トルコ、一部自動車の特別消費税を変更、輸入車やEVは税率上昇

(トルコ)

イスタンブール発

2025年07月31日

トルコ国庫・財務省は7月24日、自動車に対する特別消費税(SCT:Special Consumption Tax)の適用に関する新たな規則と税率変更を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。一部の販売台数の多い車種に対してはSCT税率を5~10ポイント引き下げた。変更のない車種もあるが、10~20ポイント引き上げられた車種もある。

官報によると、HSコード87.03の「乗用自動車その他の自動車(ステーションワゴンおよびレーシングカーを含み、主として人員の輸送用に設計したものに限る)」が対象で、車種により25~220%の税率に変更された。例えば、国産乗用車の税率は引き下げられ、輸入高級乗用車に対しては引き上げが実施されている。また、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)に関しては、課税ベースの閾値(しきいち)が15ポイント引き上げられ、EVのSCT税率は25~75%、PHEVの税率は45~85%に改定された。

今回の変更は輸入EVへの影響が予想されており、2024年トルコで1万1,000台以上のEVを販売した米国のテスラは、今回の変更に即座に反応し、現在までの販売分に変更はないとしながらも販売価格表を更新した。中国の比亜迪(BYD)に関して、7月14日付当地紙「ハベルテュルク」によると、トルコのエーゲ海地域マニサで生産開始する大型投資案件(2024年7月16日記事参照)について、トルコ自動車工業会(OSD)の会長が「進展がない」と発言したという。しかし、その直後に関係筋は、BYDによるトルコへの10億ドルの投資の遅延に関する懸念を否定した(7月11日付「CNBC-e」)。また、同社のハンガリーでの生産計画より、トルコを優先し前倒しするとの報道もある。

同省は、今回の変更は経常赤字削減を目的としたものと発表しており、トルコ政府による国内産業保護政策の一環ともみられる。

なお、トルコでは自動車購入時に、特別消費税、付加価値税、自動車税などがかかる。特別消費税は排気量(EVの場合は電力量)と自動車価格によって税率が決まり、自動車価格と特別消費税の合計金額に対して付加価値税が課せられる。そのため、自動車価格が低く、排気量が少ない自動車にかかる税率は相対的に低い。

(井口南)

(トルコ)

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