BYDに続き、チェリーが15億ドル投資し、トルコで工場設立へ
(トルコ、中国)
イスタンブール発
2025年03月04日
トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は2月24日の閣僚会議での大統領演説で、中国自動車メーカーの奇瑞汽車(チェリー)が黒海地方のサムスンに投資し、工場を設立すると発表した。同大統領は2月の外遊後に「中国自動車メーカーによるサムスン工場設立案件が進行中」と発言していたが、同社のトルコ進出、生産を明言したかたちだ。報道によると、同社の視察団がサムスンを数度訪問し、陸(鉄道を含む)、海、空路のアクセスが確保され、ロシア市場にも近いサムスン工業地域の150万平方メートルの敷地に建設する予定という。この案件の投資額は15億ドル以上で、第1段階として年間15万台の生産を目指すとされている。特にサムスン商工会議所がこの案件に尽力しており、雇用人材発掘のため、自動車デザインコンペを開催するという。
自動車販売代理店のモビリティー協会(ODMD)の発表によると、チェリーのトルコでの2024年の乗用車販売台数は前年比40.5%増の5万7,047台だった。2024年に比亜迪(BYD)がエーゲ地方のマニサに10億ドル規模の工場と研究開発施設の建設準備に入っており(2024年7月16日記事、10月8日記事参照)、電気自動車(EV)を核とした中国自動車のトルコ市場進出が進んでいる。
トルコ政府は1月に追加関税率を変更し、中国から輸入されるハイブリッド車とガソリン車に50%、EVとプラグインハイブリッド車に40%の関税を課しているが、生産進出を決めたチェリー、BYDともに、国内生産の場合、同関税は適用されない。また、トルコで生産された自動車は関税同盟を結ぶEU市場へも無関税で輸出できることになる(2025年1月14日記事参照)。現地報道によると、トルコの消費者はこれら中国自動車の生産、進出により、自動車価格が高いトルコ市場でEV、ハイブリッド車の価格の引き下げを期待しているという。
(井口南)
(トルコ、中国)
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