電力インフラ周辺に広がる事業機会
米国データセンター最新事情(2)

2026年7月6日

2026年の米国におけるデータセンター関連投資は、シンクタンクや調査会社の分析によれば、急速に拡大するハイパースケーラー(注1)各社の設備投資計画などを背景に、7,000億ドル前後に達する見通しだ(注2)。この巨額投資の内訳は、構造物としてのデータセンター建設に加え、そこで稼働する人工知能(AI)サーバーやネットワーク機器などのIT設備が中核を占める。特に投資額ベースでは、これらIT設備の比重が相対的に大きい。また、米国ではこれらIT関連機器の多くを輸入に依存する構造となっており、データセンター関連機器の年間輸入額は6,500億ドル超に達しているとの分析もある(注3)。こうした背景から、米国の輸入構造にも近年、大きな変化がみられる。

データセンター投資がもたらす輸入構造の変化

2020年以降の米国の輸入上位5品目(HSコード6ケタ分類ベース)の輸入額の推移を見ると、AIサーバーなどを中心とするデータ処理装置(847150)の輸入額が2023年以降に急増し、原油(270900)を上回って最大の輸入品目に浮上した。

戦略国際問題研究所(CSIS)の推計(2026年3月)によれば、AIデータセンター関連投資に占めるサーバー用チップ(GPU)の比率だけでも、投資額全体の約45%以上を占めるとされる(注4)。こうした背景から、データ処理装置(847150)の輸入額は、2023年の618億ドルから2年間で約2.5倍の1,636億ドルへと拡大した。さらに、2026年1~4月には前年同期比3.1倍の913億ドルに達するなど、急速な伸びが続いている。

また、AIデータセンター関連需要に牽引されるかたちで、サーバー向けのGPUカードなどを含むコンピューターなどの部品・付属品(847330)も同じ2年間(2023~2025年)で約2.8倍に増加した(注5)。加えて、ルーターやスイッチ、モデムなどに代表されるデータ通信(受信・変換・送信など)機器(851762)も約7割の伸びを記録している。これらの品目はいずれも、2024年まで第2位であった医薬品(300490)を上回り、第3位および第4位の輸入品目へと順位を上げた。なお、これらの増加傾向は2026年に入っても継続している(図1参照)。  

図1:米国の輸入上位5品目(HSコード6ケタ分類)の輸入額推移
2000年から2005年の6年間、および2005年および2006年の1~4月の米国の輸入上位5品目の推移を折れ線グラフで表示。単位は10億ドル。(1)データ処理装置が、5年間で31.9> 32.6> 42.0 >37.0 >61.8> 163.6と伸び、2025年に原油を除き最大の輸入に。一方原油の推移は 、76.7> 133.1> 198.3> 165.1> 167.7> 140.3と横ばい・減少傾向。そのほか(2)コンピュータ等部品・附属品の推移は22.9> 29.4> 32.9> 31.5> 53.9> 88.4 (3)データ通信機器は、38.4> 42.3> 50.5> 50.6> 55.7> 84.0 。2026年1~4月も、(1)データ処理装置、(2)コンピュータ等部品・附属品、(3)データ通信機器がいずれも力強い伸びを示し、(2)および(3)が医薬品を抜いて第3位、第4位の輸出費目に。

注1:上位5品目は2025年輸入額ベース。
注2:HSコード6ケタ分類で上位5品目に入る再輸入品(980100)は除外。
出所:Global Trade Atlasデータを基にジェトロ作成(2026年6月16日時点)

台湾、メキシコ、東南アジアへの輸入依存高まる

前述のデータ処理装置(847150)、コンピューターなどの部品・付属品(847330)、データ通信機器(851762)のIT関連機器3品目を合わせた輸入額が米国の全輸入額に占める割合は、2024年の5.2%から2025年に9.8%へ上昇し、さらに2026年(1~4月)には15.5%に達している。

これを輸入相手国・地域別に見ると、台湾(34.8%)およびメキシコ(24.0%)の構成比が高く、合わせて6割近くを占める(図2参照)。加えて、ベトナム(12.8%)、タイ(11.7%)、マレーシア(5.0%)などの東南アジア諸国も近年、その構成比を高めており、同地域へ生産の分散が進んでいることが分かる。特に、データ通信機器(851762)の輸入については、ベトナムが30.9%で最大、次いでタイ(25.4%)が第2位となっており、東南アジアへの依存度がとりわけ高い。一方、2017年時点で43.9%と圧倒的な構成比を占めた中国からの輸入は、2026年(1~4月)には1.8%まで減少しており、AI・データセンター分野の機器輸入における対中依存の低下が顕著だ。

これらの貿易データが示すのは、同分野において米国の対中デカップリングが一定程度進展している実態だ。しかし、輸入構成比が特に高いAI・データセンター関連機器の分野では、サプライチェーンの変化は米国内生産への回帰ではなく、調達先の地理的再配置というかたちで進んでいることが分かる。

データセンターの中核を成すGPUモジュールやAIサーバーについては、台湾、メキシコ、東南アジア諸国を中心とする輸入依存の構造が、むしろ強まっている。前述のCSISのレポートでは、米国によるGPUやAIサーバーの台湾依存が、少なくとも2028年まで継続するとの見通しを示している。

また、関税回避を目的とした迂回輸出(トランスシップメント)の増加も指摘されている(注6)。中国から東南アジアへの輸出増加と、東南アジアから米国への輸出増加が並行して観察されている。供給網の地理的構成は変化しているものの、実質的な供給源は大きく変わっていない可能性がある。さらに、民間企業にとっては米国内へ生産移行するインセンティブが依然として限定的で、関税措置のみでは輸入依存構造の解消が困難であることも示唆される。

図2:IT関連機器3品目(合計ベース)の相手国・地域別構成比の推移
IT関連機器3品目合計の輸入、相手国・地域別構成比を、2016年~2026年推移で示したもの(2026年は1-4月ベース)。国・地域別の推移は以下の通り(%)。台湾3.7、3.7、4.4、12.2、14.2、16.5、16.4、23.6、27.7、36.5、34.8。 メキシコ33.1、29.3、31.8、36.9、33.7、32.3、33.9、29.1、30.4、28.4、24.0。 ベトナム1.3、1.1、1.4、3.8、6.6、9.6、11.6、10.8、10.6、11.5、12.8。 タイ3.4、3.7、2.7、2.7、3.5、3.5、4.3、6.2、6.2、8.2、11.7。マレーシア6.6、5.5、3.6、3.3、3.7、3.8、4.4、4.4、4.7、3.7、5.0。中国40.5、45.5、42.8、26.1、20.8、16.1、13.7、12.3、8.5、3.5、1.8。 韓国2.1、3.1、5.0、5.0、6.6、7.6、6.3、3.4、4.2、2.9、4.4。 インド0.1、0.1、0.2、0.2、0.3、0.5、0.5、1.1、1.1、0.8、1.0。

注:データ処理装置(847150)、コンピューターなどの部品・付属品(847330)、データ通信機器(851762)の輸入額ベース。
出所:Global Trade Atlasデータを基にジェトロ作成(2026年6月16日時点)

また、主要機器の対中依存度が数値上は低下しているものの、一部の部品に不可欠な重要鉱物の供給面では、中国による輸出規制が足かせとなるリスクが残る。例えば、光半導体に不可欠なリン化インジウム(InP)については、中国の輸出許可の遅延・制限が、米国のAIデータセンター向け光通信部品の供給を逼迫させている。その結果、供給不足や価格高騰の影響がサプライチェーン全体に広がっているとの指摘がある(「ロイター」2026年6月10日)。このように、一部の領域では通商面での規制がAIインフラ拡張の制約要因となる可能性がある。

変圧器やコンデンサーなどの対日輸入が増加

米国のAIデータセンター関連輸入の中核を成すIT機器においては、輸入相手国・地域全体に占める日本の存在感は極めて小さい。前述の主要IT機器3品目に占める日本の構成比は、2025年に0.3%、2026年(1~4月)には0.1%にとどまっている。

一方で、輸入額の規模はサーバーなどのIT機器に比べて相対的に小さいものの、電力インフラおよびその関連機器(変圧器、蓄電池など)の分野では、日本は一定の存在感を示している。これらの機器は、AIデータセンターの稼働に不可欠であると同時に、米国では供給制約が顕在化している分野でもある。

例えば、2025年の米国における変圧器(8504)の輸入を国・地域別に見ると、日本からの輸入額は約22.9億ドルとなり、メキシコ、中国、タイに次ぐ第4位の輸入相手国となっている。輸入額は2022年(約11億ドル)からの3年間で倍増している。蓄電池(8507)や電動機・発電機など(8501)においても、日本はいずれも第3位の輸入相手国に位置し、1割以上の構成比を占める。

さらに、電気用コンデンサー(8532)および電動機・発電機などの部品(8503)では、日本が最大の輸入相手国となっている。特に電気用コンデンサーの対日輸入は前年比2.7倍に急増し、全体の3分の1以上を占めている(表1参照)。

表1:米国の電力インフラ関連機器の輸入と日本の位置付け(2025年)(単位:億ドル)
品目・HSコード 輸入額 対日輸入額 構成比(順位)
変圧器・電力変換機器(8504項) 346.0 22.9 6.6%(第4位)
蓄電池(8507項) 266.8 34.7 13.0%(第3位)
電動機・発電機など(8501項) 134.4 13.7 10.2%(第3位)
電気用コンデンサー(8532項) 59.6 20.2 33.9%(第1位)
電動機・発電機などの部品(8503項) 41.7 8.7 20.8%(第1位)

出所:Global Trade Atlasデータを基にジェトロ作成(2026年6月17日時点)

電力インフラ周りを中心に事業拡大の動き

AIデータセンター向けの電力需要の急増や、送電網への接続遅延を補う目的で、データセンターがオンサイト発電を導入する動きも広がっており、ガスタービンや蓄電池、変圧器などに対する需要の押し上げ要因となっている。これらの分野では、日本企業による米国内での現地生産拡大の動きもみられる。大型ガスタービンで世界トップクラスのシェアを有する三菱重工業は、火力発電向けガスタービンの生産能力を2030年度にも2024年度比で倍増する方針だと報じられている(「読売新聞」2026年6月10日)。電力を大量に消費するデータセンターの建設需要の拡大に伴い、ガスタービンの供給が追いつかない状況にあり、生産体制の強化が喫緊の課題となっている。

ガスタービンのサプライチェーンに関与する在米日系メーカーによれば、現在は納入枠が数年先まで埋まるなど、需給逼迫の状況が続いている。こうした中、「近年は、発電容量の大きい大型ガスタービンの供給逼迫により、データセンター事業者が小型ガスタービンを数量ベースで大量購入する動きもみられる」という(注7)

また、大型変圧器については納期が最長で5年程度に及ぶなど、設備不足がデータセンター建設の遅延要因となっていると指摘されている(注8)。同分野では2025年9月、日立エナジーが送配電機器の製造能力拡大を目的に、米国の電力業界史上最大規模となる10億ドル超の投資を発表した(日立エナジーウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。その一環として、バージニア州サウスボストンにおける大型電力用変圧器工場の新設に約4億5,700万ドルを投じるとしている。同社は、トランプ政権のAIアクションプランに沿ってAIデータセンターの建設が拡大し、それに伴いエネルギー需要が急増していることが背景にあると説明している。

なお、世界のグリーンフィールド投資案件を収集・分析する英フィナンシャル・タイムズ提供のfDi Marketsデータベースによれば、2025年から2026年4月までに発表された日本企業による対米新規投資案件上位10件のうち、日立エナジーによる同投資案件を含め、6件がデータセンターに関連するプロジェクトだった(表2参照)。最大案件としては、ソフトバンクグループを中心とするコンソーシアムが、日米間の投資枠組みに基づき発表した、総額約330億ドル規模のオハイオ州における天然ガス火力発電プロジェクトが挙げられる。同プロジェクトは、最大10ギガワット(GW)規模のデータセンター開発に電力を供給することを目的とするものだ(注9)

表2:2025年以降の日本企業の対米グリーンフィールド投資(上位10件、金額ベース)注:2025年1月~2026年4月の期間に発表された投資プロジェクトが対象。
投資企業 発表年月 投資先州 分野 投資額
(100万ドル)
ソフトバンクグループなど 2026年2月 オハイオ ガス火力発電 33,000
信越化学 2026年3月 ルイジアナ 石油化学品 3,400
ソフトバンクグループ 2025年1月 テキサス 通信(データセンター) 890
ソフトバンクエナジー 2026年3月 オハイオ 通信(データセンター) 539
日本圧着端子製造(JST) 2026年4月 アラバマ 電子部品 504
NTT データ 2025年5月 オレゴン 通信(データセンター) 486
NTT データ 2025年5月 アリゾナ 通信(データセンター) 486
日立エナジー 2025年9月 バージニア 産業機器(変圧器) 457
トヨタ自動車 2025年11月 ウエストバージニア 自動車部品 453
日東電工 2025年1月 ケンタッキー 化学品 389
いすゞ自動車 2025年2月 サウスカロライナ 自動車 280
エラワンエナジー(オリックス) 2026年2月 テキサス 再生可能エネルギー 274
Nexamp(三菱商事) 2025年5月 ニューヨーク 再生可能エネルギー 272

注:2025年1月~2026年4月の期間に発表された投資プロジェクトが対象。

出所:fDi Markets(Financial Times)を基にジェトロ作成(2026年6月18日データ取得)

これらのプロジェクトの進展に伴い、発電設備や送配電網を含む電力インフラ需要の持続的な拡大が見込まれるほか、関連設備や周辺インフラの整備も進展すると考えられる。これにより、発電・蓄電、電力制御システム、冷却設備、建設・エンジニアリングなど広範な分野において、事業機会の拡大が期待される。2025年から2026年半ばにかけてのAIデータセンター投資への偏重や、電力関連設備の需給逼迫を背景に、同分野への業態転換や新規参入を模索する日本企業は既に増加傾向にある(注10)。今後数年間、米国における日本企業の投資・事業展開は、電力の安定確保および供給の効率化・高度化を軸に拡大していく可能性が高い。


注1:
大規模なITインフラ(主にクラウドサービス)を、世界規模で大量かつ効率的に提供できる企業のこと(ジェトロ世界貿易投資報告2025年版参照)。 本文に戻る
注2:
ライス大学ベーカー公共政策研究所のレポート(2026年5月)は、最大7,250億ドルとの見通しを示している。そのほか、米調査会社Futurum Groupの見通し(2026年2月)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは6,900億ドル、CNBC(2026年2月)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも大手ハイパースケーラーのAI関連設備投資が7,000億ドルに達すると予測している。 本文に戻る
注3:
米国の政策系シンクタンク、Coalition for a Prosperous America(2026年5月)の報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、2025年のデータセンター関連機器の輸入額は6,530億ドルとされている。 本文に戻る
注4:
CSIS(Kate Koren)「The U.S. Data Center Build-Out Depends on GPU Imports外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2026年3月10日)。 本文に戻る
注5:
米国税関・国境警備局(CBP)による2019年6月25日付の関税分類裁定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、データセンター向けGPUアクセラレーターを含むGPUカードは、自動データ処理機械(8471)の部分品に該当し、関税分類コード8473.30に分類されるとされている。また、NVIDIA公表の製品分類情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいても、同社のGPUカードなどのアクセラレーターは、輸出入上、同コード(8473.30)に分類される事例が示されている。 本文に戻る
注6:
S&P Global Market Intelligence「Transshipment: Outlook and Implications for ASEAN外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2025年10月)、The Diplomat(Hannah Pedone)「Inside China’s Rerouted Supply Chains外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」The Diplomat(2026年1月)など参照。 本文に戻る
注7:
米国ニューヨーク市内での筆者インタビュー(2025年11月)に基づく。 本文に戻る
注8:
DC Atlas「Data Center Supply Chain Lead Times: Delivery Delays外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2026年2月)。 本文に戻る
注9:
米エネルギー省「Energy Department Announces Partnership to Ensure Affordable Energy and Power America’s AI Future外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2026年3月20日)。 本文に戻る
注10:
2025~2026年にかけてのジェトロ・ニューヨーク事務所への照会実績に基づく。EVバッテリー・同部品、自動車・同部品、エレクトロニクス部品、エネルギー、建設などの各分野で新規事業開拓を模索する動きがみられる。 本文に戻る

米国データセンター最新事情

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執筆者紹介
ジェトロ・ニューヨーク事務所 次長
伊藤 博敏(いとう ひろとし)
1998年、ジェトロ入構。ジェトロ・ニューデリー事務所、ジェトロ・バンコク事務所、企画部海外地域戦略主幹・東南アジア、調査部国際経済課長などを経て現職。主な著書:『ジェトロ世界貿易投資報告』2021年版~2025年版(編著、ジェトロ)、『FTAの基礎と実践:賢く活用するための手引き』(編著、白水社)、『タイ・プラスワンの企業戦略』(共著、勁草書房)、『アジア主要国のビジネス環境比較』『アジア新興国のビジネス環境比較』(編著、ジェトロ)、『インドVS中国:二大新興国の実力比較』(共著、日本経済新聞出版社)、『インド成長ビジネス地図』(共著、日本経済新聞出版社)、『インド税務ガイド:間接税のすべてがわかる』(単著、ジェトロ)など。