フタバ食品、FTAを使い分けながら輸出(日本)

2021年12月15日

フタバ食品外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(本社:栃木県宇都宮市)は、アイスクリーム類や氷菓などを製造・販売している。輸出にも力を入れており、取引先の要請に応じて、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)(以下、FTA)を活用してきた。FTA利用の取り組みについて、フタバ食品企画部の髙橋美里次長に聞いた(2021年12月2日)。


フタバ食品の本社概観(フタバ食品提供)
質問:
貴社の海外展開は。
答え:
輸出の取り組みを始めたのは2010年。香港での「Food Expo」で栃木県が設置したブースに商品が採用されたのをきっかけに、サクレレモンの輸出を開始することになった。日本国内売上高に対して、海外売上高はまだ小さいが、現在では、中国、香港、台湾、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、オーストラリア、米国、カナダ、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ向けに輸出している。2021年度の海外売上高は、20年度比、また19年度比でみても増加見込みだ。
質問:
輸出時にFTAを利用しているか。
答え:
輸出先のうち、タイ、ベトナム、インドネシアでそれぞれFTA税率の適用を受けている。タイ向けは日・タイ経済連携協定のもとで、バニラモナカやラムネ氷など、ベトナム向けは環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)のもとで、北海道牛乳モナカや宇治抹茶ミルクなど、インドネシア向けは日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)のもとで、アイスクッキーやバニラモナカなどを輸出する際に、関税の減免を受けている。

タイ向けなどに輸出しているバニラモナカ(フタバ食品提供)
質問:
FTA利用のきっかけや、初めて利用した際にどのように進めたか。
答え:
最初にFTAを利用して輸出したのはタイだが、タイ、ベトナム、インドネシアのいずれのケースも、取引事業者からの要請でFTAを利用した。初めてFTAを利用することになった際は、日本商工会議所に問い合わせして、教えてもらいながら準備を進めた。関税分類変更基準か付加価値基準を選択するにも、どちらを選択して良いのか、また、品目別原産地規則を満たすことができるかどうかの確認に時間がかかった。しかし、取り扱っている製品の性質上、配合が大きく変わるものではないので、新しい商品にも援用できる。一度慣れてしまえば、書類準備は難しくない。
質問:
日本とタイ、ベトナム、インドネシアとの間では、複数のFTAが発効しているが、現在利用しているFTAに至った経緯は。
答え:
適用される関税率を比較して、低い関税率となる協定を活用している。例えば、ベトナムについては、輸出を開始した当初は日・ベトナム経済連携協定とAJCEPともに発効していたが、比較して関税率が低かったAJCEPを利用した。その後、ベトナムとの間では、CPTPPが発効した。CPTPP税率の発効後数年して、AJCEP税率を下回ったことから、CPTPPの利用に切り替えた。なお、インドネシアについては、今年から活用することになった。日・インドネシア経済連携とAJCEPともに発効しているが、取引先の意向でAJCEPを活用している。
質問:
CPTPPでは自己申告制度のみが唯一の証明制度だが、どのように取り組んでいるか。
答え:
生産者として、原産地証明書を作成して輸入者に送付している。おそらくジェトロが作成していたTPP11解説書に掲載されているものと記憶しているが、原産地証明書のひな型は助かった。なお、検認については、何かあれば必要書類を出せるようにしているので、問題なく対応できると考えている。
質問:
その他、FTA利用の際に気にかけている点は。
答え:
日系企業が販売先の場合、取引条件が、日本国内での工場や倉庫渡しとなるケースが多い。第三者証明制度において、原産品判定依頼を行う生産者と輸出者が異なる場合、まず生産者が日本商工会議所から特定原産品と承認を受け、その上で、発給申請者となる輸出者に利用できるように同意通知書を提出する必要がある。この同意通知書には有効期限があり、注意する必要がある。もし有効期限が切れていた場合にすぐ対応できれば良いが、できないと輸出者に迷惑をかけることになる。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部国際経済課 課長代理
朝倉 啓介(あさくら けいすけ)
2005年、ジェトロ入構。海外調査部アジア大洋州課(2005~2009年)、国際経済研究課(2009 ~2010年)、公益社団法人日本経済研究センター出向(2010~2011年)、ジェトロ農林水産・食品調査課(2011~2013年)、ジェトロ・ムンバイ事務所(2013~2018年)を経て海外調査部国際経済課勤務。

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