トルコ政府、自動車輸入の新規制と対米追加関税撤廃を決定
(トルコ、日本、米国)
イスタンブール発
2025年09月26日
トルコ貿易省は9月22日、自動車輸入に関する新規制を発表した。同日公布の官報によると、トルコと関税同盟を結ぶEU加盟国と、自由貿易協定(FTA)締結国(ジェトロのトルコWTO・他協定加盟状況)以外の「その他の国」からの輸入車に新たな追加関税措置の適用を決定した。
「その他の国」に該当する日本からの輸入車に対し、従来の10%の関税に追加するかたちで次の追加関税を適用する。
- ディーゼル、ガソリン車、ハイブリッド車〔プラグインハイブリッド車(PHEV)を除く〕の場合、25%、または1台当たり最低6,000ドルのいずれか高いほう
- PHEVの場合、30%、または1台当たり最低7,000ドルのいずれか高いほう
- 電気自動車(EV)の場合、30%、または1台当たり最低8,500ドルのいずれか高いほう
上記決定は発令60日後から施行される。
貿易省は今回の措置について、輸入や不公正競争からの国内産業の保護、経常赤字削減(輸出促進)、雇用促進のための政策を背景として挙げ、トルコの基幹産業の自動車産業保護のための規制としている。
また、同じ22日、同省および官報は、2018年以降、米国産の一部製品(自動車、化粧品、葉タバコなど)に課していた追加関税の撤廃も発表した。2018年に開始した対米追加関税措置は、米国がトルコの鉄鋼、アルミニウム製品に追加関税を課したことを受け、トルコが発効したという背景がある。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は9月22日(米国時間21日)の国連総会に合わせ、外相、エネルギー・天然資源相、技術産業相、保険相など9人の閣僚を伴って訪米し、米国のドナルド・トランプ大統領と複数回会談した。
今回の決定により、2018年に報復関税として米国からの輸入車に課していた高い追加関税を廃止する。トルコではテスラ社のEVが人気で、2024年のEV販売台数は、首位のトルコ国産車TOGGに次ぐ1万1,534台となっている。
また、2024年7月に発表した投資優遇措置により、トルコに生産拠点進出を決定している企業には今回の措置は適用しないため、トルコに生産拠点の進出を約束している中国のBYDは、今回決定した追加関税を含めた輸入関税は適用されないことになる。
(井口南)
(トルコ、日本、米国)
ビジネス短信 2995a31d74f9e826