2025年の自動車生産、販売いずれも増加、EV国内販売は82%増(トルコ)
トルコはEU原産地要件に含まれる方向

2026年5月19日

本稿では2025年のトルコ自動車産業動向について分析する。合わせて、2026年以降に予定される制度変更が同国自動車産業に与える影響についても簡潔に触れる。

トルコでの2025年の生産台数は前年比4.0%増の142万台、輸出額も同11.6%増の415億ドルと好調で、輸出額の約7割がEU向けだった。国産車TOGGの輸出も開始され、トルコの自動車史に新たな一歩を刻んだ。

また、国内の販売台数は前年比10.5%増の137万台。その中で特筆すべきは電気自動車(EV)の急伸だ。EVの国内販売は同82.3%に増加し、EVとハイブリッド車(HEV)を合わせた割合も2024年の29.2%から2025年は44.9%に急増した。

2025年の自動車生産台数は微増

トルコ自動車工業協会(OSD)によると、2025年の同国の自動車生産台数は141万9,464台で、前年比4.0%増だった。構成比で全体の61.5%を占める乗用車は前年比3.5%減だったのに対し、構成比で残りの38.5%を占める商用車は前年比18.7%増だった(図参照)。

図:車種別生産台数の推移(2021年~2025年)
乗用車は2023年にピーク後やや減少。商用車は2023年以降減少傾向だったが、2025年に再び増加した。

注:記事執筆時の統計データに基づく。ただし、このデータは過去にさかのぼって修正が入ることがある。正確な数値を確認する場合は、OSDで最新データを参照。
出所:トルコ自動車工業協会(OSD)のデータを基にジェトロ作成

完成車の生産台数をメーカー別に見ると、31.2%を占めるフォード・オトサンが、前年の減少から一転、前年比18.4%増と大きく生産台数を伸ばし、前年に続いて首位だった(表1参照)。同社の発表によると、トルコとルーマニアの工場を合わせた生産能力は約93万5,000台で、内燃機関車、HEV、EVを同時に生産できる柔軟性を持っており、過去2年半の間に、2カ国、4つの工場で多くの新型モデルを発売した。また、オヤク・ルノーが前年比16.4%増で2位を維持。トヨタ自動車は同7.0%減ながら前年4位から3位に、前年3位だった現代・アッサンは同19.6%減で4位へ順位を落とした。

表1:完成車メーカー別生産台数(単位:台、%)(△はマイナス値)注:このデータは過去にさかのぼって修正が入ることがある。正確な数値を確認する場合は、OSDで最新データを参照。
メーカー名 2022年 2023年 2024年 2025年 伸び率 構成比
フォード・オトサン 374,027 398,794 381,786 451,846 18.4 31.2
オヤク・ルノー 247,100 325,366 332,503 387,113 16.4 26.8
トヨタ自動車 216,735 212,843 225,337 209,664 △ 7.0 14.5
現代・アッサン 208,100 242,016 244,976 197,000 △ 19.6 13.6
トファシュ・フィアット 263,747 239,428 140,484 131,666 △ 6.3 9.1
テュルク・トラクター 44,619 51,423 43,611 25,833 △ 40.8 1.8
メルセデス・ベンツ 28,914 31,988 22,451 23,403 4.2 1.6
オトカル 3,677 5,018 5,375 5,660 5.3 0.4
アナドル・いすゞオート 5,161 5,976 5,778 5,276 △ 8.7 0.4
マン 2,044 3,222 2,511 4,025 60.3 0.3
テムサ 2,457 3,232 3,303 3,030 △ 8.3 0.2
カルサン 686 510 792 781 △ 1.4 0.1
ハッタト・トラクター 4,922 6,147 2,027 624 △ 69.2 0.0
合計 1,402,189 1,525,963 1,410,934 1,445,921 2.5 100.0

注:このデータは過去にさかのぼって修正が入ることがある。正確な数値を確認する場合は、OSDで最新データを参照。

出所:トルコ自動車工業協会(OSD)のデータを基にジェトロ作成

自動車関連の輸出総額は2桁増で過去最大

トルコ自動車工業協会の統計によると、2025年の自動車・同部品の輸出額(完成車と部品の合計)は、前年比11.1%増、408億ドル超で過去最高を更新した(表2参照)。内訳を見ると、自動車の合計輸出額は前年比14.5%増、エンジンやバッテリーなどの自動車部品合計は6.1%増だった。

表2:自動車と部品の輸出額(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)注:記事執筆時の統計データに基づく。ただし、このデータは過去にさかのぼって修正が入ることがある。正確な数値を確認する場合は、OSDで最新データを参照。
項目 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 前年比 構成比
自動車合計 18,050.0 18,672.5 21,608.3 21,908.1 25,090.8 14.5 61.5
乗用車 9,272.1 9,069.5 10,934.3 11,284.0 11,771.1 4.3 28.8
大型・軽商用車 5,420.3 5,633.4 5,646.6 6,385.6 8,417.8 31.8 20.6
大型バス 1,015.4 1,199.8 1,786.4 1,928.3 2,574.6 33.5 6.3
中・小型バス 193.9 163.0 342.6 458.8 430.3 △ 6.2 1.1
その他の自動車 2,148.3 2,606.8 2,898.4 1,851.5 1,897.1 2.5 4.6
自動車部品合計 11,828.5 12,826.7 14,078.3 14,834.5 15,739.3 6.1 38.5
スペアパーツ 9,188.8 10,044.8 11,354.6 11,901.4 12,700.8 6.7 31.1
タイヤなどゴム製品 1,630.3 1,766.7 1,724.8 1,695.7 1,789.3 5.5 4.4
エンジン 296.6 233.0 253.6 382.9 439.9 14.9 1.1
バッテリー 509.4 547.7 482.2 574.2 519.4 △ 9.5 1.3
セーフティーガラス 203.1 234.4 263.1 280.2 289.9 3.5 0.7
合計 29,878.5 31,499.2 35,686.6 36,742.6 40,830.1 11.1 100.0

注:記事執筆時の統計データに基づく。ただし、このデータは過去にさかのぼって修正が入ることがある。正確な数値を確認する場合は、OSDで最新データを参照。

出所:トルコ自動車工業協会(OSD)のデータを基にジェトロ作成

一方、トルコ輸出業者協議会(TIM)のデータによると、2025年の自動車部門の輸出額は約415億ドルと、輸出全体の17.5%を占め、部門別で最大となった。

自動車・部品の2025年の輸出先は、全体の72.5%を占めるEUが前年比18.5%増となった(表3参照)。トルコの輸出の約7割がEU向けであることから、EUの制度変更は同国自動車産業の競争力に直結する。特に原産地要件の扱いは、2026年以降の輸出構造を左右する重要論点となる(後述)。国別で見ると、ドイツが前年比36.1%増の66億1,162万ドルと最大で、次いでフランスが同16.8%増の50億8,822万ドル、英国が同1.2%増の42億1,800万ドルだった。一方、禁輸措置をとっているイスラエルとロシアは圏外となった。

表3:自動車と部品の国別輸出額(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)注:トルコ輸出総額の構成比は、トルコの輸出額全体に占める自動車・同部品の割合。その他の構成比は自動車・同部品の輸出額に占める国別割合。
順位 国名 2023年 2024年 2025年 構成比 前年比 寄与度
1 ドイツ 4,853,208.87 4,858,361.55 6,611,618.57 15.9 36.1 4.7
2 フランス 4,307,446.65 4,357,681.82 5,088,219.63 12.3 16.8 2.0
3 英国 3,291,889.70 4,166,984.54 4,218,010.44 10.2 1.2 0.1
4 スペイン 2,441,266.87 2,509,981.95 3,417,613.77 8.2 36.2 2.4
5 イタリア 3,138,049.93 3,440,869.62 3,294,533.73 7.9 △ 4.3 △ 0.4
6 スロベニア 1,354,799.22 1,811,431.54 2,285,691.84 5.5 26.2 1.3
7 ポーランド 1,763,122.89 1,831,653.75 1,847,563.47 4.4 0.9 0.00
8 ベルギー 1,324,322.79 1,407,848.27 1,663,281.37 4.0 18.1 0.7
9 ルーマニア 868,680.28 1,160,646.54 1,561,716.06 3.8 34.6 1.1
10 米国 1,017,155.29 1,209,101.75 1,202,829.21 2.9 △ 0.5 △ 0.0
11 モロッコ 459,934.05 589,503.06 689,845.92 1.7 17.0 0.3
12 オランダ 635,212.57 704,705.48 587,265.77 1.4 △ 16.7 △ 0.3
13 オーストリア 308,257.55 329,094.96 536,778.10 1.3 63.1 0.6
14 チェコ 403,844.58 461,220.40 533,622.57 1.3 15.7 0.2
15 ポルトガル 366,181.05 366,219.45 464,122.57 1.1 26.7 0.3
62 日本 47,581.23 31,272.95 41,144.86 0.1 31.6 0.0
EU 23,916,588.66 25,369,164.11 30,109,760.73 72.5 18.7 12.7
世界計 34,990,071.35 37,197,331.57 41,521,096.00 100 11.6 11.6
トルコの輸出総額 221,461,627.28 225,899,370.00 237,370,977.00 17.5 5.1 1.9

注:トルコ輸出総額の構成比は、トルコの輸出額全体に占める自動車・同部品の割合。その他の構成比は自動車・同部品の輸出額に占める国別割合。

出所:トルコ輸出業者会議(TIM)のデータを基にジェトロ作成

国内販売台数は10.5%増、EV、HEVのシェアが急伸

トルコ自動車販売代理店・モビリティー協会(ODMD)によると、2025年の国内自動車販売台数(小売り)は前年比10.5%増の136万8,400台であった。そのうち乗用車が108万4,496台(10.6%増)、軽商用車が28万3,904台(10.0%増)だった。ローンの条件や税負担が厳しくなるなど(2025年7月31日付ビジネス短信参照)、購入のハードルが上がったにもかかわらず、トルコ市場は高い購買力を維持したといえる。

2025年の乗用車の販売台数は、自動車に課せられる税率が低いセグメントA(軽自動車)、B(小型車)、C(中型車)の車が全体の82.7%を占めた。 車種別では、2022年以降首位を維持しているスポーツ用多目的車(SUV)が全体の61.9%(67万1,819台)と最も多く、次いでセダンタイプが22.8%(24万7,005台)、ハッチバックが14.4%(15万6,078台)となった。

オートマ車(AT)のシェアも年々増加しており、2025年は全体の95.0%を占めた。軽商用車の販売シェアでは、バンが75.8%(21万5,193台)と例年同様大半を占め、軽トラックが9.3%(2万6,452台)、ミニバスが7.7%(2万1,894台)、ピックアップが7.2%(2万343台)だった。

2025年の動力タイプ別の販売台数の割合と販売台数の前年からの増減は以下のとおり(表4参照)。HEVやEVで販売台数が大きく伸び、占める割合も前年の29.2%から44.9%に増加した一方、ガソリン車やディーゼル車では販売台数が減少した。

表4:動力タイプ別販売台数(単位:台)(△はマイナス値)
燃料別タイプ 2024年 2025年 2025年順位 前年比
ガソリン車 591,501 509,217 1 △ 13.9
ディーゼル車 95,985 80,346 4 △ 16.3
ハイブリッド車(HEV) 181,590 295,378 2 62.7
電気自動車(EV) 105,315 191,960 3 82.3
液化石油ガス(LPG)車 5,950 7,595 5 27.6

出所:トルコ自動車販売・モビリティー協会(ODMD)のデータを基にジェトロ作成

メーカー別販売台数でトヨタが5位に

トルコでの2025年のメーカー別販売台数(総合=乗用車と軽商用車の合計)を見ると、ルノーが前年比8.0%増(14万4,331台)で前年2位から1位に。前年1位だったフィアットが同14.5%減(11万8,641台)と2位に後退した。フォルクスワーゲンは同15.8%増(11万2,287台)と前年4位から3位に順位を上げた(表5参照)。 日系メーカーでは、トヨタ(前年比6.8%増、9万2,381台)が5位に入った。それ以降は、日産(16位、同6.0%増、2万8,705台)、ホンダ(21位、同31.7%減、1万6,137台)、スズキ(28位、増減なし、5,895台)、いすゞ(35位、44.0%増、1,603台)、レクサス(39位、9.1%減、742台)、スバル(41位、34.6%増、451台)だった。 中国および韓国系メーカーでは、現代自動車(9位、6.7%増、6万7,120台)と、著しく販売台数を伸ばした比亜迪(BYD、10位、約5倍増、4万5,537台)の両社がベスト10にランクインした。

表5:メーカー別販売台数上位15社(2025年)

(単位:台数、%)(△はマイナス値、ーは値なし)
合計(乗用車と軽商用車)
順位 メーカー 国産 輸入 合計 構成比 伸び率
1 ルノー 111,937 32,394 144,331 10.5 8.0
2 フィアット 78,492 40,149 118,641 8.7 △ 14.5
3 フォルクスワーゲン(VW) 4,794 107,493 112,287 8.2 15.8
4 フォード 43,648 65,937 109,585 8.0 4.5
5 トヨタ自動車 61,122 31,259 92,381 6.8 51.4
6 プジョー 1,267 85,192 86,459 6.3 17.6
7 オペル 2,427 73,060 75,487 5.5 20.9
8 シトロエン 1,068 70,372 71,440 5.2 16.7
9 現代自動車 41,485 25,635 67,120 4.9 6.7
10 比亜迪(BYD) 0 45,537 45,537 3.3 446.6
11 シュコダ 0 45,321 45,321 3.3 3.1
12 メルセデス・ベンツ 0 43,224 43,224 3.2 7.5
13 TOGG 39,020 0 39,020 2.9 29.7
14 BMW 0 33,992 33,992 2.5 31.8
15 テスラ 0 31,509 31,509 2.3 173.2
合計(その他を含む) 386,536 981,864 1,368,400 100.0 10.5

出所:トルコ自動車販売モビリティー協会(ODMD)のデータを基にジェトロ作成

乗用車
順位 メーカー 国産 輸入 合計 構成比 伸び率
1 ルノー 111,937 19,827 131,764 12.15 11.7
2 フォルクスワーゲン(VW) 0 88,682 88,682 8.18 19.0
3 トヨタ自動車 61,122 15,498 76,620 7.07 47.5
4 フィアット 69,659 2,128 71,787 6.62 △ 17.6
5 現代自動車 41,485 24,776 66,261 6.11 13.3
6 プジョー 0 59,798 59,798 5.51 11.0
7 オペル 0 48,016 48,016 4.43 6.2
8 シトロエン 0 47,818 47,818 4.41 10.6
9 比亜迪(BYD) 0 45,537 45,537 4.20 446.6
10 シュコダ 0 45,321 45,321 4.18 3.1
11 TOGG 39,020 0 39,020 3.60 29.7
12 BMW 0 33,992 33,992 3.13 31.8
13 メルセデス・ベンツ 0 33,374 33,374 3.08 11.4
14 テスラ 0 31,509 31,509 2.91 173.2
15 奇瑞汽車(Chery) 0 28,579 28,579 2.64 △ 49.9
合計(その他を含む) 323,223 761,273 1,084,496 100.00 10.6

出所:トルコ自動車販売モビリティー協会(ODMD)のデータを基にジェトロ作成

軽商用車
順位 メーカー 国産 輸入 合計 構成比 伸び率
1 フォード 43,648 39,483 83,131 29.3 10.5
2 フィアット 8,833 38,021 46,854 16.5 △ 9.2
3 オペル 2,427 25,044 27,471 9.7 59.3
4 プジョー 1,267 25,394 26,661 9.4 35.6
5 シトロエン 1,068 22,554 23,622 8.3 31.2
6 フォルクスワーゲン(VW) 4,794 18,811 23,605 8.3 5.2
7 トヨタ自動車 0 15,761 15,761 5.6 73.5
8 ルノー 0 12,567 12,567 4.4 △ 19.8
9 メルセデス・ベンツ 0 9,850 9,850 3.5 △ 4.0
10 イヴェコ 0 3,971 3,971 1.4 3.1
11 双竜自動車 0 3,871 3,871 1.4 58.4
12 いすゞ 270 1,333 1,603 0.6 △ 44.0
13 北汽福田汽車 0 1,596 1,596 0.6
14 テナックス 878 0 878 0.3
15 現代自動車 0 859 859 0.3 △ 80.5
合計(その他を含む) 63,313 220,591 283,904 100.0 10.0

出所:トルコ自動車販売モビリティー協会(ODMD)のデータを基にジェトロ作成

中国からの輸入増を受け、トルコ政府は近年、輸入車規制や追加関税の対策を打ち出している。2025年9月に、トルコと関税同盟を結ぶEU加盟国や自由貿易協定(FTA)などを締結する国以外を「その他の国」とし、それらの国からの輸入車を対象に、新たな追加関税措置の適用を開始した(2025年9月26日付ビジネス短信参照)。この措置について、トルコ貿易省は同国の基幹産業である自動車産業を輸入や不公正競争から保護するためとしている。なお、日本は「その他の国」に含まれている。

同時に、トルコ政府は自動車分野の投資誘致にも取り組んでおり、トルコで製造を約束し、投資優遇インセンティブを取得している企業に対し、各社の優遇レベルに応じて、追加関税を含めた輸入関税の免除などを実施している。中国関連では、10億ドル規模の工場設立を約束しているBYD(2024年10月8日付ビジネス短信参照)に対し、追加関税を含む各種税の減免という優遇措置を取っている。ただし、BYDの工場建設の進捗が遅れ、奇瑞汽車(チェリー)の15億ドル規模とされる黒海地方への投資プロジェクト(2025年3月4日付ビジネス短信参照)も進捗がないといわれている。他方、中国の自動車メーカーの斯威汽車(SWM)についてはエスキシェヒル県に製造拠点を設置、2026年1月に国内販売を開始している。本関税措置は、中国OEMに対して現地生産への移行を促す誘因として機能しており、BYDやSWMの投資判断とも連動しているとみられる。また、本措置は、欧州市場向け輸出を見据えてトルコでの生産拠点設立を検討する中国EVメーカーに対し、進出を強く促す政策的メッセージとしての側面も有している。

トルコEVセクターの現状、TOGGが輸出開始

2025年の自動車販売台数は、欧州ではドイツが1位で、英国、フランス、イタリアが続いた。1~9位までの順位は前年と変わらず、トルコも引き続き5位だった(2025年7月10日付地域・分析レポート参照)。

トルコ国産EVメーカーのTOGGは2025年10月に輸出を開始し、初めての輸出先としてドイツ向けに同年末までに144台を納品した。今後、イタリア、フランスなど他の欧州諸国への輸出を目標としているとの報道もある。

フォード・オトサンは、トルコでのEVの販売台数の割合が2024年の10.7%から2025年に17.7%まで急伸した。一方で、欧州においては「2035年のEV義務化」目標を緩和する動きがみられることや、米国ではEVを巡る政策やインセンティブが変化していることなどを挙げ、トルコOEMの輸出戦略にも影響を与える可能性があり、各社は複数シナリオを前提とした柔軟な生産体制を求められるとしている。長期的には自動車分野におけるEV化の流れは引き続き進んでいくとの見方を示した。

また、充電ステーションの操業ライセンスを付与するエネルギー市場規制庁(EPDK)の2025年12月の報告書によると、国内のEV用充電器(ソケット)は2024年の2万6,046カ所から、3万8,808カ所(ACソケット:2万2,095、DCソケット: 1万6,713)へ急速に増加した。充電ステーションの総設置容量は、1,736メガワット(MW)から2,913MWへと大きく拡大し、充電器のほぼ半数は、トルコ国内最大手ZESなど上位10事業体が占めている。充電ステーションの設置を手掛ける充電サービスプロバイダーでは、TOGG子会社のTrugoが2024年の1,359カ所(4位)から3,088カ所(2位)に急上昇している。EV販売の急伸と充電インフラの急速な整備は、2026年以降の市場構造変化を促す重要な兆候といえる。

2026年以降の制度動向:EU原産地要件にトルコを含む方向

こうした中、トルコのオメル・ボラト貿易相は2026年3月4日、EUが設置予定のEU原産地要件にトルコも含まれる方向で検討が進められていると発表した。トルコ産業界や政界はEU原産地要件の中にトルコを含めるようロビイング活動を展開してきた(2026年3月6日付ビジネス短信参照)。

主要輸出先がEUであるトルコが同法案から排除された場合、EUとインドとのFTAが締結されたことに加え、自動車産業をはじめとするトルコの基幹産業は、大きな打撃を受けると考えられていた。EUにとっても、トルコを除外すべきではないという考えも根強い。その背景は、トルコからの輸出の多くが欧州資本のトルコでの製造拠点で製造されたものであるため、トルコが仮に対象外となれば、EU域内でのサプライチェーンの弱体化につながること、関税同盟がありかつトルコに欧州グリーンディールの順守を求めていること、中東情勢が不安定な中、トルコの戦略的重要性がさらに増すことなどが予想されるからだ。今後、トルコ企業が関税同盟に含まれる産業や製品に関してEUの入札に参加、あるいはその逆も可能となる一方で、部品生産や低炭素化に関して示される要件の内容によっては、トルコの産業にとってコスト増加が見込まれる可能性も示唆されている。現在、最終的な決定は延期されている。

執筆者紹介
ジェトロ・イスタンブール事務所
井口 南(いぐち みなみ)
日系銀行などを経て、2018年からジェトロ・イスタンブール事務所勤務。