助金や、NEV車両の値下がり(図3参照)により、消費者の金銭的負担が軽減されたことなどがあると考えられる。また、中国政府は充電スタンド設備の拡充にも注力しており、2025年12月末には全国の充電スタンドが2,000万台を超える(注2)など、設備面からもNEVの普及を後押ししている。
出所:グローバル市場経済統計データベースCEIC〔乗用車市場信息聯席会(CPCA)の月次報告書からの引用〕
中国の乗用車市場信息聯席会(CPCA)によると、2025年のメーカー・ブランド別のNEV乗用車販売台数は、1位がBYDで348万4,525台(前年比6.3%減)、2位が吉利汽車(Geely)で156万4,562台(81.3%増)、3位が長安汽車で78万9,141台(26.8%増)、4位が上汽通用五菱(上海汽車、米ゼネラルモーターズ、柳州五菱汽車の合弁企業)で77万2,147台(19.3%増)、5位がテスラで62万5,698台(4.8%減)だった(表1参照)。BYDが他社に差を付けて首位となり、吉利汽車が続く構図は昨年から変わっていない。一方、NEV市場におけるBYDのシェア率は27.2%と前年比で6.9ポイント低下したのに対し、吉利汽車は12.2%と4.3ポイント上昇した。また、3位から10位までの販売台数の差は40万台程度と混戦状態にある。華為集団(ファーウェイ)グループが自動車メーカーと協業して展開するスマートカーブランドの鴻蒙智行(HIMA)が6位に入り、家電メーカーのシャオミ(小米)傘下の小米汽車も10位に入るなど、新しい動きもみられる。
| 順位 | メーカー・ブランド |
台数 (万台) |
前年比 (%) |
構成比 (%) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | BYD | 348.45 | △6.3 | 27.2 |
| 2 | 吉利汽車(Geely) | 156.46 | 81.3 | 12.2 |
| 3 | 長安汽車 | 78.91 | 26.8 | 6.2 |
| 4 | 上汽通用五菱 | 77.21 | 19.3 | 6.0 |
| 5 | テスラ | 62.57 | △4.8 | 4.9 |
| 6 | 鴻蒙智行(HIMA) | 58.85 | 32.3 | 4.6 |
| 7 | 奇瑞汽車(Chery) | 53.14 | 22.9 | 4.1 |
| 8 | 零跑汽車(Leapmotor) | 52.95 | 86.3 | 4.1 |
| 9 | 賽力斯汽車(SERES) | 42.29 | 9.6 | 3.3 |
| 10 | 小米汽車 | 41.18 | 200.9 | 3.2 |
| 上位10社合計 | 972.03 | 18.7 | 75.9 | |
出所:中国の乗用車市場信息聯席会(CPCA)
自動車の小売額は減少傾向、在庫圧力が増大
新エネルギー車が市場を牽引する一方で、自動車の小売額自体は減少傾向にあり、2025年は前年比1.5%減となった。各月で見ると、小売額の水準自体は安定的に推移しているが、前年同月比は低水準での推移が続いている。特に、2025年第4四半期(10~12月)は、前年同月比で10月が6.6%減、11月が8.3%減、12月が5.0%減と大幅に減少した(図4参照)。2026年もこの傾向は続いており、第1四半期(1~3月)の自動車小売額は前年同期比9.1%減と、減少に歯止めがかかっていない(2026年4月20日付ビジネス短信参照)。
出所:国家統計局
また、CAAMは2025年の自動車市場について、「末端市場は息切れ状態にあり、在庫が積み上がりつつある」と指摘している。本発表内容の裏付けとして、中国汽車流通協会(CADA)は、2025年12月時点の自動車在庫警戒指数(注3)が前年同月比7.5%増の57.7%となったと発表した。さらに、2026年に入ってからも同指数は高水準で推移しており、1月は59.4%(前年同月比2.9%減)、2月は56.2%(同0.7%減)、3月は57.5%(同2.9%増)、4月は62.1%(同2.3%増)となった。自動車市場における在庫圧力の増大が明らかとなっている。
中国自動車市場は引き続き「内巻」と呼ばれる過当競争の状態にあり、中国政府は解消に向けた対策を講じている(2025年12月4日付地域・分析レポート参照)。しかし、競争に改善の兆しは見られず、図3でも示したとおり、中国国内のNEVの販売価格は下落傾向にあり、自動車小売額も減少している。また、2025年は一定規模以上の工業企業の利益率(注4)が5.3%であるのに対し、自動車製造企業は4.1%と、業界全体を大きく下回っている。2026年第1四半期も、全体が5.4%に対し自動車製造企業は3.4%と2ポイント低く、激しい競争環境が続いている。
輸出競争が加速、海外生産拠点も拡大
中国自動車市場は拡大を続ける一方で、競争激化を背景に、企業の視線は海外市場へと一段と向かっている。CAAMによると、2025年の自動車輸出台数(中古車を含まない)は前年比21.1%増の709万8,000台となり、過去最高を更新した。内訳は、乗用車が21.9%増の603万8,000台、商用車が17.2%増の106万台だった。NEVの輸出も261万5,000台と、2024年(128万4,000台)の2倍以上に拡大するなど、急速な伸びを示した。輸出拡大は単なる販売チャネルの確保にとどまらず、過剰供給の調整機能としての側面も持つ。
中国税関の統計(注5)によると、2025年のBEV乗用車(HS870380)の輸出額を国・地域別に見ると、1位は2024年に続きベルギーで51億1,270万ドル、2位は英国で35億7,555万ドル、3位はオーストラリアで22億9,318万ドルとなった(表2参照)。上位3カ国はいずれも前年から変化はなく、その後に韓国、インドネシア、タイなどが続く。2位以下の国・地域では、10位のアラブ首長国連邦を除き、いずれも輸出額が前年比で増加した。特にインドネシアやマレーシアなど、東南アジア向けの輸出の拡大が目立つ。
| 順位 | 国・地域名 |
輸出額 (1,000万ドル) |
前年比 (%) |
|---|---|---|---|
| 1 | ベルギー | 511.270 | △23.5 |
| 2 | 英国 | 357.555 | 12.1 |
| 3 | オーストラリア | 229.318 | 32.6 |
| 4 | 韓国 | 214.173 | 95.1 |
| 5 | インドネシア | 197.219 | 199.1 |
| 6 | タイ | 191.730 | 33.2 |
| 7 | ドイツ | 153.237 | 17.2 |
| 8 | マレーシア | 130.376 | 138.1 |
| 9 | メキシコ | 117.684 | 62.2 |
| 10 | アラブ首長国連邦 | 102.287 | △24.6 |
出所:貿易統計データベース「グローバル・トレード・アトラス(GTA)」
中国系メーカーは、海外への輸出を拡大すると同時に、海外での生産拠点の整備も進めている。BYDを例に挙げると、同社は2024年からタイでNEVおよび車載電池の生産ラインを稼働させており、2025年7月までの1年間で累計9万台のNEVを生産・納入したと発表している。また、2025年7月にはブラジルで、ラテンアメリカ地域における同社初の乗用車工場が完成し、生産ラインが稼働した。そのほか、ウズベキスタンの現地工場でもNEV生産を行っている。今後は、インドネシア、カンボジア、トルコ、ハンガリーなどでも生産拠点の設立を予定しており、世界各地で生産体制の拡大を進めている。
中国系メーカーの自動車販売・生産拠点の設立先として、東南アジア地域が注目されている。前述のBYDのほか、上汽通用五菱は2017年にインドネシアで生産拠点を稼働させ、2024年には車載電池の生産も開始した。また、奇瑞汽車(Chery)はマレーシア、インドネシア、ベトナムでの生産拠点の設立を予定している。なお、2026年3月から4月にかけて開催された「バンコク国際モーターショー2026」では、会期中の商談で予約が多かった上位10ブランドのうち8ブランドを中国系メーカーが占め、東南アジア市場での存在感の高まりが示された(2026年4月15日付ビジネス短信参照)。
中国系メーカーの勢い止まらず、外資系は厳しい競争環境
海外における中国系メーカーの躍進については前述のとおりだが、2026年4月24日~5月3日に開催された「北京モーターショー」でも、その存在感が際立った(2026年5月8日付ビジネス短信参照)。華為集団(ファーウェイ)は自動車の生産は行わないものの、同社の「Harmony」と呼ばれる自社OSを用いて、北汽集団、上汽集団、奇瑞汽車(Chery)など、さまざまな中国系メーカーと連携して車両開発を行っている。これらの車両はスマートコックピットやADS(運転支援)などの機能を搭載しており、「自動車のスマート化」を主導している。こうしたスマートカーの開発・販売の潮流は、今後の中国自動車市場でさらに顕著となり、外資系メーカーは製品競争に加え、ソフトウエア・エコシステム競争への対応が急務となっている。

北京モーターショーでは、日系メーカーはトヨタ自動車、本田技研工業(ホンダ)、日産自動車、マツダが展示し、日産自動車は2車種の新車両を発表した。そのほかの外資系メーカーでは、韓国の現代自動車が、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の電池を搭載し、自動運転スタートアップのモメンタとの協業で開発した「IONIQ V」を発表し、「中国智造(中国スマート製造)」を強調した。また、一汽大衆(第一汽車とフォルクスワーゲンの合弁企業)も、 SUVタイプの電気自動車(BEV)「ID.AURA T6」を世界初公開するなど、中国市場の潮流に対応したNEV化・スマート化の動きが加速している。

現地メディアによると、同モーターショーの開幕式で、長安汽車の趙非総経理は自動車市場の競争について、「2030年までに、自動車メーカーが生き残るための最低ラインは年間販売台数300万台」とした上で、「世界をリードする企業になるためには、800万台から1,000万台の年間販売台数が必要である」と語った(2026年5月4日新浪財経)。本発言は、中国国内だけでなく、輸出や海外展開を進めることで初めて競争に勝ち残れることを端的に示している。
国内市場における小売額の減少や在庫圧力の増大を、輸出や海外拠点の拡大で吸収しつつ、今後も競争の激化が続くと予想される。
- 注1:
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電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHV、レンジエクステンダー式EVを含む)、燃料電池車(FCV)を含む。
- 注2:
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中国国家エネルギー局の発表によると、2025年12月末時点の中国の充電スタンド設置台数は、2,009万2,000台(公用:471万7,000台、私用:1,537万5,000台)となった。これは4,000万台超のNEV車両の充電が可能な規模とされている。なお、2023年12月末の充電スタンド設置台数は859万6,000台だった。
- 注3:
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中国汽車流通協会が発表する指標で、自動車ディーラーの経営状況を反映する。50%を分岐点とし、一般的に50%を超えると在庫圧力の増大、50%未満は合理的な在庫水準と判断される。
- 注4:
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利益率は、一定規模以上の自動車製造業企業の利益総額を営業利益で除して計算した。
- 注5:
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貿易統計データベース「グローバル・トレード・アトラス」(GTA、原典は中国税関)による。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・北京事務所
西島 和希(にしじま かずき) - 2018年、ジェトロ入構。ジェトロ・青島事務所、ジェトロ京都、ジェトロ・武漢事務所などを経て、2025年12月から現職。経済信息部で調査業務を担当。





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